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三章 クジ引き国王とツンデレメイドゾンビの幽霊
59話 逆転の一手
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「うどんを茹でるときに塩を入れるのを見て閃いたんだ」
俺はミーノに作戦を話した。
「ミタカさんの潔白を証明するためには、ミタカさんがヤケドを負わなければいい。火傷を負わないためには、お湯の温度が低ければいいんだ。お湯の温度を下げるためには、お湯の沸点をさげればいい」
そうすれば彼女の誓いがただしかったことが証明される。
空気は温められると軽くなって上昇する。それによって上昇気流が発生すると空気は上へ、上へと昇っていく。上昇気流が発生すれば、その地点の気圧は低くなる。気圧が低くなれば、沸騰する温度も低くなる。
富士山で食べるカップ麺が美味しくないのもお湯の温度が低いからだ。
問題はどうやって空気を温めるかだ。長時間、高温を維持することができる熱源がいる。それもライターやマッチ程度ではいけない。かなりの量が必要なのだ。
その条件を満たしていたのが牛フンだった。村で大量に作っていた牛フンを牛五頭に引かせてきたのだ。教会周辺の気圧を下げるだけなら、足りないことはないはずだ。
あとは空気を温めるために牛フンを空中に固定しておかなければいけない。そこでミタカさんの浮遊能力を発揮してもらった。
だが、低気圧で起こる沸点の低下だけでは足りない。
「コフネさん、それが正式なやり方だと言って、鍋の水に蒸留酒を混ぜてくれませんか?」
俺はあのときコフネさんにそう頼んだ。
中学生のとき、沸点の差を利用して物質を取り出す蒸留実験をやったことがあった。
エタノールを水に溶かすと、その水溶液は70℃くらいで沸騰しはじめたのだ。
アルコールを加えれば、沸騰する温度を下げることができる。
低気圧と、アルコールを加えたことによって、沸騰する温度を低下させることができれば、もしかしたら、酷い火傷には至らないかもしれない。
それが俺が打った一手だった。
この絶体絶命の熱湯裁判で、逆転の望みを託した一手。
熱いことは熱いが……。
教会では二時間ものあいだ、祈りが捧げられた。
俺たちも作戦が成功するのを祈っていた。牛フンは夜空にまたたく星のように、青空に散っている。きれいだか、汚いんだか……。
だが、上昇気流が発生し、気圧が下がり始めたのは確かなようだった。
俺の肉体に変化がではじめた。頭痛にめまい、空気が薄く、息が浅くなった。だが、俺はやめなかった。無我夢中で牛フンを浮かせ続けた。
途中からおかしなテンションになって、浮いていく牛フンを見てゲラゲラ笑った。急に笑い出した俺をみてミーノは怖気づいていた。
だが面白かったんだから仕方ない。
祈りが終わると鍋に火がかけられた。
しばらくして鍋のお湯が沸騰すると、神父さんが言った。
「主よ、どうか、我々に真実を明かしてください。このものが嘘をついているのだとすれば、熱湯は彼女の腕を焼くでしょう。しかし、もしこのものが真実を述べているとすれば、熱湯からこのものの腕をお守りください」
「さあ、お湯に手を入れ、中の石を掴みなさい」
ミタカさんは緊張した様子で、自分の手を見つめていた。
「さあ、早く入れなさい」
神父が催促する。
俺はミーノに作戦を話した。
「ミタカさんの潔白を証明するためには、ミタカさんがヤケドを負わなければいい。火傷を負わないためには、お湯の温度が低ければいいんだ。お湯の温度を下げるためには、お湯の沸点をさげればいい」
そうすれば彼女の誓いがただしかったことが証明される。
空気は温められると軽くなって上昇する。それによって上昇気流が発生すると空気は上へ、上へと昇っていく。上昇気流が発生すれば、その地点の気圧は低くなる。気圧が低くなれば、沸騰する温度も低くなる。
富士山で食べるカップ麺が美味しくないのもお湯の温度が低いからだ。
問題はどうやって空気を温めるかだ。長時間、高温を維持することができる熱源がいる。それもライターやマッチ程度ではいけない。かなりの量が必要なのだ。
その条件を満たしていたのが牛フンだった。村で大量に作っていた牛フンを牛五頭に引かせてきたのだ。教会周辺の気圧を下げるだけなら、足りないことはないはずだ。
あとは空気を温めるために牛フンを空中に固定しておかなければいけない。そこでミタカさんの浮遊能力を発揮してもらった。
だが、低気圧で起こる沸点の低下だけでは足りない。
「コフネさん、それが正式なやり方だと言って、鍋の水に蒸留酒を混ぜてくれませんか?」
俺はあのときコフネさんにそう頼んだ。
中学生のとき、沸点の差を利用して物質を取り出す蒸留実験をやったことがあった。
エタノールを水に溶かすと、その水溶液は70℃くらいで沸騰しはじめたのだ。
アルコールを加えれば、沸騰する温度を下げることができる。
低気圧と、アルコールを加えたことによって、沸騰する温度を低下させることができれば、もしかしたら、酷い火傷には至らないかもしれない。
それが俺が打った一手だった。
この絶体絶命の熱湯裁判で、逆転の望みを託した一手。
熱いことは熱いが……。
教会では二時間ものあいだ、祈りが捧げられた。
俺たちも作戦が成功するのを祈っていた。牛フンは夜空にまたたく星のように、青空に散っている。きれいだか、汚いんだか……。
だが、上昇気流が発生し、気圧が下がり始めたのは確かなようだった。
俺の肉体に変化がではじめた。頭痛にめまい、空気が薄く、息が浅くなった。だが、俺はやめなかった。無我夢中で牛フンを浮かせ続けた。
途中からおかしなテンションになって、浮いていく牛フンを見てゲラゲラ笑った。急に笑い出した俺をみてミーノは怖気づいていた。
だが面白かったんだから仕方ない。
祈りが終わると鍋に火がかけられた。
しばらくして鍋のお湯が沸騰すると、神父さんが言った。
「主よ、どうか、我々に真実を明かしてください。このものが嘘をついているのだとすれば、熱湯は彼女の腕を焼くでしょう。しかし、もしこのものが真実を述べているとすれば、熱湯からこのものの腕をお守りください」
「さあ、お湯に手を入れ、中の石を掴みなさい」
ミタカさんは緊張した様子で、自分の手を見つめていた。
「さあ、早く入れなさい」
神父が催促する。
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