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最終章 最高の逆転劇
71話 バレるのは時間の問題かもしれない
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俺はその日、なんとかクエストを達成すると、モンスターを解体し、可食部と尻尾を持ってシリンキ村を訪れた。ミーノの家の裏手で肉と尻尾の保存処理をし、尻尾は庭先に干しておく。王都に戻って、この尻尾を提出すれば、冒険者レベルがブロンズからシルバーにあがることになっている。
冒険者ランクが上がれば、俺のパーティーに参加したがる人も出てくるはずだ。
すべての作業が終わるとすっかり日は暮れていて、俺はミーノの家に泊めてもらうことにする。
その日の晩ご飯は川魚の塩焼きと麦飯、それに例の梅干しが出た。
「うん、確かにこれは美味いな」
俺はいつも通り、客間でひとり晩ご飯を食べる。食事姿だけは絶対に人に見られてはいけないので、こればかりはどうしようもない。本当はミーノとこれが美味しいとか、あれも美味しいとか話しあいながらご飯を食べたいのだが、それは叶いそうもない。
実はミーノには何度かバレそうになったことがある。「どうしていつもズボンのお尻が濡れてるんですか?」とハッキリ聞かれたこともあるし、「一度でいいから口元の布をとって、素顔を見せてください」とお願いされて、にっちもさっちもいかなくなったこともある。
バレるのは時間の問題かもしれない。なんせ、俺はこの隠し事のために様々な場面で奇行としか思えない行為を繰り返す。そのくせ受け答えだけはまっとうだから、余計に怪しい。何かを隠しているのは明らかだ。あの小学生探偵なら今頃真相にたどり着いているだろう。
ときどき自分の解剖学的特徴をミーノに打ち明けたいと思うことがある。
でも、なんて言えばいい?
「やあ、ミーノ! 俺は顔の真ん中にお尻がついてる異常体質者なんだ!! でも、安心して。口はちゃんとお尻についてるから飲み食いには困らないよ」
気持ち悪すぎて追放確定だ。幼女にはトラウマものだろう。
いっそ何も言わず、口元の布を取ってみるか? いや、それは露出狂だ。というか、普通に公然わいせつ罪だ。
「いや、こんなの彼女もできないし、キスもできないし、最低だな。マジでこのまま自殺しようかな。でも、俺はアオイ神の加護によってあと二回は死ねるんだったな。ってことは三回も自殺するなんて苦しすぎて嫌だな」
俺がそんなことを考えていると、客間の襖がコンコンとノックされた。
「入っていいですか?」
「ああ、大丈夫だ」
ミーノの声に、俺は口元の布切れが乱れてないか確認する。スッと襖があくと、ミーノが顔をのぞかせた。
「完食ですね。今日の晩ご飯はいかがでしたか?」
「最高だ。梅干しもすごくおいしかったぞ。これなら泥棒が盗みたくなるのも分かるよ」
「む、そういう発言は他所でしちゃ駄目ですよ」
ミーノは顔をしかめた。
「分かってるって」
「分かってません。私に対して言うのだって、全然冗談にならないんですからね」
「ごめんよ。ところで、王都の役人には言ったのか? 盗まれたこと」
俺は慌てて話をそらした。
「言いましたよ。明日、警察が来て、一応捜査をするそうですけど、犯人が分かるかどうか。だって、目撃者は一人もいないんですからね」
「目撃者と言えば、俺が馬の水飲み場で見た男は容疑者じゃないのか? シリンキ村の方から来て、梅の種を吐き捨てて行った」
「確かに怪しいですけど、犯人がわざわざ足のつくようなことしますかね?」
「まあな……」
俺はあの男の行動を思い返してみた。隠れるように、水飲み場を通り過ぎようとしたこと。そんなに関わり合いになりたくないなら、無視して行ってしまえばよかったものを、目立ちたくなかったのか、黙って俺の提案に従った。その間、顔をあげず、返事すらしようとしない。泥棒が一仕事終えた後には、こんな感じになるんじゃないだろうか。
