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第5話
瀬戸の部屋で寝落ちた明日夏は再び目を覚ましていた。今度は瀬戸が同じベッドで寝ていると言う状況で。
明日夏は少し身を強ばらせた。首輪を確かめ再度項を確かめる。特に噛まれた跡もなかった。しかし、瀬戸に発情期中に抱かれたことによって、発情が治まったのは事実だ。
「…。」
明日夏はじーっと瀬戸の顔を見た。黙っていれば整っているその顔に少し口を緩める。
「…何見てんだよ?」
すると起きていたのか、瀬戸が不機嫌そうに明日夏に言ってきた。明日夏は割と瀬戸の態度に慣た様で、思春期の子供みたいだなと心の底で馬鹿にした。
「いや。それより無理やり抱いた事についての謝罪は?」
明日夏が瀬戸を責め立てると、瀬戸は信じられない事を言い始めた。
「は?謝罪…?大人しく抱かれたのはお前だろ?」
最低な発言を明日夏は慣れたように聞き流した。元からしっかり謝ってくるとは思っていなかったのだろう。
やはり精神的にも瀬戸は幼稚だった。アルファとはベータやオメガに勝る能力を持つ者が多いと言われている。
そんな性質を持つにも関わらず、こんなにも幼稚な考えが出来る。本当に素晴らしい。
「…もう。いいよ。鍵をかけていなかった俺にも落ち度はある。だからもうこれ以上は俺に関わらないでくれ。お前もヤれてラッキー位の感覚だろ?」
「ふん。そうだな。分かってるじゃねぇか。」
明日夏は自分が言っておいて凄く悔しくなった。明日夏の処女はこの最低な男に奪われた。それに、最中の記憶は愚か、ヒート状態に陥ってからの記憶が無い。
ただ今感じるのは悔しさと虚しさだけだった。アルファの中でもこの落ちこぼれの様な男に抱かれる事がこんなにも、虚無感に包まれる事だったとは。
瀬戸は明日夏が急に黙りこんだ事を疑問に思ったようで、明日夏の顔を覗き込んできた。
「なにしけた面してんだよ。処女を俺に捧げた事がそんなに、嫌だったのかよ…。」
そう明日夏に優しく問いかけた。
瀬戸の浮かべる瞳には何処か悲しげな感情があるようで明日夏は息を飲んだ。
(いや。待てよ。なんで処女だと分かったんだ…?)
そんな疑問を持ちながら明日夏は瀬戸を見た。
「…もう。いいよ。これからは関わることもドラマ関係以外では特に無いだろ?」
そう話をそらすと瀬戸はまたいつもの意地の悪い顔を浮かべた。
「それは明日現場に行って確かめるといい。」
言いながら瀬戸は服をクローゼットから出し始めた。
数着選ぶと明日夏にその服を投げた。
明日夏はそれを受け取ったが、訳が分からず瀬戸を見た。
「それ着て俺の用事に付き合え。」
すると自分の服を選び着替え始めた。
仕方なく明日夏は渡された服を着ることにした。
◆◇◆◇◆
瀬戸が渡してきた服は白色のシャツに、赤いラインの入ったネイビーカラーのベスト。下は薄い茶色のタックパンツだった。
全体的にサイズが大きいのは瀬戸の服だからだろう。しかし、明日夏好みのファションであったり、明日夏にあった柔らかい印象の服装に少し瀬戸なりの気遣いを感じた。
初めが最低だった為に、こういう事をされると人一倍優しく感じてしまう。
着替え終わった明日夏が瀬戸の元へ行くと、着替えた明日夏に「似合ってる。」と一言言って手を引かれた。
そのまま手を引かれ外に出ると車に連れ込まれかけた。
「っ…!」
明日夏は押し倒された事を思い出し、瀬戸の握る手を振りほどいた。
すると、瀬戸は察したのか頭を掻きむしった後に「ここでの事は悪いと思ってる。でも今日はそんなんじゃねーから。少し、付き合ってくれ。」と言った。
さっきとは違いすぎるその変化に明日夏はこっちが瀬戸の本心なのでは無いかと思った。さっきと同じ目をしている。寂しそうな目。
仕方なく明日夏は助っ席に乗り込みシートベルトを締めた。
それから瀬戸の運転で少し遠いアンティークショップに入店した。
