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第三十四話 抗い
しおりを挟むローウェンが絶体絶命のピンチに陥っていた頃、トルタナは生死をさまよっていた。ダリアにヨミの術をかけられてから、トルタナの魂は身体から出たり入ったりしていた。
ここでトルタナが死んでしまえば、アルカリスの行く末は絶望と化し、希望が絶たれる。
しかし、ここで奇跡の生還を遂げれば時空を越えたアルカリス史上最強の戦士に生まれ変わることになるだろう。
トルタナにダリアはヨミの術をかけれたため、ダリアだけが本体でコルドとカフスが分身体だったようだ。だから、ローウェンの前にいるカフスは本体でコルドは外に、ダリアは分身体だと予想できる。だが、そうなることを見越して、既に手を打っている可能性もある。
トルタナの身体は、海から釣り上げられた魚のように身体をバタつかせていた。そして意識はヨミの空間に行ったり、現実に戻ったりしていたため錯乱しているようだった。
現実に意識が戻る度に「ウェイン……」と呟いた。呼吸が少しずつ荒くなっている。
トルタナが見ているヨミの空間には赤い稲妻があって、それがトルタナに攻撃をしてくる。トルタナは第Ⅶ紋の力を振り絞って、赤い稲妻に白い稲妻で対抗する。赤い稲妻を掻き消した時だけ現実世界に意識が戻り、逆に赤い稲妻に白い稲妻が掻き消されたときは、トルタナの魂が身体から引き離されそうになった。
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