69 / 107
排他的経済本家
9
しおりを挟む
「…その話信憑性が」
「いや、俺は納得だな。じゃなけりゃ俺がここまでやってこれるわけがない。あの頃俺は高校生だった。自分の命は守ったんだなばあちゃん。して、余ったらこっそりくれようなんていかにもらしいよな、太一」
すまん太一。しかし…。
「ああ納得だね。あのババアそんな人だよな」
案外あっけらかんと言ってくれたことにほっとし、そして少し、あぁ、太一、もう本当にあの頃からばあさんには憎しみやらなにやらすらも、ないのかと。
憎しみは越えてしまえば無になると、なにも感じなくなるもんだと再確認した。本気で太一には、ばあちゃん、どうでもいいんだな。
「…話が終わりそうじゃないですか?俺もうあんたらの名前を聞く気も、ここの敷居を跨ぐ気もないので、あとは勝手にやってくださいよ好きに金使ってくださいよ。俺はもういいんで、破棄破棄。なんの同意もしません。
別に誰がどう勝手に、うちのばあさんの財産使ったとか言いませんから。もっと欲しいなら、老人ホーム解約してその辺に捨てといてください。弁護士通して正式に絶縁でもしましょうか?ただ困るんでしょ?そーゆー機関通されると。だからここにも第三者っぽい人が見たところいない、書類もない、でしょ?」
まぁ本気で書類がなければ、俺はこいつらが死ぬ前に絶縁状とかを用意しなければならないが。
だがそうなれば家督の全ては太一に行く、はずだ。だがそれは生命保険も同じだろう。
「昴、お前…」
「太一、俺はさっきからイライラしている。普通に暴れそうだ」
小声で告げると、小さく頷いた。
「あんた、ちょっと冷たくないか?」
「あんたらはどうだ?俺はなぁ、介護やらなんやら、どこに行っても肩身は狭いし自分が何者かもわからない状態で生きてきて漸く一人立ちしたんだ。
あんたらいいよな。それとわかる親がいる。俺にはいない。だが別にそれを気にしたことはなかった。それは敏郎さんがいたからだ、夢子さんが受け入れてくれたからだ。
笑えるよな、あんたらだって俺を受け入れやしないのにあの二人は、んなババアの一言で親として育ててくれた。それがどんなことか多分あんたらにはわからんよ」
「じゃぁなんだ、あんた、連次郎さんの子供じゃないのか」
「だからまずレンジロウが誰だかわかんねぇって言ってんだよ。ホントにそんなやついたのかオイ」
「昴、ちょい待った、一回落ち着け」
太一に咄嗟にそう言われ我に返るが、やっぱり睨んでしまったまま。
「…取り敢えず一回お互い整理しましょうよ」
太一が説得するように身体を少し浮かせ、俺の腕を軽く掴んだ。
太一の隣に座っていた先程のオバハンが、「感じ悪いっ、」と言い捨て立ち上がり、俺たち二人を一睨みして子供二人を呼びつけると、そのまま部屋を出て行った。
それにつられて何人かも、溜め息を吐いたりなにか小言らしい独り言なのか皮肉なのかを吐いて去っていく。
ボス、ヨシが、「どこさ行く」と言うも、「タバコじゃ」だのなんだの言っている。
なんなんだこいつら全員。
残ったのはヨシ、隣のジジイにあと10人ほど。ふざけんな、誰が一番帰りたいと思ってんだまったく。
「…ヨシさん、酒」
ジジイが言った。この期に及んでなんだこのジジイ。
太一が苦笑した。それを見て見ぬフリをしてヨシは立ち上がる。
「じゃぁ俺と太一もください」
言ってやった。
まわりがキョトンとしたのがわかった。太一だけが隣で吹き出す。
だが俺は名も知らぬジジイに嘲笑の口角上げを見せてやった。
「若造、ナメとんかい」
「名前は?あんたどこの誰ですか?
私こういった者ですが?」
持参した鞄から名刺入れを出し、畳の上を滑らせるかの如く三つ指の下に名刺を、ちゃんと相手方に名前が見えるように配置して流す。
それから腕組んでドヤ顔してやった。
おしゃれクソ眼鏡をナメんじゃねぇ、このクソジジイが。ビジネスマナーとはこうするんじゃい、都会だろうが田舎だろうがな。
ヨシが一升瓶と陶器を3つ持ってきた。名刺の上にさりげなくお盆を乗せられ、ダイナマイト着火準備完了。
ヨシが酒をジジイに注いでる間、太一と二人、目を合わせた。
一升瓶は回ってくることがなくヨシの前に置かれたので、俺は自らふらっと立ち上がり取りに行き、また座る。
ちょっと異常に見えそうにちゃんとなんかふらっと全体的に身体の力をフラットにした。
二人で酒を酌み交わし、俺は1杯最初に煽り、二杯目を注ぐ。味とかわかんねぇけど不味い。多分芋とか。とにかく悪酔いにはいいでしょう。アドレナリン準備万端。
「…どげんして、」
「飲まんとお宅らみてぇなアホと話せんやろ。
で?お宅ら俺に何させようって?」
「は?」
「うちのババアの有り金を俺が相続する。最も、金なんてねぇ、借金だと。
しかし敏郎さん、ババアの第一子の息子太一によりゃぁ、そうさな、10年くらい前まではババアは金を持っていたはず、何千万と。筋ならまず第一子がそれを相続するはずが、遺言書には第二子の俺の名が相続人であった。
それを俺は何故だか借金に様変わりした頃に初めて知る、と。さぁ金はどこに消えた。普通の考えならこの遺産、誰かが使い込んだ、そしたら使いすぎて借金を背負う羽目になった、だから今更相続させようとしている、第二子だし、という風にしか捉えられねぇが合ってるか?」