「いらっしゃいませ。ごゆっくりご覧下さいませ。」
瀬戸と2人マスクをして中に入ってみると、家具屋でもあり生活に必要な物が沢山商品棚に並べられていた。
瀬戸について行くと、大きなカートを引いてきた。何をそんなに買うのか訳が分からず、明日夏は少し距離を開けて瀬戸に後ろからついて行く。
すると、ベストや寝具などが売られているコーナーで瀬戸が立ち止まった。
そして、シックな黒の枕カバーとベッドシーツをカートに入れた。そして組み立て式のベッドとマットレスもカートにポイポイ入れていった。
他にも毛布等の寝具をカートに入れていく。
そして寝具コーナーでの厳選が終わると次は食器のコーナーに向かった。
マグカップや皿など瀬戸にはイメージの沸かない可愛らしい物を入れていった。
暫くして店中を回って満足したのか瀬戸は会計に向かった。明日夏は結局訳が分からず、瀬戸の後を金魚の糞の様に着いて回っただけだった。
◆◇◆◇◆
帰りの車の中、瀬戸は明日夏の家へ向かうと言い出した。明日夏は嫌だと言ったが、結局運転しているのは瀬戸の為無駄な抵抗だった。
瀬戸は数日分の服の着替えを持ってこいと命令し、明日夏を家に戻した。明日夏は凄く凄ーく嫌だったが、仕方なく数日分の服を用意して車に再び乗り込んだ。
そしてずっと気になっていた事を聞いた。
「所で、どうして数日分の服なんているのか…?」
すると瀬戸は鼻で笑って「そんなのマネージャーが知ってる。」と何も教えてくれなかった。要は遠回しに抱かれた事をバラされたくなけりゃ、言うことを聞けと言っているのだろう。
明日夏はいつ開放されるのか分からないそんな面倒くささを抱え、台本を読み始めた。次回は主人公の両親を説得する回で明日夏の出番はそれほど無い。
少しつまらないと思いながら台本を流し見た。
意味の分からない瀬戸の行動は翌日、マネージャーによって全て分かったそうだ。その時の明日夏はどんな反応をするのだろう。
明日夏は少し身を強ばらせた。首輪を確かめ再度項を確かめる。特に噛まれた跡もなかった。しかし、瀬戸に発情期中に抱かれたことによって、発情が治まったのは事実だ。
「…。」
明日夏はじーっと瀬戸の顔を見た。黙っていれば整っているその顔に少し口を緩める。
「…何見てんだよ?」
すると起きていたのか、瀬戸が不機嫌そうに明日夏に言ってきた。明日夏は割と瀬戸の態度に慣た様で、思春期の子供みたいだなと心の底で馬鹿にした。
「いや。それより無理やり抱いた事についての謝罪は?」
明日夏が瀬戸を責め立てると、瀬戸は信じられない事を言い始めた。
「は?謝罪…?大人しく抱かれたのはお前だろ?」
最低な発言を明日夏は慣れたように聞き流した。元からしっかり謝ってくるとは思っていなかったのだろう。
やはり精神的にも瀬戸は幼稚だった。アルファとはベータやオメガに勝る能力を持つ者が多いと言われている。
そんな性質を持つにも関わらず、こんなにも幼稚な考えが出来る。本当に素晴らしい。
「…もう。いいよ。鍵をかけていなかった俺にも落ち度はある。だからもうこれ以上は俺に関わらないでくれ。お前もヤれてラッキー位の感覚だろ?」
「ふん。そうだな。分かってるじゃねぇか。」
明日夏は自分が言っておいて凄く悔しくなった。明日夏の処女はこの最低な男に奪われた。それに、最中の記憶は愚か、ヒート状態に陥ってからの記憶が無い。
ただ今感じるのは悔しさと虚しさだけだった。アルファの中でもこの落ちこぼれの様な男に抱かれる事がこんなにも、虚無感に包まれる事だったとは。
瀬戸は明日夏が急に黙りこんだ事を疑問に思ったようで、明日夏の顔を覗き込んできた。
「なにしけた面してんだよ。処女を俺に捧げた事がそんなに、嫌だったのかよ…。」
そう明日夏に優しく問いかけた。
瀬戸の浮かべる瞳には何処か悲しげな感情があるようで明日夏は息を飲んだ。
(いや。待てよ。なんで処女だと分かったんだ…?)
