41 / 101
5 定番ですが、主人公は王子様
(8)カメオの美女
しおりを挟む
「ヘクトルのバカヤロー!」「兄さんなら弟に優しくしろー!」「こっから出せー!!」
暗い倉庫でパリスは訴えた。
自分は旅の仲間を擁護しただけだ。ヘクトルがトロイアに来いと言ったのだ。この仕打ちは到底納得できない。
ポセイドンのようにデンと立つ兵士の向こうに、王宮の石壁が見える。馬に乗った鎧の男。カポンカポンと石畳が鳴っている。
「馬かあ……ナウシカは馬ともよく話していたなあ」
パリスは、旅の仲間を思い出す。
虫を愛し、動物と言葉を交わす勇ましい姫君。故郷の島に着いただろうか? トリファントスの予言によると、島にやってきたオデュッセウスという妻子持ちに恋するとか。
「僕、本当にナウシカをかわいいと思うよ」
でも、婿になる気はない。ナウシカの婿になったら、他の女の子と仲良くできない。
「僕も動物と話せたら……あのお馬さんにお願いして、ここから出してもらえるのかな」
パリスは遠ざかる馬に『助けて』と念じた。が、彼に動物と話すスキルはないため、人を乗せた馬はいなくなった。
「そうだ! 僕は動物とは話せない! でも」
彼は思い出した。動物には効かなくても、人間相手に発動できるスーパースキルがあるじゃないか!
「ねえ、強いお兄さん」
輝くばかりの美青年は、屈強そうな兵士にここぞとばかりの笑顔を見せ、太い二の腕をさすった。
「いくら頼まれても、王子様の許しがない限り、出さねえよ。諦めな」
「わかってる。でも僕、トロイアに憧れてたんだ。ここ、道はきれいで変な匂いしないし、お兄さんみたいな立派な人たちに守られてて、ステキな町だね。ねえ? 僕に王宮を案内してくれない?」
パリスは、兵士の頬を包み込み、囁いた。彼のスキル、スーパーチャームは男女問わず、威力を発揮する。
「だ、だめだだめだだめだ! ヘクトル様に殺される!」
「ヘクトルには僕から言っておくから、ね? お兄さんみたいなカッコいい人と、一緒に歩きたいなあ」
「や、やめんか!」
ここぞとばかりにチャラ男の本領を発動する。よし、コイツはもう少しで落ちるぞ!
そのときだった。
「王宮なら、私が案内してさしあげましょう」
澄み切った声が響いた。スラッとした女が倉の外で微笑んでいる。
「あ、あなたはもしかして!」
パリスは女の顔に見覚えがあった。
「若奥様!」
兵士はパリスを突き飛ばし、頭を下げる。
「いっ! いったいなあ」
尻餅を着いたパリスに、女が手を差し伸べた。
「いけませんわ。ヘクトル様の大切なお客様に」
パリスを立ち上がらせた女は微笑んだ。
「始めまして。アンドロマケと申します。パリス様のことは、ヘクトル様から伺っていますわ」
女は、旅の仲間からしつこいほど見せつけられたカメオの美女と同じ顔をしていた。
「いけえ、いけえ、キマイラ、やっつけろー」
幼子の声が、王宮の広間に響き渡る。
「キマイラとは勇ましいな。おい、髪をひっぱるなよ。もう少ししたら、ちゃんとした馬乗りを教えてやるからな」
背中に子供を乗せた大男が、四つ足でのっしのっしと這いずり回る。子供は「あっちー」「こっちー」と腕を伸ばし、キャッキャとはしゃいでいる。
侍女たちは「どうしましょ?」「でも王子様、楽しそうだし」と、ひそひそ顔を見合わせる。
「アステュアナクス、もういいだろ? 父は旅から帰ったばかりだ。いささか疲れたぞ」
「やだあやだあ、キマイラ、やっつけるー」
馬にさせられた父親が背中の我が子に困っているところへ、サンダルの音がピタピタと近づいてきた。
「アステュアナクス、なにしているの! お父様を困らせてはダメでしょ!」
女は、背中の赤子を奪うように抱きかかえた。
馬役から解放された父親は、ゆっくりと起き上がり、腰をトントンと叩いた。
「アンドロマケ、助かった。アステュアナクスは重くなったな」
女は息子をあやしながら、口を尖らす。
「いい? お父様はね、トロイアを守る大切な仕事をされているの。馬にしていい方ではないのよ」
ヘクトルは笑いながら首を横に振る。
