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第26話
泣きながらごめんと謝ってくる涼実夏に明日夏は「涼実夏のせいじゃない」といった。
それでも止まらないらしい涙に明日夏は暫く付き合うことにした。
どれくらいたったのだろうか…。
泣いていた涼実夏も落ち着いたらしく「話を聞いてくれてありがとう」と言って電話を切った。
ツーツーっと虚しくなる程のビジートーンがやけに耳に響く。気付けば一時間程話し込んでいたらしい、明日夏の事を待っていた瀬戸が迎えに来ていた。
「……大丈夫か?」
「うん。行こうか。」
恐らく話の内容を聞いていたのだろう瀬戸は明日夏に何も聞いては来なかった。
◆◇◆◇◆
「んー。オメガって、どいつもこいつもビクビクしてんのな?」
「えーっ。それは違うでしょ?」
長いようで短い舞台挨拶が終わり、明日夏と瀬戸は瀬戸の勝ち取ったオーディションの作品の本読みをしていた。
そして本読みをしていて主役を演じる瀬戸は、主人公のビグビクとした態度に、初めて出会った頃の明日夏を重ねた様だった。
「きっと、この主人公は安心する物が無いんだよ。それは物でも人でも。だからこんなにビグビク自分に自信がないんだと思う。」
「そんなもんか…?」
「もー。じゃあなんだって言うの?」
明日夏が自分の考えを出したがそれは瀬戸の共感は得られなかった。代わりに瀬戸の考えを聞こうと怒ってみても、瀬戸は「別に…ない。」と言って逃げてしまった。
そんなこんなしていると明日夏の携帯が鳴り、その相手は涼実夏だった。
「あ、もしもし兄貴?」
「ん~?どうした?」
明日夏はベランダに移動しながら涼実夏の通話に対応した。夜風が明日夏の体を通り過ぎていく。
「俺さ今、母さんの介護とかしてるじゃん?」
「ん?ああ、そうだね」
少し緊張しているのか涼実夏の声は震えていた。でも明日夏はその事に気付かないふりして、話の続きを待つ。
「今日、それ辞めてきた。」
「……。」
「あ、ちゃんと親父には言ってるし、母さんにも家出ることは伝えたよ。…すんごい反対されたけど。
だから俺今日から一人暮らしするから。もう、母さんに甘えたりしない。俺は母親離れをします。」
涼実夏は明日夏に宣言するように言いのけた。
涼実夏はつらい時に唯一の見方であった母親から自立するのだ。それは誰の影響か…。
「そっか。そっか~。」
明日夏は気が抜けその場にしゃがみ込んだ。
「え!?何、兄貴が精神削られてんの?」
「だって…。涼実夏切羽詰まった声で話切り出すから。」
「あははっ。ごめんごめん!」
そう言いながら全く反省してなさそうに何度も謝ってきた。
「はー。ねぇ、兄貴…。」
「んー?」
涼実夏はさっきとはまた違った雰囲気で話し始めた。
「俺たち、これで本当に良かったのかな…。」
そう問いかけてくる声は心の拠り所を失った涼実夏の精一杯の強がりに感じた。
「……いいんだよ。俺はいつまでもあの人を恨んでなんかいられない。それに、涼実夏もいつまででもあの人に依存なんかできないだろ…?」
「そうだね…。」
俺たちは互いを埋める様にその通話を中々切ろうとはしなかった。
切ってしまったら互いの半身が消えてしまうような気がして切る事が出来なかった。
それでも涼実夏の再出発の出鼻をくじかないようにしようと決め、明日夏は名残惜しさの残るその通話を「じゃあ。また。」と言って切ったのだった。
話終わったのを見て瀬戸が明日夏と同じくベランダに来た。
明日夏の背後から抱きしめるように外の夜景を見る。この体制じゃあ瀬戸の顔は見えやしない。
「なんだった?」
「んー。まぁ涼実夏が親離れしたってよ。」
「そっか…やっと自分の意思で自由になったんだな。」
その瀬戸の言葉に明日夏は目を見開いた。
「そうだ。涼実夏は自分の意思で自由になったんだ。」とそう確信出来た。
明日夏の身体を抱き締める瀬戸の腕は温かく、夜風に当たり過ぎた明日夏を温めるのには充分だった。