そんな疑問を持ちながら明日夏は瀬戸を見た。
「…もう。いいよ。これからは関わることもドラマ関係以外では特に無いだろ?」
そう話をそらすと瀬戸はまたいつもの意地の悪い顔を浮かべた。
「それは明日現場に行って確かめるといい。」
言いながら瀬戸は服をクローゼットから出し始めた。
数着選ぶと明日夏にその服を投げた。
明日夏はそれを受け取ったが、訳が分からず瀬戸を見た。
「それ着て俺の用事に付き合え。」
すると自分の服を選び着替え始めた。
仕方なく明日夏は渡された服を着ることにした。
◆◇◆◇◆
瀬戸が渡してきた服は白色のシャツに、赤いラインの入ったネイビーカラーのベスト。下は薄い茶色のタックパンツだった。
全体的にサイズが大きいのは瀬戸の服だからだろう。しかし、明日夏好みのファションであったり、明日夏にあった柔らかい印象の服装に少し瀬戸なりの気遣いを感じた。
初めが最低だった為に、こういう事をされると人一倍優しく感じてしまう。
着替え終わった明日夏が瀬戸の元へ行くと、着替えた明日夏に「似合ってる。」と一言言って手を引かれた。
そのまま手を引かれ外に出ると車に連れ込まれかけた。
「っ…!」
明日夏は押し倒された事を思い出し、瀬戸の握る手を振りほどいた。
すると、瀬戸は察したのか頭を掻きむしった後に「ここでの事は悪いと思ってる。でも今日はそんなんじゃねーから。少し、付き合ってくれ。」と言った。
さっきとは違いすぎるその変化に明日夏はこっちが瀬戸の本心なのでは無いかと思った。さっきと同じ目をしている。寂しそうな目。
仕方なく明日夏は助っ席に乗り込みシートベルトを締めた。
それから瀬戸の運転で少し遠いアンティークショップに入店した。
「いらっしゃいませ。ごゆっくりご覧下さいませ。」
瀬戸と2人マスクをして中に入ってみると、家具屋でもあり生活に必要な物が沢山商品棚に並べられていた。
瀬戸について行くと、大きなカートを引いてきた。何をそんなに買うのか訳が分からず、明日夏は少し距離を開けて瀬戸に後ろからついて行く。
すると、ベストや寝具などが売られているコーナーで瀬戸が立ち止まった。
そして、シックな黒の枕カバーとベッドシーツをカートに入れた。そして組み立て式のベッドとマットレスもカートにポイポイ入れていった。
他にも毛布等の寝具をカートに入れていく。
そして寝具コーナーでの厳選が終わると次は食器のコーナーに向かった。
マグカップや皿など瀬戸にはイメージの沸かない可愛らしい物を入れていった。
暫くして店中を回って満足したのか瀬戸は会計に向かった。明日夏は結局訳が分からず、瀬戸の後を金魚の糞の様に着いて回っただけだった。
◆◇◆◇◆
帰りの車の中、瀬戸は明日夏の家へ向かうと言い出した。明日夏は嫌だと言ったが、結局運転しているのは瀬戸の為無駄な抵抗だった。
瀬戸は数日分の服の着替えを持ってこいと命令し、明日夏を家に戻した。明日夏は凄く凄ーく嫌だったが、仕方なく数日分の服を用意して車に再び乗り込んだ。
そしてずっと気になっていた事を聞いた。
「所で、どうして数日分の服なんているのか…?」
すると瀬戸は鼻で笑って「そんなのマネージャーが知ってる。」と何も教えてくれなかった。要は遠回しに抱かれた事をバラされたくなけりゃ、言うことを聞けと言っているのだろう。
明日夏はいつ開放されるのか分からないそんな面倒くささを抱え、台本を読み始めた。次回は主人公の両親を説得する回で明日夏の出番はそれほど無い。
少しつまらないと思いながら台本を流し見た。
意味の分からない瀬戸の行動は翌日、マネージャーによって全て分かったそうだ。その時の明日夏はどんな反応をするのだろう。
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