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第四章 恋する気持ち
10話
部室に戻って着替え始めるも、いつも一番時間がかかるのは私。
「あの、私が鍵を閉めて職員室に戻すので、先に帰ってください」
「数少ない部長の仕事を取らないで?」
玲子先輩に笑ってかわされてしまう。
「第一、今の翠葉を校内にひとり歩かせるほうが危険よ」
「そうね。校内展示が終わって少し落ち着くまでは誰かと一緒に行動したほうがいいわ」
桃華さんと玲子先輩に言われてきょとんとしてしまう。
「そんなに大変なものなんですか?」
「……そうでもないけど、そうなのよ」
桃華さんにしては珍しく曖昧な返事だった。
「今年はどうなるかしらね? 茜ちゃんと御園生さん、いい勝負になる気がするわ」
「そうですね。茜先輩の写真も多かったですけど、翠葉のはちょっと異常な枚数でしたね」
私は人気投票側の写真をあまり見ずに出てきてしまったから、実際どの程度貼られていたのかは認知していない。
「あの写真は展示が終わったらどうなるのでしょう?」
不安に思って尋ねると、
「毎年シュレッダーにかけてるって久から聞いたことがあるわ。大丈夫よ、悪用されることはないから」
部室を出ると桃華さんは昇降口へ向かい、私と玲子先輩は図書棟へと向かう。
図書棟の入り口まで来ると、
「それではまた来週お会いしましょうね」
「はい。お疲れ様でした」
図書室の前までくると、まだ自動的にドアが開いた。
迎え入れてくれたのは司先輩。
「秋兄の部屋だろ?」
「はい」
短いやり取りの末、カウンターの奥へと追いやられる。
インターホンを押すと秋斗さんに出迎えられた。
こんな日々にもだいぶ慣れつつある。
「いらっしゃい。もう帰れる?」
……ん? これは初めて訊かれるフレーズだ。
「蒼兄がまだだから……」
答えつつ時計に目をやると、すでに七時前を指していた。
七限が終わるのが四時なので、そこから部活動をすると七時という時間は妥当だろう。外がまだ明るかったからもう少し早い時間かと思っていた。
今になって日が長くなったことに気づく。
でも、それならどうして五時過ぎにはここへ来る蒼兄がいないのだろう……。
「蒼樹は所用があって先に帰っているんだ」
「所用、ですか……?」
「うん。だから今日は僕が送るよ。というか、しばらくの間、帰りは僕が送るから」
「でも、秋斗さんお仕事は?」
「蔵元に調整させてるから大丈夫だよ」
安心していいよ、というような笑顔を向けられる。
「じゃ、帰ろうか」
秋斗さんは白衣を脱ぐと、ベージュのジャケットを手に取り、引き出しから車のキーを取り出した。
仕事部屋から出ると、
「あれ? 翠葉ちゃんもう帰るの?」
加納先輩に訊かれる。
「秋斗先生、翠葉に手ぇ出しちゃだめですよー」
荒川先輩が秋斗さんの背中をパシパシと叩きながら言う。
「それは約束できないかも」
なんて笑いながらかわすのだから、どこまでが本気でどこからが冗談なのかがやっぱりわからない。
苦笑しながら図書室を出ると、秋斗さんは私の昇降口まで付いてきてくれた。
図書棟から一、二年棟までの距離なんたかが知れているし、一、二年棟から職員駐車場までもしかり。
きっと「警護対象」だからなのだろうけれど、いったいどれほどの警護を要しているのだろうかと不思議に思わざるを得ない。
平日のこの時間は会社帰りの人と時間がかぶることもあり、道路が少し混む。
「今日は珍しく髪型が違うね」
秋斗さんに指摘され、
「実は、今日寝坊してしまって寝癖を直す時間もなかったんです。でも、ご飯を食べている間に栞さんが結ってくれて……」
「なるほど。かわいい、似合ってるよ」
軽く微笑みながら歯の浮きそうな台詞をさらっと言う。
秋斗さんのあれこれにもだいぶ慣れてきたとは思う。でも、どうやらまだまだらしい。
どうしても照れてしまうし、顔が火照る。けれども、今は赤くなってもそうとはわからないはず。
車内は暗いし、しばしば前の車のブレーキランプが赤く灯るから。
そんな状況に少しほっとする。
「そういえば、蔵元さんや静さんはスーツを着てましたけど、秋斗さんはスーツじゃないんですね?」
常にカジュアルな格好に白衣姿、という印象。
学校にいるときはだいたいベージュのチノパンに洗いざらしの長袖シャツ。その上に白衣を着ていることが多い。
「着なくちゃいけない場では着るんだけどね。あまり好きじゃないかな」
「……似合いそうなのに」
言うと、「おや?」という感じの視線を向けられる。
「じゃ、今度着てこようか?」
言われて少し想像してみる。シックな色で細身のスーツ姿を――
間違いなく文句なしに格好いい……。けれど、その格好で笑顔を振りまかれても困る気がする。
「……いえ、今のままがいいです。できれば白衣着用を希望します」
「……今、明らかに間があったけど何を想像したの?」
「えぇと……ダーク系で細身のスーツを着た笑顔の秋斗さん……ですかね」
「で、どうしてそれが今のまま白衣着用希望になっちゃうのかな?」
「なんか、心臓に悪い気がして……」
答えると笑われた。
「それは僕が格好良くて、かな?」
「……そうです」
認めたらさらに笑われた。
「ダーク系のスーツねぇ、持ってるから今度着てきてみようかな? 翠葉ちゃんの反応を見るだけでも楽しそうだし」
クスリ、と笑う秋斗さんはとても余裕そうで、私は何か踏んだらいけない地雷を踏んだ気がした。
自宅に着くと、家の中から栞さんと蒼兄が出てきた。
「おかえりなさい」
「おかえり」
ふたりに声をかけられ、「ただいま」と答える。
後ろで車のエンジンが止まったところを見ると、秋斗さんはうちに寄っていくのだろう。
「蒼樹、準備は?」
「できてます。さっき警備会社の人も帰りました」
「じゃ、確認させてもらう」
秋斗さんは蒼兄と連れ立ってお庭の方へと回った。
「翠葉ちゃんは手洗いうがいしていらっしゃい」
栞さんに玄関の中へと促される。
「何かあったんですか?」
「いくつか防犯カメラが増えた程度よ」
自室に入ると窓から秋斗さんと蒼兄が見えた。
見えた、というよりは、私の部屋の前にいる。
ふたりはサンルーフを見上げていた。
どうやら、私の部屋の前のサンルーフにふたつのカメラがついていて、ひとつは庭先を、もうひとつは駐車場の方へ向けられているらしい。
何やら非常に物々しい。
うがい手洗いを済ませると、着替えを持って洗面所へ行きそこで着替えた。
着替えた制服を持って自室に戻ってくると、蒼兄と秋斗さんが玄関から入ってきたところだった。
「あとはモニターチェックに問題がなければOKかな」
「あの、あれは……?」
私が訊くと、
「ん? 防犯カメラだよ」
秋斗さんが教えてくれたけれど、そのくらいは私にもわかるわけで……。
「あぁ、全部外を向いているから翠葉ちゃんが映ることはないよ」
そんなことが知りたいわけでもなく……。
「こんなに厳重なセキュリティを敷く必要があるってどんな状態なんでしょう?」
「あぁ、そっちか。……うーん、これはなんと言ったらいいのかな?」
秋斗さんは答えに詰まってしまった。
栞さんがコーヒーをトレイに乗せてくると、
「翠葉ちゃん、備えあれば憂いなしよ」
備えあれば憂いなし、でこんなに厳戒態勢なのだろうか。
静さんの嘘つき。「気にしなくていいよ」なんて言ってたけれど、なんだかとても大ごとじゃないですか……。
「でも、静兄様が動いているならすぐに解除されると思うわ」
栞さんはなんでもないことのように話を続ける。
すっかり忘れていたけれど、栞さんも藤宮の人だった。
「……でも、それでなんで蒼兄が先に帰らなくちゃいけなかったの?」
蒼兄を見上げると、
「先に帰って盗聴チェック。今日は設置も混みだったから連絡を入れる余裕がなくてごめんな」
蒼兄の「ごめん」よりも「盗聴チェック」に脳が支配される。
「警備会社と栞さんがやってくれる、って言ってたんだけど、やっぱり毎日ともなると申し訳ないから」
「そうだ! 秋斗くん、翠葉ちゃんを送ってくるのなら、しばらく一緒に夕飯食べていかない?」
「栞ちゃんの手料理が食べられるの? 迷惑じゃなければ甘えちゃうけど……」
盗聴チェックだの防犯カメラだの、と物々しい会話をしていたはずなのに、栞さんと秋斗さんはそんな会話をしてたとは思わせない笑顔で言葉を交わす。
私と蒼兄にとっては非日常のことだけれど、藤宮の人たちにとっては大ごとにも入らないのだろうか……。
「蒼兄……?」
不安になって蒼兄を見上げると、
「大丈夫。きっと何も起こらないよ」
優しい手が頭に乗せられた。
「あの、私が鍵を閉めて職員室に戻すので、先に帰ってください」
「数少ない部長の仕事を取らないで?」
玲子先輩に笑ってかわされてしまう。
「第一、今の翠葉を校内にひとり歩かせるほうが危険よ」
「そうね。校内展示が終わって少し落ち着くまでは誰かと一緒に行動したほうがいいわ」
桃華さんと玲子先輩に言われてきょとんとしてしまう。
「そんなに大変なものなんですか?」
「……そうでもないけど、そうなのよ」
桃華さんにしては珍しく曖昧な返事だった。
「今年はどうなるかしらね? 茜ちゃんと御園生さん、いい勝負になる気がするわ」
「そうですね。茜先輩の写真も多かったですけど、翠葉のはちょっと異常な枚数でしたね」
私は人気投票側の写真をあまり見ずに出てきてしまったから、実際どの程度貼られていたのかは認知していない。
「あの写真は展示が終わったらどうなるのでしょう?」
不安に思って尋ねると、
「毎年シュレッダーにかけてるって久から聞いたことがあるわ。大丈夫よ、悪用されることはないから」
部室を出ると桃華さんは昇降口へ向かい、私と玲子先輩は図書棟へと向かう。
図書棟の入り口まで来ると、
「それではまた来週お会いしましょうね」
「はい。お疲れ様でした」
図書室の前までくると、まだ自動的にドアが開いた。
迎え入れてくれたのは司先輩。
「秋兄の部屋だろ?」
「はい」
短いやり取りの末、カウンターの奥へと追いやられる。
インターホンを押すと秋斗さんに出迎えられた。
こんな日々にもだいぶ慣れつつある。
「いらっしゃい。もう帰れる?」
……ん? これは初めて訊かれるフレーズだ。
「蒼兄がまだだから……」
答えつつ時計に目をやると、すでに七時前を指していた。
七限が終わるのが四時なので、そこから部活動をすると七時という時間は妥当だろう。外がまだ明るかったからもう少し早い時間かと思っていた。
今になって日が長くなったことに気づく。
でも、それならどうして五時過ぎにはここへ来る蒼兄がいないのだろう……。
「蒼樹は所用があって先に帰っているんだ」
「所用、ですか……?」
「うん。だから今日は僕が送るよ。というか、しばらくの間、帰りは僕が送るから」
「でも、秋斗さんお仕事は?」
「蔵元に調整させてるから大丈夫だよ」
安心していいよ、というような笑顔を向けられる。
「じゃ、帰ろうか」
秋斗さんは白衣を脱ぐと、ベージュのジャケットを手に取り、引き出しから車のキーを取り出した。
仕事部屋から出ると、
「あれ? 翠葉ちゃんもう帰るの?」
加納先輩に訊かれる。
「秋斗先生、翠葉に手ぇ出しちゃだめですよー」
荒川先輩が秋斗さんの背中をパシパシと叩きながら言う。
「それは約束できないかも」
なんて笑いながらかわすのだから、どこまでが本気でどこからが冗談なのかがやっぱりわからない。
苦笑しながら図書室を出ると、秋斗さんは私の昇降口まで付いてきてくれた。
図書棟から一、二年棟までの距離なんたかが知れているし、一、二年棟から職員駐車場までもしかり。
きっと「警護対象」だからなのだろうけれど、いったいどれほどの警護を要しているのだろうかと不思議に思わざるを得ない。
平日のこの時間は会社帰りの人と時間がかぶることもあり、道路が少し混む。
「今日は珍しく髪型が違うね」
秋斗さんに指摘され、
「実は、今日寝坊してしまって寝癖を直す時間もなかったんです。でも、ご飯を食べている間に栞さんが結ってくれて……」
「なるほど。かわいい、似合ってるよ」
軽く微笑みながら歯の浮きそうな台詞をさらっと言う。
秋斗さんのあれこれにもだいぶ慣れてきたとは思う。でも、どうやらまだまだらしい。
どうしても照れてしまうし、顔が火照る。けれども、今は赤くなってもそうとはわからないはず。
車内は暗いし、しばしば前の車のブレーキランプが赤く灯るから。
そんな状況に少しほっとする。
「そういえば、蔵元さんや静さんはスーツを着てましたけど、秋斗さんはスーツじゃないんですね?」
常にカジュアルな格好に白衣姿、という印象。
学校にいるときはだいたいベージュのチノパンに洗いざらしの長袖シャツ。その上に白衣を着ていることが多い。
「着なくちゃいけない場では着るんだけどね。あまり好きじゃないかな」
「……似合いそうなのに」
