94 / 101
6 主人公は、あっさりワナにはまる
(37)不思議な子供ゼノン
しおりを挟む
パリスとゼノンは、村長の家に案内された。奥の土間に丸太のテーブルと長椅子が置かれている。
二人は長椅子に並んで腰掛ける。長の妻がパンをテーブルに並べた。
土間には、主人夫婦の子供たちが押しかけて、パリスとゼノンにまとわりつく。女が子供らに「お客さんの邪魔するんじゃないよ!」と一喝した。年長の娘が弟妹を引っ張って出ていく。すぐさま壁の向こうで喧騒が始まった。
「俺はアゲロス、こいつはセレアだ。狭い家だが、泊ってきな」
村長は、自分と女を交互に指さした。
パリスは、この迷子の保護者を探していると説明する。
「この辺じゃ見ないガキだなあ。親に捨てられたんじゃないか」
予想通りの答えだった。パリスは「じゃあ、この子はどうなっちゃうのかな? かわいそうに」と呟き、上目遣いで主人夫婦を見つめる。
「あ、あのさあ、その子だけどよかったら、うちで……」
セレアがおずおずと切り出した。若者は目を輝かせる。
が、アゲロスは妻の肩をぐっと掴み、悲し気に首を振った。
「すまねえな。俺たちは自分らのガキで手いっぱいなんだ。女房も王様に小麦を届けるため、働きづめなんだ」
「悪いね……そうだ。スパルタの王様にお願いしなよ。あんだけ大きな城だ。何とかしてくれるよ」
ここから二日歩けばスパルタに着く。前にも通ったから知っているが、道は整備されている。子連れの旅もなんとかなるだろう。
「パリスさんよお、スパルタの王様はいい人だ。俺たちの村のこと心配してくれる」
妻も夫に同意する。
パリスは王メネラオスとの出会いを思い出した。かの王は、酔っぱらった乳母ガイアを自ら解放して連れていった。乳母を叱り飛ばすことなく面倒を見ていた。
いい人なのかもしれない……いや、いい人が、娘を怪物と結婚させるだろうか?
「さっき、あたしがあんたに突っかかったのも、城の偉い人が教えてくれたんだよ。トロイアの王子に気をつけろって」
「だから、それ誤解です!」
セレアは「もうわかってるよ」と笑うが、アゲロスは「あんたはいい人でもお仲間はどうかな?」と切り返す。
「スエシュドスおじいちゃんだって、そんなことしないよ」
「俺が聞いた話だが、隣の村長の女奴隷が船乗りの男に口説かれトロイアに行ったらしいぞ」
パリスは考え込む。それは大いにあり得ることだ。一人で異国に渡るより女連れの方が何百倍も楽しいのは、よーくわかる。
「ごめんなさい。今度会ったら注意しておくね」
「気にすんな。まあ今夜は飲んで、ゆっくりしてくんな」
アゲロスはパリスの肩をバンバン叩き、ワインを注いだ。
日が落ちる前に、セレアはゼノンの身体を水で濡らした布で拭い、洗いたての子供服に着替えさせた。
パリスは土間に敷かれた藁に体を横たえた。と、子供たちが押し掛けてワイノワイノ大騒ぎだ。
一方夫婦は別室で声を潜める。
「なあ、あの子、うちの子にできないかい?」
が、妻の懇願を夫は拒絶した。
「だめだ! パリスさんはいい人だが、あのガキは普通じゃない」
「スパルタの王様がちゃんと面倒見てくれればいいけど心配だよ。あんな小さい子を捨てるなんて、ひどい親だよね」
「同情は止せ。俺、パリスさんを殴るつもりだったが、あのガキが不気味な亀を見せた途端……動けなくなったんだよ」
「そりゃそうだろ。子供には勝てないよ」
女はクスクス笑う。
「そんなんじゃねえよ。一瞬だが、体が止まっちまった。あんな亀の置物、見たことねえ」
「でも」とセレアは食い下がるが、アゲロスは「いい加減にしろ」と睨み付けた。
翌朝、パリスはゼノンと共に、村長の子供たちと追いかけっこをして遊んだ。
楽しい時はあっという間に過ぎる。日が高く昇り、別れの時がやってきた。
セレアは、パリスたちのために二日分のパンとチーズを用意した。ゼノンの汚い服を洗って乾かした。
一家総出で、パリスとゼノンの旅立ちを見送る。
女がゼノンの前にしゃがみ、「これ使いなよ」と、帯のついた小さな麻袋を手渡した。
「あんたの大事な亀さんにどうだい?」
ゼノンは顔を輝かせ、小さな麻袋に亀の像を入れる。袋の縁の紐を縛ると亀はすっぽり収まった。セレアは袋の帯を子供の首にかけてやった。
「ゼノン君、よかったね! ありがとうございます」
パリスは子供の背中をさする。ゼノンはボソッと「ありがとう」と呟いた。
パリスは子供の脚に合わせ、ゆっくり進んだ。ゼノンは不満をこぼすことなく黙々と歩く。時々パリスが「疲れたよね? ほら」としゃがみ背中を差し出しおぶさるよう促すが、ゼノンは受け入れず自分の脚で歩み続けた。
スパルタまでの道中に、大きなトラブルはなかった。王宮近くの町で、二人は詮索されることなく部屋を借りられた。翌日にはスパルタに着くだろう。
「ゼノン君、スパルタの王様が助けてくれるよ」
宿の寝床でパリスは子供の頭をなでた。
ゼノンは、袋から亀を取り出し抱えていた。
「スパルタ?」
「うん、スパルタのメネラオス王。あ、知らないよね」
子供は寝床でピョコンと起き上がる、
「知ってる! アガメムノンの弟!」
「すごいねえ。ゼノン君、頭いいなあ」
子供は興奮し、亀をブンブン振り回す。
「そうだ! 僕、アキレウスに会いたかったんだ!」
「え!」
その名は、未来人トリファントスから聞かされている。トロイアとアカイアの戦争で、ヘクトルを倒す者として。
よりによって僕らの敵なのにとパリスは顔をしかめる。
ゼノンの興奮は止まらない。
「えーと、ここではアカイア、でいいんだっけ? アキレウスはね、ア、アカイアで一番足が速いんだ」
無邪気な子供の笑顔に、パリスは己を恥じた。
この子にとって、将来あるかもしれないトロイアとアカイアの戦争など関係ない。アカイアの子にとって、彼は憧れの英雄なのだろう。
「そうか。僕はアキレウスがどこにいるか知らないから、スパルタに着いたら王様に聞いてみるね」
「やったー!」
ゼノンは、亀を高く掲げた。
「亀さん、亀さん! アキレウスに会えるよ!」
アキレウスはヘクトルを倒すかもしれない。が、この子が憧れる英雄であってほしい、ともパリスは願った。
アキレウスと亀といえば、あるパラドックスが有名だ。
ギリシャ一の俊足アキレウスが前をのそのそ歩く亀に永遠に追い付けないという、アレだ。
亀の後ろでアキレウスが走っている。あっという間にアキレウスは亀のいた場所に到着する。しかしアキレウスが走る間、亀もわずかに進む。またアキレウスは亀のいた地点に着く。その間も亀はほんの少しだが進む。
この追い駆けっこが無限に繰り返されるため、アキレウスは前を進む亀に永遠に追いつけないのだ。
そんなばかな、である。実際アキレウスは、あっという間に亀を追い越すのに。
なお体育の通信簿1の造物主は、アキレウスではなく普通のクラスメートたちに、何度も何度も追い越された。今も通勤中、毎日誰かしらに追い越される。
この話はどこかおかしい。が、造物主はこの問題を自力で解くことはできなかった。
ややっこしいパラドックスの話はひとまずこの辺にして、パリスたちの旅物語に戻ろう。
二人は長椅子に並んで腰掛ける。長の妻がパンをテーブルに並べた。
土間には、主人夫婦の子供たちが押しかけて、パリスとゼノンにまとわりつく。女が子供らに「お客さんの邪魔するんじゃないよ!」と一喝した。年長の娘が弟妹を引っ張って出ていく。すぐさま壁の向こうで喧騒が始まった。
「俺はアゲロス、こいつはセレアだ。狭い家だが、泊ってきな」
村長は、自分と女を交互に指さした。
パリスは、この迷子の保護者を探していると説明する。
「この辺じゃ見ないガキだなあ。親に捨てられたんじゃないか」
予想通りの答えだった。パリスは「じゃあ、この子はどうなっちゃうのかな? かわいそうに」と呟き、上目遣いで主人夫婦を見つめる。
「あ、あのさあ、その子だけどよかったら、うちで……」
セレアがおずおずと切り出した。若者は目を輝かせる。
が、アゲロスは妻の肩をぐっと掴み、悲し気に首を振った。
「すまねえな。俺たちは自分らのガキで手いっぱいなんだ。女房も王様に小麦を届けるため、働きづめなんだ」
「悪いね……そうだ。スパルタの王様にお願いしなよ。あんだけ大きな城だ。何とかしてくれるよ」
ここから二日歩けばスパルタに着く。前にも通ったから知っているが、道は整備されている。子連れの旅もなんとかなるだろう。
「パリスさんよお、スパルタの王様はいい人だ。俺たちの村のこと心配してくれる」
妻も夫に同意する。
パリスは王メネラオスとの出会いを思い出した。かの王は、酔っぱらった乳母ガイアを自ら解放して連れていった。乳母を叱り飛ばすことなく面倒を見ていた。
いい人なのかもしれない……いや、いい人が、娘を怪物と結婚させるだろうか?
