読書感想文

二色燕𠀋

文字の大きさ
5 / 53
三浦しをん『月魚』

感想-2

しおりを挟む
内容としては
劣等感に苛まれますね。
登場人物って、そうなんだ、劣等感。みたいな。

言い知れない二人の劣等、葛藤があって、こう、まぁ自由に読むのが一番いいんですが個人的には、これをBLと持っていきたくない関係性なんですよね。

お互いに凄く劣等感があり、もどかしさがある。けれど言ったら終わってしまうんじゃないか、とか、
真志喜の成長、というかなんというか。
失踪した、つまりは自分を捨てた父親と

「もう一つ聞かせてください。一度でもいいんです。おじいさんと私があなたを待っているのではないか、と考えたことはなかったんですか?」
「なかったな」
 強がりでもなく、『黄塵庵』はあっさりと言った。真志喜はやるせない笑みを浮かべた。瀬名垣が何か言おうとするのを振り切って、真志喜は自分にとどめを刺そうとする。

このやり取りに「うわっ、」となりました。これぞ劣等。人の機密さ。美しくはない、ただのセンチメンタルかもしれないが重みがある。重みをはっきり書いてくれた瞬間。
結構この小説、はぐらかし感で、ふわっとしているのが多いんですが、良くも悪くも女性作家らしさと、男性らしさがある。(三浦さんは女性です)人物同様、非常に中性的だなと、私は凄く好きで尊敬する一冊なんすよ!(大切なことなのでわりと言うことにする)

いやうん。
多分この人、この作品がなかったらあたしゃぁいまこんな作品は書いてないよ(笑)

この作品は隠喩、比喩、
いわゆるメタファーもわりと盛り込んでありまして、うん、全部を総括して不明瞭なタイトル「月魚」これセンスあるよなぁと感嘆なんです。

多分それほど、まぁ文学賞を取ったわけでもないし、読む人には物足りなさ、あとは、「まぁ取れないか」と思うかもしれない。設定も「ありか?」があるかもしれない。

何が好きかって、世界観とか陳腐な物ではなく、うん、三浦しをんが好きなんだ、こんな感覚ですね。原点みたいで、なんだろ、なんか好き。青春とは少し年齢が上の青春、かしら。

はい、抜粋でさようなら。感想は以上ですね。

角川文庫書き下ろし「名前のないもの」p225~226

 みすずが、「ねえ、見て」と呼ぶ声がした。
「月が出てる!」
 見上げると、空には白い真円が浮いていた。
 さざめきと熱気、食べ物のにおい、夜のはじまりに溶けていく笛の音。そして、それらの中に等しく身を預けている、近しいひとたち。
 名づけられない大切なものが、そこにはたしかにあった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

熟女教師に何度も迫られて…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
二度と味わえない体験をした実話中心のショート・ショート集です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...