腐男子の俺が最近勝手にパーフェクト総攻め様として妄想していた相手と何故か急接近してしまった件について。

たたた、たん。

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『友人で腐妄想をすると痛い目に会うからやめときましょう』

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 俺が腐男子になったきっかけは、なんともありふれたものである。腐った人の殆どが言う「姉の部屋にあったのを見てしまった」そんなものだ。


 はて、姉がいない人の腐るきっかけとは何ぞや?


 まあ、いい。
 兎も角、俺はその時小学四年生。まだ、性にお盛んな年になる前で、そういったことに憧れがあるが、なんの知識もなく。なんと、驚くべきことに女とのえっちを知る前に男同士のえっちを知ってしまった。最初は、凄い抵抗感があったが、エロへの興味は無限大であり……何度も見直すと気にならなくなって、寧ろ興奮するようになった。その頃には、姉には腐った事がばれており、怒られるかと心配したところ半狂乱で喜ばれてのでそのまま沼にはまってしまう。


 別に止めてもらわなくても良かったが、あの時怒られていれば、多分俺はもっと健全だったと思う。


 性交為の際、女性は気持ちの方が、男性は肉体的快楽の方が重要(だからこそ、男性は快楽に流されやすく、簡単に浮気をする)だと言われている。結構有名で大人になれば知らない人はいないだろうこの知識もBLに当てはめることができるのではないか?いや、これは言い訳なのかもしれないが。

 …………正直に言ってしまうと、マンガや小説で見たBLエロ知識を自分で試してみたいと、思ってしまうのである。こんな思考をするのは俺が男だからだろうか、と悩み姉に「リアルで興味はないの?」と聞いたところ「自分が男で一物もってたら試してみたいかも」という返答をいただいた。
 寧ろ、姉に興味があるのかと散々聞かれ「はい。試してみたいです」なんて言えるはずもなく、クールに動揺を見せないよう、全然ないよと答えて見せた。嘘をつくと鼻がぴくぴく動いてしまうので、ばれてしまうのではないかとひやひやしたものだ。





 その後、BL道をこそこそと歩み中学高校と誰にも腐男子だということを気づかれることはなかったが、フラストレーションの溜まっていた俺は、今年やっと大学に入学し、念願の一人暮らしを手にいれた。


 何故、念願なのかなんて腐っている人にはわかるだろう!?


 これで、親に隠さず堂々とBLを楽しむ為の世界を手に入れたわけだ。俺は、今まで我慢していた分爆発するかのようにBL道をひたすら走った。
 棚には、BL本が並び、好きキャラのグッズが机を飾る。都会の書店では、たまにお仲間を見ることが出来るし、それでも買いにくかったら通販を使うことが出来る。(今までは親にバレる恐れがあって出来なかった)そうして、暴走していたら遂に実際に試してみたいかも、という閉じ込めていた思いが溢れだした。



 俺は、ゲイではない。

 普通に女の子が好きだ。そりゃぁ、日頃、男のちょっとした仕草に萌えることもあるし、きゅんと来ることもあるが性的に好きになったことはない。
 初恋は中学二年。ボーイッシュなテニス部の子だったが恋とBLを比べると、どうしても恋を取れなかった。その頃の俺には最早BLのない生活なんて考えられなかったのである。因みに原因は、腐る年齢が早すぎたことにあると推測している。


 それから、一回も人を好きになることも恋人を作ることもなかった。


 それでもやはり性欲はあるもので。

 だけどそれも一人暮らしをすれば解決されてしまった。

 ご想像通り普通のオナニーではない。アナニーである。解放された俺は、はっちゃけてそれようの道具まで買ってしまった。こういういかがわしい事は、最初抵抗感があっても喉元を過ぎれば止められなくなる。そこれは、最初BLに目覚めた時に経験していたので戸惑うこともなかった。アナ二ーは茶苦茶気持ちよく、性欲が満たされるので、そのうち誰かと付き合いたいという気持ちも消えてしまった。



 もう、いいんだ……
 俺は一人趣味に生きるから。恋愛なんて。

 BLさえあれば、幸せだし。














 そんな俺にも最近楽しみはある。



 大学の友人、葉山悠斗で腐妄想をすることだ。


 なんとこの葉山悠斗、二次元の住人か、というほどパーフェクトな男である。
 頭良し顔よし性格良し、その上どっかの会社の三男坊という恨みがましいバックをお持ちの葉山の一番の特徴は、人の良い性格である。普通こんな奴が近くにいたら、僻まれたりで男子に嫌われそうだが、葉山の周りには男も女も集まっている。
 きっと、そんな輝かしいバックを鼻にかけない気さくさと、ユーモアと思いやりのある行動から来ているもので。俺も直接会う前までは、大学内でも名の知れた有名人で名の知れている葉山を警戒し苦手意識を持っていたが(大体、人に言いにくい秘密を持っている内向的な性格の俺が人気者に、警戒心と不信感を抱くのも当然の心理と言えるのではないだろうか)話してみるとすぐにそんなものは消えて、好感を抱いた。


 俺もこんな風に生まれて来たかったな、とよく思うものである。

 ・・・・いや、唯一の欠点は恋人がコロコロと変わることか。本人に聞いたところ、告白されたら取り敢えず付き合ってみて、それでも好きになれなかったら別れるんだそう。なんだ!?それは!?リア充怖えぇぇ!!!そんな発想出来ないわ。

 貞操観念低すぎる上に、それを承知で告白する女子が絶えないことに驚き小町である。違うか、それを承知させる葉山の魅力度指数に驚き小町なのか?


 俺の脳内には「何!!??戦闘力(魅力)三十万・・・二千万・・・一億・・・・ぐはっ!!!測定不可能だと!!??」と某マンガの場面が浮かんだ。



 こやつスーパー〇イヤ人か!?





 そんな男と俺がなんで友人か、というと。単に友人の友人だったからで。入学して初めて仲良くなった相手である田仲良輔は、可愛らしく人懐こい奴であり田舎から出てきた俺にも優しく声をかけてくれ、良輔自身は庶民であるが葉山とは幼馴染みらしくすぐに紹介してくれた。
 やはり、幼馴染みということもあって、この二人距離感が半端ない。ベタベタというわけではないがさりげなく、相手のパーソナルエリアに入りコミュニケーションをしている。そして、それはどうやらこれは、この二人だけではなく、その他に二人いる幼馴染みにも同じ位の距離感だった。

 最初にそれを見たとき、俺が感じたのは疎外感とか、気持ち悪さ等ではなく「リアルBL来たーーーーー!!!」であった。内心興奮しまくりながら、ポーカーフェイスを保とうとしたが、後で「何か嬉しい事でもあったの?」と聞かれたから隠しきれていなかったのだと思う。
 姉にその事を言ったが「それはしょうがない。それよりもその幼馴染み達のこと随時報告して!!」と鼻息荒く頼まれてしまった。無論、姉上の命令を無視したりしない、これで限定グッズが手にはいるのなら週に一度萌えポイントを報告して、いくらでも友人達の情報を売れた。


 すまん、友人達よ。俺の趣味の犠牲になってくれ。


 やがて、友人の友人だった葉山とも正式に友人になり、田仲抜きでも話すようになった。それにしてもやはり葉山聖君素晴らしい人である。こんな奴なら抱かれていいわ。
 しかし、腐妄想に自分を入れるというのは激しく危険な行為であり、下手に現実味が増してしまうから萎えてしまう。

 葉山はとは、二人きりで話しても気まずくなったりはしなかったが、俺の妄想の為なるべく二人きりではなく他の幼馴染みメンバーを呼ぶように仕向けた。
 幼馴染みたちの絡みは、眼福ものである。俺はなるべく会話に入らず、黙ってその様子を見るようにしていて、葉山が気遣って何度も俺を話しに入れようとしてくれたが「大丈夫。問題ない。寧ろ聞いてる方が楽しい」と真剣な表情で言ったら、怪訝な顔をしながらも納得してくれた。葉山聖君、気遣いは嬉しいが俺の至福の時を奪わないでおくれ。