それでも止まらないらしい涙に明日夏は暫く付き合うことにした。
どれくらいたったのだろうか…。
泣いていた涼実夏も落ち着いたらしく「話を聞いてくれてありがとう」と言って電話を切った。
ツーツーっと虚しくなる程のビジートーンがやけに耳に響く。気付けば一時間程話し込んでいたらしい、明日夏の事を待っていた瀬戸が迎えに来ていた。
「……大丈夫か?」
「うん。行こうか。」
恐らく話の内容を聞いていたのだろう瀬戸は明日夏に何も聞いては来なかった。
◆◇◆◇◆
「んー。オメガって、どいつもこいつもビクビクしてんのな?」
「えーっ。それは違うでしょ?」
長いようで短い舞台挨拶が終わり、明日夏と瀬戸は瀬戸の勝ち取ったオーディションの作品の本読みをしていた。
そして本読みをしていて主役を演じる瀬戸は、主人公のビグビクとした態度に、初めて出会った頃の明日夏を重ねた様だった。
「きっと、この主人公は安心する物が無いんだよ。それは物でも人でも。だからこんなにビグビク自分に自信がないんだと思う。」
「そんなもんか…?」
「もー。じゃあなんだって言うの?」
明日夏が自分の考えを出したがそれは瀬戸の共感は得られなかった。代わりに瀬戸の考えを聞こうと怒ってみても、瀬戸は「別に…ない。」と言って逃げてしまった。
そんなこんなしていると明日夏の携帯が鳴り、その相手は涼実夏だった。
「あ、もしもし兄貴?」
「ん~?どうした?」
明日夏はベランダに移動しながら涼実夏の通話に対応した。夜風が明日夏の体を通り過ぎていく。
「俺さ今、母さんの介護とかしてるじゃん?」
「ん?ああ、そうだね」
少し緊張しているのか涼実夏の声は震えていた。でも明日夏はその事に気付かないふりして、話の続きを待つ。
「今日、それ辞めてきた。」
「……。」
「あ、ちゃんと親父には言ってるし、母さんにも家出ることは伝えたよ。…すんごい反対されたけど。
だから俺今日から一人暮らしするから。もう、母さんに甘えたりしない。俺は母親離れをします。」
涼実夏は明日夏に宣言するように言いのけた。
涼実夏はつらい時に唯一の見方であった母親から自立するのだ。それは誰の影響か…。
「そっか。そっか~。」
明日夏は気が抜けその場にしゃがみ込んだ。
「え!?何、兄貴が精神削られてんの?」
「だって…。涼実夏切羽詰まった声で話切り出すから。」
「あははっ。ごめんごめん!」
そう言いながら全く反省してなさそうに何度も謝ってきた。
「はー。ねぇ、兄貴…。」
「んー?」
涼実夏はさっきとはまた違った雰囲気で話し始めた。
「俺たち、これで本当に良かったのかな…。」
そう問いかけてくる声は心の拠り所を失った涼実夏の精一杯の強がりに感じた。
「……いいんだよ。俺はいつまでもあの人を恨んでなんかいられない。それに、涼実夏もいつまででもあの人に依存なんかできないだろ…?」
「そうだね…。」
俺たちは互いを埋める様にその通話を中々切ろうとはしなかった。
切ってしまったら互いの半身が消えてしまうような気がして切る事が出来なかった。
それでも涼実夏の再出発の出鼻をくじかないようにしようと決め、明日夏は名残惜しさの残るその通話を「じゃあ。また。」と言って切ったのだった。
話終わったのを見て瀬戸が明日夏と同じくベランダに来た。
明日夏の背後から抱きしめるように外の夜景を見る。この体制じゃあ瀬戸の顔は見えやしない。
「なんだった?」
「んー。まぁ涼実夏が親離れしたってよ。」
「そっか…やっと自分の意思で自由になったんだな。」
その瀬戸の言葉に明日夏は目を見開いた。
「そうだ。涼実夏は自分の意思で自由になったんだ。」とそう確信出来た。
明日夏の身体を抱き締める瀬戸の腕は温かく、夜風に当たり過ぎた明日夏を温めるのには充分だった。
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