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第一部
第四章・人魚姫(その4)
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練習が一段落すると、潮音はふと息をついて腰を下ろした。
「疲れた…。でも小学校のころに流風姉ちゃんとバレエやってた頃のこと思い出して、なかなか楽しかったよ。…あのころは『男のくせにバレエなんかやって』とバカにされたこともあったけど…もうちょっとバレエ続けてりゃよかったかな」
「そんなの気にすることないのに。男のバレエダンサーだって大勢いるんだから」
「でも流風姉ちゃんはさっき『踊ってみたらスカッとする』と言ったよね。そう思えるようになるためには、やっぱりクタクタになるまで練習しなきゃいけないのかな」
「そんなこと言って悩んでるヒマがあるなら、その間に少しでも体を動かしてみることね。…私だってバレエをやってて、楽しいことばかりじゃなかったよ。うまく踊れなくて練習がつらいと思ったことだって、何度もあったからね。でもそれでもバレエを続けてきたのはどうしてだと思う?」
そこで流風は表情を曇らせた。
「私は潮音ちゃんも知っている通り、父が高齢になってから、三十歳近くも歳が離れたフィリピン出身の母との間にもうけた子どもなんだ。…父の周囲には、この再婚を快く思わない人だって少なくなかったと言うしね。私の母は金目当てで父と結婚したんだろうとまで言う人だっていたらしいし」
「そんなことないよ。だったらモニカさんは、流風姉ちゃんやオレたちにここまで優しくしてくれるはずがないじゃないか」
潮音は思わず声を荒げていた。しかしここで、流風は首を軽く振った。
「この前のお正月のときだって…」
そこで潮音は、正月のときの父親の態度を思い出して身をすくめた。
「…ごめん」
「…いいよ。雄一おじさんからすりゃ、小さいころに実のお母さんを亡くしているのに、その後でフィリピンから来た自分と歳が変らない人を新しいお母さんと呼べと言われるのも、まして自分の子どもと変らない歳の妹ができるのも、なかなか受け入れられる話じゃないだろうからね」
「そんなこと言って、あんな扱いされても耐えられるわけ? そんなの絶対おかしいよ」
「…それを言ったら、私の母など私なんかよりもずっとつらい思いをしてきただろうからね」
そこで潮音は、少し前に海辺で聞いた流風の言葉を今さらのように思い出していた。潮音はこの言葉が心の底に突き刺さるように感じていた。
「…そんな私にとって、バレエをやっていると、そんないやなことなど忘れられるような気がしたんだ。バレエがうまくなると先生もほめてくれるし、そうすることで両親だって笑顔になる、私はそう思ってた。…そればかりじゃないよ。私は一昨年、母の故郷のフィリピンにはじめて行ったんだ。そしてそこでさわやかな風に吹かれながら、鮮やかな日差しに照らされたヤシの木の林、そして青く澄んだ空や海を眺めていると、私の体の中にもこのフィリピンの血が流れてるんだと思って涙が止まらなかった。それに私の通っている布引女学院はボランティア活動にも力を入れていてね、そこで親と一緒に暮らせない子どもたちの暮らしている施設を訪問したり、体の不自由な人たちの話を聞いたりしていると、みんなが一生懸命生きているんだと気がついてね。そうしたら私の悩みなんて大したことないと思えるようになってきたんだ」
さらに流風は話を継いだ。
「バカみたいな話だと思わない? 人間なんて口を開けば自由自由と言うのに、どのような環境に生れてくるか、男に生れるか女に生れるかすら自由に選べないんだから。でも、私の両親は普通とは違っているかもしれないけれども、それでも私を生んで大切に育ててくれたこの世にたった二人の存在だし、私は自分の運命を受け入れる覚悟が、やっとできるようになってきたんだ」
