16 / 17
祝いの席
しおりを挟む
その日、俺は喜びを分かち合う人達を遠回しに見ていた。俺が呼ばれた意味が分からないほど、蚊帳の外だ。だが、俺も馬鹿ではないから、そこへ行こうとはせずに気配を消して静かにこの場が終わるのを待つ。
しかし、俺はあまりに暇すぎて外の見えるバルコニーに移動した。後ろを向けばシアと聖女であるあの彼女が皆にお礼を言われているのが見えたが俺は胸が苦しくなり、前を向く。
もし、死ななかったら俺もあの隣にいる事を許されたのだろうかと思い、落ち込む。
「酒飲むなよ、フィーロ」
ため息を俺がついた時、背後から声がかかった。
「飲んでないよ。それより、こんなとこにいていいの? 戻りなよ、エイン」
「もういいんだよ、俺は。後はスタシアが対応しておけば」
疲れた顔をしたエインは俺の隣にくるとバルコニーの柵にもたれシア達のいる方を見た。それに俺もシア達の方に向き直り、柵にもたれた。
「それにしても本当にお疲れ様。これで平和になるね」
無事、聖女の浄化によって平和になった事を今宵は祝っているのだ。それの功労者にあたるエインは祝いの中心から外れ、こんな目立たないところに来ている。
「まあな。それより、フィーロも解放されるな。騎士団に絶対いなくてよくなるがこのまま補佐でいるのか?」
「どうしようかな。他に行く場所ないし、生活が困るから出来ればこのままの方が助かるけど」
そう、平和になったという事は俺と聖女は解放されたに等しい。だから、自由にしていいが俺は聖女の彼女のように何か成し遂げた訳でもないし、おまけに魔力もないから自由にしていいと言われても困るのだ。仮に街で暮らすにしても魔力がない俺は仕事を探すのも苦労するだろう。なので、このまま騎士団で世話になりたいがもう俺の異世界から来たという特別扱いは自由になった今、なくなる。まあ、元からあまりないが。結局のところ魔力なしで騎士団に居続けさせてもらえるのかという不安が俺にあった。戦えない者は騎士ではないのだ。もし無理なら頑張って職を探すしかない。
「なら、補佐のままいてくれよ。俺の苦労が減るし」
「俺、このままいさせてもらえるかな? 魔力ないよ?」
「魔力がなくてもフィーロは戦えるだろう」
嬉しいことを言ってくれるエインに俺は笑う。しかし、次の言葉で俺は笑顔が消える。
「そういえば、スタシアが聖女と婚約するとか言うんだが何か聞いてるか?」
エインの言葉に俺はすぐに返せなかった。
「フィーロ、聞いてるのか?」
再び彼から声がかけられ漸く、俺は答えた。
「え、あ、ごめん。いや知らない、シア、婚約するんだ」
「俺もよく分からないが珍しくスタシアも否定しないからな」
「そうなんだ……」
エインから教えられる話に俺は悲しくなり、一人になりたくなったが運よく彼が人に呼ばれ去っていく。俺はまた一人になると近くでちょうどお酒を配っていたのでもらい、飲んだ。
「どうしよう、リーシャの言う通りだ」
しかし、俺はあまりに暇すぎて外の見えるバルコニーに移動した。後ろを向けばシアと聖女であるあの彼女が皆にお礼を言われているのが見えたが俺は胸が苦しくなり、前を向く。
もし、死ななかったら俺もあの隣にいる事を許されたのだろうかと思い、落ち込む。
「酒飲むなよ、フィーロ」
ため息を俺がついた時、背後から声がかかった。
「飲んでないよ。それより、こんなとこにいていいの? 戻りなよ、エイン」
「もういいんだよ、俺は。後はスタシアが対応しておけば」
疲れた顔をしたエインは俺の隣にくるとバルコニーの柵にもたれシア達のいる方を見た。それに俺もシア達の方に向き直り、柵にもたれた。
「それにしても本当にお疲れ様。これで平和になるね」
無事、聖女の浄化によって平和になった事を今宵は祝っているのだ。それの功労者にあたるエインは祝いの中心から外れ、こんな目立たないところに来ている。
「まあな。それより、フィーロも解放されるな。騎士団に絶対いなくてよくなるがこのまま補佐でいるのか?」
「どうしようかな。他に行く場所ないし、生活が困るから出来ればこのままの方が助かるけど」
そう、平和になったという事は俺と聖女は解放されたに等しい。だから、自由にしていいが俺は聖女の彼女のように何か成し遂げた訳でもないし、おまけに魔力もないから自由にしていいと言われても困るのだ。仮に街で暮らすにしても魔力がない俺は仕事を探すのも苦労するだろう。なので、このまま騎士団で世話になりたいがもう俺の異世界から来たという特別扱いは自由になった今、なくなる。まあ、元からあまりないが。結局のところ魔力なしで騎士団に居続けさせてもらえるのかという不安が俺にあった。戦えない者は騎士ではないのだ。もし無理なら頑張って職を探すしかない。
「なら、補佐のままいてくれよ。俺の苦労が減るし」
「俺、このままいさせてもらえるかな? 魔力ないよ?」
「魔力がなくてもフィーロは戦えるだろう」
嬉しいことを言ってくれるエインに俺は笑う。しかし、次の言葉で俺は笑顔が消える。
「そういえば、スタシアが聖女と婚約するとか言うんだが何か聞いてるか?」
エインの言葉に俺はすぐに返せなかった。
「フィーロ、聞いてるのか?」
再び彼から声がかけられ漸く、俺は答えた。
「え、あ、ごめん。いや知らない、シア、婚約するんだ」
「俺もよく分からないが珍しくスタシアも否定しないからな」
「そうなんだ……」
エインから教えられる話に俺は悲しくなり、一人になりたくなったが運よく彼が人に呼ばれ去っていく。俺はまた一人になると近くでちょうどお酒を配っていたのでもらい、飲んだ。
「どうしよう、リーシャの言う通りだ」
140
あなたにおすすめの小説
俺は北国の王子の失脚を狙う悪の側近に転生したらしいが、寒いのは苦手なのでトンズラします
椿谷あずる
BL
ここはとある北の国。綺麗な金髪碧眼のイケメン王子様の側近に転生した俺は、どうやら彼を失脚させようと陰謀を張り巡らせていたらしい……。いやいや一切興味がないし!寒いところ嫌いだし!よし、やめよう!
こうして俺は逃亡することに決めた。
結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした
紫
BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。
実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。
オメガバースでオメガの立場が低い世界
こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです
強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です
主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です
倫理観もちょっと薄いです
というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります
※この主人公は受けです
隠された令息は、護衛騎士と息をする。
木漏れ日の庭
BL
公爵家に生まれながらも、妾の子として蔑まれ、固有魔法すら使えない令息のユリシス。彼は足が悪く、うまく歩くことが難しい。そんな彼の元に、護衛騎士としてキースという美しい男が訪れる。始めはなんの関わりも持たない二人だが、ユリシスの静かな優しさが、キースの心を溶かしてゆく。
【8話完結】強制力に負けて死に戻ったら、幼馴染の様子がおかしいのですが、バグですか?
キノア9g
BL
目が覚めたら、大好きだったRPGの世界に転生していた。
知識チートでなんとか死亡フラグを回避した……はずだったのに、あっさり死んで、気づけば一年前に逆戻り。
今度こそ生き残ってみせる。そう思っていたんだけど——
「お前、ちょっと俺に執着しすぎじゃない……?」
幼馴染が、なんかおかしい。妙に優しいし、距離が近いし、俺の行動にやたら詳しい。
しかも、その笑顔の奥に見える“何か”が、最近ちょっと怖い。
これは、運命を変えようと足掻く俺と、俺だけを見つめ続ける幼馴染の、ちょっと(だいぶ?)危険な異世界BL。
全8話。
【8話完結】勇者召喚の魔法使いに選ばれた俺は、勇者が嫌い。
キノア9g
BL
勇者召喚の犠牲となった家族——
魔法使いだった両親を失い、憎しみに染まった少年は、人を疑いながら生きてきた。
そんな彼が、魔法使いとして勇者召喚の儀に参加させられることになる。
召喚の儀——それは、多くの魔法使いの命を消費する狂気の儀式。
瀕死になりながら迎えた召喚の瞬間、現れたのは——スーツ姿の日本人だった。
勇者を嫌わなければならない。
それなのに、彼の孤独に共感し、手を差し伸べてしまう。
許されない関係。揺れる想い。
憎しみと運命の狭間で、二人は何を選ぶのか——。
「だけど俺は勇者が嫌いだ。嫌いでなければならない。」
運命に翻弄される勇者と魔法使いの、切ない恋の物語。
全8話。2025/07/28加筆修正済み。
【16話完結】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /チャッピー
AI比較企画作品
当て馬系ヤンデレキャラになったら、思ったよりもツラかった件。
マツヲ。
BL
ふと気がつけば自分が知るBLゲームのなかの、当て馬系ヤンデレキャラになっていた。
いつでもポーカーフェイスのそのキャラクターを俺は嫌っていたはずなのに、その無表情の下にはこんなにも苦しい思いが隠されていたなんて……。
こういうはじまりの、ゲームのその後の世界で、手探り状態のまま徐々に受けとしての才能を開花させていく主人公のお話が読みたいな、という気持ちで書いたものです。
続編、ゆっくりとですが連載開始します。
「当て馬系ヤンデレキャラからの脱却を図ったら、スピンオフに突入していた件。」(https://www.alphapolis.co.jp/novel/239008972/578503599)
【本編完結】処刑台の元婚約者は無実でした~聖女に騙された元王太子が幸せになるまで~
TOY
BL
【本編完結・後日譚更新中】
公開処刑のその日、王太子メルドは元婚約者で“稀代の悪女”とされたレイチェルの最期を見届けようとしていた。
しかし「最後のお別れの挨拶」で現婚約者候補の“聖女”アリアの裏の顔を、偶然にも暴いてしまい……!?
王位継承権、婚約、信頼、すべてを失った王子のもとに残ったのは、幼馴染であり護衛騎士のケイ。
これは、聖女に騙され全てを失った王子と、その護衛騎士のちょっとズレた恋の物語。
※別で投稿している作品、
『物語によくいる「ざまぁされる王子」に転生したら』の全年齢版です。
設定と後半の展開が少し変わっています。
※後日譚を追加しました。
後日譚① レイチェル視点→メルド視点
後日譚② 王弟→王→ケイ視点
後日譚③ メルド視点
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる