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黒の帳 『一つ目の帳』
+ 天野視点『ちょっとだけ、寂しいな』
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鈴は裏番が去ってからも、固まっていた。今の出来事にそこまでときめいたのだろうか。
俺はそんな鈴を見ていられず、鈴の肩を叩いた。
「鈴」
「どうしたの、天野君」
返された返事の声は、少しぽやぽやしている。のぼせたような、少し、震えている声。アイツに抱きしめられたことが、そんなに嬉しいのかよ。
「い、言いたいことが…」
言って、しまおうか。
信じてもらえないかもしれないが、言ってしまおうか。
言ったら、コイツはどんな顔をするだろう。
失恋して、くれるだろうか。
俺のことを嘘つきだと悲しむだろうか。
裏番はそんな奴じゃないと怒るだろうか。
裏番がお前を裏切っている、お前を悲しませる企みを俺は知っている、そう言ったら、鈴は、何を思うんだろう。
起こるかもしれない失恋によるチャンスへの期待と、単なる好奇心が入り交じった、酷く汚い感情は、俺の判断を鈍らせた。
「言いたいことって?」
「鈴ーーーーー!!」
だが、俺の話は聞き覚えのある大声によって遮られた。
声のする方を見れば、片桐がこちらに走ってきていた。
…危なかった。
俺は、取り返しのつかないことを口走るところだったのかもしれない。
「いっ、今、今、こう、あー、せんぱい、んで、お前が、えっと、電話、えーっと、あー」
「龍牙、ストップ、落ち着いて、おっけー?」
一体何があったんだろうか。片桐は酷く動揺していて、何を話したいのかさっぱりだ。
鈴はそんな片桐を見て、呆れたように笑うと、片桐の唇に人差し指を当てた。そのまま顔を近付け、静かに、息をシーと出した。
いわゆる、子供に対する、静かに、みたいな意味の仕草だ。鈴は養護施設の出だから、年下の子供に接する機会が多かったのだろう。
でも、こんな優雅にやるとなると意味が違ってくるぞ。
だって、指を当てられた片桐は、少し頬を赤く染めている。これは…養護施設では相当な初恋キラーとして猛威を振るっていたんじゃないだろうか。
「お、おっけー」
「何を話したいの?」
「えーっと、さっき、紅陵先輩を見たってこと。鈴は…アイツと話、したいのかなーって」
「もうしたよ」
「えっ」
片桐は驚き、鈴はそれを疑問に思ったようだ。片桐は裏番を見たようだし、俺の知らないことを知っているのかもしれない。
片桐は、鈴に大した返答を寄越さなかった。濁しに濁した挙句、尋ねようとする鈴にある行動をした。
「し、しー…」
先程の鈴と同じ行為だ。
鈴の薄い整った唇に、人差し指を当てている。
お前何してんだ、ぶん殴るぞ。
鈴は俺の抱える怒りを露知らず、片桐に笑いかけた。片桐はその顔を見て、少し赤かった頬をあっという間に真っ赤にした。
「なっ、何笑ってんだよ!鈴だってやってたじゃんか!」
「龍牙は照れちゃってるからね~」
ただただムカつく。
片桐を殴らなかった自分を褒めたい。
「イチャつくな。野郎同士でベタベタしてんじゃねぇよ」
そう言って片桐を退けると、片桐はハムスターのように頬を膨らませた。抗議のつもりだろうか。
「邪魔すんな」
「邪魔されて当然だろ」
「何だと…」
片桐は頬を引き攣らせ、俺を睨みつけた。なんだ、やんのかコラ。俺が構えようとした途端、呑気な声が耳に届いた。
「お、対決?」
「「は?」」
鈴の声だ。ダチ同士の喧嘩、嫌じゃないのかよ。俺と片桐の困惑の声は揃った。鈴は俺たちの様子を気にすることなく、言葉を続けた。
