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黒の帳 『一つ目の帳』
赤紫? 青紫?
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どうしようもない不安に私がいっぱいいっぱいになってしまい、天野君のことはうやむやになってしまった。
結局、その後は二人きりで登校だった。学校に着くと、校門のあたりに、体育の先生…武内先生が立っていた。
「あー、そういや明日体育だわ。菊池が言ってた」
「えっ、そうなの? 時間割…結構適当なんだね」
「ん。誰かが暴れて何か壊れると、休みになってズレるらしいぞ」
「え、えっ?」
そんなの初耳だ。私が目を見開くと、龍牙はにししと笑った。
「そりゃあここ不良校だし~」
「片桐龍牙!!!!!」
武内先生がこちらを見たかと思うと、龍牙を見て大声を上げた。一体何だろうか。
私は分からなかったけれど、龍牙は心当たりがあるらしく、やべ、と小声で呟いた。
「お前体力テストやってないだろ!!今すぐここに来い!!」
「あ…後でやりまーーーす!!!」
「龍牙!?」
「おいコラ片桐!!!!」
龍牙はそう叫ぶと、私の隣から勢いよく駆け出してしまった。走っていった方向からするに、恐らく裏門から学校に入るつもりなのだろう。
そんなに嫌なのか。どうせ受けることになるのだから、逃げたら余計に怒られるだけじゃないか。
駆け出す龍牙を見た武内先生が、物凄い速さで走り始めた。
ちらりと後ろを振り向いた龍牙は、ぎょっとし、走る速度を上げた。
「は!?速すぎんだろっ!!!」
「待たんか!!!!」
なんて活動的な先生だろう。紅陵さんや氷川さんさえいなければ、この不良校、あっという間に改善されてしまうんじゃないか。
走っていく二人を、周りの生徒たちがけらけらと笑って見ていた。確かに、一回りも年が違う人たちの本気の鬼ごっこは、ちょっぴり面白い。
以前武内先生に追いかけられた時、紅陵さんは私を抱えて逃げ切った。龍牙はどうだろうか。
龍牙、大丈夫かなあ。
ともかく、私だけでもきちんと時間通り登校しなくちゃ。
そう思って足を踏み出そうとしたら、視界がぐるんと回転して、体が浮いた。
…え?
「おっはよ~」
「えっ、あ、紅陵さん!?」
私の体は、紅陵さんに抱きかかえられていた。見上げれば、それはそれは整った美顔が間近に見える。目が合うと、紅陵さんはにこっと笑って私を更に抱き寄せた。所謂お姫様抱っこという体勢で、これは、恥ずかしい。
「クロちゃんは今日も可愛いね♡」
「なんで抱っこしてるんですか…?」
私が首を傾げると、紅陵さんは急に無表情になった。温もりの無い視線でどこか一点を見つめている。恐ろしくも気になった私は、紅陵さんの視線の先を追った。
「ヒッ」
「い、行こうぜ」
「くそっ、惜しかったなあ…」
紅陵さんが見つめていたのは、見覚えのある三人組だった。私の体をべたべた触ってきた、中西君、東君、下崎君だ。三人は恨めしげにこちらを見ている。
何が、惜しかったんだろう。
そう考えて、恐ろしくなった。龍牙と天野君がいない私に近づいて、どうするつもりだったんだろう。
「こ、紅陵さん」
「んー?」
「ありがとうございます」
紅陵さんは、多分、助けてくれたんだろう。私がお礼を言うと、紅陵さんはゆったりと口角を上げて微笑んだ。
「可愛いから抱っこしただけ。あの三人組がどうとか、恩着せがましいことしたくないからさ…」
紅陵さんはなんて優しいんだろう。このお姫様抱っこはやっぱり恥ずかしいけど、守ってくれたのなら頷ける。
紅陵さんは言葉を切り、私の顎に手を伸ばした。
