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黒の帳 『一つ目の帳』
変わったものと変わらないもの 〔水曜日〕
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悪い予想というのは、当たって欲しくない時程よく当たるらしい。
龍牙と待ち合わせを約束した場所。そこには眠そうに欠伸をする龍牙が居た。
それはいい。問題はその隣の人だ。
中学で染めた明るい茶髪にくしゃくしゃの天然パーマ。隣の龍牙より頭半分高い身長。私と龍牙と、同じ学ランだ。襟には一年生を示すギリシャ文字の一の学年章が輝いている。
栗田光彦。
同じ高校だったのか。
踏み出そうとした足が止まる。怖い。あの人は、怖い。
「あ、おはよーリンちゃ…、鈴!」
「…」
「お、おはよう。龍牙、と、…クリ、ミツ」
「…はよ」
栗田光彦は、顔を合わせず不機嫌そうにボソリと呟く。でも私は返事を返してくれたことに驚いた。
何せ、彼は中学で私を虐めていたんだから。
小学生の時は龍牙と私とクリミツの三人で仲良くしていたのに、龍牙が遠くへ引っ越した中学生の時、光彦は変貌した。顔を合わせるごとに罵倒され、仲間と共に私に何度も暴力を振るった。
幸い、他の人達が私の味方に立ってくれて、イジメはなくなった。といっても、目立った行動が無くなっただけで、ブツブツと悪口を言われるのは変わらなかった。
私は、親友だと思っていた光彦の変貌に、ただただ寂しかった。龍牙が居なくなってただでさえ悲しかったのに、胸が、張り裂けそうな苦しみだった。
私は、中学一年生で二人の友達を一気に失った。
でも、今その二人が、揃っている。
一人は昔のままで、一人は変わり果てていて、何だか不思議で、嬉しいような怖いような、整理がつかない気持ちになった。
「三人、無事集合だな!」
「うん…小学生ぶりだね」
「……」
「クリミツも鈴も変わってねぇなー」
気まずいのは私だけだろうか。
何も知らないだろう龍牙が笑う。それに合わせて私も笑う。光彦は、何も言わない。光彦は朝が弱いけど、果たしてこの沈黙はそれだけだろうか。
龍牙と光彦が歩き出して、私もそれに着いていく。龍牙が話し始めて、光彦がそれに相槌をうつ。でも、何となく、私はその間に入れなくて、二人の後ろを歩いた。
さっき作った顔は引き攣っていなかっただろうか。光彦との出来事を、隠せているだろうか。
光彦はきっと、龍牙にイジメの事を黙っている。私が、言わなければ、バレなければいい。そうすれば、正義感の強い、優しい龍牙の笑顔を守れる。
「クリミツ。おめー鈴に連絡して無かったんだってな」
「…忘れてた」
「ひっでーやつ!聞いたぁ?今の」
「…あっ、あ、…えっと、忘れたなら、しょうがないよ」
「…鈴?」
龍牙が振り向いて、私との距離に気づいて足を止める。光彦もそんな龍牙を見て止まる。
光彦は、今日、私の方を一度も見ていない。やはり、距離を置かれているのは変わらない。龍牙に対する彼は三年前と何も変わらないのに。
いけない。
考え事をしていたせいで反応が遅れた。それにしても二人は足が随分速い。光彦は身長が高いし、龍牙は何でも急ぎがちだから、のんびり歩く私とは速度がまるで違う。意識しないと着いていけないのに、この三年ですっかり忘れていた。
止まってくれた二人に小走りで追いつく。
「…お前ら、何かあった?なーんか気まずいんだよな。前はもっと話してたじゃん」
勘づかれて、冷や汗が背を伝う。
何と答えたらいいか分からなくて、思わず光彦を見てしまう。光彦は、三年前と変わらない、何も感じさせない表情でぽつりと話す。こんな普通の顔、久しぶりだ。この三年間、私には憎悪の表情しか見せてくれなかったから。