「体育の前に言ってたじゃん。どうして対決してるかも何を競ってるかも私には分からないけど、戦ってるんでしょ?」
俺たちは鈴の言葉に、思わず顔を見合わせた。
確かに、ライバル的な奴だ、と片桐が言った。鈴はまだ覚えてたのかよ。
この認識が続くとまずくないか。恋愛的なニュアンスが全く伝わらないのは単にムカつく。これは方針を変えるべきじゃないか。
「後で話し合おうぜ」
「おう」
「えっ、また仲間外れ?」
「俺らにだって秘密くらいある」
「何でもかんでも話すってわけには…」
片桐がそこで言葉を切った時、俺たちは間違いに気付いた。
「そうだね」
寂しがり屋の鈴が、この状況をどう思うか。
素っ気ない声色が、それをよく表していた。
片桐は分かりやすく大慌てし、あたふたと弁明を始めた。俺も若干の冷や汗を垂らしながら、口下手なりに弁解した。
「ごっ、ごめんって!本当に話せないことなんだよ!鈴に知られると恥ずかしいっつーかさ、俺たちが困るんだよ、な?」
「そうだ、その、仲間外れとかお前の悪口とかそういうわけじゃない」
だが俺たちの説得の甲斐は無く、鈴は背を向けて去ってしまった。
小さな背中を追いかけたい衝動に駆られたが、今行っても仕方ないのかもしれない。俺たちの弁解に呆れたのなら…いや、寂しくなったのなら、追いかけても結果は同じだろう。
流石の馬鹿桐もこれは分かったらしく、しょんぼりして俺の顔を見てきた。
「鈴に悪いことしちゃったなあ」
「ま、仕方ないだろ。アイツにとっちゃお前は幼馴染みなんだから、そりゃ寂しいだろうな」
「……幼馴染みってより、家族かもしんない」
「……………家族?」
片桐の口から気になる言葉が飛び出した。俺が聞き返すと、片桐は頷いて話を続けた。
「小学生の時、鈴ってよく、うーちゃ…龍牙って弟みたい、とか、みぃ…クリミツってお兄ちゃんみたい、とか言ってたりしてさ。俺ん家来た時なんか、龍牙のお家の子になりたいって言ってて。…鈴は生まれが生まれだし、冗談には聞こえなくてさ」
「………“家族"か…」
…何だか、そう考えると、鈴の行動が全てしっくりくる。
口に人差し指を当てて、静かにと窘める鈴。片桐に抱きしめられて無邪気に笑う鈴。
「ま、とりあえず恋愛対象にならなきゃな」
幼馴染みの特権だとか、幼馴染みだから俺より仲が良いだとか思っていたが、逆に言えば恋愛対象になりづらいのか。
「やっぱ負けヒロインだな」
「負けじゃねぇっ! つーかヒロインでもねぇよ!」
「僕的にはヒロインかもしれない」
今の声、誰だ?
俺たちは同時に振り向いた。
片桐は声の主を見てもきょとんとしていたが、俺の体には戦慄が走った。
「やあ、不良くん。凛とはあれからどうしてるのかな?」
数日前に会った、美術部のイカレ部長だ。俺にヌードモデルになれと服を脱がそうとしてきたヤベェ奴。
「ああ、天野の知り合い?」
「こんな変態ゴミ野郎知らねぇよ」
「散々な言い様だなあ。そんなにアレは嫌だったか…ま、もうしないから安心して。それより僕は、君に興味があるんだ」
部長はそう言って、片桐に目を向けた。嘘だろ、あの変態的な行為を片桐にまでやるつもりか。
だが、止めると俺に飛び火しそうだ。片桐が自分で抵抗して止めりゃいい。
そう思った俺は、片桐の腰に伸びる手を黙って見ていた。
「な、何すか?」
「君の、この骨盤。素晴らしいよ、今までに見たことがない」
「はい…?」
「君は男性だろう?それなのに、骨盤があまりにも女性的だ。しっかり…ふふ、大きくて、ねえ?まるで神話のようだ。僕は考えてしまうよ、もしかしたら、君のここに子きゅ」
突然、片桐の腹をなぞっていた部長が吹き飛んだ。
いや、吹き飛んだんじゃない。片桐がぶっ飛ばしたんだ。
