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2.Ω嫌いのαと、Ωになりたくないβ編
2-2:Ω嫌いのαと、Ωになりたくないβ編2
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感傷的な気分に負けて、残された籠理さんの気持ちを全く考えていなかった。
彼がひどく寂しがり屋なことは、俺が一番知っていたはずなのに。
「目覚めたらいなくて、病院は黙「Ωを探してるαに、病院が言う訳ないでしょ」」
俺は慌てて籠理さんと鈴木の元に走り寄り、間に割り込んで引き離した。
途端に険しかった二人の表情が和らぎ、安心したように息を吐く。
「狭間っち、良かった無事だったんだ! 連絡つかないし、ずっと心配してた!」
「ごめん鈴木、迷惑かけた。籠理さんはこっちで引き取るから」
俺はそう言いながら籠理さんの腕を掴んで、友人から少しでも引き離そうとする。
けれど彼は抵抗せず、むしろ飛びつくようにして俺の背中に腕をまわしてきた。
「じゃあ狭間くん、私の元に戻ってきてくれるんですね! 番になったんですし!」
「なってないよ。その辺も説明するから、籠理さんついてきて」
籠理さんは逃がさないとばかりに俺を抱きしめ、ぐりぐりと頬ずりをしてくる。
けれど処方された薬が効いているようで、αの発情が起こる兆しはなかった。
(とはいえ、ちゃんと距離をおかないと。黙って出てきたのは良くなかったけど)
俺は友人に手早く別れを告げて、籠理さんを引きずるようにして歩き出す。
どこか二人きりではない、落ち着いて話せる場所を探さないといけなかった。
散々籠理さんの家を提案されたが拒否して、人の少ない喫茶店に腰を落ち着ける。
そして注文したカフェオレが届いてから、俺たちはようやく話を始めた。
「うなじ、無理やり噛んでごめんなさい。……痛かったですか?」
「うん。Ωなら大丈夫だけど、まだβだからね俺」
籠理さんの視線は、俺の首を覆う包帯と首輪にしげしげと注がれている。
やはり気に病んでいたようで、彼は痛々しげに目を細めていた。
……それだけで俺は全て許したくなるが、ここは強めに釘を刺さないといけない。
(フェロモンで狂わされてたから、性行為を止めれなかったことは仕方ない。でも)
番になってほしいと言いながら、俺の首を噛んだのは反省してほしかった。
β相手であれば遊びで済むが、Ω相手であれば最悪一生を左右する。
(恋に流された俺が、言えたことじゃない。けど籠理さんには幸せになってほしい)
数年程度なら世間も許してくれるだろうが、その先は社会的責任を求めてくる。
聞いたことはないが籠理さんの家族も、俺との関係を良く思っていない。
……なのに肝心の彼は、俺のことばかり気にしていた。
「え、狭間くんβなんですか? あれだけ甘いフェロモンを漂わせていたのに」
「正確にはΩに、体質が切り替わり始めてるんだ。まだβの気質の方が強い」
性行為で発情期を終わらせ、病院で薬を処方された体は通常のβと変わらない。
しかし不安定な状態は続いてるし、αとの接触は断つよう厳命されている。
だから俺は双方の為に、感情に流されないで籠理さんと距離を置く必要があった。
「だからこそ番にならなくて済んだけど、もう噛んじゃダメだからね」
「そん、な。……私のこと、嫌いになりました?」
俺が強めに言い含めると、籠理さんが捨てられた子犬のように項垂れる。
その弱々しい姿に速攻絆されそうになるが、俺は言葉を選んで会話を続けた。
「嫌いにはならないけど、俺、しばらくは帰れないよ。完全なβに戻るまでは」
「貴方であれば、Ωでも嫌いにならないのに。ね、帰ってきてください狭間くん」
短期間でも一人になるのが嫌な籠理さんは、どうにか俺を引き留めようとする。
けれどここで彼の気持ちに応えてしまえば、後悔するのが分かり切っていた。
「フェロモンと過去の情に踊らされてるだけだよ。ちゃんと正気に戻って」
「私は正気です。ちゃんとα用の抑制剤も飲んで、今は落ち着いてます」
俺が病院に行っている間に籠理さんも動いていたらしく、彼は錠剤を見せてきた。
それはα用の抑制剤だったが、副作用がきついことでも有名な代物でもある。
(無理させてるなぁ、こういう薬は苦手だって言ってたのに)
強すぎるフェロモンを抑える為に、普段から彼は特殊抑制薬を服用していた。
当然副作用が体を蝕むから、極力薬を飲まずに済むよう心掛けていたのに。
(なら尚更、籠理さんと離れるいい機会なのかもしれないな)
俺は彼のことが好きだけど、辛い思いをさせてまで縛り付けていたくない。
そう言ってしまえば撤回を求められるだろうから、別の言葉で覆い隠すけど。
「とにかく治療を受けて、完全なβになったら帰るよ。少しの間、離れるだけ」
「嫌です、ずっと一緒にいたい。私はこんなに寂しいのに、貴方は違うんですか」