「気のせいだろ。俺朝弱ぇし」
「うん、気のせいだよ。朝のクリミツはいつもこんな感じだったでしょ?」
「…そうか?ならいいんだけど。行くぞー」
光彦の意見に同調するようにして場を収める。光彦は、あの三年間を無かったことにしたいみたいだ。私もその方がいい。久しぶりにここへ戻って、こんなに嬉しそうにしている龍牙に嫌な思いをさせたくない。昨日の弾けるような笑顔を思い出せば、尚一層強く感じる。
龍牙の左側へ寄る。
小学生の時の、いつもの場所。光彦は龍牙の右側だ。
でも光彦が押し入るように私達の間へ入って来た。
「…クリミツ?」
不思議に思って、彼を見上げる。
その時、忘れていた感覚が体に走った。光彦が、私をいじめていた時の、憎くて憎くて堪らないという怖い目で、私を見ていたから。恐怖で体が固まった。
「お、クリミツそっち?じゃあ俺はこっちー」
光彦は龍牙に背を向けているから、龍牙には光彦の表情が分からない。何も知らない龍牙が楽しそうに私の左側へ場所を変える。
「…何でだ」
「鈴はぼーっとしてっからな、俺が見える方で見てたいんだ!」
クリミツはもう普段の無表情に戻っていた。あの貫くような目が消えて、漸く私も体に温度が戻ってくる。
今の声は中々不機嫌そうだった。でも龍牙にあの顔を向ける気はないみたいで、三年前みたいに話しかけていた。私にだけ、態度が変わっている。
今、龍牙は、俺が見える方で見ていたい、と言った。じゃあ前髪を上げればいいのでは?光彦もそう思ったらしく、龍牙にそれを聞く。
「…お前、何で左目…」
「あ?これか、実はな…ふっふっふ…」
かっこつけた龍牙がバサりと左の前髪を掻き上げる。
「え!?」
「なっ……」
「なんと!ヤンキーの片桐龍牙は中学ん時喧嘩で目ェやっちまったんだぜ!!」
龍牙の左目には、切り傷のような、痛々しい傷跡があった。開いている目に特に変わったところはないから、幸い失明はしていないようだけど、私達二人には充分衝撃的だった。
「本当はもーちょっと内緒にしたかったんだけどなあ」
「ちょっ、ちょっと何その傷、もう少しで失明するところだったんじゃないの!?痛かったでしょ!?」
「お前っ、その傷つけたの誰だ!ソイツぶっ殺してやる!!」
龍牙の傷に驚いたけど、正直隣から聞こえた光彦の怒鳴り声に一番驚いた。
「あっはは、二人とも落ち着けって!」
龍牙はそんな私達を見て大笑いする。
あれ、何だか、この空気。
「…やっと、前みたいになったな!」
龍牙が馬鹿やって、私が心配して、光彦が怒って。
「…もう、龍牙は…」
「ったく…。んだよ…うぜ、そういうことかよ」
後ろから聞こえた、昔と何も変わらない呆れ声と、目の前の、悪戯が成功した無邪気な笑顔に、
何だか無性に泣きそうになった。
「…あ、やべ!学校始まんじゃん」
腕に視線を移した龍牙がギョッとする。私も自分の腕時計に目を向け、大声をあげる。
「あっホントだ!!」
「…初日から遅刻とか笑える」
「笑えないから!というかまだ遅刻してないっ!ほら、二人とも、走って走って」
「一番遅いのは鈴だろ~…んじゃあ競走!」
「おいっ、待て龍牙!!!」
私が先に走っていたのに、あっという間に二人が追い抜く。でも、足の遅い私を見て龍牙が手を出してくれる。その手を私も迷いなく握る、三年前みたいに。
ぽっかり空いた穴が、暖かく埋まった。
嬉しくて堪らなくて、光彦を見る。光彦もきっと、呆れた顔をして、手を繋ぐ私達を見ているんだろう。こちらを見る光彦と目が合った。
でも、私の予想とは違った。
暖かい気持ちが、急降下していくのを感じる。
私をいじめていた時の、暗い、不気味な目と、目が合う。