そう言うときの流風の表情は、なにか達観しているかのように見えた。
「…流風姉ちゃんって強いんだね」
「潮音ちゃんだって十分強いと思うよ。いきなり男の子から女の子になっても、こうやってちゃんとやってくことができているんだから。…あの後、私の父…潮音ちゃんから見たらおじいちゃんだね…はずっと見てられないくらい落ち込んでたんだ。『オレがあいつに宝物庫の整理を手伝うように言わなければ、あんなことにはなってなかったのに』って。だから潮音ちゃんにはこれからどのような道に進むにしても、悔いのないような道をしっかり歩んでほしいの。それが父を慰める一番の方法じゃないかしら」
そこで潮音は、心の底にくすぶっていた思いを思い切って流風に打ち明けた。
「流風姉ちゃん…こないだ一緒に海に行ったときこう言ってたよね。『毎日暮していくこと、そして人と会って話すことが実はどれだけ大変か』って。流風姉ちゃんがそう思うようになったのは、やっぱりそうやって悩んでいたからなの」
流風は少しの間黙っていた後、潮音に少し待つように言って自室に戻った。そして流風は自室から一冊の文庫本を持って来た。その本は、太宰治の「人間失格」だった。
潮音が文庫本を手渡されて、「人間失格」という重々しい題名に戸惑っていると、流風が声をかけた。
「この本にはそういう、悩みや苦しみを抱えた人の心の中が描かれているよ。潮音ちゃんにはちょっと難しいかもしれないけど、いっぺん読んでみると私の言ったことの意味もわかるんじゃないかな」
潮音が流風の表情と文庫本を交互に見比べていると、モニカの声がした。
「流風、潮音ちゃん、お茶とケーキの用意ができたで。そろそろ練習上がったら」
そこで流風と潮音は、軽くストレッチをして練習を切り上げることにした。潮音が家を飛び出したまま着ていたラフな部屋着を手に取ろうとすると、流風は潮音の手を止めた。
「ちょっと待って。近所のコンビニに買い物に行くならともかく、女の子が外に出るならもっとちゃんとしたかっこしないとね」
そう言って流風は、潮音にどちらかというとボーイッシュな感じのシャツとショートパンツをすすめた。潮音がやれやれと思いながら下着を身に着けようとすると、また流風が声をかけてきた。
「潮音ちゃん…そろそろ下着もそんなスポーツブラに男の子のようなボクサーショーツじゃなくて、もうちょっと体に合ったのにしたら? いっぺんお店でちゃんとサイズはかってもらった方がいいんじゃない?」
その流風の言葉に赤面しながらも、潮音がなんとか着替えを済ませた。流風のすすめたボーイッシュな服は潮音のベリーショートヘアにも合っていたが、むしろそれが男の子とも一風違う不思議な感じをかもし出していた。
潮音が居間に顔を出すと、ちょうどモニカがお茶とケーキを用意して待っていた。
「こないしてみると、潮音ちゃんが昔流風と一緒にバレエやってた頃のこと思い出すわ。あのころの潮音ちゃんはほんまにかわいかったんやから。潮音ちゃんもせっかくやからもういっぺんバレエ始めてみたら? 森末先生なら潮音ちゃんのこと歓迎してくれると思うで」
モニカはいつも通り潮音に優しく接してくれたものの、潮音は流風の話を聞いた後ではモニカの好意を素直に受け取ることはできなかった。
「あの…モニカさんはなんでフィリピンから日本に来たの」
「決まっとるやろ。ダンナのこと好きになったからやん。あんなおじいちゃんと結婚するなんてとか言うとった人もおったけど、ダンナは年とってもかっこええし頭もええし、素敵な人やん」
潮音の心中などそ知らぬかのように、モニカはいつも通り陽気に振舞っていた。
「あの…自分もいつかフィリピンに行っていいかな」
「もちろん。フィリピンは景色もきれいやしのんびりしててええとこやで。潮音ちゃんもいつかお小遣い貯めて行ってみるとええよ」
そう言ってモニカは、フィリピンの海岸で撮影した流風の写真を潮音に見せた。写真の中では流風も屈託のない明るい表情をしているのを見て、潮音も何かしらほっとした気持ちになった。
しばらく潮音がモニカと話していると、窓の外にはいつしか暮色が漂い出していた。モニカや流風もそろそろ帰った方がいいのではないかと言ったので、潮音は流風の出してくれた紙袋に部屋着を畳んでしまい、それと共に流風から借りた「人間失格」の文庫本も入れると、その紙袋を手にしたまま流風の屋敷を後にした。
潮音は家に戻る途中も、心の中からはわだかまりが消えなかった。
――幼いころの潮音にとってモニカは、古い魔法の館に住んでいる魔法使いのように見えた。モニカは潮音が祖父の屋敷を訪れたときにはいつも温かく迎えてくれて、一緒に遊んだり英語の歌を教えてくれたりもした。そのモニカや流風が、周囲の冷たい視線に耐えなければならなかったのかと思うと、今まで何も考えずに二人に接してきたことさえ申し訳ないことのように潮音には感じられた。
そこで潮音は、先ほど屋敷の中で見た可憐なひな人形を思い出していた。潮音は敦義とモニカは流風のことを思ってあのひな人形を買ったのだろうが、これで流風の寂しさやつらい思いを癒すことはできただろうかとふと考えていた。そのように思うと、日が傾きかけて灯がともり出した街に吹きつける早春の風も、潮音にはひときわ冷たく感じられた。
心の中に重いものを感じながら潮音が家まで帰ると、ちょうど綾乃が玄関で潮音を出迎えた。
「潮音…私もちょっと言いすぎたわ。流風ちゃんから電話で話聞いたから。でも潮音、その服流風ちゃんに着せてもらったんでしょ? なかなか似合ってるじゃない」
綾乃に言われて、潮音はいささか面映い気分になった。
「でも流風ちゃんも言ってたよ。そろそろ下着もスポーツブラにボクサーショーツじゃなくて、もっとちゃんとした方がいいんじゃないかって。実は私も前からそう思ってたのよね。せっかくだから明日の日曜日、お店に選びに行かない? 私がいろいろ教えてあげるよ」
「勝手にしろ。姉ちゃんのバカ」
潮音は赤面しながら言うと、そそくさと自室に引き上げた。
「疲れた…。でも小学校のころに流風姉ちゃんとバレエやってた頃のこと思い出して、なかなか楽しかったよ。…あのころは『男のくせにバレエなんかやって』とバカにされたこともあったけど…もうちょっとバレエ続けてりゃよかったかな」
「そんなの気にすることないのに。男のバレエダンサーだって大勢いるんだから」
「でも流風姉ちゃんはさっき『踊ってみたらスカッとする』と言ったよね。そう思えるようになるためには、やっぱりクタクタになるまで練習しなきゃいけないのかな」
「そんなこと言って悩んでるヒマがあるなら、その間に少しでも体を動かしてみることね。…私だってバレエをやってて、楽しいことばかりじゃなかったよ。うまく踊れなくて練習がつらいと思ったことだって、何度もあったからね。でもそれでもバレエを続けてきたのはどうしてだと思う?」
そこで流風は表情を曇らせた。
「私は潮音ちゃんも知っている通り、父が高齢になってから、三十歳近くも歳が離れたフィリピン出身の母との間にもうけた子どもなんだ。…父の周囲には、この再婚を快く思わない人だって少なくなかったと言うしね。私の母は金目当てで父と結婚したんだろうとまで言う人だっていたらしいし」
「そんなことないよ。だったらモニカさんは、流風姉ちゃんやオレたちにここまで優しくしてくれるはずがないじゃないか」
潮音は思わず声を荒げていた。しかしここで、流風は首を軽く振った。
「この前のお正月のときだって…」
そこで潮音は、正月のときの父親の態度を思い出して身をすくめた。
「…ごめん」
「…いいよ。雄一おじさんからすりゃ、小さいころに実のお母さんを亡くしているのに、その後でフィリピンから来た自分と歳が変らない人を新しいお母さんと呼べと言われるのも、まして自分の子どもと変らない歳の妹ができるのも、なかなか受け入れられる話じゃないだろうからね」
