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Chapter 7
⑭
しおりを挟む——恭介さんを『ほかのだれか』に取られる……?
「麻琴さん、人生にはね、つまらない意地を張ってると、取り返しのつかないことが起こりうるんだよ?」
鮫島が穏やかに微笑みながら言った。でも、やっぱり目が笑っていなかった。
「恭介とは長いつき合いだけど、一人の女性のためにここまでするのって、本当に見たことないのよ?それは……わたしも含めてよ」
麻琴を見つめて、礼子がしみじみと言った。
「だから、そんな恭介のことを、『身に余る』だとか『もったいない』だとか、そういう理由で拒絶しないであげてほしいのよ」
そして、ふふっ、と軽やかな笑い声をあげた。
「よくピンキーリングはラッキーアイテムだって言うけれども、わたしのデザインしたリングでしあわせになった人には、恭介の親友の奥さんもいるのよ」
——もしかして……
麻琴の脳裏に、ティフ◯ニーのマリッジリングとは反対側の手の小指に光る、流れ星のようにアメシストが輝くリングが浮かんだ。
そして、その持ち主といえば……
「七海のピンキーも、Jubileeのものだったんですね?」
礼子の瞳が大きく見開く。
「えっ、ななみんをご存知なの?」
「はい、わたしの従姉妹なので。ほんとに、たまたまの偶然ですけれど」
麻琴が苦笑しながらそう答えると……
「「えええええぇ……っ⁉︎」」
礼子だけではなく、鮫島までも叫んだ。
——七海ちゃん、あなた、この人たちの前でも『すさまじい』ことをやったわね?
「でもね、諒志ったら、肝心のエンゲージやマリッジは、うちでは購入してくれなかったのよっ!」
七海は、エンゲージがティフ◯ニーのリボンリングで、マリッジが同じくティフ◯ニーのクラシック ミルグレインだった。
もちろん、七海の夫である田中 諒志が贈ったものである。
「麻琴さんは裏切らないわよね⁉︎恭介を引きずってでも、絶対にブライダルリングはうちで買ってよね‼︎」
裏切るもなにも、まだ影も形もなーんにも目処が立っていない麻琴は、曖昧に笑うしかなかった。
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