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発達障害(アスペ)が一番苦手なのは人付き合いだという話。

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先日、発達障害と診断された記事を書いたところ結構反響があった。読んでくださった方、ツイッターに感想をくださった方、本当にありがとうございました。

少しでも何か参考になればと思うのでこれからも定期的に関連エッセイを書いて行こうと思っている。

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今後のことはまだ準備段階。なので、方針が決まるまで私の持つ特性について書いていこうと思う。発達障害とはどういうものなのかが少しでも多くの人に広まればと。

さて、まずはこの間の記事に書き切れなかった特性について。今回は人付き合いメインに書いていこうと思う。

①人の感情に左右される
ASD(アスペ)は人の気持ちが分からないという特徴がある。私はHSPを併発している為か、その逆で人の気持ちを考えたり、感情に左右され過ぎてしまう傾向がある。

例えば、人の話を聞いてから返事をするまでに少し時間がかかる。何故かというと、どう返したら相手を傷つけずに済むかを頭で考えてから口に出すからだ。しかもこれは意識してやっている訳ではなく無意識だ。そのため会話をした後はドッと疲れてしまう。

更に面倒な事に後で会話の内容思い出して一人反省会をする。そして大体凹む。でも自分が思うほど相手はそれほど気にしておらず「ん?何で謝るの?」と大体首を傾げられる。

感情に左右されるのは目の前にいる人間だけではない。全く自分に関係なくても近くに怒ってる人や泣いてる人がいると、その感情を全て無意識に吸収してしまう。そして勝手に疲弊する。だから会社勤めをしている時、目の前で誰かが喧嘩していたりこっぴどく怒られていたりすると凄く辛かった。

他にもドラマや映画、漫画、アニメなどの登場人物の感情も全て吸収してしまう。だから終わると凄く疲れる。例えば人物につられて思い切り号泣した時は終わった後しばらく放心してしまい、再起不能になる。感動作や面白い作品ならまだ良い。暗い作品、特に胸糞悪い話は凄く苦手だ。でも社会派作品なんかは興味があるのでどうしても観てしまう。見終わった後に自分がどうなるかは分かっているのに。

悪い、暗いニュースも然り。昨今は某国の深刻な問題が多いのである程度、知識を頭に入れたら見るのをやめている。感情を吸収するだけでなく「~するべき」というアスペ特有の考え方が先行してしまい、政治問題についてアレコレ考えて一人で勝手に辛くなるからである。私一人がアレコレ考えたところでどうにかなる問題ではないのは分かっているのだが……

一番厄介なのは人の話を全て真に受けてしまうことだ。これはまぁ良いことでもあるのだが、話半分とかスルーといったことができない。私はどちらかというと聞き役なのだが、愚痴とか悩みを打ち明けられると全部を受け止めてしまい苦しくなるのである。

仕事から帰ってきた旦那が愚痴をぶちまける事があるのだが、聞くのは結構辛かったりする。だが、ひとつ言いたいのは愚痴や悩みを打ち明けられることが嫌な訳ではない。相手が悩んでいたら聞いてあげたいと思うし、それが大切な人なら尚更だ。辛くなってしまうのは気質なのでもう割り切るしかないと思っている。

つまりHSPは感受性が豊かで疲れやすいのだ。公共の場や人混みが苦手なのはこうしたHSP特有の気質によるもの。前回の記事で「一歩外に出るだけで~するべき思考と音の洪水に襲われる」と書いたが、それだけではないことはお分かり頂けるだろう。つまり自分の知らない不特定多数の人間の、様々な感情を無意識に吸収してしまうからなのである。

私は友達が少ない。ASDは自分の発言が無意識的に相手を傷つけてしまい、その結果自分の周りから人が離れていってしまうことがある。私の場合、もちろんそれもあるのだろうが、大体は自分から外部をシャットアウトしてることの方が多いような気がする。

つまり積極的にコミニュケーションを取ろうとしないのだ。それはおそらく人と接するだけで疲れてしまうというHSPの気質故なのだろうと自分では思う。コミニュケーションを取りに行く時はよほど信頼できる相手か、直感的にこの人とは仲良くなれそうと思う相手だけ。もちろん若い時はそれなりに友達がいた時期はある。けれど大体、長続きはしなかった。

②恋愛が超絶下手くそ
色々考えると、私はどうやらASDよりもHSPの方が強いようだ。だが、ASDの特徴である「人の感情を読めない」ということもたまにある。と、いうか良かれと思ってやったことが裏目に出て、嫌われたり怒られたりすることが私もたまにあるのだ。

今は旦那と結婚して落ち着いたが、私は昔から恋愛が下手くそだった。口の上手い男に騙されたり、猛烈アピールをして嫌われたり、正直言って恋愛には良い思い出はあまりない。口の上手い男の話はともかく猛烈アピールをした話はほぼこの「人の感情がよめない」という話に関連してくる。

私は好きになると周りが見えなくなるタイプなのだが、そうなると冷静さなんてどこかに吹っ飛んでしまい相手がどう思うかなんて考えもせずに一人で突っ走ってしまう。そして自爆する。詳しくは省くが、そんな恋愛黒歴史がいくつかある。今振り返るとあれこそASDの特徴だったのかなと思うのだ。

因みに旦那はこの猛烈アピールが何故か受け入れられ、交際約8ヵ月で結婚をした。つくづく人生とは何が起こるか分からないものである。

③集団行動が苦手
複数人でのコミュニケーションがとても苦手である。何故なら、これも先程から言っているように複数人の様々な感情を一気に浴びるからだ。それにASDの特徴のひとつ「一度に複数の話を聞けない」ということも関係してくる。

昔勤めていた会社での話。私のいた部署は全員女性だった。凄く仲が良くてしょっちゅう飲み会や食事会が開かれ、平日は彼女達と行動を共にすることが多かった。楽しいと思う反面、私にはそれが苦痛で仕方なかった。仕事がハードでいつも残業があったため、終わったらさっさと帰りたかった。

しかしそれは許されない。一時期、体調を崩して一定期間飲み会を断ることが出来たが、ある程度経つと「そろそろ出た方がいい」と言われ、終いには幹事の役割を部署内でローテーションするようにまでなってしまった。運の悪いことにちょうどその頃、社長が交代して会社がブラック化したことで余計にストレスが溜まり、体調を崩して結局辞めた。身も心もボロボロだった。

それ以来、私は勤め先では周りとはあまり仲良くせず一定の距離を保つようになった。集団行動が好きな人ならいい。しかし、苦手なことを強制させられるほど苦痛なものはないということを私はこの時つくづく実感したのだった。

④指示が理解できない
軽度の難聴はあるが、もちろん声は聞こえている。しかし、一度聞いただけでは指示を理解することができない。特に長い指示や、一度に複数指示されるともうパニックである。ASDはマルチタスクが苦手という特徴もあるのでそれも関係しているだろう。何回も聞き返す羽目になる。鬱陶しがられることもあるが、指示が理解できないと仕事にならないのでもうどうしようもない。

これに関しては解決方法がある。文章や図にして可視化することだ。そうすることによりようやく理解できるのだ。

⑤口頭説明が超絶苦手
人に何かを口頭で説明するのが凄く苦手である。文章に起こしたりしないと要領よく説明できず理解してもらえない。分からないことを聞きたいのに説明の仕方が分からない、または下手くそ過ぎて詰む事が多い。

旦那はとてもせっかちで人の話を最後まで聞かないのが欠点なのだが、私が何かを説明する時も最後まで話を聞かずに被せてくる事が多い。これが凄く厄介で、こちらは頭でゆっくり考えながら自分の意見や気持ちを語りたいのに「で?どうなの?」と先を急いで来る。何とか説明して最終的には理解してもらえるからいいのだが……

テレビで政治家が討論を繰り広げている事がよくあるが、相手の意見を最後まで聞かずに被せている人が結構いて見苦しい。旦那の様子はそれに少し似ている。これは話役というかお喋りな人に多い気がする。聞き役の人は大体、私が話し終えるのを待ってくれる。相手に障害があるなしに関わらず「相手の話に被せてしまう」ことに心当たりがある人は、我慢して最後まで話を聞いてあげて欲しいと切に願う。

⑥人と目を合わせられない
面接練習などでよく「相手の目を見て話しなさい」と言われるが、私はそれがとても苦手だ。家族や親しい人が相手でも目を真っ直ぐに見て話すことはあまりない。何故なのかハッキリした理由は自分でもよく分からない。では、どこを見て話しているかというと、大体は相手の顔のすぐ横ら辺を見ている。背後に壁や飾りなどがある場合はそれを見ている事が多い。もちろんこれは意識している訳ではなく無意識である。

⑦電話恐怖症
私は昔から電話が大の苦手だ。大人になり、特に一人暮らしを始めた辺りからはようやく慣れて来たのだが、それは家を借りる時や住んでからも自分で各所に電話をしなければならなくなったからだろうと思う。

何故、苦手なのかというと理由は二つある。ひとつは難聴の影響で単純に声が聞き取り辛いから。もうひとつは先程も言った「口頭だけだと指示を理解できない」からだ。おまけに話を聞き取りながらメモを取ると言ったことも苦手。だから私にとって電話対応はかなり難易度が高いのである。会社勤めをしていた時に電話番をしていた事もあるが、かなり辛かった。

⑧プレッシャーに弱い
期待を寄せられたり、褒められたりすることは悪い事ではないし、とても嬉しい。それに「こんな自分を認めてくれるんだ」と光栄な気持ちにもなる。しかし、その気持ちに体がついていかないのが難点だ。

特に仕事なんかで「星名さんはできる人だから~日までにこれやってくれる?」とか言われるともうパニック。この「できる人だから」というのは本気ではなく適当に付けるのだろうが(むしろそんな事思ってないだろと思う事もある)こちらは全て間に受けてしまうのでプレッシャーに押し潰されそうになる。何より出来ると決めつけられる事が辛い。「出来なかったら失望される…」と勝手に自分を追い込んでしまい、無駄に神経をすり減らすのだ。

以上。人付き合いだけで7つもあることに自分で驚いてしまった。そして「私って面倒な人間なんだな」と思ってしまいちょっと凹むという。しかし、これは生まれ持った特性、良く言えば個性なのでもう仕方がないのである。

ここまで読んでくださった方の中には「こんなの全部理解しろって言われても無理!」と思う人も沢山いると思う。全部を理解してもらえなくても別にいい。現に私の旦那はたぶんこの半分も理解できていないと思う。いちいち説明していられないという事もあるが。

ただ純粋に「世の中にはこういう人がいるんだ」という事を頭の片隅にでも置いておいて頂けたら、私はそれだけで十分である。







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