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4「地下世界シャンバラ」
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4「地下世界シャンバラ」
「ピリカ~ピリカ~~」
外からピリカを呼ぶ声がした。 声の主は愛犬モモ。
「はいはい、解りましたからもっと静かに吠えなさいね、モモったら…で、なに?」
「ピリカ、空見て!」
ピリカは空を見上げて仰天。
な・な・なんと龍のRONが上空から見下ろしてた!
「RONさんおはようございます」
「行こう」
「行こうって、何処にですか?」
「シャンバラ」
「シャンバラ? 何ですかそれ?」
「地下世界シャンバラ」
次の瞬間ピリカはRONの背中にまたがり倶知安から羊蹄山側に向って一直線に飛んだ。
山の中腹で速度を落とし林の中にそのまま突入した。
「あっ!危ない!」ピリカは思わず叫んだ。 と、次の瞬間、林を通り抜けRONは何事もなかったようになおも洞穴を下へ下へと進んだ。 どの位下降したか検討がつかず不安が増してきた時だった。 前方に光が見えてきたと思った瞬間二人は巨大な空間に出た。
「ここは?」
「シャンバラ」
ピリカは聞き直した「シャンバラ……? それはなんですか?」
「自分の目で確かめなさい。 私はここまで」次の瞬間RONはフッと消えてしまった。
一人残されたピリカは恐る恐る先に進むことにした。 そこはとにかく明るくて空気に濁りが無く、完璧に透明なのが印象的だった。 空には太陽らしい明るく光る物体はあるが、眩しさが全然ない。 山が見えるが不思議と距離感を感じさせない。 不思議に思っていたら横から声がした。
「空気が澄んで濁りがないから、山が緑のままに視えるの、だから遠近感が地上と違う」
な~るへそ、そんなものなのか? ピリカは納得した。
「えっ? だ、だ、誰?」
「私はこの国のガイドのルー。 宜しく」
「はぁ、私ピリカです」
「はい、存じております」
「存じておりますって、私はあなたと初めてですけど?」
「そのうちピリカさんにも私の言っている意味が解ります」
「はぁ? そんなものですか?」
「そんなもんです。 この世界はシャンバラ、今のあなたの世界よりずっと以前から存在します。 位置的には地球の奥深くの異空間の世界。 東洋では桃源郷と呼ばれるところがこのシャンバラ。 聞くよりも視た方が早いから少し散歩しましょう」
今のピリカは圧倒され、思考がとまり言葉がなかった。
「その前に、この世界には決まりのようなものはありません。 というか必要としないといった方が適切。 ただ人の後ろには立たない。 この世界では失礼な行為になるから。 これは厳守」
「あっ、はい、わかりました」
「では移動しますから私の手を握って」
二人が手を繋いだ瞬間だった。
「はい、目を開けて結構」
ピリカはゆっくりと目を開いた。 目に映った世界は牧歌的で、おとぎ話の挿し絵に出てくるような光景。 小川が街の中心を流れ、綺麗な花が咲き乱れ、小鳥と動物たちが会話していて、そこにいる人はみんなが穏やかな顔をしているのが印象的だった。
「ここ天国? もしかして私って死んだわけ?」
ピリカは急に動揺して不安になってきた。
「死んでません」
「じゃあ、ここはなに?」
「先程説明したシャンバラのほぼ中心で名はウルの都。 シャンバラを見て回る前に簡単にこの世界の成り立ちを説明します。 地球では約一万二千五百年ほど前、アトランティスとレムリアという大陸が存在していた。 主導権はアトランティスが握ってた。 今の文明よりもはるかに発展してた。 でも、肝心な心が伴ってなかったから物質的なことばかり暴走してしまったの。 人間の集合意識と地球の意識はエーテル層というところで繫がってる。 つまり人間の集合意識の乱れがそのまま地球に影響を及ぼし地球の極が移動してしまった。 その結果、大津波が発生し当時の文明は一夜にして水没してしまった。 多くの人命が失われた。 たった一夜で。
でも、ごく一部の人は飛行する乗り物でエジプトなどに避難しました。 ピラミッドの中にはタブレットが納められていてアトランティスの叡智が記録されている。 そのうち発見されるでしょう。 その大惨事から生き残った人間は、地上に住める環境は無いと地下での生活を余儀なくされたの。 地上環境が変化して人間が住めるようになり、人間は地下から地上に出るようになった。 それが今の地球文明の始まり。
