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Film 3
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「父はちょっとヤバ気な宗教に入ったことがあってな。まぁ、研究とかなんか、母ともうまくいかなかった時期があったようだ。俺がそうだな…もう母の記憶もあまりないくらい昔に離婚した。
また父も、そしたら気が晴れたのか結構一気に偉くなってしまったんだ。宗教はしばらく継続、俺も兄もその環境下で育ってしまったわけで」
「だから童貞なの南沢さん」
「ちなみに俺が高校くらいには脱教し洗脳も解け気味だ。俺は恐らくマザコン体質だろうから端から女性が不浄だとは思っていなかった。むしろ、覚えてもいない母に会ってみたかった」
「で?」
「気長に気長に」と喜多は葛西をなだめる。結局童貞かどうかうやむやだが正直喜多も葛西も知りたいわけではない。
「兄は相当重症だった。小学校で飼育委員をやってウサギを殺すくらいには重症だった」
「いや、いい加減真冬出てきてもよくないか」
「気長に」が再び発動された。見えるようで見えないのだ。
「…真冬は…兄が面倒を見ていた。元々真冬の両親と父は仲が良かったらしい。それこそ、亡くなってから引き取るくらいに、だがここで宗教発動だ。父はそれに悩んだから、そこそこ育った、ちなみに俺は兄と6歳、真冬は干支かぶりで兄と離れているんだが、兄に真冬の面倒を任せた。
真冬を引き取ったが俺達は墓は一緒じゃない、つまりは養子縁組は組んでいないんだが、確か…4?5?歳辺りで家に住んでいたと思う。
兄は学者になるのは決まっている年齢だし、何より性欲真っ盛りだった」
「漸く掴めてきた」
「兄はほぼ、真冬を閉じ込めて育てていた」
あぁ、南沢はあまり雨川と接点がない、なるほどよかったそこまで変態じゃなくてと二人は思った。
「あまり、会ったことはなかったが、まぁ、同じ屋根の下にいれば知っている間柄だ。ちなみに真冬という名前は兄がつけた。12歳の発想は簡単で自分と真逆の名前なんだそうだ。正直それでOKした真冬の両親には同意が出来ないが俺は不本意にも真冬の名前は好き」
「次いこうぜ」
「で、うんまぁ、家族としては違和感がある俺としては近親相姦的な感じではなく、」
「今更否定は焦れったいんで、南沢さん次」
「うん。結果兄がしてきたことを、それでも俺はしばらく知らなかったし、兄は真冬をレイプしたんだ」
「は?」
「突然?」
「いや突然かは知らない、何せ兄は真冬を男の子として育てたしつまり俺よりは真冬に対して家族感もあっただろうし何よりロリコンだ」
そこまで話して南沢は漸く落ち着いたらしい。二人としては「何で!?」もあるがすぐに行き着く、「南沢真夏、天才で変態だ」と。
だが…。
「…南沢さんのお兄さんは何か…」
「そうだな、気がどこかで狂ってしまった、それが優しい解釈なんだろうけど…。
兄は、知的好奇心が勝ったのかはわからないが結局真冬を失敗だと、」
当たり前ながら、南沢も雨川も受け入れられるものではなかっただろう。
「…でも、真冬は」
「…それぞまさしく、PTSDだとか…そんなものだね。結果兄の…暴力だとか、所々を、たぶん健忘してる」
「…なるほどねぇ」
「漸く二人の気持ちが掴めたね…長かったなぁ。
雨川くんにとってはお兄さんは、大切な家族のまま…なのか、最早一種の振興か…」
「そんなところかもしれませんね」
「うーん…」
だが聞いてみればよりモヤモヤする。きっとそうなんだろうと南沢は、
「けどだから、一緒にいられるし俺はそんな真冬を見てきている。堪らないと思うのは、俺もわりかし…兄の分類だと思ってる」
「…だが、強引ではない、ですよね、結果」
「意気地無しとも言える。そして俺はお前が童貞であると確信した、論文出すかな」
冗談じみて進んできたのは幸いなのか、取り敢えず葛西はそう捉えたようだ。まぁ、葛西にも喜多にも関係がないし、本人たちもそれが最善の気遣いなのかもしれないが、
「けど変われなさそうだね、それじゃ、一生。男なら踏み込まなきゃしょーもない」
葛西は少しだけ優しいようだった。
「…いつかは、」
「いつかっていつなんだ。まぁ、いいんじゃん?互いにガキでもない、次にいけばいいんだけど、面倒なのがお前だよね。結局「俺がいなけりゃ真冬は大変だ」。こんなのそれこそオナってやがる」
「生理現象だ」
「だが辛いと言ってたよな、お前。不完全燃焼?俺なら耐えられない何故なら童貞じゃないから!」
「やらないよ真冬は」
「あっそ。頑張れば?」
こうも優男(予想の域を出ないが多分、確かノーベル記者会見で顔を見た気がする、いや、腹立って会見自体、見ていないような気もする)に言われてしまっては立つ瀬もない。
「うぅぅ」と南沢が唸る最中、葛西は「よーじ済んだから帰るわ」とあっさり研究室を出て行ってしまう。
「あ、待って鶫ちゃんタバコ、僕も行く!」と立ち上がった喜多は「でも、」と南沢に言い残した。
「僕は少し南沢さんの気持ちもわかりますよ。正直真冬ちゃん寄りだけどね」
「…バイセクシャルだからですか」
「あーね。多分違います。というか違います。じゃ、タバコ吸ってきますんで」
喜多まで研究室を去ってしまった。
