オネェの髭Ⅰ(短編集)

當宮秀樹

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10ゲンゾウ霊界探訪記(平行宇宙)

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10ゲンゾウ霊界探訪記(平行宇宙)


 ゲンゾウが垣間見た世界の中でも異質の世界のことを語っていた。 

それは、平行宇宙(パラレルワールド)の存在で、平行した幾つもの宇宙が同時に存在しているというのだ。 
ゲンゾウが各宇宙に同時に何人も存在し、何かしらの影響を及ぼしているというものだった。

この世界のゲンゾウは霊界を探訪し、日記形式で書籍も出版しているが、別のパラレルでは哲学者だったり、
平凡な会社員だったりと複数の世界が記載されていた。 その日記を少し見てみよう。

 僕はいつものようにノートと鉛筆を枕元に置いて就寝した。 
見聞きした世界を忘れないうちに出来るだけ克明に記録する目的だ。 
その日は今までとは一風変わった世界をみることになった。 
なぜか僕は、数人の僕を同時に客観的に眺めていた。 
霊界探訪の時の僕は主観的な見方をするけど、今回の僕の意識は複数あり、その全てを同時に把握できている。

その一つの世界では学校の教師であり高校で物理を教えていた。 
その僕は、アインシュタインが好きで相対性理論や原子物理学を解りやすく簡単に生徒達に教える教師。 
印象として自分でいうのもなんだが、ものごとを捉える生真面目さがよく似ていた。

もうひとつは、ジャズピアニストの僕だ。 
ジャズ音楽が好きがそれがこうじて、自らなった商売らしいけど、その僕は譜面が苦手なタイプだった。 
少し興味を覚えた。 最初から決まった楽譜にどうも反発したくなるらしい。 
楽譜のしっかりしたクラッシック音楽が苦手だった。 
だからジャズのようなアドリブの多い音楽が僕には向いていると思ったみたいだ。

他に、建築設計の仕事をしている自分もいた。 奇抜な設計で人気あったようだ。 い
ずれにしても僕は、人と同じ事が退屈というか苦手なタイプらしい。 
パラレル世界の僕の共通点は「創造」がコンセプトだった。

この世界の僕にもやはり同じ事が云える。他人と同じ事や真似事がじつに退屈で苦手だ。
人の真似事をするのもいいが、多少こつを覚えるとすぐにアレンジしたくなる。 
又は違う事がしたくなったりする。 逆に、同じ事を何年も何年も繰り返し出来る人は、
凄いと思う。 尊敬するし僕には絶対出来ない。

話しを戻すが、これが僕の視たパラレル世界の一部でありパラレルの自分であった。 
近年、パラレルワールドを題材にする映画が増えてきたがあれは、映画の話しだけではない。
僕は自分のパラレルを幾人も視てきて知っている。

本来、文章を書くのは大の苦手である。 ここでこうして文章を書いているのは、
パラレルに文章を書く僕がいたからだ。 何度もその自分に重なって得た能力なんだ。
結論から言おう。 自分が考える事はパラレルでの自分も考えたり実行している。
逆をいうと、自分の発想が実現出来ない事は、パラレルの自分でも考えてないし当然やっていない。 
自分の考える事は絶対に可能性があるし、やりこなせるパワーが既に備わってると考えていいと思う。

創造イコール可能性であり現実であるという事を霊界を旅して実感した。 
つくづく人間には無限の可能性があると思う。 その可能性を小さい殻に閉じ込めているのは、
なにをかくそう、世界であり日本であり地域であり家族であり、そして自分だった

霊界(意識)の上に行けば行くほど広がりが増す。 ただし魂の数は少ない。 
最上階は、宇宙大の広がりだと僕は思う。 最上階が存在するが、僕が行ったことがないので定かではない。

これは僕が視た宇宙。当然、人によって見識や解釈も変わると思う。 それも、ひとつの宇宙だから。

宇宙は僕……

僕は宇宙……

この先も……

永遠に……

永遠に……
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