読書感想文

二色燕𠀋

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へルマン・ヘッセ『デミアン』

感想-2

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まさしく、シンクレールとデミアンはカインとアベルのように、対照的な少年です。

シンクレールは不良少年、フランツ・クローマーに、ひょんな嘘を吐いて(これもシンクレールのなんかくだらん意地)金をせびられちまう。クローマーは貧乏なんすけど、シンクレールはそこそこ金持ち。お坊っちゃん。

それをデミアンが助けてくれる。二人はそうして出会うわけです。

恩義もあるがまずシンクレールはデミアンに衝撃を受けるわけです。

というのも、ラテン語学校に行っている。キリスト教も大きく関わる。

しかしデミアンは言っちゃうわけです。「カインは表彰されるべきだ!」と。カインは都合が悪い人々により悪者と言われているが、そんなものは違うんだと。

そこから「なんて斬新なのこいつ!」と心酔していくわけですね。

お坊っちゃんシンクレールはちょっと鈍感と言ったのは、私の印象では「困ったことがないヤツ特有の世間知らずさだなぁ」と思ったわけです。大体はもうデミアン頼りだが、デミアンはシンクレールに同意も否定もしない。寧ろこうして逆説ばかり唱えてうん、これ否定してるんだろうな。けどデミアンにはさぁ、そのつもりがあったのだろうか。多分デミアンは案外シンクレールを嫌いだと思う。

キスシーン、最後あたりなんですけど「大変世界大戦が!」とか言っていた夜、夢にデミアンが出て来てちゅーする。これはデミアンの母上の言いつけ、「君が逆境に立ったらキスをしてあげなさい!」と。世界大戦で二人とも兵士になるんですけど、そこで終わります。そしてデミアンのママ、エヴァ夫人はシンクレールが好きだった女性(途中でシンクレールが気付く)なんすけど。

シンクレールがデミアンに惹かれた理由としては、「シンクレールはどこか片隅で自分に疑問を持っていて嫌いだった」があると思います。だから全部を肯定しないデミアンが斬新だった。

ここで議論になるのが「デミアンはシンクレールが作った人格ではないか」

確かにね、ふらっと現れるんですよデミアン。最後なんか夢だし。
クローマーに吐いたシンクレールの嘘、「悪いこと武勇伝」みたいなところも、なんかこう、優等生良い子ちゃんだった自分を変えたかった、ただ不良のクローマーに逆らえなかったわけではない、みたいな雰囲気はあるんですよね。
クローマーのことを「低能なアホだ」と言ったデミアンが斬新だった、これは納得というか。

対自分の葛藤、思春期。のわりにまぁひねくれているし、実際少年が読んだら何を思うか、これは重いかな、けどだからふわっとエンドなのかもしれない。精神崩壊じみたヘッセはラストを書けなかったのかもしれないなと、思います。

詩人を目指したヘッセ、表現は綺麗です。長くなっちゃったので一ヶ所、好きな部分を引用してこの回は終わります。

p107「ベアトリーチェ」より


「シンクレール、ぼくにはわからないだろうなんて心配しなくてもいいよ。夕方こんなふうに秋の思いをいだいて霧の中を歩いていると、それだけでも、なにかあるよ。詩でも作りたくなるものだ。ぼくだって知ってるよ。むろん、死にゆく自然とか、それに比すべき、失われた青春とか、についてさ。ハインリッヒ・ハイネを見たまえ!」
「ぼくはそんなにセンチメンタルじゃないよ」と、私はたてついた。
「じゃ、どうでもいいことにしよう。だが、こういう天気のときには一杯のブドウ酒かなんかのある、静かなところに行ったほうがよさそうだね。ちょっとつきあわないかい? ぼくはちょうどひとりぼっちなんだ──いやかい? きみが模範少年になろうっていうんなら、ぼくは誘惑者をつとめようとは思わないよ」
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