片桐は見たことも無い冷たい目をして、倒れた部長を睨みつけた。部長は腹を殴られて吹き飛んだらしく、腹を抑えて困惑の表情を浮かべている。
「え、え、なんで、僕」
「誰が、女だ?」
「え?」
「誰が、女性的だって?なあ」
「や、その」
「俺は男なんだよ!!いい加減なこと言うんじゃねぇ!!!次言ったら腹じゃすまさねぇぞこのクソ野郎!!!!!」
「ひぃっ!!」
片桐はビリビリと空気を震わせる大声を出し、部長を威圧した。部長は情けない声を上げ、バタバタとしっぽを巻いて逃げていった。
相当癇に障ったのだろう。だが普通ここまでキレるだろうか。
片桐は怒鳴った反動でぜぇぜぇと肩で息をしていたが、弾かれたように顔を上げ、俺に弁明し始めた。
「あ、あのさ、俺、こんな髪だからさ。女子に間違われること多くて…それが嫌で仕方ないんだよ。その、うん、今キレたのは、そういうこと、うん」
「じゃあ切ればいいだろ」
「それはダメだ」
片桐は俺より弱いとはいえ喧嘩の出来る不良だ。それなのに、体格は華奢で、先程の部長の言葉を借りるなら、女性的かもしれない。身長が小さいだけだと思っていたが、よくよく見れば確かに肩幅が小さいし、腹の辺りにくびれがある気がする。声だって高いし、顔も小さい…と、明らかに髪以外の部位でも女性だと勘違いされそうだが、それを言うと多分ブチギレるだろうな。
「何でダメな」
「鈴の話しようぜ。これから俺たちがどうするか」
「…そうだな」
誰にだって触れられたくないことはある。片桐の場合、それは自分の中性的な容姿なのだろう。だから俺の言葉を遮ったんだ。
こういう意思は汲んでやるべきだな。
俺が片桐の言葉に頷くと、片桐は満足そうに口を開いた。
俺はそんな鈴を見ていられず、鈴の肩を叩いた。
「鈴」
「どうしたの、天野君」
返された返事の声は、少しぽやぽやしている。のぼせたような、少し、震えている声。アイツに抱きしめられたことが、そんなに嬉しいのかよ。
「い、言いたいことが…」
言って、しまおうか。
信じてもらえないかもしれないが、言ってしまおうか。
言ったら、コイツはどんな顔をするだろう。
失恋して、くれるだろうか。
俺のことを嘘つきだと悲しむだろうか。
裏番はそんな奴じゃないと怒るだろうか。
裏番がお前を裏切っている、お前を悲しませる企みを俺は知っている、そう言ったら、鈴は、何を思うんだろう。
起こるかもしれない失恋によるチャンスへの期待と、単なる好奇心が入り交じった、酷く汚い感情は、俺の判断を鈍らせた。
「言いたいことって?」
「鈴ーーーーー!!」
だが、俺の話は聞き覚えのある大声によって遮られた。
声のする方を見れば、片桐がこちらに走ってきていた。
…危なかった。
俺は、取り返しのつかないことを口走るところだったのかもしれない。
「いっ、今、今、こう、あー、せんぱい、んで、お前が、えっと、電話、えーっと、あー」
「龍牙、ストップ、落ち着いて、おっけー?」
一体何があったんだろうか。片桐は酷く動揺していて、何を話したいのかさっぱりだ。
鈴はそんな片桐を見て、呆れたように笑うと、片桐の唇に人差し指を当てた。そのまま顔を近付け、静かに、息をシーと出した。
いわゆる、子供に対する、静かに、みたいな意味の仕草だ。鈴は養護施設の出だから、年下の子供に接する機会が多かったのだろう。
でも、こんな優雅にやるとなると意味が違ってくるぞ。
だって、指を当てられた片桐は、少し頬を赤く染めている。これは…養護施設では相当な初恋キラーとして猛威を振るっていたんじゃないだろうか。
「お、おっけー」
「何を話したいの?」
「えーっと、さっき、紅陵先輩を見たってこと。鈴は…アイツと話、したいのかなーって」
「もうしたよ」
「えっ」