昔みたいな風景の中で、ただただその目だけが異質だ。恐怖を感じる一方で、疑問を感じた。
彼は、どうして変わってしまったんだろう。何が彼を変えてしまったんだろう。
昨日の夕方と同じ疑問を浮かべながら、学校へ走った。
龍牙と待ち合わせを約束した場所。そこには眠そうに欠伸をする龍牙が居た。
それはいい。問題はその隣の人だ。
中学で染めた明るい茶髪にくしゃくしゃの天然パーマ。隣の龍牙より頭半分高い身長。私と龍牙と、同じ学ランだ。襟には一年生を示すギリシャ文字の一の学年章が輝いている。
栗田光彦。
同じ高校だったのか。
踏み出そうとした足が止まる。怖い。あの人は、怖い。
「あ、おはよーリンちゃ…、鈴!」
「…」
「お、おはよう。龍牙、と、…クリ、ミツ」
「…はよ」
栗田光彦は、顔を合わせず不機嫌そうにボソリと呟く。でも私は返事を返してくれたことに驚いた。
何せ、彼は中学で私を虐めていたんだから。
小学生の時は龍牙と私とクリミツの三人で仲良くしていたのに、龍牙が遠くへ引っ越した中学生の時、光彦は変貌した。顔を合わせるごとに罵倒され、仲間と共に私に何度も暴力を振るった。
幸い、他の人達が私の味方に立ってくれて、イジメはなくなった。といっても、目立った行動が無くなっただけで、ブツブツと悪口を言われるのは変わらなかった。
私は、親友だと思っていた光彦の変貌に、ただただ寂しかった。龍牙が居なくなってただでさえ悲しかったのに、胸が、張り裂けそうな苦しみだった。
私は、中学一年生で二人の友達を一気に失った。
でも、今その二人が、揃っている。
一人は昔のままで、一人は変わり果てていて、何だか不思議で、嬉しいような怖いような、整理がつかない気持ちになった。
「三人、無事集合だな!」
「うん…小学生ぶりだね」
「……」
「クリミツも鈴も変わってねぇなー」
気まずいのは私だけだろうか。
何も知らないだろう龍牙が笑う。それに合わせて私も笑う。光彦は、何も言わない。光彦は朝が弱いけど、果たしてこの沈黙はそれだけだろうか。
龍牙と光彦が歩き出して、私もそれに着いていく。龍牙が話し始めて、光彦がそれに相槌をうつ。でも、何となく、私はその間に入れなくて、二人の後ろを歩いた。
さっき作った顔は引き攣っていなかっただろうか。光彦との出来事を、隠せているだろうか。
光彦はきっと、龍牙にイジメの事を黙っている。私が、言わなければ、バレなければいい。そうすれば、正義感の強い、優しい龍牙の笑顔を守れる。
「クリミツ。おめー鈴に連絡して無かったんだってな」
「…忘れてた」
「ひっでーやつ!聞いたぁ?今の」
「…あっ、あ、…えっと、忘れたなら、しょうがないよ」
「…鈴?」
龍牙が振り向いて、私との距離に気づいて足を止める。光彦もそんな龍牙を見て止まる。
光彦は、今日、私の方を一度も見ていない。やはり、距離を置かれているのは変わらない。龍牙に対する彼は三年前と何も変わらないのに。
いけない。
考え事をしていたせいで反応が遅れた。それにしても二人は足が随分速い。光彦は身長が高いし、龍牙は何でも急ぎがちだから、のんびり歩く私とは速度がまるで違う。意識しないと着いていけないのに、この三年ですっかり忘れていた。
止まってくれた二人に小走りで追いつく。
「…お前ら、何かあった?なーんか気まずいんだよな。前はもっと話してたじゃん」
勘づかれて、冷や汗が背を伝う。
何と答えたらいいか分からなくて、思わず光彦を見てしまう。光彦は、三年前と変わらない、何も感じさせない表情でぽつりと話す。こんな普通の顔、久しぶりだ。この三年間、私には憎悪の表情しか見せてくれなかったから。
「気のせいだろ。俺朝弱ぇし」
「うん、気のせいだよ。朝のクリミツはいつもこんな感じだったでしょ?」
