読書感想文

二色燕𠀋

文字の大きさ
13 / 53
長野まゆみ『あめふらし』

感想-2

しおりを挟む
あめふらし
実態をほわっとさせていますが、最後あたりに出てきます、魂を捕まえておくもの、ですね。

よろづ春夏冬中と比べれば断然、文体が近代的。だからこそ「この」だとか「破璃がらす玉」だの、ルビ振ってるんですが、ある意味「長野造語」が生き生き、浮上してくる。

また、空蝉、雨宿、以外はすべて、「」がない。だからこそ「あぁ、主人公はあめふらしである橘河なんだ」と。
敢えて主人公目線で書かない三人称なんすね、これ。一貫して橘河の謎が解かれず、しかし長野文体、迷宮入り、世界観入りが果たせますね。

しかし大体は夢オチのような気分で一編一編帰ってきます(笑)ここが長野文体の良さを感じます。私夢オチって案外嫌いだけど、「ははぁ、迷宮」がついてくるのでおもろいところ。

雰囲気小説っちゃぁ、雰囲気小説です(笑)

しかしこの辺から長野さん、露骨BLっすね(笑)

兄が好きなものは、男と猫と爬虫類、ただし蛙はのぞく。

て…(笑)

しかしね、妖艶でありながら性描写がない。これも迷宮する理由のひとつです。ふわっ、気付いたら奥さん妊娠してる、みたいな。幻想、確かにぴったりな言葉です。

なんだろ、隠喩比喩を用いながら時折ダイレクト、飾り気なく台詞(「」ないけど)が来ることがあり、最早ホラーの近さもありますね。人物が浮いていながら台詞に実感がある。台詞だけはっきり降ってくる感覚で、


今日はあなたの命日なの。船が沈んだ日だから、そういうことになってるの。……魂よせをする人に、あなたを呼んでくれってたのんだのよ。高くついたけど、こうして逢えたからかまわない。今まで、どこにいらしたの。お骨は還って来なかったの。あなたは船とともに深い海の底に沈んでしまった。亡骸は今もあそこにあるのかしら。


ここなんすけど(何ページかメモるの忘れた。6編目「わたつみ」より)

そして作品キーワードは「水」「蛇」「線香」ですね。

昔話を読んでいる感覚、やはり児童文学を書いていただけあって、この表現はうまい。漫画で言うCLAMPの「×××HOLiC」みたいな感覚です、はい。

妖怪話とかね、読める方(好まなくても)は好きかもしれないですね。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

熟女教師に何度も迫られて…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
二度と味わえない体験をした実話中心のショート・ショート集です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...