中には地下の生活を好む人も多く、その末裔がこのシャンバラの住人達。 言い方を変えるとここの住人も地上世界の住人もみんな同類種。 視た感じが違うのは全て環境のせいです。 そして心の持ち方のせいです。 ここまでの説明でなにか疑問は?」
「地上も地下世界も親戚との説明ですが、こちらの人は少し透き通っていて光って見えますけど?」
「お察しの通り、こちらは半霊半物質なんです。 ピリカさんのいる世界は粗雑な物質の世界。物質界と霊界その中間の半霊半物質の世界つまりここシャンバラ」
「じゃあ今の私は?」
「ピリカさんも半霊半物質」
「じゃあ倶知安の家にいる私の身体は?」
「良い質問です。 二十パーセントが向こうで、八十パーセントがこちらです。 あちらは今二十パーセントの意識で生きています。 死んではいません安心して下さい。 元の身体に戻ってもここでの記憶は残ってます。 そこが夢と違うところ、そして戻った時の時間はRONが現われた時刻とほぼ同じです」
「?そこのところ解りません」
「この世界には時間の概念が無いんです。 いつも今! 地上のような時間の流れが無いのです。 思ったと同時に形になる世界それが本来のありかた。 ピリカさんの世界は時間という制約というか錯覚の中で生きているんです」
「時間が錯覚……? なんのこと?」
「突然ですがピリカさんはどんな動物が好きですか?」
「動物、パンダ」
次の瞬間ピリカの隣にパンダが座っていた。
「えっ?&$=#$ 」ピリカは驚いた。
ルーが微笑んで「これが時間の概念が存在しない証しで思いが即形になる。 だから、ここには地上のような嘘偽りは通用しません。 何故ならすぐ形になる世界だから。 嘘、偽りは存在しません。 どうですか理解できましたか?」
「はい、なんとなくですけど…… あっ、それとルーさんはいつもその様なぼくとつとした話し方するんですか?
「私の個性です。 次に向こうに視える集団の中を覗いてみましょう」
瞬間、ルーが指さした集団の中に二人は移動していた。
「皆さん、こちらピリカさんです。 地上からRONさんが連れてきてくれました」
「ピリカですこんにちは」
「よろしく」
不思議と皆の親しみの波動がピリカを包んだ。 ピリカはその波動に優しさと懐かしさと慈しみを感じて急に涙が溢れてきた。 同時にその集団も泣いていた。
「解りますか? ピリカさんの思いがそのままこの集団にダイレクトで繋がったんです。 あなたとここの住人は繫がってるのです」
二人はその後、自然の散策などシャンバラ世界を探訪してきた。
「ところで、ここの人達は食事しないんですか?」
「基本、食事という概念はありません。 ピリカさん達のような肉体ではないから」
「でも、身体があるから維持するために?」
「ピリカさんが肉体に視えているのは、あなたの固定観念がそうさせてるからです。 意識あるものは人の形をしているという思いこみがそのように映るのです。 日本では神様も人の形をしてるという観念があります。 本来、神に形はありません。 身近に感じたいので愚像化してるのです」
「じゃあ、病気は無いの?」
「当然ありません。 当然病気という概念もありません」
「出産は?」
「意識の結合はあります。 それで進化した意識になるんです。 基本性別もありません」
「だってあの集団には色んな人が?」
「個性はあります」
「じゃあ、私はみんなからはどういう形に見えてるのかな?」
「ピリカさんの表面意識が女性なのでまだ女性形です」
「まだって?」
「そのうち男女の融合というか超越する時が来ます。 その時はピリカさんに男女の区別が無くなります。 何度もいいますがここは想念の世界でもあるんです」
「そうでしたね。 物覚えが悪いもので……」
「覚える必要は無いんです。 もう既に知ってることなのです。 ピリカさんが忘れたと思ってるだけです」
「だって私、聞いたこと一度もありませんけど」
「むっとしないで下さい。 ピリカさんにも沢山の前世があって既に学んだことなんです。
今はむこうの世界に近いだけで思考が混乱してます。 少し時間が経つとすぐ覚醒します。 もうそろそろ戻ろうと思いますが、他にこの世界について質問は?」
「単純な質問ですけど、私はなんでシャンバラに来たのでしょうか?」
「あなたの故郷でもあるからです」
「帰ってから人に話しても構わないでしょうか?」
「構いません、でも多くの人は信用してくれないでしょうけど」
「もし、ここに興味ある人がいたら教えても構いませんか?」
「全然構いません。 でもここは誰でも来られる所ではありません。 容易に出入り出来ないのです」
「私はまた来られますか?」
「RONに頼んで下さい。 ピリカさんは出入り自由です」
「あと、ルーさんは私となんの関係があるんですか?」
「ルーはピリカさんであり、ピリカさんはルーですからいつでも一緒です。 今日は会話が出来てよかった」
次の瞬間、家の前で愛犬モモを相手にじゃれ合っているピリカの姿があった。
「えっ? リアル! ねぇ、モモ、私、ずっとここにいたの?」
「そうだよどうしたの? なんで?」
「わたし、変じゃなかった??」
「いつも変だけど、なんで?」
「なにそれ、ガッペむかつく、散歩してやらないからね! モモのバ~カ」
「ピリカ、噛んでやろうか」
「ごめん……」
「今更おそい、そのうち噛む」
夕食の時間。
「お父さん、シャンバラって聞いたことある?」
「シャンバラって伝説の地下都市っていうやつか?」
「え~、お父さん知ってるんだ。 わたし、今日行ってきたんだよ」
「どうやって?」
「龍のRONに乗って、羊蹄山のニセコ側の中腹に入口があったんだよ」
「お前、マジか?」
「本当だよなんで……?」
「じゃあ、どんな所だったんだい?」
ピリカは見聞きしたことを説明した。
「ピリカの話しは信憑性がある。 昔、父さんが読んだドウリル博士が書いた本の内容と酷似してるよ。 凄い体験したな。 また行くのかい? 今度いつ行くの?」
「わからない、今日だっていきなりRONが現われて、予告無しで連れて行かれたんだもの」
母、洋子が入ってきた。
「向こうで聞いてたけど、それってお父さんが昔羊蹄山には地下世界と行き来できる洞窟があるって、むかし話してたけど本当だったのね、お父さんは何処で聞いたの?」
「昔、真狩村に住んでた頃、隣のセキロウ爺さんから聞いたんだ。 なんでも将来シャンバラと地上とが結ばれるだろうっていう話をよく聞かされたもんだ。 その爺さん変わり者だからみんなははなし半分で聞いてたんだ。 父さんもそのうちの一人なんだけどね。 今思うと、ちゃんと話しを聞いておけばよかったかな、ちょっと悪いことしたかな?」
ピリカが「うん、それは父さん悪いことしたと思うよ」
「おい責めるなよ。その時はそう思ったんだから」
猫のミミが寄って来た。
「ねぇピリカ、耳のうしろ、なでなでして~ねぇ」
「待ってね、もう少ししたらやってあげるから」
「今やって……ねぇ!」
「ミミ、うるさい」
「ウガ、ピリカむかつくけど」
「あんたねぇ、モモもミミも自分勝手なんだから」
「ピリカ、うざい」
「ミミ、なんか言った?」
その様子を見ていた父親が「ピリカ、ミミなんて言ってるの?」
「ミミの裏なでなでしてだって」
「ミミおいで。お父さんがやってあげるよ」
ミミは父親の膝の上に乗った。
「ピリカのバ~カ」
「ミミ、あんたねぇ、ぶっ飛ばすよ」
母親が「ピリカ、よしなさい」
ミミが「そうだそうだ、ピリカ、べ~だ」
ピリカは母親に「ミミが私にべ~っていってる」
「ミミもいい加減にしなさい餌あげないよ」
「ミャオ~$%&&”#’’%Y:デブ、ババァ」
ことばお母さんに通訳していいのかい?」
それを聞いてミミは一目散に逃げた。
母親が「ピリカ、今ミミはなんて言ったの?」
「デブ、ババァだって」
「ミミ! チョットこっちおいで! お風呂に入れるよ! たくもう!」
父親が「我が家はピリカの通訳のおかげで飽きないな」
「冗談じゃないわ! 毎日餌を与えてるのは誰だと思ってるの? ミミ、こっちおいで!」母の怒りはおさまらない。
横ではピリカと父親が吹き出していた。 ミミはモモの小屋にいた。
「ねぇモモ、お母さんにデブ、ババァって言ったら凄く怒られちゃった。 ここで寝ていい?」
「ああ、いいけど、そんなこと言ったら駄目だよ。 お母さんはそういうことに傷つく年頃なんだから」
「うん、わかった。 私、寝るもん」
「ハイ、お休みミミ」
しばらくしてピリカがモモのところにやってきた。
「ねぇ、ミミ来なかった??」
「知らないって言って」ミミの小さな声がした。
「知らないし見ていない」
「あっ、そうかい? ミミの好きなお魚あるのに」
小屋から声がした「います、ここにおります。ミャ」
「はいどうぞ。これはミミの分。 ちゃんとお母さんに謝っておきなよ」
「ピリカ謝って」
「なんで私があんたの変わりしなきゃいけないのよ、ぶっ飛ばすよ!」
「ミャ!」
「ピリカ~ピリカ~~」
外からピリカを呼ぶ声がした。 声の主は愛犬モモ。
「はいはい、解りましたからもっと静かに吠えなさいね、モモったら…で、なに?」
「ピリカ、空見て!」
ピリカは空を見上げて仰天。
な・な・なんと龍のRONが上空から見下ろしてた!
「RONさんおはようございます」
「行こう」
「行こうって、何処にですか?」
「シャンバラ」
「シャンバラ? 何ですかそれ?」
「地下世界シャンバラ」
次の瞬間ピリカはRONの背中にまたがり倶知安から羊蹄山側に向って一直線に飛んだ。
山の中腹で速度を落とし林の中にそのまま突入した。
「あっ!危ない!」ピリカは思わず叫んだ。 と、次の瞬間、林を通り抜けRONは何事もなかったようになおも洞穴を下へ下へと進んだ。 どの位下降したか検討がつかず不安が増してきた時だった。 前方に光が見えてきたと思った瞬間二人は巨大な空間に出た。
「ここは?」
「シャンバラ」
ピリカは聞き直した「シャンバラ……? それはなんですか?」
「自分の目で確かめなさい。 私はここまで」次の瞬間RONはフッと消えてしまった。
一人残されたピリカは恐る恐る先に進むことにした。 そこはとにかく明るくて空気に濁りが無く、完璧に透明なのが印象的だった。 空には太陽らしい明るく光る物体はあるが、眩しさが全然ない。 山が見えるが不思議と距離感を感じさせない。 不思議に思っていたら横から声がした。
「空気が澄んで濁りがないから、山が緑のままに視えるの、だから遠近感が地上と違う」
な~るへそ、そんなものなのか? ピリカは納得した。
「えっ? だ、だ、誰?」
「私はこの国のガイドのルー。 宜しく」
「はぁ、私ピリカです」
「はい、存じております」
「存じておりますって、私はあなたと初めてですけど?」
「そのうちピリカさんにも私の言っている意味が解ります」
「はぁ? そんなものですか?」
「そんなもんです。 この世界はシャンバラ、今のあなたの世界よりずっと以前から存在します。 位置的には地球の奥深くの異空間の世界。 東洋では桃源郷と呼ばれるところがこのシャンバラ。 聞くよりも視た方が早いから少し散歩しましょう」
今のピリカは圧倒され、思考がとまり言葉がなかった。
「その前に、この世界には決まりのようなものはありません。 というか必要としないといった方が適切。 ただ人の後ろには立たない。 この世界では失礼な行為になるから。 これは厳守」
「あっ、はい、わかりました」
「では移動しますから私の手を握って」
二人が手を繋いだ瞬間だった。
「はい、目を開けて結構」
ピリカはゆっくりと目を開いた。 目に映った世界は牧歌的で、おとぎ話の挿し絵に出てくるような光景。 小川が街の中心を流れ、綺麗な花が咲き乱れ、小鳥と動物たちが会話していて、そこにいる人はみんなが穏やかな顔をしているのが印象的だった。
「ここ天国? もしかして私って死んだわけ?」
ピリカは急に動揺して不安になってきた。
「死んでません」
「じゃあ、ここはなに?」
「先程説明したシャンバラのほぼ中心で名はウルの都。 シャンバラを見て回る前に簡単にこの世界の成り立ちを説明します。 地球では約一万二千五百年ほど前、アトランティスとレムリアという大陸が存在していた。 主導権はアトランティスが握ってた。 今の文明よりもはるかに発展してた。 でも、肝心な心が伴ってなかったから物質的なことばかり暴走してしまったの。 人間の集合意識と地球の意識はエーテル層というところで繫がってる。 つまり人間の集合意識の乱れがそのまま地球に影響を及ぼし地球の極が移動してしまった。 その結果、大津波が発生し当時の文明は一夜にして水没してしまった。 多くの人命が失われた。 たった一夜で。
でも、ごく一部の人は飛行する乗り物でエジプトなどに避難しました。 ピラミッドの中にはタブレットが納められていてアトランティスの叡智が記録されている。 そのうち発見されるでしょう。 その大惨事から生き残った人間は、地上に住める環境は無いと地下での生活を余儀なくされたの。 地上環境が変化して人間が住めるようになり、人間は地下から地上に出るようになった。 それが今の地球文明の始まり。
中には地下の生活を好む人も多く、その末裔がこのシャンバラの住人達。 言い方を変えるとここの住人も地上世界の住人もみんな同類種。 視た感じが違うのは全て環境のせいです。 そして心の持ち方のせいです。 ここまでの説明でなにか疑問は?」
「地上も地下世界も親戚との説明ですが、こちらの人は少し透き通っていて光って見えますけど?」
「お察しの通り、こちらは半霊半物質なんです。 ピリカさんのいる世界は粗雑な物質の世界。物質界と霊界その中間の半霊半物質の世界つまりここシャンバラ」
「じゃあ今の私は?」
「ピリカさんも半霊半物質」
「じゃあ倶知安の家にいる私の身体は?」
「良い質問です。 二十パーセントが向こうで、八十パーセントがこちらです。 あちらは今二十パーセントの意識で生きています。 死んではいません安心して下さい。 元の身体に戻ってもここでの記憶は残ってます。 そこが夢と違うところ、そして戻った時の時間はRONが現われた時刻とほぼ同じです」
「?そこのところ解りません」
「この世界には時間の概念が無いんです。 いつも今! 地上のような時間の流れが無いのです。 思ったと同時に形になる世界それが本来のありかた。 ピリカさんの世界は時間という制約というか錯覚の中で生きているんです」
「時間が錯覚……? なんのこと?」
「突然ですがピリカさんはどんな動物が好きですか?」
「動物、パンダ」
次の瞬間ピリカの隣にパンダが座っていた。
「えっ?&$=#$ 」ピリカは驚いた。
ルーが微笑んで「これが時間の概念が存在しない証しで思いが即形になる。 だから、ここには地上のような嘘偽りは通用しません。 何故ならすぐ形になる世界だから。 嘘、偽りは存在しません。 どうですか理解できましたか?」
「はい、なんとなくですけど…… あっ、それとルーさんはいつもその様なぼくとつとした話し方するんですか?
「私の個性です。 次に向こうに視える集団の中を覗いてみましょう」
瞬間、ルーが指さした集団の中に二人は移動していた。
「皆さん、こちらピリカさんです。 地上からRONさんが連れてきてくれました」
「ピリカですこんにちは」
「よろしく」
不思議と皆の親しみの波動がピリカを包んだ。 ピリカはその波動に優しさと懐かしさと慈しみを感じて急に涙が溢れてきた。 同時にその集団も泣いていた。
「解りますか? ピリカさんの思いがそのままこの集団にダイレクトで繋がったんです。 あなたとここの住人は繫がってるのです」
二人はその後、自然の散策などシャンバラ世界を探訪してきた。
「ところで、ここの人達は食事しないんですか?」
「基本、食事という概念はありません。 ピリカさん達のような肉体ではないから」
「でも、身体があるから維持するために?」
「ピリカさんが肉体に視えているのは、あなたの固定観念がそうさせてるからです。 意識あるものは人の形をしているという思いこみがそのように映るのです。 日本では神様も人の形をしてるという観念があります。 本来、神に形はありません。 身近に感じたいので愚像化してるのです」
「じゃあ、病気は無いの?」
「当然ありません。 当然病気という概念もありません」
「出産は?」
「意識の結合はあります。 それで進化した意識になるんです。 基本性別もありません」
「だってあの集団には色んな人が?」
「個性はあります」
「じゃあ、私はみんなからはどういう形に見えてるのかな?」
「ピリカさんの表面意識が女性なのでまだ女性形です」
「まだって?」
「そのうち男女の融合というか超越する時が来ます。 その時はピリカさんに男女の区別が無くなります。 何度もいいますがここは想念の世界でもあるんです」
「そうでしたね。 物覚えが悪いもので……」
「覚える必要は無いんです。 もう既に知ってることなのです。 ピリカさんが忘れたと思ってるだけです」
「だって私、聞いたこと一度もありませんけど」
「むっとしないで下さい。 ピリカさんにも沢山の前世があって既に学んだことなんです。
今はむこうの世界に近いだけで思考が混乱してます。 少し時間が経つとすぐ覚醒します。 もうそろそろ戻ろうと思いますが、他にこの世界について質問は?」
「単純な質問ですけど、私はなんでシャンバラに来たのでしょうか?」
「あなたの故郷でもあるからです」
「帰ってから人に話しても構わないでしょうか?」
「構いません、でも多くの人は信用してくれないでしょうけど」
「もし、ここに興味ある人がいたら教えても構いませんか?」
「全然構いません。 でもここは誰でも来られる所ではありません。 容易に出入り出来ないのです」
「私はまた来られますか?」
「RONに頼んで下さい。 ピリカさんは出入り自由です」
「あと、ルーさんは私となんの関係があるんですか?」
「ルーはピリカさんであり、ピリカさんはルーですからいつでも一緒です。 今日は会話が出来てよかった」
次の瞬間、家の前で愛犬モモを相手にじゃれ合っているピリカの姿があった。
「えっ? リアル! ねぇ、モモ、私、ずっとここにいたの?」
「そうだよどうしたの? なんで?」
「わたし、変じゃなかった??」
「いつも変だけど、なんで?」
「なにそれ、ガッペむかつく、散歩してやらないからね! モモのバ~カ」
「ピリカ、噛んでやろうか」
「ごめん……」
「今更おそい、そのうち噛む」
夕食の時間。
「お父さん、シャンバラって聞いたことある?」
「シャンバラって伝説の地下都市っていうやつか?」
「え~、お父さん知ってるんだ。 わたし、今日行ってきたんだよ」
「どうやって?」
「龍のRONに乗って、羊蹄山のニセコ側の中腹に入口があったんだよ」
「お前、マジか?」
「本当だよなんで……?」
「じゃあ、どんな所だったんだい?」
ピリカは見聞きしたことを説明した。
「ピリカの話しは信憑性がある。 昔、父さんが読んだドウリル博士が書いた本の内容と酷似してるよ。 凄い体験したな。 また行くのかい? 今度いつ行くの?」
「わからない、今日だっていきなりRONが現われて、予告無しで連れて行かれたんだもの」
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ピリカが「うん、それは父さん悪いことしたと思うよ」
「おい責めるなよ。その時はそう思ったんだから」
猫のミミが寄って来た。
「ねぇピリカ、耳のうしろ、なでなでして~ねぇ」
「待ってね、もう少ししたらやってあげるから」
「今やって……ねぇ!」
「ミミ、うるさい」
「ウガ、ピリカむかつくけど」
「あんたねぇ、モモもミミも自分勝手なんだから」
「ピリカ、うざい」
「ミミ、なんか言った?」
その様子を見ていた父親が「ピリカ、ミミなんて言ってるの?」
「ミミの裏なでなでしてだって」
「ミミおいで。お父さんがやってあげるよ」
ミミは父親の膝の上に乗った。
「ピリカのバ~カ」
「ミミ、あんたねぇ、ぶっ飛ばすよ」
母親が「ピリカ、よしなさい」
ミミが「そうだそうだ、ピリカ、べ~だ」
ピリカは母親に「ミミが私にべ~っていってる」
「ミミもいい加減にしなさい餌あげないよ」
「ミャオ~$%&&”#’’%Y:デブ、ババァ」
ことばお母さんに通訳していいのかい?」
それを聞いてミミは一目散に逃げた。
母親が「ピリカ、今ミミはなんて言ったの?」
「デブ、ババァだって」
「ミミ! チョットこっちおいで! お風呂に入れるよ! たくもう!」
父親が「我が家はピリカの通訳のおかげで飽きないな」
「冗談じゃないわ! 毎日餌を与えてるのは誰だと思ってるの? ミミ、こっちおいで!」母の怒りはおさまらない。
横ではピリカと父親が吹き出していた。 ミミはモモの小屋にいた。
「ねぇモモ、お母さんにデブ、ババァって言ったら凄く怒られちゃった。 ここで寝ていい?」
「ああ、いいけど、そんなこと言ったら駄目だよ。 お母さんはそういうことに傷つく年頃なんだから」
「うん、わかった。 私、寝るもん」
「ハイ、お休みミミ」
しばらくしてピリカがモモのところにやってきた。
「ねぇ、ミミ来なかった??」
「知らないって言って」ミミの小さな声がした。
「知らないし見ていない」
「あっ、そうかい? ミミの好きなお魚あるのに」
小屋から声がした「います、ここにおります。ミャ」
「はいどうぞ。これはミミの分。 ちゃんとお母さんに謝っておきなよ」
「ピリカ謝って」
「なんで私があんたの変わりしなきゃいけないのよ、ぶっ飛ばすよ!」
「ミャ!」
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