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The 27th episode
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辻井を見る中曽根太一は目で笑っていた。
睨み上げ「なんのつもりだよっ、」と言う辻井に中曽根は言う。
「吹っ掛けてきたのは貴方じゃないですか?お陰でまぁ、用事が合った相手に巡り会えましたが。
お久しぶりです。まだ解散はしていないでしょうか?」
挑発的に今度はこちらに言う中曽根は、以前のクールな雰囲気よりも狂気的になったらしい。
薬を店でこっそり売り上げていた浅井零士に一番近しい山中を、殺害したのかなんなのかは未だ解明されていない中曽根。それが跡地、“昴振興会”で何をしているのか。
あのHestiaでバラ撒いていた薬は、過去の、昴の会を拠点としたエレボスが取り扱う麻薬と現在のエレボスとは、成分が若干違うとしてきた。しかし、使用方法を考えれば似た点もある。
刑務所に服役中の會澤と獄中死した浅井には明確な繋がりがあり、會澤は出資元の、先日死亡した鮫島と繋がりがあった。
死に際に鮫島が口走った“昴の会”との関連を匂わせる発言、そして今の状況からしてこの時点で、関係者は最早黒と俺の中では断定出来る。
しかし“昴の会”の存在は、今も昔も曖昧だ。人身売買と麻薬製造、テロの荷担は恐らくある。現に、昴の会出身である今回の黒幕、箕原海は、学者とし、同じ学者で獄中死した谷栄一郎に恐らくは爆弾を作らせていた。
だがこうしてこの青年がこんな形で現れたのは、警察組織の甘さや、関係者が警察管轄内で相次いで死亡していることから、不自然ではないことだった。
中曽根は闇の端を握っているかもしれない。
『俺はこの先にいらっしゃるであろう、特殊捜査本部に恨みがあるんですよ、辻井さん』
『…はぁ?』
『見ていらっしゃるでしょうし、あんたらがした冒涜、罪を認めさせようと思います。
まずなぜ俺がここにいるのか、姿を消せたのか、これから行きましょうか。
俺は浅井零士に“清塩”を普及させるための駒でした。それに使うのには山中洋巳が丁度よかった。
しかし浅井零士が逮捕されてしまい、俺は会に殺される手筈でしたがあの場で考えた、生け贄を捧げればいいのだと』
…つまり、それは。
やはり山中はあの場で死亡した、と言うのか。
そしてこいつは。
昴の会の出だった、ということか。全てはやはり、昴の会が発端だった、と。
『日本の憲法には“振興の自由”があるのに、貴方達が何故、我が宗教を目の敵にするのか、わからない』
『…日本には麻薬取締法も、殺人罪も、…拉致監禁罪もある』
『俺たちの振興には、人は自然に人に還ると言う概念があります。死んだものは細胞学で受け継がれ、死にはしない、喜ばしいことだと』
『そんなの洗脳だ。なら何故テロを起こす、何故人を殺す』
『簡単ですよ。
ゴミは燃やされて当然なのは、貴方にもあるじゃないですか』
『…警察はゴミだと言うのか』
『振興を悪だと言うのはゴミだ』
睨む辻井に嘲笑う中曽根。
そうやってあの殺人集団を造ろうと言うのか、あの団体は。
画面の向こうで中曽根は、ジーパンのポケットから錠剤を取り出し、飲む。確認出来ないがあの薬だろうか。
『しかし自制が狂うのは人の摂理です。それを人で補うのは簡単なことです』
狂っている。
『…イカレてるなお前』
『ゴミに理解するなど、やはり無理な話でしたね』
中曽根は再び錠剤を掌に取り出し、辻井を見ては辻井の前髪を空いた手で鷲掴みにした。
「政宗、二人はどうした、」
『貴方もゴミだが、救いはある』
「…もう時期つくだろうが、」
「ヤバい。
辻井が殺られる」
「まだ着かないのか」
必死に抵抗のように身体を動かそうとしている辻井がいる。椅子ががたがたと動き、倒そうと必死だが、中曽根がまたそれを口に含み、いま錠剤を手にしていたその手で椅子押さえ、口移しした。
それから手を離して椅子を蹴っ飛ばし、中曽根は辻井を足蹴にする。愛蘭はそれに顔を少し背けた。
「仕方ねぇな」と政宗も立ち上がり、状況を聞いていた潤の肩を叩けば、弱々しくも立ち上がる。
辻井は薬を吐き出した。それを見下ろした中曽根は辻井の腹あたりを蹴っ飛ばす。
『素直じゃないんで、』
中曽根は何か、今度はパーカーのポケットから薬品の入った瓶と開いていない医療用の注射器を取りだし、ゆっくりとその液体を、見せびらかすように抽出している。
「取り敢えず俺も向かう、」
小走りで部署の出口へ向かう。
『死んじゃうかもしれないんですが、まぁ死に際気持ちよくなれるくらいに…』
「後はよろしく」
パソコンの声と被りながら「後はよろしくお願いします」と、慧さんと愛蘭に告げようとしたとき「流星さん!」と愛蘭が声を上げた。
「二人とも着きました!」
恐らく中曽根はその液体を辻井に打ち込んだら、自分も自殺するつもりだろう。
彼は昴の会から見たら“任務失敗”を背負う。どの道戻る手段がない。
『待て、』と言う、瞬の声に少し肩の力が抜ける。しかし安全ではない。
「よろしくお願いします」
と改めて二人に告げ、俺たち三人は、現場に向かう。
睨み上げ「なんのつもりだよっ、」と言う辻井に中曽根は言う。
「吹っ掛けてきたのは貴方じゃないですか?お陰でまぁ、用事が合った相手に巡り会えましたが。
お久しぶりです。まだ解散はしていないでしょうか?」
挑発的に今度はこちらに言う中曽根は、以前のクールな雰囲気よりも狂気的になったらしい。
薬を店でこっそり売り上げていた浅井零士に一番近しい山中を、殺害したのかなんなのかは未だ解明されていない中曽根。それが跡地、“昴振興会”で何をしているのか。
あのHestiaでバラ撒いていた薬は、過去の、昴の会を拠点としたエレボスが取り扱う麻薬と現在のエレボスとは、成分が若干違うとしてきた。しかし、使用方法を考えれば似た点もある。
刑務所に服役中の會澤と獄中死した浅井には明確な繋がりがあり、會澤は出資元の、先日死亡した鮫島と繋がりがあった。
死に際に鮫島が口走った“昴の会”との関連を匂わせる発言、そして今の状況からしてこの時点で、関係者は最早黒と俺の中では断定出来る。
しかし“昴の会”の存在は、今も昔も曖昧だ。人身売買と麻薬製造、テロの荷担は恐らくある。現に、昴の会出身である今回の黒幕、箕原海は、学者とし、同じ学者で獄中死した谷栄一郎に恐らくは爆弾を作らせていた。
だがこうしてこの青年がこんな形で現れたのは、警察組織の甘さや、関係者が警察管轄内で相次いで死亡していることから、不自然ではないことだった。
中曽根は闇の端を握っているかもしれない。
『俺はこの先にいらっしゃるであろう、特殊捜査本部に恨みがあるんですよ、辻井さん』
『…はぁ?』
『見ていらっしゃるでしょうし、あんたらがした冒涜、罪を認めさせようと思います。
まずなぜ俺がここにいるのか、姿を消せたのか、これから行きましょうか。
俺は浅井零士に“清塩”を普及させるための駒でした。それに使うのには山中洋巳が丁度よかった。
しかし浅井零士が逮捕されてしまい、俺は会に殺される手筈でしたがあの場で考えた、生け贄を捧げればいいのだと』
…つまり、それは。
やはり山中はあの場で死亡した、と言うのか。
そしてこいつは。
昴の会の出だった、ということか。全てはやはり、昴の会が発端だった、と。
『日本の憲法には“振興の自由”があるのに、貴方達が何故、我が宗教を目の敵にするのか、わからない』
『…日本には麻薬取締法も、殺人罪も、…拉致監禁罪もある』
『俺たちの振興には、人は自然に人に還ると言う概念があります。死んだものは細胞学で受け継がれ、死にはしない、喜ばしいことだと』
『そんなの洗脳だ。なら何故テロを起こす、何故人を殺す』
『簡単ですよ。
ゴミは燃やされて当然なのは、貴方にもあるじゃないですか』
『…警察はゴミだと言うのか』
『振興を悪だと言うのはゴミだ』
睨む辻井に嘲笑う中曽根。
そうやってあの殺人集団を造ろうと言うのか、あの団体は。
画面の向こうで中曽根は、ジーパンのポケットから錠剤を取り出し、飲む。確認出来ないがあの薬だろうか。
『しかし自制が狂うのは人の摂理です。それを人で補うのは簡単なことです』
狂っている。
『…イカレてるなお前』
『ゴミに理解するなど、やはり無理な話でしたね』
中曽根は再び錠剤を掌に取り出し、辻井を見ては辻井の前髪を空いた手で鷲掴みにした。
「政宗、二人はどうした、」
『貴方もゴミだが、救いはある』
「…もう時期つくだろうが、」
「ヤバい。
辻井が殺られる」
「まだ着かないのか」
必死に抵抗のように身体を動かそうとしている辻井がいる。椅子ががたがたと動き、倒そうと必死だが、中曽根がまたそれを口に含み、いま錠剤を手にしていたその手で椅子押さえ、口移しした。
それから手を離して椅子を蹴っ飛ばし、中曽根は辻井を足蹴にする。愛蘭はそれに顔を少し背けた。
「仕方ねぇな」と政宗も立ち上がり、状況を聞いていた潤の肩を叩けば、弱々しくも立ち上がる。
辻井は薬を吐き出した。それを見下ろした中曽根は辻井の腹あたりを蹴っ飛ばす。
『素直じゃないんで、』
中曽根は何か、今度はパーカーのポケットから薬品の入った瓶と開いていない医療用の注射器を取りだし、ゆっくりとその液体を、見せびらかすように抽出している。
「取り敢えず俺も向かう、」
小走りで部署の出口へ向かう。
『死んじゃうかもしれないんですが、まぁ死に際気持ちよくなれるくらいに…』
「後はよろしく」
パソコンの声と被りながら「後はよろしくお願いします」と、慧さんと愛蘭に告げようとしたとき「流星さん!」と愛蘭が声を上げた。
「二人とも着きました!」
恐らく中曽根はその液体を辻井に打ち込んだら、自分も自殺するつもりだろう。
彼は昴の会から見たら“任務失敗”を背負う。どの道戻る手段がない。
『待て、』と言う、瞬の声に少し肩の力が抜ける。しかし安全ではない。
「よろしくお願いします」
と改めて二人に告げ、俺たち三人は、現場に向かう。
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