「…そうか?ならいいんだけど。行くぞー」
光彦の意見に同調するようにして場を収める。光彦は、あの三年間を無かったことにしたいみたいだ。私もその方がいい。久しぶりにここへ戻って、こんなに嬉しそうにしている龍牙に嫌な思いをさせたくない。昨日の弾けるような笑顔を思い出せば、尚一層強く感じる。
龍牙の左側へ寄る。
小学生の時の、いつもの場所。光彦は龍牙の右側だ。
でも光彦が押し入るように私達の間へ入って来た。
「…クリミツ?」
不思議に思って、彼を見上げる。
その時、忘れていた感覚が体に走った。光彦が、私をいじめていた時の、憎くて憎くて堪らないという怖い目で、私を見ていたから。恐怖で体が固まった。
「お、クリミツそっち?じゃあ俺はこっちー」
光彦は龍牙に背を向けているから、龍牙には光彦の表情が分からない。何も知らない龍牙が楽しそうに私の左側へ場所を変える。
「…何でだ」
「鈴はぼーっとしてっからな、俺が見える方で見てたいんだ!」
クリミツはもう普段の無表情に戻っていた。あの貫くような目が消えて、漸く私も体に温度が戻ってくる。
今の声は中々不機嫌そうだった。でも龍牙にあの顔を向ける気はないみたいで、三年前みたいに話しかけていた。私にだけ、態度が変わっている。
今、龍牙は、俺が見える方で見ていたい、と言った。じゃあ前髪を上げればいいのでは?光彦もそう思ったらしく、龍牙にそれを聞く。
「…お前、何で左目…」
「あ?これか、実はな…ふっふっふ…」
かっこつけた龍牙がバサりと左の前髪を掻き上げる。
「え!?」
「なっ……」
「なんと!ヤンキーの片桐龍牙は中学ん時喧嘩で目ェやっちまったんだぜ!!」
龍牙の左目には、切り傷のような、痛々しい傷跡があった。開いている目に特に変わったところはないから、幸い失明はしていないようだけど、私達二人には充分衝撃的だった。
「本当はもーちょっと内緒にしたかったんだけどなあ」
「ちょっ、ちょっと何その傷、もう少しで失明するところだったんじゃないの!?痛かったでしょ!?」
「お前っ、その傷つけたの誰だ!ソイツぶっ殺してやる!!」
龍牙の傷に驚いたけど、正直隣から聞こえた光彦の怒鳴り声に一番驚いた。
「あっはは、二人とも落ち着けって!」
龍牙はそんな私達を見て大笑いする。
あれ、何だか、この空気。
「…やっと、前みたいになったな!」
龍牙が馬鹿やって、私が心配して、光彦が怒って。
「…もう、龍牙は…」
「ったく…。んだよ…うぜ、そういうことかよ」
後ろから聞こえた、昔と何も変わらない呆れ声と、目の前の、悪戯が成功した無邪気な笑顔に、
何だか無性に泣きそうになった。
「…あ、やべ!学校始まんじゃん」
腕に視線を移した龍牙がギョッとする。私も自分の腕時計に目を向け、大声をあげる。
「あっホントだ!!」
「…初日から遅刻とか笑える」
「笑えないから!というかまだ遅刻してないっ!ほら、二人とも、走って走って」
「一番遅いのは鈴だろ~…んじゃあ競走!」
「おいっ、待て龍牙!!!」
私が先に走っていたのに、あっという間に二人が追い抜く。でも、足の遅い私を見て龍牙が手を出してくれる。その手を私も迷いなく握る、三年前みたいに。
ぽっかり空いた穴が、暖かく埋まった。
嬉しくて堪らなくて、光彦を見る。光彦もきっと、呆れた顔をして、手を繋ぐ私達を見ているんだろう。こちらを見る光彦と目が合った。
でも、私の予想とは違った。
暖かい気持ちが、急降下していくのを感じる。
私をいじめていた時の、暗い、不気味な目と、目が合う。
昔みたいな風景の中で、ただただその目だけが異質だ。恐怖を感じる一方で、疑問を感じた。
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