「…わかってるっちゅーに…ったく、」
誰ともなく無償に叫びたくなり、堪えた結果の独り言だった。
もうどんな顔であの血中濃度を眺めようか、溜め息が出るようだった。
また父も、そしたら気が晴れたのか結構一気に偉くなってしまったんだ。宗教はしばらく継続、俺も兄もその環境下で育ってしまったわけで」
「だから童貞なの南沢さん」
「ちなみに俺が高校くらいには脱教し洗脳も解け気味だ。俺は恐らくマザコン体質だろうから端から女性が不浄だとは思っていなかった。むしろ、覚えてもいない母に会ってみたかった」
「で?」
「気長に気長に」と喜多は葛西をなだめる。結局童貞かどうかうやむやだが正直喜多も葛西も知りたいわけではない。
「兄は相当重症だった。小学校で飼育委員をやってウサギを殺すくらいには重症だった」
「いや、いい加減真冬出てきてもよくないか」
「気長に」が再び発動された。見えるようで見えないのだ。
「…真冬は…兄が面倒を見ていた。元々真冬の両親と父は仲が良かったらしい。それこそ、亡くなってから引き取るくらいに、だがここで宗教発動だ。父はそれに悩んだから、そこそこ育った、ちなみに俺は兄と6歳、真冬は干支かぶりで兄と離れているんだが、兄に真冬の面倒を任せた。
真冬を引き取ったが俺達は墓は一緒じゃない、つまりは養子縁組は組んでいないんだが、確か…4?5?歳辺りで家に住んでいたと思う。
兄は学者になるのは決まっている年齢だし、何より性欲真っ盛りだった」
「漸く掴めてきた」
「兄はほぼ、真冬を閉じ込めて育てていた」
あぁ、南沢はあまり雨川と接点がない、なるほどよかったそこまで変態じゃなくてと二人は思った。
「あまり、会ったことはなかったが、まぁ、同じ屋根の下にいれば知っている間柄だ。ちなみに真冬という名前は兄がつけた。12歳の発想は簡単で自分と真逆の名前なんだそうだ。正直それでOKした真冬の両親には同意が出来ないが俺は不本意にも真冬の名前は好き」
「次いこうぜ」
「で、うんまぁ、家族としては違和感がある俺としては近親相姦的な感じではなく、」
「今更否定は焦れったいんで、南沢さん次」
「うん。結果兄がしてきたことを、それでも俺はしばらく知らなかったし、兄は真冬をレイプしたんだ」
「は?」
「突然?」
「いや突然かは知らない、何せ兄は真冬を男の子として育てたしつまり俺よりは真冬に対して家族感もあっただろうし何よりロリコンだ」
そこまで話して南沢は漸く落ち着いたらしい。二人としては「何で!?」もあるがすぐに行き着く、「南沢真夏、天才で変態だ」と。
だが…。
「…南沢さんのお兄さんは何か…」
「そうだな、気がどこかで狂ってしまった、それが優しい解釈なんだろうけど…。
兄は、知的好奇心が勝ったのかはわからないが結局真冬を失敗だと、」
当たり前ながら、南沢も雨川も受け入れられるものではなかっただろう。
「…でも、真冬は」
「…それぞまさしく、PTSDだとか…そんなものだね。結果兄の…暴力だとか、所々を、たぶん健忘してる」
「…なるほどねぇ」
「漸く二人の気持ちが掴めたね…長かったなぁ。
雨川くんにとってはお兄さんは、大切な家族のまま…なのか、最早一種の振興か…」
「そんなところかもしれませんね」
「うーん…」
だが聞いてみればよりモヤモヤする。きっとそうなんだろうと南沢は、
「けどだから、一緒にいられるし俺はそんな真冬を見てきている。堪らないと思うのは、俺もわりかし…兄の分類だと思ってる」
「…だが、強引ではない、ですよね、結果」
「意気地無しとも言える。そして俺はお前が童貞であると確信した、論文出すかな」
冗談じみて進んできたのは幸いなのか、取り敢えず葛西はそう捉えたようだ。まぁ、葛西にも喜多にも関係がないし、本人たちもそれが最善の気遣いなのかもしれないが、
「けど変われなさそうだね、それじゃ、一生。男なら踏み込まなきゃしょーもない」
葛西は少しだけ優しいようだった。
「…いつかは、」
「いつかっていつなんだ。まぁ、いいんじゃん?互いにガキでもない、次にいけばいいんだけど、面倒なのがお前だよね。結局「俺がいなけりゃ真冬は大変だ」。こんなのそれこそオナってやがる」
「生理現象だ」
「だが辛いと言ってたよな、お前。不完全燃焼?俺なら耐えられない何故なら童貞じゃないから!」
「やらないよ真冬は」
「あっそ。頑張れば?」
こうも優男(予想の域を出ないが多分、確かノーベル記者会見で顔を見た気がする、いや、腹立って会見自体、見ていないような気もする)に言われてしまっては立つ瀬もない。
「うぅぅ」と南沢が唸る最中、葛西は「よーじ済んだから帰るわ」とあっさり研究室を出て行ってしまう。
「あ、待って鶫ちゃんタバコ、僕も行く!」と立ち上がった喜多は「でも、」と南沢に言い残した。
「僕は少し南沢さんの気持ちもわかりますよ。正直真冬ちゃん寄りだけどね」
「…バイセクシャルだからですか」
「あーね。多分違います。というか違います。じゃ、タバコ吸ってきますんで」
喜多まで研究室を去ってしまった。
「…わかってるっちゅーに…ったく、」
誰ともなく無償に叫びたくなり、堪えた結果の独り言だった。
もうどんな顔であの血中濃度を眺めようか、溜め息が出るようだった。
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