「ありがとうって思ってくれんなら、今日こそ俺と一緒にお昼食べよ? 金曜日のこと、ちゃんと謝りたいし、俺…クロちゃんと二人きりになりたい」
顎をくい、と持ち上げられ、透き通る翡翠に射抜かれ、私は一気に体温が上がった。頬だって、多分赤くなっている。こんなにも整った顔が近くにあると、頭がぼうっとしてしまい、判断力がじわじわと鈍り出す。
「………だめ?」
「ぃ、い、ですよ…」
こてん、と首を傾げられ、私の口からするりと言葉がこぼれ落ちた。
私の返事を聞いて、紅陵さんは満足したらしく、にっこりと微笑んだ。目元が愛しげに細められるその笑顔に、また私の体温が上がっていく。
だけど、紅陵さんはまた無表情になった。私を抱き上げたまま後ろを向くと、そこには不満げな顔をしている同級生がいた。
「テメェ、鈴下ろせ」
「天野君…」
「鈴はテメェのモンじゃねぇんだよ、コラ」
目の当たりの筋肉をひくつかせて、天野君は紅陵さんをぎろりと睨みつけた。何が気に入らないんだろう。
少し疑問に思ったけど、その疑問より強く湧き上がる感情があった。
「いいの? そういうこと言って」
「あ?」
「俺がいなきゃ、困るんじゃねぇの?」
「…鈴を、下ろせ」
「あのさあ、俺の話聞い」
「紅陵さん」
二人が何か大事そうな話しをしているけれど、この湧き上がる感情は抑えられない。耐えきれずに口を出すと、二人は揃って私の顔を見た。
「恥ずかしいので、お、下ろしてください」
恥ずかしさ。
それには、勝てない。
先程から、多くの生徒の目線を感じる。紅陵さんは有名らしいし、この体躯はただでさえ目立つというのに、そんな彼が私をお姫様抱っこしているんだ。見るなという方が難しいだろう。
顔を真っ赤にして抗議すると、二人はなぜか固まってしまった。
「「………」」
「……あの」
「「………」」
「お、おろして、ください」
「……あ、ああ、ごめんな、下ろすよ」
再度訴えると、紅陵さんははっとしたような顔をして、私を下ろしてくれた。きちんと着地したつもりだが、私は足首の痛みを感じてよろめいてしまった。
この前の捻挫が、まだ完治してなかったんだ。
「うわっ」
「大丈夫か?」
「…ぅ、ん」
よろめいた私を支えてくれたのは、天野君だった。見上げると、思ったより顔が近くにあって、私は咄嗟に顔を逸らしてしまった。
どうして、また、体温が上がるんだろう。
天野君と距離が近くなることなんて今までにもたくさんあった。どうして今意識するんだ。私より幾分か大きな体で、しっかり支えてもらっているからだろうか。
「あ、ありがと」
「……おう」
顔を逸らしてお礼を言うと、天野君もどこか歯切れ悪く答えた。疑問に思って再び天野君の顔を見ると、天野君も顔を赤くして顔を逸らしていた。
「天野君?」
「………あー、うるせ、うっせぇ」
「なんで、顔」
「ん」
私たちの間を、紅陵さんの大きな手が遮った。紅陵さんは不満げな顔で頬を膨らませている。
「ちーかーいー」
「………」
近い、とは、私と天野君の距離のことだろう。
でもそう言われても、どう返したらいいか分からない。固まっている私に、ある音が届いた。
よく聞きなれた、授業開始や授業の終わりを知らせる音、チャイム。
それが、鳴った、ということは。
「……遅刻だ…」
「だな」
「えっ、クロちゃんそんなの気にしてんの?」
「俺らと違ってマジメなんだよ」
「確かに。天野とは違うな」
「あ? テメェもだろうが」
「いや、俺は好きな子に近づくこともできないヘタレ童貞とは違うかなあ」
「あ"!?」
二人の間にばちばちと火花が散っている気がする。二人が話しているところをきちんと見たことがなかったけれど、こんなに仲が悪かったんだ。