俺はその日、なんとかクエストを達成すると、モンスターを解体し、可食部と尻尾を持ってシリンキ村を訪れた。ミーノの家の裏手で肉と尻尾の保存処理をし、尻尾は庭先に干しておく。王都に戻って、この尻尾を提出すれば、冒険者レベルがブロンズからシルバーにあがることになっている。
冒険者ランクが上がれば、俺のパーティーに参加したがる人も出てくるはずだ。
すべての作業が終わるとすっかり日は暮れていて、俺はミーノの家に泊めてもらうことにする。
その日の晩ご飯は川魚の塩焼きと麦飯、それに例の梅干しが出た。
「うん、確かにこれは美味いな」
俺はいつも通り、客間でひとり晩ご飯を食べる。食事姿だけは絶対に人に見られてはいけないので、こればかりはどうしようもない。本当はミーノとこれが美味しいとか、あれも美味しいとか話しあいながらご飯を食べたいのだが、それは叶いそうもない。
実はミーノには何度かバレそうになったことがある。「どうしていつもズボンのお尻が濡れてるんですか?」とハッキリ聞かれたこともあるし、「一度でいいから口元の布をとって、素顔を見せてください」とお願いされて、にっちもさっちもいかなくなったこともある。
バレるのは時間の問題かもしれない。なんせ、俺はこの隠し事のために様々な場面で奇行としか思えない行為を繰り返す。そのくせ受け答えだけはまっとうだから、余計に怪しい。何かを隠しているのは明らかだ。あの小学生探偵なら今頃真相にたどり着いているだろう。
ときどき自分の解剖学的特徴をミーノに打ち明けたいと思うことがある。
でも、なんて言えばいい?
「やあ、ミーノ! 俺は顔の真ん中にお尻がついてる異常体質者なんだ!! でも、安心して。口はちゃんとお尻についてるから飲み食いには困らないよ」
気持ち悪すぎて追放確定だ。幼女にはトラウマものだろう。
いっそ何も言わず、口元の布を取ってみるか? いや、それは露出狂だ。というか、普通に公然わいせつ罪だ。
「いや、こんなの彼女もできないし、キスもできないし、最低だな。マジでこのまま自殺しようかな。でも、俺はアオイ神の加護によってあと二回は死ねるんだったな。ってことは三回も自殺するなんて苦しすぎて嫌だな」
俺がそんなことを考えていると、客間の襖がコンコンとノックされた。
「入っていいですか?」
「ああ、大丈夫だ」
ミーノの声に、俺は口元の布切れが乱れてないか確認する。スッと襖があくと、ミーノが顔をのぞかせた。
「完食ですね。今日の晩ご飯はいかがでしたか?」
「最高だ。梅干しもすごくおいしかったぞ。これなら泥棒が盗みたくなるのも分かるよ」
「む、そういう発言は他所でしちゃ駄目ですよ」
ミーノは顔をしかめた。
「分かってるって」
「分かってません。私に対して言うのだって、全然冗談にならないんですからね」
「ごめんよ。ところで、王都の役人には言ったのか? 盗まれたこと」
俺は慌てて話をそらした。
「言いましたよ。明日、警察が来て、一応捜査をするそうですけど、犯人が分かるかどうか。だって、目撃者は一人もいないんですからね」
「目撃者と言えば、俺が馬の水飲み場で見た男は容疑者じゃないのか? シリンキ村の方から来て、梅の種を吐き捨てて行った」
「確かに怪しいですけど、犯人がわざわざ足のつくようなことしますかね?」
「まあな……」
俺はあの男の行動を思い返してみた。隠れるように、水飲み場を通り過ぎようとしたこと。そんなに関わり合いになりたくないなら、無視して行ってしまえばよかったものを、目立ちたくなかったのか、黙って俺の提案に従った。その間、顔をあげず、返事すらしようとしない。泥棒が一仕事終えた後には、こんな感じになるんじゃないだろうか。
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