片桐は驚き、鈴はそれを疑問に思ったようだ。片桐は裏番を見たようだし、俺の知らないことを知っているのかもしれない。
片桐は、鈴に大した返答を寄越さなかった。濁しに濁した挙句、尋ねようとする鈴にある行動をした。
「し、しー…」
先程の鈴と同じ行為だ。
鈴の薄い整った唇に、人差し指を当てている。
お前何してんだ、ぶん殴るぞ。
鈴は俺の抱える怒りを露知らず、片桐に笑いかけた。片桐はその顔を見て、少し赤かった頬をあっという間に真っ赤にした。
「なっ、何笑ってんだよ!鈴だってやってたじゃんか!」
「龍牙は照れちゃってるからね~」
ただただムカつく。
片桐を殴らなかった自分を褒めたい。
「イチャつくな。野郎同士でベタベタしてんじゃねぇよ」
そう言って片桐を退けると、片桐はハムスターのように頬を膨らませた。抗議のつもりだろうか。
「邪魔すんな」
「邪魔されて当然だろ」
「何だと…」
片桐は頬を引き攣らせ、俺を睨みつけた。なんだ、やんのかコラ。俺が構えようとした途端、呑気な声が耳に届いた。
「お、対決?」
「「は?」」
鈴の声だ。ダチ同士の喧嘩、嫌じゃないのかよ。俺と片桐の困惑の声は揃った。鈴は俺たちの様子を気にすることなく、言葉を続けた。
「体育の前に言ってたじゃん。どうして対決してるかも何を競ってるかも私には分からないけど、戦ってるんでしょ?」
俺たちは鈴の言葉に、思わず顔を見合わせた。
確かに、ライバル的な奴だ、と片桐が言った。鈴はまだ覚えてたのかよ。
この認識が続くとまずくないか。恋愛的なニュアンスが全く伝わらないのは単にムカつく。これは方針を変えるべきじゃないか。
「後で話し合おうぜ」
「おう」
「えっ、また仲間外れ?」
「俺らにだって秘密くらいある」
「何でもかんでも話すってわけには…」
片桐がそこで言葉を切った時、俺たちは間違いに気付いた。
「そうだね」
寂しがり屋の鈴が、この状況をどう思うか。
素っ気ない声色が、それをよく表していた。
片桐は分かりやすく大慌てし、あたふたと弁明を始めた。俺も若干の冷や汗を垂らしながら、口下手なりに弁解した。
「ごっ、ごめんって!本当に話せないことなんだよ!鈴に知られると恥ずかしいっつーかさ、俺たちが困るんだよ、な?」
「そうだ、その、仲間外れとかお前の悪口とかそういうわけじゃない」
だが俺たちの説得の甲斐は無く、鈴は背を向けて去ってしまった。
小さな背中を追いかけたい衝動に駆られたが、今行っても仕方ないのかもしれない。俺たちの弁解に呆れたのなら…いや、寂しくなったのなら、追いかけても結果は同じだろう。
流石の馬鹿桐もこれは分かったらしく、しょんぼりして俺の顔を見てきた。
「鈴に悪いことしちゃったなあ」
「ま、仕方ないだろ。アイツにとっちゃお前は幼馴染みなんだから、そりゃ寂しいだろうな」
「……幼馴染みってより、家族かもしんない」
「……………家族?」
片桐の口から気になる言葉が飛び出した。俺が聞き返すと、片桐は頷いて話を続けた。
「小学生の時、鈴ってよく、うーちゃ…龍牙って弟みたい、とか、みぃ…クリミツってお兄ちゃんみたい、とか言ってたりしてさ。俺ん家来た時なんか、龍牙のお家の子になりたいって言ってて。…鈴は生まれが生まれだし、冗談には聞こえなくてさ」
「………“家族"か…」
…何だか、そう考えると、鈴の行動が全てしっくりくる。
口に人差し指を当てて、静かにと窘める鈴。片桐に抱きしめられて無邪気に笑う鈴。
「ま、とりあえず恋愛対象にならなきゃな」
幼馴染みの特権だとか、幼馴染みだから俺より仲が良いだとか思っていたが、逆に言えば恋愛対象になりづらいのか。
「やっぱ負けヒロインだな」
「負けじゃねぇっ! つーかヒロインでもねぇよ!」
「僕的にはヒロインかもしれない」
今の声、誰だ?