「あの…喧嘩しないでください」
私にとっては、二人とも大切な友人だ。その二人が悪感情を剥き出しにしているのは、あまり見たくない。私がそう言うと、二人は暫く見つめあったあと、ぷい、と顔を逸らした。
結局、その後は二人きりで登校だった。学校に着くと、校門のあたりに、体育の先生…武内先生が立っていた。
「あー、そういや明日体育だわ。菊池が言ってた」
「えっ、そうなの? 時間割…結構適当なんだね」
「ん。誰かが暴れて何か壊れると、休みになってズレるらしいぞ」
「え、えっ?」
そんなの初耳だ。私が目を見開くと、龍牙はにししと笑った。
「そりゃあここ不良校だし~」
「片桐龍牙!!!!!」
武内先生がこちらを見たかと思うと、龍牙を見て大声を上げた。一体何だろうか。
私は分からなかったけれど、龍牙は心当たりがあるらしく、やべ、と小声で呟いた。
「お前体力テストやってないだろ!!今すぐここに来い!!」
「あ…後でやりまーーーす!!!」
「龍牙!?」
「おいコラ片桐!!!!」
龍牙はそう叫ぶと、私の隣から勢いよく駆け出してしまった。走っていった方向からするに、恐らく裏門から学校に入るつもりなのだろう。
そんなに嫌なのか。どうせ受けることになるのだから、逃げたら余計に怒られるだけじゃないか。
駆け出す龍牙を見た武内先生が、物凄い速さで走り始めた。
ちらりと後ろを振り向いた龍牙は、ぎょっとし、走る速度を上げた。
「は!?速すぎんだろっ!!!」
「待たんか!!!!」
なんて活動的な先生だろう。紅陵さんや氷川さんさえいなければ、この不良校、あっという間に改善されてしまうんじゃないか。
走っていく二人を、周りの生徒たちがけらけらと笑って見ていた。確かに、一回りも年が違う人たちの本気の鬼ごっこは、ちょっぴり面白い。
以前武内先生に追いかけられた時、紅陵さんは私を抱えて逃げ切った。龍牙はどうだろうか。
龍牙、大丈夫かなあ。
ともかく、私だけでもきちんと時間通り登校しなくちゃ。
そう思って足を踏み出そうとしたら、視界がぐるんと回転して、体が浮いた。
…え?
「おっはよ~」
「えっ、あ、紅陵さん!?」
私の体は、紅陵さんに抱きかかえられていた。見上げれば、それはそれは整った美顔が間近に見える。目が合うと、紅陵さんはにこっと笑って私を更に抱き寄せた。所謂お姫様抱っこという体勢で、これは、恥ずかしい。
「クロちゃんは今日も可愛いね♡」
「なんで抱っこしてるんですか…?」
私が首を傾げると、紅陵さんは急に無表情になった。温もりの無い視線でどこか一点を見つめている。恐ろしくも気になった私は、紅陵さんの視線の先を追った。
「ヒッ」
「い、行こうぜ」
「くそっ、惜しかったなあ…」
紅陵さんが見つめていたのは、見覚えのある三人組だった。私の体をべたべた触ってきた、中西君、東君、下崎君だ。三人は恨めしげにこちらを見ている。
何が、惜しかったんだろう。
そう考えて、恐ろしくなった。龍牙と天野君がいない私に近づいて、どうするつもりだったんだろう。
「こ、紅陵さん」
「んー?」
「ありがとうございます」
紅陵さんは、多分、助けてくれたんだろう。私がお礼を言うと、紅陵さんはゆったりと口角を上げて微笑んだ。
「可愛いから抱っこしただけ。あの三人組がどうとか、恩着せがましいことしたくないからさ…」
紅陵さんはなんて優しいんだろう。このお姫様抱っこはやっぱり恥ずかしいけど、守ってくれたのなら頷ける。
紅陵さんは言葉を切り、私の顎に手を伸ばした。
「ありがとうって思ってくれんなら、今日こそ俺と一緒にお昼食べよ? 金曜日のこと、ちゃんと謝りたいし、俺…クロちゃんと二人きりになりたい」