「いや、遊べるうちに遊んでやらんとな。いずれ、お前もこのトロイアを守らなければならない」
男は息子の右尻をさすった。
「アポロン様から盾の力を授かったのだからな。さて、父は母と話がしたい。また遊ぼうな」
ヘクトルは、アステュアナクスの小さな額にキスを贈る。
アンドロマケは心得たとばかり、侍女の一人に息子を託した。幼いながらもアステュアクナスは慣れているのか、侍女の腕の中で大人しくなった。
男は女の肩を抱き寄せ、広間を出て寝室に向かった。
「ヘクトル様、旅から戻ったばかりでお疲れでしょう。ゆっくりお休みください」
男はサンダルと帯を外し、体を横たえた。女は毛布を男の体にかける。
「客人の様子はどうか?」
「はい。トリファントス様は、大層恐縮されていました。ただ、食事が口に合わないようです。元の世界では、美味しい物を召し上がっていたのでしょう」
ヘクトルは妻に、旅の仲間の事情をすでに説明している。
「未来の世界で今より食事がおいしくなるのは、よいことだ。トリファントス殿の好みを聞いておくがよい」
「ええ、なるべくお気持ちに沿うようにいたしましょう。それと、スエシュドス様なのですが……」
「じいさんが、どうした?」
「身体を洗ってさしあげたくても、頑なに拒まれるのです。せめて汚れた服を替えたいのですが、触るな! とおっしゃるので、どうにもなりません」
「人に身体を見せたくないのか……ひどい傷跡があるのかもしれない」
「ですから、水を張った壺と布、それに着替えを置いて、おひとりにしてさしあげました」
「助かる。戻った早々仕事をさせてすまない。お前も休むか」
ヘクトルはアンドロマケの腕をグイっとひっぱり、寝台に引き寄せた。
「待って! 話は終わっていません。大切な弟君を、粗末に扱ってはなりません」
男の動きがピタリと止まった。
「あいつがどうした?」
「倉に閉じ込めるなんて、兄君として、あんまりではございませんか?」
「……あいつは気がいいから、なにも考えず余計なことをしゃべる。市井の者ならそれでよいが、トロイアの王族としては問題だ」
「今まで民の中で暮らしてきたのですよ。王族としての心得は、これからヘクトル様が、教えてさしあげればいいのではありませんか?」
「そんな暇はないが。で、お前は優しいから、あいつを倉から出してやったんだろ?」
「はい。王宮の客間にお通ししました。私の侍女たちに任せてあります」
「まずいぞ!」
男はムクっと起き上がり、立ち上がった。帯を締めてサンダルをつっかける。
「あなた、侍女たちにはパリス様を丁重にもてなすよう、言い聞かせてあります」
「だからだ! あいつを若い娘と一緒にしたら、なにするかわからん」
「大丈夫ですよ。侍女は四人います。念のため、二人きりにはならないよう、伝えてあります」
「四人だと! ますますあいつが喜ぶだけだ!」
ヘクトルは、サンダルの紐をズルズル引きずったまま、パリスのいる客間へ走っていった。
暗い倉庫でパリスは訴えた。
自分は旅の仲間を擁護しただけだ。ヘクトルがトロイアに来いと言ったのだ。この仕打ちは到底納得できない。
ポセイドンのようにデンと立つ兵士の向こうに、王宮の石壁が見える。馬に乗った鎧の男。カポンカポンと石畳が鳴っている。
「馬かあ……ナウシカは馬ともよく話していたなあ」
パリスは、旅の仲間を思い出す。
虫を愛し、動物と言葉を交わす勇ましい姫君。故郷の島に着いただろうか? トリファントスの予言によると、島にやってきたオデュッセウスという妻子持ちに恋するとか。
「僕、本当にナウシカをかわいいと思うよ」
でも、婿になる気はない。ナウシカの婿になったら、他の女の子と仲良くできない。
「僕も動物と話せたら……あのお馬さんにお願いして、ここから出してもらえるのかな」
パリスは遠ざかる馬に『助けて』と念じた。が、彼に動物と話すスキルはないため、人を乗せた馬はいなくなった。
「そうだ! 僕は動物とは話せない! でも」
彼は思い出した。動物には効かなくても、人間相手に発動できるスーパースキルがあるじゃないか!
「ねえ、強いお兄さん」
輝くばかりの美青年は、屈強そうな兵士にここぞとばかりの笑顔を見せ、太い二の腕をさすった。
「いくら頼まれても、王子様の許しがない限り、出さねえよ。諦めな」
「わかってる。でも僕、トロイアに憧れてたんだ。ここ、道はきれいで変な匂いしないし、お兄さんみたいな立派な人たちに守られてて、ステキな町だね。ねえ? 僕に王宮を案内してくれない?」
パリスは、兵士の頬を包み込み、囁いた。彼のスキル、スーパーチャームは男女問わず、威力を発揮する。
「だ、だめだだめだだめだ! ヘクトル様に殺される!」
「ヘクトルには僕から言っておくから、ね? お兄さんみたいなカッコいい人と、一緒に歩きたいなあ」
「や、やめんか!」
ここぞとばかりにチャラ男の本領を発動する。よし、コイツはもう少しで落ちるぞ!
そのときだった。
「王宮なら、私が案内してさしあげましょう」
澄み切った声が響いた。スラッとした女が倉の外で微笑んでいる。
「あ、あなたはもしかして!」
パリスは女の顔に見覚えがあった。
「若奥様!」
兵士はパリスを突き飛ばし、頭を下げる。
「いっ! いったいなあ」
尻餅を着いたパリスに、女が手を差し伸べた。
「いけませんわ。ヘクトル様の大切なお客様に」
パリスを立ち上がらせた女は微笑んだ。
「始めまして。アンドロマケと申します。パリス様のことは、ヘクトル様から伺っていますわ」
女は、旅の仲間からしつこいほど見せつけられたカメオの美女と同じ顔をしていた。
「いけえ、いけえ、キマイラ、やっつけろー」
幼子の声が、王宮の広間に響き渡る。
「キマイラとは勇ましいな。おい、髪をひっぱるなよ。もう少ししたら、ちゃんとした馬乗りを教えてやるからな」
背中に子供を乗せた大男が、四つ足でのっしのっしと這いずり回る。子供は「あっちー」「こっちー」と腕を伸ばし、キャッキャとはしゃいでいる。
侍女たちは「どうしましょ?」「でも王子様、楽しそうだし」と、ひそひそ顔を見合わせる。
「アステュアナクス、もういいだろ? 父は旅から帰ったばかりだ。いささか疲れたぞ」
「やだあやだあ、キマイラ、やっつけるー」
馬にさせられた父親が背中の我が子に困っているところへ、サンダルの音がピタピタと近づいてきた。
「アステュアナクス、なにしているの! お父様を困らせてはダメでしょ!」
女は、背中の赤子を奪うように抱きかかえた。
馬役から解放された父親は、ゆっくりと起き上がり、腰をトントンと叩いた。
「アンドロマケ、助かった。アステュアナクスは重くなったな」
女は息子をあやしながら、口を尖らす。
「いい? お父様はね、トロイアを守る大切な仕事をされているの。馬にしていい方ではないのよ」
ヘクトルは笑いながら首を横に振る。
「いや、遊べるうちに遊んでやらんとな。いずれ、お前もこのトロイアを守らなければならない」
男は息子の右尻をさすった。
「アポロン様から盾の力を授かったのだからな。さて、父は母と話がしたい。また遊ぼうな」
ヘクトルは、アステュアナクスの小さな額にキスを贈る。
アンドロマケは心得たとばかり、侍女の一人に息子を託した。幼いながらもアステュアクナスは慣れているのか、侍女の腕の中で大人しくなった。
男は女の肩を抱き寄せ、広間を出て寝室に向かった。
「ヘクトル様、旅から戻ったばかりでお疲れでしょう。ゆっくりお休みください」
男はサンダルと帯を外し、体を横たえた。女は毛布を男の体にかける。
「客人の様子はどうか?」
「はい。トリファントス様は、大層恐縮されていました。ただ、食事が口に合わないようです。元の世界では、美味しい物を召し上がっていたのでしょう」
