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第3斬 数年後

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 頭はフランに少し待つように言い、外に出た。
フランはモパに言った。
「お嬢さま、心配無用です。あの者は馬鹿ではありません。じきに」
フランが言いかけたときにモパが話始めた。
「フラン、あなたひとりで逃げなさい。わたしは結局売られます。どうにかしたいというフランのお気持ちは痛いほど伝わってきます。」
フランがモパの発言に被せて言った。
「では、なおさら逃げなくては。それに蒼い髪の青年もこちらの味方に付ければまだどうなるかわかりません。事態が好転するかも、このフランが犠牲になってでもお救いいたします。でなければ…お父さまは、浮かばれません。でなければ…天国に行ったあとお父さまに合わせる顔がありません。でなければ…でなければ!…」
モパは涙がこぼれでるのを必死で抑えながら言った。
「そんなに自信があるのですか?あの蒼い髪の男を説得することが、できるというのですか?」

「わたしにおまかせしておけば良いのです。まずは今から言うことを実行してください。それからです。」

 その頃、蒼い髪の男は5人の見張りにつきまとわれていた。
見張り隊長が言った。
「頭の命に背いたらおまえのいのちは捨て置く。そのつもりで我らの視界から姿を消さんことだ。わかったな?仕事を黙って終えれば、法外な金額を出されると約束されたのだ。黙って従え!」

 そのとき、モパとフランを監禁しているところから人を呼ぶ声がした。見張りたちは隊長を残してすぐに向かった。
「おまえも見張らねばならんのにガキどもはジャマをしてくれる。」
蒼い髪の男は言った。
「見張りは1人いれば充分。」


 それから、数年経った。
フランは村を出て異国に来ていた。蒼い髪の男は、あのあとまたどこかの山賊に雇われたようだ。あくまで彼は傭兵として生きている。フランの仕事は異国のギルドでその都度、案件を受け持っている。異国にとどまってからは仕事のチームを組んだ。勇者志望のフランと回復師リカバリーのジェニス、そして猛獣使いビーストマスターのオルガノの3人。3人がこれまで受け持った仕事は命の危険が少ないE難度のみ。でも今日のフランたちはD難度を蹴ってC難度の仕事に向かう。

 フラン、ジェニス、オルガノは仕事の準備を整えるためギルド公認の雑貨屋に立ち寄った。フランは剣・鎧、そして下級魔獣の攻撃をもろともしない超薄型の肌着。ジェニスは女性用香水と魔獣避けになるクチュ岩の粉魔獣の天敵のおしっこが染み込んだ岩の粉(S級素材)とリカバリーにとって必要不可欠なマギウシの目玉魔力が宿る牛の目玉(G級素材)。マギウシの目玉は一時的な魔力増強のための道具でとても価値が高いが、マギウシは世界に無数に存在するためもっとも手に入りやすい。そのため、かなり安く手に入る。オルガノは猛獣のガンゲイルの餌と猛獣のにおい消しとインビシブルロープ犬につける透明のリードを何本か。

 そして準備が整い彼らは洞窟に向かった。
今回の件は魔獣と山賊と洞賊が出る洞窟を、ある商団を護衛しながら目的地に送り届けること。商団を護衛する仕事は初めてではない。E級難度の任務では何度も経験がある。だが、今回は魔獣と山賊と洞賊が出没する危険があることで難度がワンランク上がりD難度。さらにこの商団は闇取引をしているためさらにワンランク上がりC難度。商団が口封じにフランたちを手にかける可能性もゼロではないだろう。あまりに危険が大きすぎるのでギルドではやる!という勇気がある挑戦者がいなかった。ギルドは商団から圧をかけられやむなく承諾した。フランたちは単刀直入にギルドから申し込まれた。有無を言わせずに、実に勝手すぎるギルド長だ。

 この任務では実質、魔獣・山賊・洞賊・商団がフランたちの敵に回る。

洞窟にて、フランは意外?な人物と再会する。数年前に会っている、あの男に…。
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