顎をくい、と持ち上げられ、透き通る翡翠に射抜かれ、私は一気に体温が上がった。頬だって、多分赤くなっている。こんなにも整った顔が近くにあると、頭がぼうっとしてしまい、判断力がじわじわと鈍り出す。
「………だめ?」
「ぃ、い、ですよ…」
こてん、と首を傾げられ、私の口からするりと言葉がこぼれ落ちた。
私の返事を聞いて、紅陵さんは満足したらしく、にっこりと微笑んだ。目元が愛しげに細められるその笑顔に、また私の体温が上がっていく。
だけど、紅陵さんはまた無表情になった。私を抱き上げたまま後ろを向くと、そこには不満げな顔をしている同級生がいた。
「テメェ、鈴下ろせ」
「天野君…」
「鈴はテメェのモンじゃねぇんだよ、コラ」
目の当たりの筋肉をひくつかせて、天野君は紅陵さんをぎろりと睨みつけた。何が気に入らないんだろう。
少し疑問に思ったけど、その疑問より強く湧き上がる感情があった。
「いいの? そういうこと言って」
「あ?」
「俺がいなきゃ、困るんじゃねぇの?」
「…鈴を、下ろせ」
「あのさあ、俺の話聞い」
「紅陵さん」
二人が何か大事そうな話しをしているけれど、この湧き上がる感情は抑えられない。耐えきれずに口を出すと、二人は揃って私の顔を見た。
「恥ずかしいので、お、下ろしてください」
恥ずかしさ。
それには、勝てない。
先程から、多くの生徒の目線を感じる。紅陵さんは有名らしいし、この体躯はただでさえ目立つというのに、そんな彼が私をお姫様抱っこしているんだ。見るなという方が難しいだろう。
顔を真っ赤にして抗議すると、二人はなぜか固まってしまった。
「「………」」
「……あの」
「「………」」
「お、おろして、ください」
「……あ、ああ、ごめんな、下ろすよ」
再度訴えると、紅陵さんははっとしたような顔をして、私を下ろしてくれた。きちんと着地したつもりだが、私は足首の痛みを感じてよろめいてしまった。
この前の捻挫が、まだ完治してなかったんだ。
「うわっ」
「大丈夫か?」
「…ぅ、ん」
よろめいた私を支えてくれたのは、天野君だった。見上げると、思ったより顔が近くにあって、私は咄嗟に顔を逸らしてしまった。
どうして、また、体温が上がるんだろう。
天野君と距離が近くなることなんて今までにもたくさんあった。どうして今意識するんだ。私より幾分か大きな体で、しっかり支えてもらっているからだろうか。
「あ、ありがと」
「……おう」
顔を逸らしてお礼を言うと、天野君もどこか歯切れ悪く答えた。疑問に思って再び天野君の顔を見ると、天野君も顔を赤くして顔を逸らしていた。
「天野君?」
「………あー、うるせ、うっせぇ」
「なんで、顔」
「ん」
私たちの間を、紅陵さんの大きな手が遮った。紅陵さんは不満げな顔で頬を膨らませている。
「ちーかーいー」
「………」
近い、とは、私と天野君の距離のことだろう。
でもそう言われても、どう返したらいいか分からない。固まっている私に、ある音が届いた。
よく聞きなれた、授業開始や授業の終わりを知らせる音、チャイム。
それが、鳴った、ということは。
「……遅刻だ…」
「だな」
「えっ、クロちゃんそんなの気にしてんの?」
「俺らと違ってマジメなんだよ」
「確かに。天野とは違うな」
「あ? テメェもだろうが」
「いや、俺は好きな子に近づくこともできないヘタレ童貞とは違うかなあ」
「あ"!?」
二人の間にばちばちと火花が散っている気がする。二人が話しているところをきちんと見たことがなかったけれど、こんなに仲が悪かったんだ。
「あの…喧嘩しないでください」
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