「そんなこと言って、あんな扱いされても耐えられるわけ? そんなの絶対おかしいよ」
「…それを言ったら、私の母など私なんかよりもずっとつらい思いをしてきただろうからね」
そこで潮音は、少し前に海辺で聞いた流風の言葉を今さらのように思い出していた。潮音はこの言葉が心の底に突き刺さるように感じていた。
「…そんな私にとって、バレエをやっていると、そんないやなことなど忘れられるような気がしたんだ。バレエがうまくなると先生もほめてくれるし、そうすることで両親だって笑顔になる、私はそう思ってた。…そればかりじゃないよ。私は一昨年、母の故郷のフィリピンにはじめて行ったんだ。そしてそこでさわやかな風に吹かれながら、鮮やかな日差しに照らされたヤシの木の林、そして青く澄んだ空や海を眺めていると、私の体の中にもこのフィリピンの血が流れてるんだと思って涙が止まらなかった。それに私の通っている布引女学院はボランティア活動にも力を入れていてね、そこで親と一緒に暮らせない子どもたちの暮らしている施設を訪問したり、体の不自由な人たちの話を聞いたりしていると、みんなが一生懸命生きているんだと気がついてね。そうしたら私の悩みなんて大したことないと思えるようになってきたんだ」
さらに流風は話を継いだ。
「バカみたいな話だと思わない? 人間なんて口を開けば自由自由と言うのに、どのような環境に生れてくるか、男に生れるか女に生れるかすら自由に選べないんだから。でも、私の両親は普通とは違っているかもしれないけれども、それでも私を生んで大切に育ててくれたこの世にたった二人の存在だし、私は自分の運命を受け入れる覚悟が、やっとできるようになってきたんだ」
そう言うときの流風の表情は、なにか達観しているかのように見えた。
「…流風姉ちゃんって強いんだね」
「潮音ちゃんだって十分強いと思うよ。いきなり男の子から女の子になっても、こうやってちゃんとやってくことができているんだから。…あの後、私の父…潮音ちゃんから見たらおじいちゃんだね…はずっと見てられないくらい落ち込んでたんだ。『オレがあいつに宝物庫の整理を手伝うように言わなければ、あんなことにはなってなかったのに』って。だから潮音ちゃんにはこれからどのような道に進むにしても、悔いのないような道をしっかり歩んでほしいの。それが父を慰める一番の方法じゃないかしら」
そこで潮音は、心の底にくすぶっていた思いを思い切って流風に打ち明けた。
「流風姉ちゃん…こないだ一緒に海に行ったときこう言ってたよね。『毎日暮していくこと、そして人と会って話すことが実はどれだけ大変か』って。流風姉ちゃんがそう思うようになったのは、やっぱりそうやって悩んでいたからなの」
流風は少しの間黙っていた後、潮音に少し待つように言って自室に戻った。そして流風は自室から一冊の文庫本を持って来た。その本は、太宰治の「人間失格」だった。
潮音が文庫本を手渡されて、「人間失格」という重々しい題名に戸惑っていると、流風が声をかけた。
「この本にはそういう、悩みや苦しみを抱えた人の心の中が描かれているよ。潮音ちゃんにはちょっと難しいかもしれないけど、いっぺん読んでみると私の言ったことの意味もわかるんじゃないかな」
潮音が流風の表情と文庫本を交互に見比べていると、モニカの声がした。
「流風、潮音ちゃん、お茶とケーキの用意ができたで。そろそろ練習上がったら」
そこで流風と潮音は、軽くストレッチをして練習を切り上げることにした。潮音が家を飛び出したまま着ていたラフな部屋着を手に取ろうとすると、流風は潮音の手を止めた。
「ちょっと待って。近所のコンビニに買い物に行くならともかく、女の子が外に出るならもっとちゃんとしたかっこしないとね」
