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黒の帳 『一つ目の帳』
+ 天野視点 誰が誰を好きなのか
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俺の体の上ですよすよと穏やかに眠る鈴。
そういや、この姿勢は首が痛くなる、と言っていたな。寝違えたら可哀想だ。
鈴を起こさないように、そっと体勢を変える。所謂、膝枕という体勢に。
正直、めちゃめちゃ恥ずかしいが、鞄を枕代わりにする時に起こしてしまったら可哀想だし、かと言って床に寝かせるのはもっと可哀想だ。安心して眠っているのなら、起こさずに良い体勢で寝かせてやるべきだろう。
鈴の体の向きを変えるのは難しいので、俺が体の向きを横にし、胡座をかいて太腿に頭を乗せた。人の頭って意外と重いな。
呑気に寝る鈴の姿を見た俺は、リンさんと初めて会った日のことを思い出した。あの時、俺は膝枕されてたんだよな。思い出が美化されているだけかもしれないが、あの時のリンさんの太腿、柔らかかったなあ。変態くさい思考だが、俺も健全な男子高校生。そういうことを考えてしまうのは必然と言える。
眼下に見える、鈴の口元を眺めてしまうのも、そうだ。リンさんに似て、小ぶりで薄いこの唇は、鈴の素顔が分からないのも極まって、ずうっと見てしまう。鈴の顔面で見えるのは、この口元だけだ。
…どうして鈴は、自分の顔を隠しているのだろう。自分に自信が無いのか?
鈴の顔を、見てみたい。
今ならそれが可能だ。勝手に髪を退けてしまえばいい。好奇心が疼くが、俺の理性がそれを上回った。
隠しているということは、見られたくないのかもしれない。
そうだとしたら、鈴にきちんと了承を取るべきだろう。
「あっ」
「あ?」
間抜けな声が聞こえ、そちらに目をやる。俺たちが居る階段裏を、片桐が覗き込んでいた。
片桐の手には三つの鞄がある。まさか、鈴と自分の分だけでなく、俺の分まで持ってきてくれたのか。
「何してんの天野。へい、これ俺ら三人の鞄」
「…鈴が寝てんだ。見りゃ分かるだろ」
「何で膝枕~?」
「そっ、それは……」
にやにやしながら片桐が俺を見ている。何だよ、膝枕がおかしいことくらい、分かってんだよ。
片桐が俺の目の前に腰掛ける。鞄を置くと、先程の俺と同じように天井を仰いだ。
「………鈴、どんな感じだった?」
「…めちゃめちゃ苦しそうだった。死ぬんじゃねぇかってくらい。何で一人にさせた方が良いとか言えんだよ。テメェはそれでもダチか」
話している間にも、憤怒の念が積もっていく。
もしあの場の全員が鈴の言葉を素直に聞き入れて、鈴が、一人で苦しむことになっていたら。そんなこと許せない。
俺がお節介で気にしすぎているのかもしれない。だが、そうだとしても、長年の友人である片桐は気にしてやるべきだろう。
「…俺は……その、嫌なんだ」
「は!?」
「あ、あー、何つーのかな。今の関係を壊したくないって言うか…。もし、鈴の相談に乗って、それで嫌なことが起きたらーみたいな…」
「………嫌われたくないからか。最低だな」
「違うっ、違うんだって。あー何て言えばいいんだ?俺のためじゃなくて、お互いのためっつーか、踏み入れない領域的な…うーん」
片桐はそこで言葉を切ると、遠くを見つめ、ぽつりと呟いた。
「……うん、やっぱりそうだな。嫌われたくないんだ。嫌われるのが、怖い」
「ほら、やっぱりお前は」
「好きだから」
「………は?」
先程の寂しそうな様子とは打って変わって、ギラギラとした目をしている。片桐は俺の目を見つめ、敵対心たっぷりの視線を送り、毅然とした態度で言葉を続けた。
「俺は鈴が好きだ。勿論ダチじゃなくて、恋愛的な意味で」
「………」
「…鈴は誰にも渡さない」
そう言って、片桐は鈴の顔に手を伸ばす。
何故か俺は、反射的にその手を払った。どうして払ったのかは、分からない。
「……天野、テメェ…」
「…ダチの悩みも聞いてやれない奴が、よくそんな口叩けるな。そもそも、鈴を渡す渡さないじゃないだろ。鈴が、誰を選ぶか、誰も選ばないか、だ。鈴を物扱いするな」
「…た、確かに」
「だろ?」
鈴を気遣うだけなら、心配するだけなら、友達と言える。
でも、その役目は、鈴の一番近くに居るのは、俺じゃなきゃ嫌だ。
そう思うこれは、この感情は、
…何なんだ?
ダメだ、やっぱり分からん。
だって俺が好きなのはリンさんなんだ。
リンさんへの気持ちは間違いない。だって、あの人に会うと、平常心じゃいられない。俺の格好悪いところを見せたくないから、自分の一挙一動を気にして、どこか変なところはないかと血眼になるんだ。
鈴は違う。鈴の前では自然体でいるし、簡単に小突いたりもする。リンさんには絶対しないことだ。
友情以上であるのは確かだが、恋とは言い難い…のか?
整理のつかないごちゃついた感情に悩まされていると、片桐が得意げに話し始めた。
「ま、お前も鈴が好きだもんな。ライバルってわけだ」
「はッ!?まだ好きってわけじゃ…」
「はいはい、そういうことにしといてやるよ。あ、そういやお前、一個勘違いしてるぞ」
「あ?」
「別に、鈴はお前のこと好きじゃないからな?鈴は昔から、思わせぶりなこと連発したり、すれ違うこと多いんだよ。お前はそれに引っかかってるだけー!」
片桐は得意げな顔をしてふふんと笑った。これは幼馴染みアピールだろうか。
イラッとくる。心の中が、モヤッとする。
こう思う以上、俺が鈴に向ける感情が、友情以上のものであることが分かる。
でも、俺が好きなのは、リンさんだ。
さっきからこの繰り返しが終わらない。鈴が好きかもしれない、でも、リンさんが好き。この堂々巡りは、やはり、恋愛の達人である東雲先輩に解決してもらうしかない。
…片桐が得意げにしているのはなんかムカつく。鈴のこと抜きで普通にムカつく。苛立った俺は、片桐に反論した。
「勘違いじゃねーし」
「絶対勘違いだ」
「じゃあ言ってやるよ。コイツ、俺に向かって、めっ…ちゃ言いづらそうに、『私…天野君のこと…』って言いかけたんだぞ」
「その続きの言葉分かるぜ。友達だと思ってるから!だな」
「は?何で今の文脈でそうなるんだよ」
「鈴だから~」
「付き合い長いからって適当なこと言ってんじゃねぇぞ!」
「うっせーぞ。鈴起きちゃうだろ」
そう言われ、俺は口を噤んだ。確かに俺たちが大騒ぎをすれば、疲れて眠っている鈴を起こしてしまう。
俺が黙ったのを見て、片桐は静かに話し出した。
「…まあ、もっとやばいライバル居るんだよ」
「あ?」
「……紅陵先輩。鈴がガチ惚れしてんの。でも、紅陵先輩は」
「は!?」
「しーーーーっ!」
つい大声を出してしまい、また片桐に注意された。いや、今のは仕方ないだろ。だって裏番だぞ!?
「なんで裏番が…」
「俺だって分かんねーよ…気に入らねーし。んで、こっからが大事な話な」
片桐はそう言うと、廊下を覗き、きょろきょろして周りを確認した後、俺のそばに座った。
裏番と鈴は、どういう関係なんだ。そういえば、どうして裏番と仲が良いのか、鈴本人から聞いていない。
「……俺、聞いちゃったんだ。紅陵先輩がやばい話してんの」
「今更だろ」
「ちげーよ、ガチモンのやつ。鈴に関係あるやつな」
裏番に関するヤバい話なんていくらでもある。だが、片桐が言いたいのは違うらしい。
片桐は小声で話していたが、更に声を潜め、耳元でぼそぼそと話し出した。
「……す、鈴を、恨んでるんだって」
「…なんて?」
「紅陵先輩、鈴のこと大っ嫌いなんだって。俺聞いちゃったんだ。誰かとの電話でさ、『紫川鈴は弄んでバッサリ振るのがいいな』って言ったんだよ。しかも、俺の目の前で」
「は、はぁ…??」
わけが分からない。話が全く頭に入ってこない。
鈴が裏番のことを好きで?裏番は鈴を憎んでる?ん?
俺が首を傾げると、片桐はうんうん唸りながらたどたどしく説明した。
「うーん、俺はよく分かんないんだけどな?なんか、あったっぽい」
「ざっくりしすぎだろ。つーかそれどこで聞いたんだ」
「…えっと、カフェ。紅陵先輩と鈴と一緒にいたんだ。紅陵先輩と二人きりになる時があって、その時に聞いた」
「………」
カフェ?男三人でカフェ?裏番と不良と大人しい鈴が?絵面ヤバくねぇか?
ツッコミどころ満載だが、一々気にしていたらキリがない。
「…裏番と鈴はどういう関係なんだ?その…感情的な意味で」
「鈴は紅陵先輩のことが好き。んで、紅陵先輩は、表面上は好きってフリしてるけど、本当は鈴のこと恨んでる!」
「………頭が痛くなりそうだ」
それが本当なら、鈴を守らなきゃいけない。
裏番が鈴を騙していて、それを鈴が信じきって…待て。鈍感馬鹿のコイツのことだ、思い込みじゃないだろうか。
「片桐の勘違いじゃないのか?」
「ちげーよ。俺は本当に聞いたんだ」
「裏番のことが本当なら…鈴は二人の男が好きってことか?」
「は?勘違いしてんじゃねーよ」
「いーや、勘違いじゃない」
「大体、お前みてーな暴力男はお断りだしな!!」
「なんだと!?アレは仕方ねぇだろうが!確かに俺が悪かったけど…、でも、だからって鈴が俺を好きになるかどうかは別のはな」
「だーかーら、勘違い!!」
「違ぇよバーーーーカ!」
ぎゃあぎゃあと言い合い、俺が最後にそう叫ぶと、片桐は目をぱちくりさせて黙った。俺の言葉が刺さったのか?へっ、事実だろ。
「…あっ」
だが、違った。
片桐の目は、俺の膝に向いていた。
「……んぅ…」
「鈴、おはよう」
「は!?」
鈴が、目を覚ましていた。
そういや、この姿勢は首が痛くなる、と言っていたな。寝違えたら可哀想だ。
鈴を起こさないように、そっと体勢を変える。所謂、膝枕という体勢に。
正直、めちゃめちゃ恥ずかしいが、鞄を枕代わりにする時に起こしてしまったら可哀想だし、かと言って床に寝かせるのはもっと可哀想だ。安心して眠っているのなら、起こさずに良い体勢で寝かせてやるべきだろう。
鈴の体の向きを変えるのは難しいので、俺が体の向きを横にし、胡座をかいて太腿に頭を乗せた。人の頭って意外と重いな。
呑気に寝る鈴の姿を見た俺は、リンさんと初めて会った日のことを思い出した。あの時、俺は膝枕されてたんだよな。思い出が美化されているだけかもしれないが、あの時のリンさんの太腿、柔らかかったなあ。変態くさい思考だが、俺も健全な男子高校生。そういうことを考えてしまうのは必然と言える。
眼下に見える、鈴の口元を眺めてしまうのも、そうだ。リンさんに似て、小ぶりで薄いこの唇は、鈴の素顔が分からないのも極まって、ずうっと見てしまう。鈴の顔面で見えるのは、この口元だけだ。
…どうして鈴は、自分の顔を隠しているのだろう。自分に自信が無いのか?
鈴の顔を、見てみたい。
今ならそれが可能だ。勝手に髪を退けてしまえばいい。好奇心が疼くが、俺の理性がそれを上回った。
隠しているということは、見られたくないのかもしれない。
そうだとしたら、鈴にきちんと了承を取るべきだろう。
「あっ」
「あ?」
間抜けな声が聞こえ、そちらに目をやる。俺たちが居る階段裏を、片桐が覗き込んでいた。
片桐の手には三つの鞄がある。まさか、鈴と自分の分だけでなく、俺の分まで持ってきてくれたのか。
「何してんの天野。へい、これ俺ら三人の鞄」
「…鈴が寝てんだ。見りゃ分かるだろ」
「何で膝枕~?」
「そっ、それは……」
にやにやしながら片桐が俺を見ている。何だよ、膝枕がおかしいことくらい、分かってんだよ。
片桐が俺の目の前に腰掛ける。鞄を置くと、先程の俺と同じように天井を仰いだ。
「………鈴、どんな感じだった?」
「…めちゃめちゃ苦しそうだった。死ぬんじゃねぇかってくらい。何で一人にさせた方が良いとか言えんだよ。テメェはそれでもダチか」
話している間にも、憤怒の念が積もっていく。
もしあの場の全員が鈴の言葉を素直に聞き入れて、鈴が、一人で苦しむことになっていたら。そんなこと許せない。
俺がお節介で気にしすぎているのかもしれない。だが、そうだとしても、長年の友人である片桐は気にしてやるべきだろう。
「…俺は……その、嫌なんだ」
「は!?」
「あ、あー、何つーのかな。今の関係を壊したくないって言うか…。もし、鈴の相談に乗って、それで嫌なことが起きたらーみたいな…」
「………嫌われたくないからか。最低だな」
「違うっ、違うんだって。あー何て言えばいいんだ?俺のためじゃなくて、お互いのためっつーか、踏み入れない領域的な…うーん」
片桐はそこで言葉を切ると、遠くを見つめ、ぽつりと呟いた。
「……うん、やっぱりそうだな。嫌われたくないんだ。嫌われるのが、怖い」
「ほら、やっぱりお前は」
「好きだから」
「………は?」
先程の寂しそうな様子とは打って変わって、ギラギラとした目をしている。片桐は俺の目を見つめ、敵対心たっぷりの視線を送り、毅然とした態度で言葉を続けた。
「俺は鈴が好きだ。勿論ダチじゃなくて、恋愛的な意味で」
「………」
「…鈴は誰にも渡さない」
そう言って、片桐は鈴の顔に手を伸ばす。
何故か俺は、反射的にその手を払った。どうして払ったのかは、分からない。
「……天野、テメェ…」
「…ダチの悩みも聞いてやれない奴が、よくそんな口叩けるな。そもそも、鈴を渡す渡さないじゃないだろ。鈴が、誰を選ぶか、誰も選ばないか、だ。鈴を物扱いするな」
「…た、確かに」
「だろ?」
鈴を気遣うだけなら、心配するだけなら、友達と言える。
でも、その役目は、鈴の一番近くに居るのは、俺じゃなきゃ嫌だ。
そう思うこれは、この感情は、
…何なんだ?
ダメだ、やっぱり分からん。
だって俺が好きなのはリンさんなんだ。
リンさんへの気持ちは間違いない。だって、あの人に会うと、平常心じゃいられない。俺の格好悪いところを見せたくないから、自分の一挙一動を気にして、どこか変なところはないかと血眼になるんだ。
鈴は違う。鈴の前では自然体でいるし、簡単に小突いたりもする。リンさんには絶対しないことだ。
友情以上であるのは確かだが、恋とは言い難い…のか?
整理のつかないごちゃついた感情に悩まされていると、片桐が得意げに話し始めた。
「ま、お前も鈴が好きだもんな。ライバルってわけだ」
「はッ!?まだ好きってわけじゃ…」
「はいはい、そういうことにしといてやるよ。あ、そういやお前、一個勘違いしてるぞ」
「あ?」
「別に、鈴はお前のこと好きじゃないからな?鈴は昔から、思わせぶりなこと連発したり、すれ違うこと多いんだよ。お前はそれに引っかかってるだけー!」
片桐は得意げな顔をしてふふんと笑った。これは幼馴染みアピールだろうか。
イラッとくる。心の中が、モヤッとする。
こう思う以上、俺が鈴に向ける感情が、友情以上のものであることが分かる。
でも、俺が好きなのは、リンさんだ。
さっきからこの繰り返しが終わらない。鈴が好きかもしれない、でも、リンさんが好き。この堂々巡りは、やはり、恋愛の達人である東雲先輩に解決してもらうしかない。
…片桐が得意げにしているのはなんかムカつく。鈴のこと抜きで普通にムカつく。苛立った俺は、片桐に反論した。
「勘違いじゃねーし」
「絶対勘違いだ」
「じゃあ言ってやるよ。コイツ、俺に向かって、めっ…ちゃ言いづらそうに、『私…天野君のこと…』って言いかけたんだぞ」
「その続きの言葉分かるぜ。友達だと思ってるから!だな」
「は?何で今の文脈でそうなるんだよ」
「鈴だから~」
「付き合い長いからって適当なこと言ってんじゃねぇぞ!」
「うっせーぞ。鈴起きちゃうだろ」
そう言われ、俺は口を噤んだ。確かに俺たちが大騒ぎをすれば、疲れて眠っている鈴を起こしてしまう。
俺が黙ったのを見て、片桐は静かに話し出した。
「…まあ、もっとやばいライバル居るんだよ」
「あ?」
「……紅陵先輩。鈴がガチ惚れしてんの。でも、紅陵先輩は」
「は!?」
「しーーーーっ!」
つい大声を出してしまい、また片桐に注意された。いや、今のは仕方ないだろ。だって裏番だぞ!?