ヘクトルは妻に、旅の仲間の事情をすでに説明している。
「未来の世界で今より食事がおいしくなるのは、よいことだ。トリファントス殿の好みを聞いておくがよい」
「ええ、なるべくお気持ちに沿うようにいたしましょう。それと、スエシュドス様なのですが……」
「じいさんが、どうした?」
「身体を洗ってさしあげたくても、頑なに拒まれるのです。せめて汚れた服を替えたいのですが、触るな! とおっしゃるので、どうにもなりません」
「人に身体を見せたくないのか……ひどい傷跡があるのかもしれない」
「ですから、水を張った壺と布、それに着替えを置いて、おひとりにしてさしあげました」
「助かる。戻った早々仕事をさせてすまない。お前も休むか」
ヘクトルはアンドロマケの腕をグイっとひっぱり、寝台に引き寄せた。
「待って! 話は終わっていません。大切な弟君を、粗末に扱ってはなりません」
男の動きがピタリと止まった。
「あいつがどうした?」
「倉に閉じ込めるなんて、兄君として、あんまりではございませんか?」
「……あいつは気がいいから、なにも考えず余計なことをしゃべる。市井の者ならそれでよいが、トロイアの王族としては問題だ」
「今まで民の中で暮らしてきたのですよ。王族としての心得は、これからヘクトル様が、教えてさしあげればいいのではありませんか?」
「そんな暇はないが。で、お前は優しいから、あいつを倉から出してやったんだろ?」
「はい。王宮の客間にお通ししました。私の侍女たちに任せてあります」
「まずいぞ!」
男はムクっと起き上がり、立ち上がった。帯を締めてサンダルをつっかける。
「あなた、侍女たちにはパリス様を丁重にもてなすよう、言い聞かせてあります」
「だからだ! あいつを若い娘と一緒にしたら、なにするかわからん」
「大丈夫ですよ。侍女は四人います。念のため、二人きりにはならないよう、伝えてあります」
「四人だと! ますますあいつが喜ぶだけだ!」
ヘクトルは、サンダルの紐をズルズル引きずったまま、パリスのいる客間へ走っていった。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。
『召喚ニートの異世界草原記』
KAORUwithAI
ファンタジー
ゲーム三昧の毎日を送る元ニート、佐々木二郎。
ある夜、三度目のゲームオーバーで眠りに落ちた彼が目を覚ますと、そこは見たこともない広大な草原だった。
剣と魔法が当たり前に存在する世界。だが二郎には、そのどちらの才能もない。
――代わりに与えられていたのは、**「自分が見た・聞いた・触れたことのあるものなら“召喚”できる」**という不思議な能力だった。
面倒なことはしたくない、楽をして生きたい。
そんな彼が、偶然出会ったのは――痩せた辺境・アセトン村でひとり生きる少女、レン。
「逃げて!」と叫ぶ彼女を前に、逃げようとした二郎の足は動かなかった。
昔の記憶が疼く。いじめられていたあの日、助けを求める自分を誰も救ってくれなかったあの光景。
……だから、今度は俺が――。
現代の知恵と召喚の力を武器に、ただの元ニートが異世界を駆け抜ける。
少女との出会いが、二郎を“召喚者”へと変えていく。
引きこもりの俺が、異世界で誰かを救う物語が始まる。
※こんな物も召喚して欲しいなって
言うのがあればリクエストして下さい。
出せるか分かりませんがやってみます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる