読書感想文

二色燕𠀋

文字の大きさ
34 / 53
三浦しをん『風が強く吹いている』

感想-2

しおりを挟む
三浦さん、箱根駅伝いつもビリっけつ大学の、「上武大学」に取材しまくったみたいです。

表紙のあの黒いユニホーム、また映画で使われたユニホームも上武大学のものだそうです。大体この大学、テレビに写りません。
けど、予選会は突破してくる大学ですね。



まず、

「主人公、コンビニでパンを万引きする」

シーンから始まる衝撃ですね。
→チャリンコで大学生がそれを追いかけてくる→元陸上長距離主人公(蔵原かける)、チャリンコくらい何のその、降りきろうと走り続ける→大学生(清瀬灰二)全然疲れない→「走るの好きか?」とハイジに聞かれ「んん?」変な人かもしれない→走、ギブアップ

から始まります。

ハイジは本気で変な人で、ギブアップした走の足を「ちょっといいかな」と触る(←このシーンは原作にしかない)
もーいやこの人ゲイかもしれないなー→お前、ウチの寮に来いよとごり押しされ、連れていかれたボロ屋「竹青荘(通称:アオタケ)」に強引に住まされることになる。

しかーしアオタケは実は「陸上部強化合宿所」だった。

実は走には過去に陸上でトラウマがあり、わざわざ陸上部のない、地元から離れたところに入学したという経緯があった。

というか住んでいた住人も陸上部強化合宿所と知らないまま、ハイジに誘われ住んでいた(後にハイジが何となく、実は住ませる住人を選んで誘っていたということがわかる。陸上に向いてる性格のやつばかりを選んでいた)。

で、ハイジがいうわけです。走で丁度10人だから箱根駅伝に出よう!と。

皆「はぁ?」となるけどハイジの熱意に、結果、全員箱根駅伝になる出ることになる。

箱根駅伝って相当色々出るまでにノルマがあるんですけど、ハイジのコーチ力や戦力で皆いつでもギリギリで達成していくんですが、何故そこまでハイジが駅伝に出たがっていたのか、それも徐々に明らかになっていくわけです。

いや、最後マジ泣きする

ホントのホントネタバレすると↓




ハイジ、昔からの無理がたたり、これ監督がパパだったんですけど、箱根駅伝なんて走ったら二度と走れなくなる、とドクターストップがかかっていたんですよね。
でも、どうしても走りたいと最後、ゴールの第10区、アンカーを勤めるんですけど。

どうせやるなら来年に襷を繋ぎたい、シードをとりたい。それには弱小部、初出場だと「インカレポイント」が全くない、最低でも見た目の順位で5位くらいをとらなければならない。

本番当日に繰り上げスタートになったりと、ここ凄くドラマがあって。いや純粋に泣けます。走るって一人だけど一人じゃないんだと。

走のトラウマもまぁ色々あるんですけどここは書いたらもったいない。
さあ結果はどうなったか…。

やっぱ余韻がいいなって思ったのは、でもここでシードを取っても、来年部員がいるのか、っていうのも頭によぎるんですよね。
結局そこは書かれてないんですよね。


冒頭で出した「頂点は、見えたかい?」これ最後なんですけど、ここにこの十人の全部がつまってる。あ、皆憎めないキャラクターですよ。

走が迷ったシーンの

「長距離選手に対する、一番の褒め言葉がなにかわかるか」
「速い、ですか?」
「いいや。『強い』だよ」

こことかぁ、

箱根駅伝折り返し当日の朝、ハイジに「棄権してくださいよ」という走にハイジが返す「俺は知りたいんだ。走るってどういうことなのか」これもちょっと二色的涙腺ポイント。

5区、棄権せず、ただもう死にそうに走りきった神童くんの話とか、地味に6区、山下りの「お前どんな景色をみてんだろうな」ってユキ先輩とか。そう、全体的に心情描写の切り方、入れ方が巧妙ですね。

というか、全員の葛藤にもう…250ページ、ちょっと専門的な話も入るのですらすらっとはいかないんですが、読めると思います。



いや長々これで終わります。これはおすすめです。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

熟女教師に何度も迫られて…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
二度と味わえない体験をした実話中心のショート・ショート集です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...