「いや、俺は納得だな。じゃなけりゃ俺がここまでやってこれるわけがない。あの頃俺は高校生だった。自分の命は守ったんだなばあちゃん。して、余ったらこっそりくれようなんていかにもらしいよな、太一」
すまん太一。しかし…。
「ああ納得だね。あのババアそんな人だよな」
案外あっけらかんと言ってくれたことにほっとし、そして少し、あぁ、太一、もう本当にあの頃からばあさんには憎しみやらなにやらすらも、ないのかと。
憎しみは越えてしまえば無になると、なにも感じなくなるもんだと再確認した。本気で太一には、ばあちゃん、どうでもいいんだな。
「…話が終わりそうじゃないですか?俺もうあんたらの名前を聞く気も、ここの敷居を跨ぐ気もないので、あとは勝手にやってくださいよ好きに金使ってくださいよ。俺はもういいんで、破棄破棄。なんの同意もしません。
別に誰がどう勝手に、うちのばあさんの財産使ったとか言いませんから。もっと欲しいなら、老人ホーム解約してその辺に捨てといてください。弁護士通して正式に絶縁でもしましょうか?ただ困るんでしょ?そーゆー機関通されると。だからここにも第三者っぽい人が見たところいない、書類もない、でしょ?」
まぁ本気で書類がなければ、俺はこいつらが死ぬ前に絶縁状とかを用意しなければならないが。
だがそうなれば家督の全ては太一に行く、はずだ。だがそれは生命保険も同じだろう。
「昴、お前…」
「太一、俺はさっきからイライラしている。普通に暴れそうだ」
小声で告げると、小さく頷いた。
「あんた、ちょっと冷たくないか?」
「あんたらはどうだ?俺はなぁ、介護やらなんやら、どこに行っても肩身は狭いし自分が何者かもわからない状態で生きてきて漸く一人立ちしたんだ。
あんたらいいよな。それとわかる親がいる。俺にはいない。だが別にそれを気にしたことはなかった。それは敏郎さんがいたからだ、夢子さんが受け入れてくれたからだ。
笑えるよな、あんたらだって俺を受け入れやしないのにあの二人は、んなババアの一言で親として育ててくれた。それがどんなことか多分あんたらにはわからんよ」
「じゃぁなんだ、あんた、連次郎さんの子供じゃないのか」
「だからまずレンジロウが誰だかわかんねぇって言ってんだよ。ホントにそんなやついたのかオイ」
「昴、ちょい待った、一回落ち着け」
太一に咄嗟にそう言われ我に返るが、やっぱり睨んでしまったまま。
「…取り敢えず一回お互い整理しましょうよ」
太一が説得するように身体を少し浮かせ、俺の腕を軽く掴んだ。
太一の隣に座っていた先程のオバハンが、「感じ悪いっ、」と言い捨て立ち上がり、俺たち二人を一睨みして子供二人を呼びつけると、そのまま部屋を出て行った。
それにつられて何人かも、溜め息を吐いたりなにか小言らしい独り言なのか皮肉なのかを吐いて去っていく。
ボス、ヨシが、「どこさ行く」と言うも、「タバコじゃ」だのなんだの言っている。
なんなんだこいつら全員。
残ったのはヨシ、隣のジジイにあと10人ほど。ふざけんな、誰が一番帰りたいと思ってんだまったく。
「…ヨシさん、酒」
ジジイが言った。この期に及んでなんだこのジジイ。
太一が苦笑した。それを見て見ぬフリをしてヨシは立ち上がる。
「じゃぁ俺と太一もください」
言ってやった。
まわりがキョトンとしたのがわかった。太一だけが隣で吹き出す。
だが俺は名も知らぬジジイに嘲笑の口角上げを見せてやった。
「若造、ナメとんかい」
「名前は?あんたどこの誰ですか?
私こういった者ですが?」
持参した鞄から名刺入れを出し、畳の上を滑らせるかの如く三つ指の下に名刺を、ちゃんと相手方に名前が見えるように配置して流す。
それから腕組んでドヤ顔してやった。
おしゃれクソ眼鏡をナメんじゃねぇ、このクソジジイが。ビジネスマナーとはこうするんじゃい、都会だろうが田舎だろうがな。
ヨシが一升瓶と陶器を3つ持ってきた。名刺の上にさりげなくお盆を乗せられ、ダイナマイト着火準備完了。
ヨシが酒をジジイに注いでる間、太一と二人、目を合わせた。
一升瓶は回ってくることがなくヨシの前に置かれたので、俺は自らふらっと立ち上がり取りに行き、また座る。
ちょっと異常に見えそうにちゃんとなんかふらっと全体的に身体の力をフラットにした。
二人で酒を酌み交わし、俺は1杯最初に煽り、二杯目を注ぐ。味とかわかんねぇけど不味い。多分芋とか。とにかく悪酔いにはいいでしょう。アドレナリン準備万端。
「…どげんして、」
「飲まんとお宅らみてぇなアホと話せんやろ。
で?お宅ら俺に何させようって?」
「は?」
「うちのババアの有り金を俺が相続する。最も、金なんてねぇ、借金だと。
しかし敏郎さん、ババアの第一子の息子太一によりゃぁ、そうさな、10年くらい前まではババアは金を持っていたはず、何千万と。筋ならまず第一子がそれを相続するはずが、遺言書には第二子の俺の名が相続人であった。
それを俺は何故だか借金に様変わりした頃に初めて知る、と。さぁ金はどこに消えた。普通の考えならこの遺産、誰かが使い込んだ、そしたら使いすぎて借金を背負う羽目になった、だから今更相続させようとしている、第二子だし、という風にしか捉えられねぇが合ってるか?」
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる