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1聖女、逃げる
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逃げよう。私こと聖女ルアーナは前世の記憶を取り戻してそう決意した。
話は三日前に遡る。魔王を倒す勇者パーティーのメンバーに選ばれた私は他のメンバーと顔合わせをした。そこで神殿の大司祭様に言われたのだ。全員聖女と交合せよと。そうすれば力を得られるからと。聖女は強化の魔力を持つ女性に与えられる称号である。これまでの聖女は仲間に強化の術をかけていたのだが今回はエッチして強化しろとの仰せである。これも己に課された使命と受け入れていたが前世の記憶が戻った今となってはふざけんなである。
私の前世はどこにでもいるような日本人だ。名前とか経歴とかは思い出せないけどなんとなく現代日本の感性を得た。この世界は前世と比べて貞操観念が厳しい。婚前交渉なんてもっての外だ。そんな世界で複数人の男性と関係を持つなんて救国の聖女どころか究極のクソビッチ扱いがオチである。魔王を倒せても私の将来お先真っ暗確定なのだ。十八歳の清らかな乙女になんという仕打ちだ。
その場にいた王様も勇者様御一行も値踏みするような目で私を舐めるように見ていた。ブロンドに近い茶髪にヘーゼルの目の地味な女ではあるが私は肉感的な体の持ち主だった。だからじゃないがその欲望を孕んだ視線が気に入らなかった。というわけで、私がエッチしないくらいで滅ぶ世界なら滅んでしまえ。そう思ったので私は逃げようと思ったのである。
となると問題はどこに逃げるかであるが候補は一つしかない。魔界だ。他の国では聖女とバレればこの国に引き渡されてしまう可能性がある。そうなれば最悪監禁凌辱という未来が見えてくる。他のパーティーメンバーは全員男だ。力では敵わない。私だって防御の結界は張れるけど魔術師もいるし術を解除されるかもしれない。それでなくても私の魔力切れを待たれたらアウトだ。
ちょっと街に行ってきますねー、という風を装って北へと旅立った。全財産を鞄に詰め込んで最低限の着替えを持って逃げた。
この世界での私は身寄りがない。強化の魔力を持つからと聖女候補として神殿で育った。そして運悪く聖女になってしまったのだ。だから私が逃げたところで困るのは神殿だ。家族がいないということはこういう時気楽である。人質に取られる相手もいやしないのだから。
逃げて逃げてひたすら逃げて二ヶ月。ようやく魔界に辿り着いた。けっこうズタボロだ。今の姿を誰が見ても聖女だなんて信じてもらえないだろうな。
「すみません、ウルリナ王国の聖女です。魔王様に謁見を申し込みたいんですけど」
「はあ? 聖女がこんなところにいるわけないだろう」
魔王城の門番らしきリザードマンに声をかけるとこう返されてしまった。まあ常識的にはあり得ないよね。
「ちょっと訳あって逃げてきたんです」
「なんで逃げ出したのに魔界にいるんだよ」
不思議そうに見てくるリザードマン。
「いえ、あのままでは最悪監禁凌辱の憂き目に遭う可能性があったので魔界で保護していただきたいなと」
「お前、小さいのに苦労してるんだな……」
小さいは余計だが二メートル越えのリザードマンからしたら確かに私は小さいだろう。同情の視線を送るリザードマンは取り次いでくれるようだった。
しばらく待っていると声をかけられた。
「いいぜ、嬢ちゃん。入りな」
「ありがとうございます」
第一関門はなんとか突破だ。頑張らないと。
話は三日前に遡る。魔王を倒す勇者パーティーのメンバーに選ばれた私は他のメンバーと顔合わせをした。そこで神殿の大司祭様に言われたのだ。全員聖女と交合せよと。そうすれば力を得られるからと。聖女は強化の魔力を持つ女性に与えられる称号である。これまでの聖女は仲間に強化の術をかけていたのだが今回はエッチして強化しろとの仰せである。これも己に課された使命と受け入れていたが前世の記憶が戻った今となってはふざけんなである。
私の前世はどこにでもいるような日本人だ。名前とか経歴とかは思い出せないけどなんとなく現代日本の感性を得た。この世界は前世と比べて貞操観念が厳しい。婚前交渉なんてもっての外だ。そんな世界で複数人の男性と関係を持つなんて救国の聖女どころか究極のクソビッチ扱いがオチである。魔王を倒せても私の将来お先真っ暗確定なのだ。十八歳の清らかな乙女になんという仕打ちだ。
その場にいた王様も勇者様御一行も値踏みするような目で私を舐めるように見ていた。ブロンドに近い茶髪にヘーゼルの目の地味な女ではあるが私は肉感的な体の持ち主だった。だからじゃないがその欲望を孕んだ視線が気に入らなかった。というわけで、私がエッチしないくらいで滅ぶ世界なら滅んでしまえ。そう思ったので私は逃げようと思ったのである。
となると問題はどこに逃げるかであるが候補は一つしかない。魔界だ。他の国では聖女とバレればこの国に引き渡されてしまう可能性がある。そうなれば最悪監禁凌辱という未来が見えてくる。他のパーティーメンバーは全員男だ。力では敵わない。私だって防御の結界は張れるけど魔術師もいるし術を解除されるかもしれない。それでなくても私の魔力切れを待たれたらアウトだ。
ちょっと街に行ってきますねー、という風を装って北へと旅立った。全財産を鞄に詰め込んで最低限の着替えを持って逃げた。
この世界での私は身寄りがない。強化の魔力を持つからと聖女候補として神殿で育った。そして運悪く聖女になってしまったのだ。だから私が逃げたところで困るのは神殿だ。家族がいないということはこういう時気楽である。人質に取られる相手もいやしないのだから。
逃げて逃げてひたすら逃げて二ヶ月。ようやく魔界に辿り着いた。けっこうズタボロだ。今の姿を誰が見ても聖女だなんて信じてもらえないだろうな。
「すみません、ウルリナ王国の聖女です。魔王様に謁見を申し込みたいんですけど」
「はあ? 聖女がこんなところにいるわけないだろう」
魔王城の門番らしきリザードマンに声をかけるとこう返されてしまった。まあ常識的にはあり得ないよね。
「ちょっと訳あって逃げてきたんです」
「なんで逃げ出したのに魔界にいるんだよ」
不思議そうに見てくるリザードマン。
「いえ、あのままでは最悪監禁凌辱の憂き目に遭う可能性があったので魔界で保護していただきたいなと」
「お前、小さいのに苦労してるんだな……」
小さいは余計だが二メートル越えのリザードマンからしたら確かに私は小さいだろう。同情の視線を送るリザードマンは取り次いでくれるようだった。
しばらく待っていると声をかけられた。
「いいぜ、嬢ちゃん。入りな」
「ありがとうございます」
第一関門はなんとか突破だ。頑張らないと。
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