「なんで裏番が…」
「俺だって分かんねーよ…気に入らねーし。んで、こっからが大事な話な」
片桐はそう言うと、廊下を覗き、きょろきょろして周りを確認した後、俺のそばに座った。
裏番と鈴は、どういう関係なんだ。そういえば、どうして裏番と仲が良いのか、鈴本人から聞いていない。
「……俺、聞いちゃったんだ。紅陵先輩がやばい話してんの」
「今更だろ」
「ちげーよ、ガチモンのやつ。鈴に関係あるやつな」
裏番に関するヤバい話なんていくらでもある。だが、片桐が言いたいのは違うらしい。
片桐は小声で話していたが、更に声を潜め、耳元でぼそぼそと話し出した。
「……す、鈴を、恨んでるんだって」
「…なんて?」
「紅陵先輩、鈴のこと大っ嫌いなんだって。俺聞いちゃったんだ。誰かとの電話でさ、『紫川鈴は弄んでバッサリ振るのがいいな』って言ったんだよ。しかも、俺の目の前で」
「は、はぁ…??」
わけが分からない。話が全く頭に入ってこない。
鈴が裏番のことを好きで?裏番は鈴を憎んでる?ん?
俺が首を傾げると、片桐はうんうん唸りながらたどたどしく説明した。
「うーん、俺はよく分かんないんだけどな?なんか、あったっぽい」
「ざっくりしすぎだろ。つーかそれどこで聞いたんだ」
「…えっと、カフェ。紅陵先輩と鈴と一緒にいたんだ。紅陵先輩と二人きりになる時があって、その時に聞いた」
「………」
カフェ?男三人でカフェ?裏番と不良と大人しい鈴が?絵面ヤバくねぇか?
ツッコミどころ満載だが、一々気にしていたらキリがない。
「…裏番と鈴はどういう関係なんだ?その…感情的な意味で」
「鈴は紅陵先輩のことが好き。んで、紅陵先輩は、表面上は好きってフリしてるけど、本当は鈴のこと恨んでる!」
「………頭が痛くなりそうだ」
それが本当なら、鈴を守らなきゃいけない。
裏番が鈴を騙していて、それを鈴が信じきって…待て。鈍感馬鹿のコイツのことだ、思い込みじゃないだろうか。
「片桐の勘違いじゃないのか?」
「ちげーよ。俺は本当に聞いたんだ」
「裏番のことが本当なら…鈴は二人の男が好きってことか?」
「は?勘違いしてんじゃねーよ」
「いーや、勘違いじゃない」
「大体、お前みてーな暴力男はお断りだしな!!」
「なんだと!?アレは仕方ねぇだろうが!確かに俺が悪かったけど…、でも、だからって鈴が俺を好きになるかどうかは別のはな」
「だーかーら、勘違い!!」
「違ぇよバーーーーカ!」
ぎゃあぎゃあと言い合い、俺が最後にそう叫ぶと、片桐は目をぱちくりさせて黙った。俺の言葉が刺さったのか?へっ、事実だろ。
「…あっ」
だが、違った。
片桐の目は、俺の膝に向いていた。
「……んぅ…」
「鈴、おはよう」
「は!?」
鈴が、目を覚ましていた。
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