「さっき、あたしがあんたに突っかかったのも、城の偉い人が教えてくれたんだよ。トロイアの王子に気をつけろって」
「だから、それ誤解です!」
セレアは「もうわかってるよ」と笑うが、アゲロスは「あんたはいい人でもお仲間はどうかな?」と切り返す。
「スエシュドスおじいちゃんだって、そんなことしないよ」
「俺が聞いた話だが、隣の村長の女奴隷が船乗りの男に口説かれトロイアに行ったらしいぞ」
パリスは考え込む。それは大いにあり得ることだ。一人で異国に渡るより女連れの方が何百倍も楽しいのは、よーくわかる。
「ごめんなさい。今度会ったら注意しておくね」
「気にすんな。まあ今夜は飲んで、ゆっくりしてくんな」
アゲロスはパリスの肩をバンバン叩き、ワインを注いだ。
日が落ちる前に、セレアはゼノンの身体を水で濡らした布で拭い、洗いたての子供服に着替えさせた。
パリスは土間に敷かれた藁に体を横たえた。と、子供たちが押し掛けてワイノワイノ大騒ぎだ。
一方夫婦は別室で声を潜める。
「なあ、あの子、うちの子にできないかい?」
が、妻の懇願を夫は拒絶した。
「だめだ! パリスさんはいい人だが、あのガキは普通じゃない」
「スパルタの王様がちゃんと面倒見てくれればいいけど心配だよ。あんな小さい子を捨てるなんて、ひどい親だよね」
「同情は止せ。俺、パリスさんを殴るつもりだったが、あのガキが不気味な亀を見せた途端……動けなくなったんだよ」
「そりゃそうだろ。子供には勝てないよ」
女はクスクス笑う。
「そんなんじゃねえよ。一瞬だが、体が止まっちまった。あんな亀の置物、見たことねえ」
「でも」とセレアは食い下がるが、アゲロスは「いい加減にしろ」と睨み付けた。
翌朝、パリスはゼノンと共に、村長の子供たちと追いかけっこをして遊んだ。
楽しい時はあっという間に過ぎる。日が高く昇り、別れの時がやってきた。
セレアは、パリスたちのために二日分のパンとチーズを用意した。ゼノンの汚い服を洗って乾かした。
一家総出で、パリスとゼノンの旅立ちを見送る。
女がゼノンの前にしゃがみ、「これ使いなよ」と、帯のついた小さな麻袋を手渡した。
「あんたの大事な亀さんにどうだい?」
ゼノンは顔を輝かせ、小さな麻袋に亀の像を入れる。袋の縁の紐を縛ると亀はすっぽり収まった。セレアは袋の帯を子供の首にかけてやった。
「ゼノン君、よかったね! ありがとうございます」
パリスは子供の背中をさする。ゼノンはボソッと「ありがとう」と呟いた。
パリスは子供の脚に合わせ、ゆっくり進んだ。ゼノンは不満をこぼすことなく黙々と歩く。時々パリスが「疲れたよね? ほら」としゃがみ背中を差し出しおぶさるよう促すが、ゼノンは受け入れず自分の脚で歩み続けた。
スパルタまでの道中に、大きなトラブルはなかった。王宮近くの町で、二人は詮索されることなく部屋を借りられた。翌日にはスパルタに着くだろう。
「ゼノン君、スパルタの王様が助けてくれるよ」
宿の寝床でパリスは子供の頭をなでた。
ゼノンは、袋から亀を取り出し抱えていた。
「スパルタ?」
「うん、スパルタのメネラオス王。あ、知らないよね」
子供は寝床でピョコンと起き上がる、
「知ってる! アガメムノンの弟!」
「すごいねえ。ゼノン君、頭いいなあ」
子供は興奮し、亀をブンブン振り回す。
「そうだ! 僕、アキレウスに会いたかったんだ!」
「え!」
その名は、未来人トリファントスから聞かされている。トロイアとアカイアの戦争で、ヘクトルを倒す者として。
よりによって僕らの敵なのにとパリスは顔をしかめる。
ゼノンの興奮は止まらない。
「えーと、ここではアカイア、でいいんだっけ? アキレウスはね、ア、アカイアで一番足が速いんだ」
無邪気な子供の笑顔に、パリスは己を恥じた。
この子にとって、将来あるかもしれないトロイアとアカイアの戦争など関係ない。アカイアの子にとって、彼は憧れの英雄なのだろう。
「そうか。僕はアキレウスがどこにいるか知らないから、スパルタに着いたら王様に聞いてみるね」
「やったー!」
ゼノンは、亀を高く掲げた。
「亀さん、亀さん! アキレウスに会えるよ!」
アキレウスはヘクトルを倒すかもしれない。が、この子が憧れる英雄であってほしい、ともパリスは願った。
アキレウスと亀といえば、あるパラドックスが有名だ。
ギリシャ一の俊足アキレウスが前をのそのそ歩く亀に永遠に追い付けないという、アレだ。
亀の後ろでアキレウスが走っている。あっという間にアキレウスは亀のいた場所に到着する。しかしアキレウスが走る間、亀もわずかに進む。またアキレウスは亀のいた地点に着く。その間も亀はほんの少しだが進む。
この追い駆けっこが無限に繰り返されるため、アキレウスは前を進む亀に永遠に追いつけないのだ。
そんなばかな、である。実際アキレウスは、あっという間に亀を追い越すのに。
なお体育の通信簿1の造物主は、アキレウスではなく普通のクラスメートたちに、何度も何度も追い越された。今も通勤中、毎日誰かしらに追い越される。
この話はどこかおかしい。が、造物主はこの問題を自力で解くことはできなかった。
ややっこしいパラドックスの話はひとまずこの辺にして、パリスたちの旅物語に戻ろう。
0
あなたにおすすめの小説
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
『召喚ニートの異世界草原記』
KAORUwithAI
ファンタジー
ゲーム三昧の毎日を送る元ニート、佐々木二郎。
ある夜、三度目のゲームオーバーで眠りに落ちた彼が目を覚ますと、そこは見たこともない広大な草原だった。
剣と魔法が当たり前に存在する世界。だが二郎には、そのどちらの才能もない。
――代わりに与えられていたのは、**「自分が見た・聞いた・触れたことのあるものなら“召喚”できる」**という不思議な能力だった。
面倒なことはしたくない、楽をして生きたい。
そんな彼が、偶然出会ったのは――痩せた辺境・アセトン村でひとり生きる少女、レン。
「逃げて!」と叫ぶ彼女を前に、逃げようとした二郎の足は動かなかった。
昔の記憶が疼く。いじめられていたあの日、助けを求める自分を誰も救ってくれなかったあの光景。
……だから、今度は俺が――。
現代の知恵と召喚の力を武器に、ただの元ニートが異世界を駆け抜ける。
少女との出会いが、二郎を“召喚者”へと変えていく。
引きこもりの俺が、異世界で誰かを救う物語が始まる。
※こんな物も召喚して欲しいなって
言うのがあればリクエストして下さい。
出せるか分かりませんがやってみます。
レベルアップは異世界がおすすめ!
まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。
そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。
レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)
荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」
俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」
ハーデス 「では……」
俺 「だが断る!」
ハーデス 「むっ、今何と?」
俺 「断ると言ったんだ」
ハーデス 「なぜだ?」
俺 「……俺のレベルだ」
ハーデス 「……は?」
俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」
ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」
俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」
ハーデス 「……正気……なのか?」
俺 「もちろん」
異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。
たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!
スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する
カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、
23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。
急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。
完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。
そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。
最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。
すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。
どうやら本当にレベルアップしている模様。
「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」
最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
他サイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる