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あれ得ない話
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私はエインに城へ戻れとうるさく言われたが戻らず、ある家に来ていた。扉を鳴らせば私の親友と似る女性が顔を出すも今までで見たことがないほど嬉しそうだった。私は不思議に思ったが彼女に挨拶した後、庭に行き親友が眠る墓へ持参した花束を置き祈った。
「いつもありがとうね、スタシアくん」
私が祈りから顔をあげるといつもは悲しげな顔をともにするはずの彼女がやはり元気にそう言う。私は気になり、つい彼女をじっと見てしまったが彼女は再び口を開いた。
「少し時間はあるかしら? きっと貴方も驚く物が今日、私に届いたの」
「大丈夫ですが、驚く物ですか?」
「ええ、それはもう、腰を抜かす程よ!」
全く私には想像がつかない中、彼女に背中を押され家に入れば、机の上に置かれたコロンと小さな花束が目に入る。
「だ、誰がこんな酷い悪戯を?」
この贈り物は私の親友が行っていたものだった。それを誰かが真似てこの女性に贈ったとでも言うのだろうか。だが、私の親友を使ってなんて酷いことをするのだとつい声が低くなって訊いてしまった。しかし彼女は気にした様子を見せず、花束についていたメッセージカードを私に渡した。
「私も最初はそう思ったわ。でもね、本当にこれはあの子から贈られているの」
彼女の言葉に私は何を言っているんだと口を開きそうになったが彼女の優しい目と合い、私はメッセージカードを開いた。
「これは……」
そこには私が昔、よく見ていた馴染みのある懐かしい親友の筆跡があり、驚く。
私は暫く眺め、確かにここまで全く同じだと親友が書いて彼女へ贈ったのだと思ってしまう。
だが、本当に親友が私の腕の中で死んだのは紛れもない事実で今でも鮮明に覚えている。
「確かに、よく似ていますが筆跡を真似られた可能性もあります」
偽物でも久しぶりに喜んでいた彼女に水をさすのは心苦しいが私は喜べないし、こんな事をする者が許せない。
「ふふ、この内容が分からない貴方にはそう思えるのかも。だってこの話は母と息子しか知らないもの。てっきり貴方だけには話してるのかと思えば貴方も知らないなんてあの子からしたら相当恥ずかしい出来事だったのね」
彼女は面白そうに私を見て話すが何一つ分からず、メッセージカードの内容をよく読む。しかし、分からず疑問を私は口に出した。
「このコロンを探しに花屋に行ってしまった事は貴女とフィーしか知らないと?」
「そうよ、流石ね。貴方も知らないなら親子でしか知らない事よ? 他人が書けるかしら? それに落ち込んでる私に息子を名乗って贈り物をする意味がないもの」
本当に本人からだと言いきる彼女に私はついていけなかった。
「そうですが……。でもフィーは私が……」
「貴方の所為ではないわ、それにきっとあの子は貴方に会いに行くだろうから、大切にしてあげてね」
涙を流してしゃがみ込んだ私の背中を撫でながら彼女はそう言った。
私はそんなあり得ない話を聞かせないでほしいと願いながらもそんなことがあればいいのにと願う自分の声を聞く。
「いつもありがとうね、スタシアくん」
私が祈りから顔をあげるといつもは悲しげな顔をともにするはずの彼女がやはり元気にそう言う。私は気になり、つい彼女をじっと見てしまったが彼女は再び口を開いた。
「少し時間はあるかしら? きっと貴方も驚く物が今日、私に届いたの」
「大丈夫ですが、驚く物ですか?」
「ええ、それはもう、腰を抜かす程よ!」
全く私には想像がつかない中、彼女に背中を押され家に入れば、机の上に置かれたコロンと小さな花束が目に入る。
「だ、誰がこんな酷い悪戯を?」
この贈り物は私の親友が行っていたものだった。それを誰かが真似てこの女性に贈ったとでも言うのだろうか。だが、私の親友を使ってなんて酷いことをするのだとつい声が低くなって訊いてしまった。しかし彼女は気にした様子を見せず、花束についていたメッセージカードを私に渡した。
「私も最初はそう思ったわ。でもね、本当にこれはあの子から贈られているの」
彼女の言葉に私は何を言っているんだと口を開きそうになったが彼女の優しい目と合い、私はメッセージカードを開いた。
「これは……」
そこには私が昔、よく見ていた馴染みのある懐かしい親友の筆跡があり、驚く。
私は暫く眺め、確かにここまで全く同じだと親友が書いて彼女へ贈ったのだと思ってしまう。
だが、本当に親友が私の腕の中で死んだのは紛れもない事実で今でも鮮明に覚えている。
「確かに、よく似ていますが筆跡を真似られた可能性もあります」
偽物でも久しぶりに喜んでいた彼女に水をさすのは心苦しいが私は喜べないし、こんな事をする者が許せない。
「ふふ、この内容が分からない貴方にはそう思えるのかも。だってこの話は母と息子しか知らないもの。てっきり貴方だけには話してるのかと思えば貴方も知らないなんてあの子からしたら相当恥ずかしい出来事だったのね」
彼女は面白そうに私を見て話すが何一つ分からず、メッセージカードの内容をよく読む。しかし、分からず疑問を私は口に出した。
「このコロンを探しに花屋に行ってしまった事は貴女とフィーしか知らないと?」
「そうよ、流石ね。貴方も知らないなら親子でしか知らない事よ? 他人が書けるかしら? それに落ち込んでる私に息子を名乗って贈り物をする意味がないもの」
本当に本人からだと言いきる彼女に私はついていけなかった。
「そうですが……。でもフィーは私が……」
「貴方の所為ではないわ、それにきっとあの子は貴方に会いに行くだろうから、大切にしてあげてね」
涙を流してしゃがみ込んだ私の背中を撫でながら彼女はそう言った。
私はそんなあり得ない話を聞かせないでほしいと願いながらもそんなことがあればいいのにと願う自分の声を聞く。
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