籠理さんは机越しに俺の手を取り、縋るように目線を合わせてくる。
そして奥にある席であるのを良いことに、指を絡ませて握りしめてきた。
彼がひどく寂しがり屋なことは、俺が一番知っていたはずなのに。
「目覚めたらいなくて、病院は黙「Ωを探してるαに、病院が言う訳ないでしょ」」
俺は慌てて籠理さんと鈴木の元に走り寄り、間に割り込んで引き離した。
途端に険しかった二人の表情が和らぎ、安心したように息を吐く。
「狭間っち、良かった無事だったんだ! 連絡つかないし、ずっと心配してた!」
「ごめん鈴木、迷惑かけた。籠理さんはこっちで引き取るから」
俺はそう言いながら籠理さんの腕を掴んで、友人から少しでも引き離そうとする。
けれど彼は抵抗せず、むしろ飛びつくようにして俺の背中に腕をまわしてきた。
「じゃあ狭間くん、私の元に戻ってきてくれるんですね! 番になったんですし!」
「なってないよ。その辺も説明するから、籠理さんついてきて」
籠理さんは逃がさないとばかりに俺を抱きしめ、ぐりぐりと頬ずりをしてくる。
けれど処方された薬が効いているようで、αの発情が起こる兆しはなかった。
(とはいえ、ちゃんと距離をおかないと。黙って出てきたのは良くなかったけど)
俺は友人に手早く別れを告げて、籠理さんを引きずるようにして歩き出す。
どこか二人きりではない、落ち着いて話せる場所を探さないといけなかった。
散々籠理さんの家を提案されたが拒否して、人の少ない喫茶店に腰を落ち着ける。
そして注文したカフェオレが届いてから、俺たちはようやく話を始めた。
「うなじ、無理やり噛んでごめんなさい。……痛かったですか?」
「うん。Ωなら大丈夫だけど、まだβだからね俺」
籠理さんの視線は、俺の首を覆う包帯と首輪にしげしげと注がれている。
やはり気に病んでいたようで、彼は痛々しげに目を細めていた。
……それだけで俺は全て許したくなるが、ここは強めに釘を刺さないといけない。
(フェロモンで狂わされてたから、性行為を止めれなかったことは仕方ない。でも)
番になってほしいと言いながら、俺の首を噛んだのは反省してほしかった。
β相手であれば遊びで済むが、Ω相手であれば最悪一生を左右する。
(恋に流された俺が、言えたことじゃない。けど籠理さんには幸せになってほしい)
数年程度なら世間も許してくれるだろうが、その先は社会的責任を求めてくる。
聞いたことはないが籠理さんの家族も、俺との関係を良く思っていない。
……なのに肝心の彼は、俺のことばかり気にしていた。
「え、狭間くんβなんですか? あれだけ甘いフェロモンを漂わせていたのに」
「正確にはΩに、体質が切り替わり始めてるんだ。まだβの気質の方が強い」
性行為で発情期を終わらせ、病院で薬を処方された体は通常のβと変わらない。
しかし不安定な状態は続いてるし、αとの接触は断つよう厳命されている。
だから俺は双方の為に、感情に流されないで籠理さんと距離を置く必要があった。
「だからこそ番にならなくて済んだけど、もう噛んじゃダメだからね」
「そん、な。……私のこと、嫌いになりました?」
俺が強めに言い含めると、籠理さんが捨てられた子犬のように項垂れる。
その弱々しい姿に速攻絆されそうになるが、俺は言葉を選んで会話を続けた。
「嫌いにはならないけど、俺、しばらくは帰れないよ。完全なβに戻るまでは」
「貴方であれば、Ωでも嫌いにならないのに。ね、帰ってきてください狭間くん」
短期間でも一人になるのが嫌な籠理さんは、どうにか俺を引き留めようとする。
けれどここで彼の気持ちに応えてしまえば、後悔するのが分かり切っていた。
「フェロモンと過去の情に踊らされてるだけだよ。ちゃんと正気に戻って」
「私は正気です。ちゃんとα用の抑制剤も飲んで、今は落ち着いてます」
俺が病院に行っている間に籠理さんも動いていたらしく、彼は錠剤を見せてきた。
それはα用の抑制剤だったが、副作用がきついことでも有名な代物でもある。
(無理させてるなぁ、こういう薬は苦手だって言ってたのに)
強すぎるフェロモンを抑える為に、普段から彼は特殊抑制薬を服用していた。
当然副作用が体を蝕むから、極力薬を飲まずに済むよう心掛けていたのに。
(なら尚更、籠理さんと離れるいい機会なのかもしれないな)
俺は彼のことが好きだけど、辛い思いをさせてまで縛り付けていたくない。
そう言ってしまえば撤回を求められるだろうから、別の言葉で覆い隠すけど。
「とにかく治療を受けて、完全なβになったら帰るよ。少しの間、離れるだけ」
「嫌です、ずっと一緒にいたい。私はこんなに寂しいのに、貴方は違うんですか」
籠理さんは机越しに俺の手を取り、縋るように目線を合わせてくる。
そして奥にある席であるのを良いことに、指を絡ませて握りしめてきた。
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