そう言って流風は、潮音にどちらかというとボーイッシュな感じのシャツとショートパンツをすすめた。潮音がやれやれと思いながら下着を身に着けようとすると、また流風が声をかけてきた。
「潮音ちゃん…そろそろ下着もそんなスポーツブラに男の子のようなボクサーショーツじゃなくて、もうちょっと体に合ったのにしたら? いっぺんお店でちゃんとサイズはかってもらった方がいいんじゃない?」
その流風の言葉に赤面しながらも、潮音がなんとか着替えを済ませた。流風のすすめたボーイッシュな服は潮音のベリーショートヘアにも合っていたが、むしろそれが男の子とも一風違う不思議な感じをかもし出していた。
潮音が居間に顔を出すと、ちょうどモニカがお茶とケーキを用意して待っていた。
「こないしてみると、潮音ちゃんが昔流風と一緒にバレエやってた頃のこと思い出すわ。あのころの潮音ちゃんはほんまにかわいかったんやから。潮音ちゃんもせっかくやからもういっぺんバレエ始めてみたら? 森末先生なら潮音ちゃんのこと歓迎してくれると思うで」
モニカはいつも通り潮音に優しく接してくれたものの、潮音は流風の話を聞いた後ではモニカの好意を素直に受け取ることはできなかった。
「あの…モニカさんはなんでフィリピンから日本に来たの」
「決まっとるやろ。ダンナのこと好きになったからやん。あんなおじいちゃんと結婚するなんてとか言うとった人もおったけど、ダンナは年とってもかっこええし頭もええし、素敵な人やん」
潮音の心中などそ知らぬかのように、モニカはいつも通り陽気に振舞っていた。
「あの…自分もいつかフィリピンに行っていいかな」
「もちろん。フィリピンは景色もきれいやしのんびりしててええとこやで。潮音ちゃんもいつかお小遣い貯めて行ってみるとええよ」
そう言ってモニカは、フィリピンの海岸で撮影した流風の写真を潮音に見せた。写真の中では流風も屈託のない明るい表情をしているのを見て、潮音も何かしらほっとした気持ちになった。
しばらく潮音がモニカと話していると、窓の外にはいつしか暮色が漂い出していた。モニカや流風もそろそろ帰った方がいいのではないかと言ったので、潮音は流風の出してくれた紙袋に部屋着を畳んでしまい、それと共に流風から借りた「人間失格」の文庫本も入れると、その紙袋を手にしたまま流風の屋敷を後にした。
潮音は家に戻る途中も、心の中からはわだかまりが消えなかった。
――幼いころの潮音にとってモニカは、古い魔法の館に住んでいる魔法使いのように見えた。モニカは潮音が祖父の屋敷を訪れたときにはいつも温かく迎えてくれて、一緒に遊んだり英語の歌を教えてくれたりもした。そのモニカや流風が、周囲の冷たい視線に耐えなければならなかったのかと思うと、今まで何も考えずに二人に接してきたことさえ申し訳ないことのように潮音には感じられた。
そこで潮音は、先ほど屋敷の中で見た可憐なひな人形を思い出していた。潮音は敦義とモニカは流風のことを思ってあのひな人形を買ったのだろうが、これで流風の寂しさやつらい思いを癒すことはできただろうかとふと考えていた。そのように思うと、日が傾きかけて灯がともり出した街に吹きつける早春の風も、潮音にはひときわ冷たく感じられた。
心の中に重いものを感じながら潮音が家まで帰ると、ちょうど綾乃が玄関で潮音を出迎えた。
「潮音…私もちょっと言いすぎたわ。流風ちゃんから電話で話聞いたから。でも潮音、その服流風ちゃんに着せてもらったんでしょ? なかなか似合ってるじゃない」
綾乃に言われて、潮音はいささか面映い気分になった。
「でも流風ちゃんも言ってたよ。そろそろ下着もスポーツブラにボクサーショーツじゃなくて、もっとちゃんとした方がいいんじゃないかって。実は私も前からそう思ってたのよね。せっかくだから明日の日曜日、お店に選びに行かない? 私がいろいろ教えてあげるよ」
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