言うと、「おや?」という感じの視線を向けられる。
「じゃ、今度着てこようか?」
言われて少し想像してみる。シックな色で細身のスーツ姿を――
間違いなく文句なしに格好いい……。けれど、その格好で笑顔を振りまかれても困る気がする。
「……いえ、今のままがいいです。できれば白衣着用を希望します」
「……今、明らかに間があったけど何を想像したの?」
「えぇと……ダーク系で細身のスーツを着た笑顔の秋斗さん……ですかね」
「で、どうしてそれが今のまま白衣着用希望になっちゃうのかな?」
「なんか、心臓に悪い気がして……」
答えると笑われた。
「それは僕が格好良くて、かな?」
「……そうです」
認めたらさらに笑われた。
「ダーク系のスーツねぇ、持ってるから今度着てきてみようかな? 翠葉ちゃんの反応を見るだけでも楽しそうだし」
クスリ、と笑う秋斗さんはとても余裕そうで、私は何か踏んだらいけない地雷を踏んだ気がした。
自宅に着くと、家の中から栞さんと蒼兄が出てきた。
「おかえりなさい」
「おかえり」
ふたりに声をかけられ、「ただいま」と答える。
後ろで車のエンジンが止まったところを見ると、秋斗さんはうちに寄っていくのだろう。
「蒼樹、準備は?」
「できてます。さっき警備会社の人も帰りました」
「じゃ、確認させてもらう」
秋斗さんは蒼兄と連れ立ってお庭の方へと回った。
「翠葉ちゃんは手洗いうがいしていらっしゃい」
栞さんに玄関の中へと促される。
「何かあったんですか?」
「いくつか防犯カメラが増えた程度よ」
自室に入ると窓から秋斗さんと蒼兄が見えた。
見えた、というよりは、私の部屋の前にいる。
ふたりはサンルーフを見上げていた。
どうやら、私の部屋の前のサンルーフにふたつのカメラがついていて、ひとつは庭先を、もうひとつは駐車場の方へ向けられているらしい。
何やら非常に物々しい。
うがい手洗いを済ませると、着替えを持って洗面所へ行きそこで着替えた。
着替えた制服を持って自室に戻ってくると、蒼兄と秋斗さんが玄関から入ってきたところだった。
「あとはモニターチェックに問題がなければOKかな」
「あの、あれは……?」
私が訊くと、
「ん? 防犯カメラだよ」
秋斗さんが教えてくれたけれど、そのくらいは私にもわかるわけで……。
「あぁ、全部外を向いているから翠葉ちゃんが映ることはないよ」
そんなことが知りたいわけでもなく……。
「こんなに厳重なセキュリティを敷く必要があるってどんな状態なんでしょう?」
「あぁ、そっちか。……うーん、これはなんと言ったらいいのかな?」
秋斗さんは答えに詰まってしまった。
栞さんがコーヒーをトレイに乗せてくると、
「翠葉ちゃん、備えあれば憂いなしよ」
備えあれば憂いなし、でこんなに厳戒態勢なのだろうか。
静さんの嘘つき。「気にしなくていいよ」なんて言ってたけれど、なんだかとても大ごとじゃないですか……。
「でも、静兄様が動いているならすぐに解除されると思うわ」
栞さんはなんでもないことのように話を続ける。
すっかり忘れていたけれど、栞さんも藤宮の人だった。
「……でも、それでなんで蒼兄が先に帰らなくちゃいけなかったの?」
蒼兄を見上げると、
「先に帰って盗聴チェック。今日は設置も混みだったから連絡を入れる余裕がなくてごめんな」
蒼兄の「ごめん」よりも「盗聴チェック」に脳が支配される。
「警備会社と栞さんがやってくれる、って言ってたんだけど、やっぱり毎日ともなると申し訳ないから」
「そうだ! 秋斗くん、翠葉ちゃんを送ってくるのなら、しばらく一緒に夕飯食べていかない?」
「栞ちゃんの手料理が食べられるの? 迷惑じゃなければ甘えちゃうけど……」
盗聴チェックだの防犯カメラだの、と物々しい会話をしていたはずなのに、栞さんと秋斗さんはそんな会話をしてたとは思わせない笑顔で言葉を交わす。
私と蒼兄にとっては非日常のことだけれど、藤宮の人たちにとっては大ごとにも入らないのだろうか……。
「蒼兄……?」
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「大丈夫。きっと何も起こらないよ」
優しい手が頭に乗せられた。
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