世界が壊れた夜、私は祈り踊る

紫咲

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第九話

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今日は悠真の担当日だ。
茜は毎日来ることになった。本人曰く優等生だから大学は行かなくても全然大丈夫!だそう。
「おはようございます、オーナー。」
「Good morning.じゃ、行こっか。」
2人は凛雪の部屋を訪れる。
コンコンコン
「凛雪ちゃん、ぼくと茜さんだよ。入ってもいい?」
ゆっくりと扉が空き隙間から凛雪が顔を覗かせる。
凛雪は光樹に『知り合いの気配がしても名乗らせて確認してから扉を開けろ』と言われている。そのためとても慎重に扉を開けるようになった。
「おはようございます、悠真さん、茜さん。」
凛雪は2人を部屋に招き入れる。
「おはよう」
「Good morning.」
生活感が全くない部屋に2人は違和感を抱く。しかしそれを顔には出さずに悠真は口を開く。
「それじゃあぼく達はリビングにいるね。この部屋に居てもいいけどlunchにはおいでね」
特にやることもなかった凛雪は2人についていく。

リビングにて
目ぼしいものが入っていない光樹の冷蔵庫をみて悠真は頭を抱える。
その様子を見て茜も冷蔵庫の中を除く。
「えっ、なにこれ…全然入ってないじゃないですか」
悠真はすぐさまスマホを取り出し光樹に連絡をする

                    悠真
   冷蔵庫の中空だけど今まで何食べてたの?
光樹
オレは研究所のメシ食ってた
凛雪は出しても何も食わんから気にするな

「気にするなって言われても…」
悠真にスマホを見せられた茜は呟く。
自分より幼い、おそらく年頃の少女が何も食べないとなると気になるに決まっているだろう
そんな茜を見ても、凛雪はきょとんとするのみだった。何もおかしいことはない。そう言いたげな表情だった。
「一回、凛雪ちゃんとconversationしてみる?」
自身も気になるのだろう、悠真は提案した。
「そうしましょう、オーナー。」
そうして2人は凛雪に向き合う。
凛雪はそんな2人の目を見つめる。
「ねぇ、凛雪ちゃん。お腹空いてない?」
悠真の言葉に凛雪は首をかしげる
「お腹が空いているか、ですか?」
しばらく考え込む凛雪。悠真たちは何を悩んでるのだろうと不思議に思う。
「よく、わからないのですが…おそらく空いていないと思います。光樹さんにもわたくしの体に異常がないことは確認していただいていますので、お2人でお召し上がりください。」
しばらくしてから凛雪から発せられた言葉に、悠真は絶句する。しかし、茜は一つの考えに至る。
「オーナー、凛雪ちゃんが空腹を感じないのは《祝福』と関係があるのかもしれません。」
「I see.」
茜も《祝福》の持ち主だ。悠真達よりは強いが、凛雪よりは弱い。
だからこそ似た経験があったのかもしれない。
その日の昼食は悠真が具材を買ってきて作ったのだった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
Good morning→おはよう
lunch→お昼ご飯
conversation→会話
I see→なるほど
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みんなの感想(1件)

花雨
2021.08.09 花雨

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紫咲
2021.08.09 紫咲

先ほど公開したばかりなのにもう…
とても嬉しいです。ありがとうございます!

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