半世紀生きて、やっと小説完成しました

さんかく ひかる

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小説で音楽を表現する

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 小説投稿エッセイ、今回はまた自作の宣伝です。
 宣伝するのは、2023年9月に完結した「僕は彼女としたいだけ」という、見も蓋もないタイトルの恋愛小説です。

 タイトルから予想される通り、成人限定です。未成年の方、成人でもアダルト描写が苦手な方、ごめんなさい。
 逆にアダルト好きな方は、どうかなあ? 間違いなくアダルトがメインテーマですが、描写となると、うーん……あっ、今回はアダルト描写の話ではなく、音楽の話でした。


 小説の舞台は、現代日本の工業大学。主人公はイケメン大学生。
 え? 工業大学にイケメンはいない? いや、人数いる大学ならイケメンだっているでしょう。というか恋愛小説の主人公だよ。リアリティよりビジュアルが大事です。
 我らが主人公、ただのイケメンではありません。お金持ちのお坊っちゃまで、高級住宅地のマンションで独り暮らし。背は高く、優秀な工業大学の中でも優秀です。

 これでもてんこ盛りな設定ですが、私としてはもうひとつイケメン要素をいれたい。そこで彼を、ピアノ男子としました。私のなかではピアノできる男子というのは、イケメンのなかでと、超絶ハイクラスにランクされます。
 ただし、この話はピアニストを目指すガチの音楽ものではありません。ピアノはイケメン要素のひとつにすぎません。

 が、不思議なことに、ピアノは単なる属性にすぎなかったのに、いざ設定してみると、思ったより深くストーリーに絡み、ヒーローの他にも音楽キャラが登場します。

 ひとりはヒーローの母。音大ピアノ科卒。卒業後すぐ結婚したので専業主婦でしたが、最近、ボランティアでピアノを弾いたり、ピアノの個人レッスンを始めたりと、ぽつぽつピアニスト活動を始めます。
 もうひとりはヒーローの元カノ。音大の声楽科に進学。声はソプラノ。いわゆるライバル女子で、お金持ちの美人のお嬢様。

 なおヒロインはヒーローと同じ工業大生で、音楽とは縁がなく貧乏でバイト三昧。一応リケジョだが、いわゆるできるリケジョではありません。本当にコッテコッテの少女漫画設定だな。


 なかなか本題に入れないや。ともかくヒーローをピアノ男子にしたため、小説にピアノ曲をはじめ、クラシックを中心に名曲が登場しました。次の通りです。

・グノー 『アヴェ・マリア』
・バッハ 『平均律クラヴィーア曲集第1番』

・ショパン『革命のエチュード』

・作曲者不詳 『アメイジング・グレイス』

・ショパン 『前奏曲第7番』(太田胃散のテーマ……小説を書くまで曲名知らなかったよ!)

・作曲者不詳(びっくり!) 『ねこふんじゃった』

・モーツァルト 『オペラ「魔笛」夜の女王のアリア』

・ドビュッシー 『月の光』

・ラフマニノフ 『ピアノ協奏曲第3番』

・リスト 『マゼッパ』

・サティ 『ジムノペディ』


 この一覧だけは、音楽小説っぽいなあ。タイトルだけサラっと登場する曲もあれば、深く小説に絡む曲もあります。
 長編小説は苦労の連続ですが、今回の苦労のひとつが、この音楽要素です。

 私はいつも調べものでwikipediaに大変お世話になっていますが、今回、音楽関係でyoutubeにもお世話になりました。名演に聴き惚れて小説が全然進まないこともしばしば。
 音楽のうんちくは、wikipediaを中心にいくつかのサイトで確認し、自分なりにまとめました。

 この小説は一人称なので、イケメン優秀金持ちピアノ男子として、音楽を語らなければなりません。口調はそれっぽくしましたが、中身までイケメン男子っぽくなったかは自信ありません。

 音楽のうんちくについては、普通の調べものと変わりません。
 音楽を小説に登場させるにあたって一番難しいのは、曲そのものを文字で表現することです。音楽CDにくっついている、いわゆるライナーノーツを書くようなものです。こんな感じでしょうか?

「導入では、叙情的にオーボエが主題を展開するが、それをティンパニーが受け、緊張を持続させる」

 これは私がでたらめに書いた文ですが、あの謎の文章を書かなければならないのです。
 いや~無理っしょ。音楽を文字で表現するなんて。でもピアノ男子が主役です。スルーするわけにはいきません。

 まだ、歌はいいんです。歌詞を参考に曲の雰囲気を表現できます。でもインストゥルメンタルはごまかしが効きません。メロディなり楽器編成なりテンポなり、そして曲全体の印象を、表現するわけです。
 どれもメジャーな曲なので、参考テキストは見つけられますが、パクリは厳禁。自分なりに頑張りました。


 曲を文字で表現するのは大変でしたが、CDを聞きながらの執筆は楽しかったです。特に思い入れあるのは、次の曲です。

 ラフマニノフ『ピアノ協奏曲第3番』

 メチャメチャ好きな曲です。
 一番難しいピアノ曲として知られています。主人公のピアノ男子には手が出ません。
 しかし私はこの曲が好きなあまり、登場させました。話の本筋には影響しなかったのですが、ちょっとしたエピソードを追加しました。以下が曲を表現した本文です。

=======

 二楽章の終わりにジャンプした。抒情的なアダージョが、楽章の終わりで激しいピアノソロに変わる。切れ目なく三楽章に流れ、オーケストラと共に盛り上がる。この協奏曲の一番の聴き所だ。

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 私がこの曲で一番好きなパートです。わあああん! ボキャブラリーもセンスもないから表現できないよお。
 長い曲なので全曲聴け、とは言わないけど、二楽章と三楽章の繋ぎ目はメッチャカッコいいので、聴いてほしいっす。

 この曲を主題とした映画があります。実在の天才ピアニスト、デイビッド・ヘルフゴットを描いた名作『シャイン』です。
 名優ジェフリー・ラッシュが主演し、アカデミー賞を受賞しました。『パイレーツ・オブ・カリビアン』の悪役(なのか?)バルボッサを演じた方です。この映画の彼はバルボッサとは違い、繊細なピアニストです。
 ピアノやクラシックを全然知らなくても、メチャクチャ感動できる映画なので、超お勧めです。私は三度ほど見ましたが、毎回ラストで泣けます。


 この小説によって、音楽を文字で表現する難しさを知りました。そういう体験ができただけでも、書いてよかったです。
 次回は、この小説についての懺悔です。小説の宣伝エッセイなのに懺悔し読者減らしてどーすんだよ、ですが、胸がチクチク痛むので、告白させていただきます。
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