きざみちゃん

よん

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GLJ(GREAT・LOLIBBA・JISHINGI)

きざみの婚活デヴュー 3

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 2つの水色スペード型の名札にはそれぞれ"しげ"、"ひろりん"と書いてあった。
 その名札からゆっくり視線を上げると、そこには"ハゲ"と"ロリ"の外れ物件がこっちを向いてニヤニヤしていたの。
 気持ち悪いのは想定内。
 そもそも高学歴イケメン男が、わざわざこんなところに出向いてタダ飯で女を釣ろうなんて浅はかな了見持ってないから。
 必死度が違うもの。

「はじめまして、しげです。……え? そ、それ本当にそう呼んでも?」

 つい今し方"こっちを向いてニヤニヤしてる"って言ったばかりだけれど、ハゲは猫目を、一方ロリはあたししか見ていない。
 早くもカップル成立ね。
 この場限定だけれど。
 それにしても、ロリってば筋金入りだわ。
 実年齢29のあたし、見た目に関して言えばどこからどう見ても5歳児なのよ?
 今すぐ逮捕した方がこの国の為にもいいんじゃなくて?

「遠慮はいらなくてよ。"メスネコ"がお嫌なら、"シモベ"でも"仏壇返し"でもお好きに呼べば?」

 猫目に代わってそう答えると、すかさずロリ、

「じゃ、"おかっぱちゃん"で!」
「あんた、字読めないのっ? ここんとこにガッツリ"オスカー女優"って書いてあるでしょうがあああ!!!」
「で、でも『好きに呼』」「あたしには適用しなくってよ! 今度あたしを怒らせたら、髪の毛むしり取ってあんたもハゲにしてやるんだからっ!」
「……?」

 ハゲしげが広いひたいに皺寄せあたしに訊ねる。
 ああ、面倒臭い。

「殿方がいちいち細かいこと気にしないの。ますます進行することよ? それより、そこのボーイさん。お食事はまだかしら? ボーっと突っ立ってないで早くお給仕してくださらないこと?」

 そこから次々と運ばれてくる創作フレンチのお料理。
 弾まないどころか、テーブルを囲む4人に会話は一切なし。
 元気なのは猫目のみでマナーなんてお構い無し。
 ヒラメのムニエルを手掴みで食べるその姿に、最初は猫目にお熱だったハゲもさすがにドン引きのご様子。
 一方、ロリはいまだにチラチラとあたしを盗み見している。
 よほど、このあたしがタイプなのね。
 正直、少しも嬉しくないわ。
 それよりも。
 重たい空気を作った張本人のあたしが言うのも憚られるけども、もっと女子を楽しませなさいよ。
 尤も、こっちも楽しむ予定なんて端からなかったけれど、自分の思うようにいかないからって少しは努力すべきじゃなくて?
 だからモテないのよ。

 さて、そろそろかしら。
 猫目にも今日1日頑張ったご褒美ごはんを食べさせてあげたしね。
 残すはデザートのみとなったここまで、あたしは全くお料理を口に運んでいなかった。

「ちょいと、ボーイさん」

 沈黙を破ったあたしが手を上げると、げんなりした表情の彼が足取り重くやって来る。
 おそらく、料理長にでも叱られてるのね。
 あたしが全然お料理に手をつけてないから八つ当たり気味で。
 ほほほ、お気の毒。

「どうされました?」
「悪いけれど、これも下げてくださる?」
「大変申し訳ございませんでした。……当館の料理はお口に合いませんでしたでしょうか?」
「そんなことわからなくてよ。一口も頂いてないから『メシマズ!』とは言えないわ。それよりあなた、今から白いごはんをお茶碗で用意できて?」
「は? は、はぁ……で、できると思いますけど……」
「でしたら、それを頂ける? 24膳分・・・・
「……え、そ、それは一度にお運びしても?」
「そうよ。早くなさい。それって別料金でしょうけど、払うのはこちらの殿方ですもの。心配なくってよ」

 一同がポカーンとなる中、口の周りをソースでベトベトにさせた猫目だけがニヤリと笑んだ。

「お嬢、諦めてなかったんだね?」
「当たり前です。あたしの最終目標はたわわ・・・なお胸――Iカップを手に入れることだもの」

 やがて、ボーイが24膳のごはんを乗せたサービスワゴンと共に戻ってきた。

「ありがとう。そこに並べてくださる?」

 バター臭いお料理は全て撤収、テーブルを占めるは4×6の配置でお茶碗24膳分のほかほかごはん。

 逃げるようにして去るボーイを尻目に、あたしはスッと立ち上がる。

「さて、金蔓男のお二人さん。あなた方唯一の長所――優れたお知恵を今こそ拝借するわ。こちらに並んだ24膳分のごはん、このあたしが一気に食べられるにはどうすればいいか……その頭を働かせて素敵な解答を導き遊ばせ」



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