 まあ、友人もそいつらのみで、恋人もいるわけのない、どちらかと言えば非リア充である俺も彼等のお蔭でリア充な並みの幸せを毎日感じながら生活していた。



 ・・・・リア充になったことがないから、リア充並みの幸せなんて知る由もないが。














 事件は俺の家での宅飲み時に起こった。
 その日は、庶民派にあわせて庶民的にビールを嗜んでいたのだがなんせ、俺宅である。
 呑気に酒を飲んでいるように見えて、クローゼットやベットの下に隠してある腐男子グッズとアナニーグッズを見られたら、と戦々恐々としていて全く会話を楽しめない。
 俺はずっと自室に来るのは拒否していたが、のりの良すぎる田仲に強制突破されてしまった。家賃五万の狭いアパートには、俺と田仲、葉山に残りの幼馴染みず二人がぎゅうぎゅうに居座っている。
 残りの幼馴染二人のうち一人は、ガチムチのスポーツマン郷田で、もう一人はクールビューティー佐々木。因みにどちらもよ容姿は整っていてモテるリア充である。




 さて、腐女子の皆さんは俺がこいつらを使って妄想してしまう気持ちが分かるだろうか?
 いや、わかるはず。



 なんせ、王子様、かわいい系、スポーツマン、最後にクールビューティー。その上、幼馴染。こんなおいしい要素の集まりなんて早々に見れるもんじゃない。
 在り難い、いや本当にありがたい。


 個々にカプを作るのもいいが、やっぱりイチオシは葉山総攻めである。何たってリアル王子。容姿だって整っている幼馴染みずよりさらに整っていて、誰にでも優しく、それでいて芯があり、時々見せる意地悪な部分は堪らない。この男であれば、ヤンデレ攻め、ヘタレ攻め、ドS攻め、腹黒攻めetc……なんでも出来てしまう。時に受けさせたりもしているがやはり、攻めを喘がせている方が似合う男である。



 心許ないからだろう、俺はいつもよりペースをあげて飲んでいた。なにやらワイワイと高校時代の話をしていて当時から葉山がもモテていたとか、誰と付き合っていたとか、妄想のおかずになるような話題ばかりで、「男女共にモテてたんすか?お男もいけますか?」など聞きたいことがたくさんあったが我慢した。
 そう簡単にバイセクシャルの人なんていないだろうし、期待もしてない……こともなくもないが取り敢えず、想像の自由だ。押し付けなければいいだろう。


 その後も俺としては美味しい話が続き、興奮と不安でよりお酒のペースがあがってしまった。完全に酔っぱらってしまったので仕方なく、一人ベットで横たわっていると「うわ、やべ!今日約束してたの忘れてた!帰るわ」と田仲が焦り家を飛び出す音が聞こえた。田仲は、ちょっとドジッ子でありそれがまた受け要素として祖剃るものがある。

 それにしても、残りの三人のうち葉山は友人レベルの付き合いだが、その他二人はまだ顔見知りレベルの付き合いでありなんか気まずい。その上、酔いが酷くて起き上がれそうにもないからそのまま寝ることにした。
 この状態で気なんか使えないし、とっとと現実逃避しようと考えたのだ。

 家のものを弄られ、万が一腐グッズがバレるといけないので、そのまま飲んでくれて構わないが片付けは自分でしたいからそのままにしておいてくれ、という旨を伝えそのまま、瞼の重みに押し潰された。




 爆睡である。




 寝入ってからどれくらい経ったのだろうか。部屋は静まり返っていて、ガンガンと痛む頭を無理に横に動かして覗き見ると友人達は消え去り、テーブルも片付けられていた。
 あっちゃぁ、弄らないでって言ったのに、と苦々しく思ったが見える所には腐グッズは置いていない。田仲は他のところも漁りそうだが、他の三人は紳士的だ。人の部屋を勝手に漁らないだろうと比較的可能性の高い希望的予測で自分に言い聞かせた。



 ああ、水が飲みたい。

 ふと、喉が渇いて水をのもうと立ち上がろうとした。





「あれ?」




 それがおかしなことに起き上がることが出来ない。


 そうして俺は漸く身ぐるみを剥がされ、両手首を縛られていることに気付いた。




 パニックである。



 面白いことに人は驚きすぎると声もでなくなるもので、俺はただひたすら身動き、手首の拘束をはずそうともがく。犯人はあの三人か、それとも三人のうち誰かが面白がってやったのだろうか。頭いっぱいを埋めるクエスチョンマーク。あいつらがこんな事やるはずない。
 それでも誰かがやったからこそ今の状況があるわけで。

 そんな時真っ先に思いついたのは「からかい目的でやったのか?それとも腐グッズやアナニーグッズがバレて気色悪いから嫌がらせ?どちらかというと前者の方が助かる。いや、例え前者だとしてももう、近寄っちゃいけないだろう。というか、腐バレしたのか!?どうしよう」であり、今となれば真っ先に思う事がそれか?と自分を疑いたくなる。




「あれ、起きたの?」





 神経を頭と腕に集中させているところ、聞こえたのは葉山の声。



 そんな、いや。まさか。



 三人なんて言っておきながら、俺は葉山が犯人とは思っていなかった。なんせ、性格も素晴らしい王子様である。あんな良い奴がこんなことするはずないだろうって。それなのに、まさか葉山が犯人?
 俺は、息を忘れて驚いた。



 この驚きは小野小町級である。



「あはは。光希は本当面白い顔するよね。そんなに意外?俺、王子様なんかじゃないよ?」



「!?」



 初めて聞く葉山の馬鹿にするような言い方。麗しいご尊顔も立派なゲス顔をしていらっしゃる。
 しかも、王子様って。なんですか?
 俺の思考読めてるんですか?



「なんでバレてるのかって思ってるでしょ?」


「えっ」




 やっぱりエスパーなのか?
(極限状態過ぎて頭がおかしくなっている)




「正解は、これ」



 葉山は、立派なゲス顔で、右手をぶらぶらとふってみせた。



「げっ」



 その手の中にあったのは、㊙腐妄想ノート~葉山総攻め編~で、「引き出しのお奥の奥に隠してあったのになんで」なんて驚きと不安と怒りで固まっていてると葉山は、再度馬鹿にしたように笑った。


「光希さ、ずっと引き出し気にしてたし。分かりやす過ぎるでしょ。どんな面白いのが入ってるかと思えばまさか俺が主人公のBL小説だし」

「うっ、そ、それは……」

「言い訳はいいよ。しかも、他の場所も調べてみたら玩具も出てくるしさ。光希、お前ホモなんだろ?しかも人をエロ小説の主人公にしてる変態ホモ。気持ちわりぃ」



 別に俺はゲイではないが、気持ち悪いという決定的侮蔑の言葉は、俺の胸を大きく削った。
 全てが衝撃で。言われた内容も、言った人も。あまりにも現実からかけ離れている。

 もしかしたら、夢じゃないのかと手の項を思い切りつねってみたら凄く痛くて。
 まさか、葉山がこういう性格だったとか、秘密がバレてしまったとか、もう分からなくなって残ったのは大きな恐怖だけだった。
 鳥肌が立ち、体が無意識に震えている。


「何、傷つきました、みたいな顔してんの?最初に酷い事してたのお前だろ?人をキモい妄想に巻き込んで。しかもクローゼットにローション、バイブ、ディルドまで揃って入ってるし、お前突っ込まれたい方なんだろ?そのくせ、お前乳臭いから童貞処女?毎晩人をオカズにして自分の尻にバイブ突っ込んでオナニーしてるって気持ち悪すぎ。ああ、この状況もホモにとってはご褒美か?」


 葉山は俺をたっぷりと貶した後、㊙ノートを投げ捨て、俺の玩具入れBOXを持って近づいてきた。一周回って妙に冷静になったが、この冷静さはまやかしで、テスト後の根拠のない自信ほどに頼りない物で。

 なんとなく、これからの行動が予測できてしまったのは鬼畜系BLも大好きだからだろうか?
 というか、これは葉山×クールビューティー佐々木の時の鬼畜系攻めお仕置きセックスと表して書いた場面ににクリソツである。
 だが、葉山×佐々木はノートの中盤らへんに書いてあるし、気持ち悪いと思う人がそこまで読み進めるとは思えない。まさかの妄想と現実の一致に、俺、凄くね、と自画自賛した。



 が、事態は深刻である。



 自分が萌える為に書いた妄想だから目の前にそれがあるのは正直萌える。だが、残念なことに相手は佐々木ではない。俺である。しかも愛が一切ない。
 妄想は自分が入らないから面白いのであって、俺がそれに巻き込まれるのはただの恐怖でしかないとこの時しみじみと痛感した。いや、しみじみとする時間はなかったけどさ。


 俺の予想が正しければ、当たってしまっているのなら、今から俺はあの玩具でうふんあはんな目にあってしまうだろう。実はドッキリでしたなんて希望とっくに捨てている。



「随分大人しいんだな。本当は、こうしてほしかったのか?この変態が」


「いやいや、それはないから!」


 混乱で一人悶々と考えていたが、俺はやっとここで犯人(葉山)を説得して宥めるという解決法を思い出した。もっと早く思いつけし!!!



「その、違うんだ!俺はそもそもゲイじゃないし、掘られたいとも思ってない!!お前らを使って腐った小説を書いたのは悪いと思ってるから!!!!もうしないから許して下さい!!」

「はあ?ホモじゃないのにこんなエロイ玩具持ってるのか?信じられるわけないだろ」



 た、確かに!!
 葉山の言うことはごもっともで、あの腐妄想を見たなら信用のなくなる気持ちは分かる。それでも諦めるわけにはいかない!!
 俺は、うふんあはんな目にあいたくない!!



「それは、その、趣味で弄ってたらはまっちゃっただけで。男に掘られたいなんて思ってないし。その、BL好きだからさ、自分でも試したてみたいって思ったというか。こう、本当に気持ちいいのかなとか男なら思うしさ、えっと男の快感は一瞬だけど女の快感は長く続いて、その女の快感を感じてみたかったというか・・・・・と、ともかくアナ二ーはするけど別に男が好きな訳じゃないです!!」


 あれ、なんか。話がおかしな方向へ向かってるような…………案の定葉山様は、何言ってんだこいつ、という顔でドン引きしていらっしゃる。
 いや、もう全裸にされてる時点で羞恥心とかふりきれてるから、ちょっと性癖暴露しちゃったけどそれで解放されるならそれでいい。


「だ、だから俺はゲイじゃないし、お前らに掘られてたいなんて思ってもいない。お前が許せないってなら俺はもう二度と近づかないから。書いた小説も全部消すし、勿論もう二度と書かないから!!!ほんと、マジ勘弁してください!!!」


 最後の方は、もう涙声である。
 たかが、腐小説を書いただけでここまでするのは酷くないか、なんて事は見なかったことにしてひたすらに許しを請う。なんなら今見た葉山の本性も見なかったことにしてもいい。
 だから、解放してください。
 気分は、被害者女性からナイフを喉元に押し付けられている下着泥棒の気分。狙った獲物が強すぎて反対にこっちが被害者になっちゃうわ!!!









 そんな必死の願いが届いたのだろうか。






「…………そうか」



 今までの事が嘘のように、葉山は納得した表情になり、怒りの滲みでていた声音も静かに落ち着いた。
 まるで、憑き物が堕ちたような急変振りに頭が追い付かないがどうやら状況は良い方向へ向かっていることは分かったので、俺はそれ以上何も言わず事のな成り行きを見守る。

 それから葉山は、考えるような顔つきで俺の方に近づいてきた。




 きっと、解放してくれるのだろう。



 ほっとしながらも、全裸で流石に恥ずかしいので体を横に傾け腕を葉山のいる方向へ差し出した。
 怒涛の急展開であったがこれで、ひとまず決着はついたのかと安心感が震えた体を鎮ませる。



「そうか、お前本当にホモじゃないんだな。今の状況で嘘がつけるとは思えないし」



 体を傾けていて葉山がどこにいるか見えなかったが、聞こえた声がすぐ耳の後ろにあって。やっと腕の拘束をとってくれるのか、と張りつめていた気を少しぬいた。



「でもさ、お前のせいで俺が不愉快な思いをしたことに変わりはないし。ホモでないにしてもお前が変態なことに変わりはないだろ。アナニー大好き光希君?俺、お前の事毒にも薬にもならないモブ位にしか思ってなかったけど意外と面白い奴だし、俺を楽しませられたら許してやるよ」



 顎を捕まれてぐいっと無理矢理向かされた先には、先程嫌なほど見た葉山のゲス顔のアップ。きゃっ、顎くい!なんて腐ポイントに興奮しないくらいには唖然としていた。



「俺に酷いことしたんだから行動で誠意見せるよなぁ?ちょっと位酷い目あっても我慢するよな?お前がつまんない奴だったらこの玩具尻に突っ込んで、ぺニス結んで出させないようにしてからアヘ顔ダブルピースの写真ばらまこうと思ってたけど、それは、許してやるって言ってんだ。でもつまんなくなったら気が変わっちゃうかもなぁ?ほら、お前みたいな変態は、もう次の展開が読めてんだろ?何をすればいいか分かってるよな」




 神様これは、あまりにも鬼畜過ぎではないでしょうか?
 ㊙ノートにもここまでの鬼畜行為は書いていないませんよ?ちょっとファンタジーの越えてますよね?



「何呆けてんだ?サービスで俺が弄ってやるからお前は、精々エロく乱れて俺を楽しませろ。とびっきりキモくてエグいのじゃないとすぐ萎えちゃうからな?気を付けろよ。社会的に死にたくないだろ」





















 結局俺は㊙ノートに書いた内容と同じような鬼畜プレイを強いられた。ホモキモいとか言うくせに、本物のぺニス突っ込む以外ほぼホモプレイじゃねえか!!
 イケメンのゲス顔ゲスボイスで罵られながらも俺は葉山を飽きさせないよう、それこそ気持ち悪い位に喘いだし、エロ単語を連発して乱れまくった。葉山も嬉々として「この変態が」と攻めの手を激しくしたから俺の反応はあっていたのだと思う。というか、あそこまでやったのに満足してもらわない困る。必死の醜態が写ったその動画の濃さは、あのピ○ス出版のBL漫画を超えるだろう。ああ、嫌だ。



 結果的に葉山は「面白かったからばらさないでやるよ。また今度も遊ばせろよ?」と鬼畜の限りの御言葉を失神間近の俺に残し部屋を出ていった。








 過去の俺よ。葉山の属性は、腹黒系鬼畜ドエスだったよ。

 ㊙ノートに書いた小説では、葉山×田仲が王子様攻め、葉山×郷田はヘタレ攻め、葉山×佐々木の鬼畜攻めで描いた。

 正解は、三番目だったわけだ!


 ……やっぱり駄目だ。どう考えてもポジティブになれない。










 目が覚めたのは朝の10時。

 今日が日曜でよかった、と意識的に自分を励ましながら体を見ると、色々な液体でべとべとになっており、昨日の事が本当にあった事なのだと思い知った。

 夢落ちじゃないかと期待していたのに。

 両手の拘束は解かれていたので、取り敢えずガンガンと痛む頭とイキ過ぎて怠い体を引きずってシャワーを浴びた。少し落ち着ついて、本当の冷静さを迎えるとこれからどうしようかと、心配で仕方なくなる。



 一番良いことは、 もう関わらないことだか、あの言葉からまたこのような行為を強制させられる気がするし、何より動画を撮られている。




「これから俺はどうなるんだ…………」




 怒涛のBL展開だったにも関わらず、まったく萌える事が出来ず、びしょびしょのあ頭のまま、部屋に戻ると机にメモが残されているのに気づいた。



 昨日の夜までなかったそれ。


 まさか、葉山が残したのだろうかと恐る恐る見てみると。










 勿論、昨日の夜のは冗談だよ。ノートにも書く位だからこういうプレイ好きなのかな、と思って悪のりしちゃった。ごめんね。でも、エロくて可愛かったよ。    悠斗











「はい。キャパの限界迎えました。葉山さん、一体どういうことでしょうか?」




 どういうことなんだ!?
 昨日の鬼畜行為は本当に冗談なのか。それともこのメモも冗談なのか。そもそも、冗談だとしたらそれはそれでヤバイんじゃないか。

 もう、何が何だか分からない。








 どんなに考えてもどれが真実なのか分からなかった。






 答えは明日、大学で葉山に会えば分かるだろう。








 今回の事件で俺は大事な教訓を得た。







『友人で腐妄想をすると痛い目に会うからやめときましょう』





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