断片或いは欠片

ショートコント・乙ゲーへの転生

物語の主人公ことリナは転生者である。ここは『君に恋して☆』というクソダサもとい捻りの欠片もないタイトルの乙ゲーの世界。内容もそこまで奇抜ではないテンプレばかり。だがキャラデザの絵師が神懸かっておりリナは可愛らしく、攻略対象者達は眉目秀麗のイケメン揃いであった。リナは最初こそこの転生を喜んでいたが不満もあった。悪役令嬢が一切絡んでこないのである。

リナ：やっと見つけた！悪役令嬢アンジェリカ！！

身分が上の者への発言。敬称なく、いきなりの悪役令嬢呼ばわり。不敬のオンパレードである。

アンジェリカ：どなた？

アンジェリカは不敬に怒るわけでもなく首を傾げて聞いた。

リナ：あんた、なんでイジメにこないのよ！！
アンジェリカ：？？よく分からないけれど貴女はイジメられたいの？
リナ：そうよ！

この乙ゲー、アンジェリカ絡みのイベントが矢鱈ある。そのため攻略対象者の好感度が伸びないのだ。

アンジェリカ：分かりました。では貴女の好みに沿った者を用意いたしましょう。
リナ：はあ？

物わかり良く頷くアンジェリカにリナが声を上げた。

アンジェリカ：ご安心くださいませ。その筋には伝手が御座いますの。
リナ：ちょっと待って。何の話してるの？
アンジェリカ：きっと貴女が満足できる者を用意できると確信できますわ。
リナ：いや、だから何の話よ！？

アンジェリカ：イジメられたいと仰ったので。つまりはドＳな性癖の者を御所望なのかと。
リナ：違うわあああああああ！！！！





アンジェリカも転生者だが乙ゲー関係には馴染みが無く、ただ西洋系の世界に輪廻転生したな位の感覚で生きていた。