俺たちは同時に振り向いた。
片桐は声の主を見てもきょとんとしていたが、俺の体には戦慄が走った。
「やあ、不良くん。凛とはあれからどうしてるのかな?」
数日前に会った、美術部のイカレ部長だ。俺にヌードモデルになれと服を脱がそうとしてきたヤベェ奴。
「ああ、天野の知り合い?」
「こんな変態ゴミ野郎知らねぇよ」
「散々な言い様だなあ。そんなにアレは嫌だったか…ま、もうしないから安心して。それより僕は、君に興味があるんだ」
部長はそう言って、片桐に目を向けた。嘘だろ、あの変態的な行為を片桐にまでやるつもりか。
だが、止めると俺に飛び火しそうだ。片桐が自分で抵抗して止めりゃいい。
そう思った俺は、片桐の腰に伸びる手を黙って見ていた。
「な、何すか?」
「君の、この骨盤。素晴らしいよ、今までに見たことがない」
「はい…?」
「君は男性だろう?それなのに、骨盤があまりにも女性的だ。しっかり…ふふ、大きくて、ねえ?まるで神話のようだ。僕は考えてしまうよ、もしかしたら、君のここに子きゅ」
突然、片桐の腹をなぞっていた部長が吹き飛んだ。
いや、吹き飛んだんじゃない。片桐がぶっ飛ばしたんだ。
片桐は見たことも無い冷たい目をして、倒れた部長を睨みつけた。部長は腹を殴られて吹き飛んだらしく、腹を抑えて困惑の表情を浮かべている。
「え、え、なんで、僕」
「誰が、女だ?」
「え?」
「誰が、女性的だって?なあ」
「や、その」
「俺は男なんだよ!!いい加減なこと言うんじゃねぇ!!!次言ったら腹じゃすまさねぇぞこのクソ野郎!!!!!」
「ひぃっ!!」
片桐はビリビリと空気を震わせる大声を出し、部長を威圧した。部長は情けない声を上げ、バタバタとしっぽを巻いて逃げていった。
相当癇に障ったのだろう。だが普通ここまでキレるだろうか。
片桐は怒鳴った反動でぜぇぜぇと肩で息をしていたが、弾かれたように顔を上げ、俺に弁明し始めた。
「あ、あのさ、俺、こんな髪だからさ。女子に間違われること多くて…それが嫌で仕方ないんだよ。その、うん、今キレたのは、そういうこと、うん」
「じゃあ切ればいいだろ」
「それはダメだ」
片桐は俺より弱いとはいえ喧嘩の出来る不良だ。それなのに、体格は華奢で、先程の部長の言葉を借りるなら、女性的かもしれない。身長が小さいだけだと思っていたが、よくよく見れば確かに肩幅が小さいし、腹の辺りにくびれがある気がする。声だって高いし、顔も小さい…と、明らかに髪以外の部位でも女性だと勘違いされそうだが、それを言うと多分ブチギレるだろうな。
「何でダメな」
「鈴の話しようぜ。これから俺たちがどうするか」
「…そうだな」
誰にだって触れられたくないことはある。片桐の場合、それは自分の中性的な容姿なのだろう。だから俺の言葉を遮ったんだ。
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俺が片桐の言葉に頷くと、片桐は満足そうに口を開いた。
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