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番外編
旅立ち
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寮にあった私の部屋は既にもう私物の撤収の準備が終わり、元々あった家具しか残っていない。
防具や予備を含めた武器、およびコツコツと買い集めた魔道具作成の道具は色々と教えて貰った老魔道具師から卒業祝いと餞別として貰ったマジックバッグに入っている。
着替えやシーツ・毛布と少量の保存食は自分で何とか作り上げたマジックバッグに入れてある。
卒業間際にギリギリ何とか自力で成功させた袋だが、師匠に貰った物に比べると格段に小さく、重量軽減機能も弱い。それでもないよりはよっぽどマシだし、これでも魔道具師の少ない地方ならばそれなりな値段で売れなくはない。
「お前がもう学院を卒業して独り立ちとはなぁ……。
年月が流れるのは早いねぇ。
最近は歳を感じる様になってきたし、そろそろ俺も領地をアキウスに任せて引退しようかなぁ」
勉強机の前の椅子に座った父上が感慨深げに空になった部屋を見回しながら言った。
「何を言っているんですか。
父上は単に母上と旅行にでも遊びに出たいだけでしょう。
兄上たちがキャルバーグ子爵領の未開発地域へやっと手をつけ始めたところなのに、領地の仕事まで押し付けたら手が回らなくて全部ポシャってしまいますよ」
長兄《アキウス》が卒業した時点で開拓に向けて本格的に人や資材を集め始め、次兄《カルペウス》が卒業したところで魔力を大々的に使った開拓作業を始めたところなのだ。
一応それなりに順調な出だしだと手紙には書いてあるが、先は長い。
父上が引退できるのはそれこそ孫が生まれてからだろう。
「デリクこそ、兄たちを手助けしてあげないんだって?
薄情だな」
父上が揶揄い半分に聞き返す。
「下手に私が参加して開拓した土地を二分にしたら男爵一人の代わりに貧乏準男爵二人になるか、男爵一人と搾取されたと恨みを抱く魔力持ち一人になりますよ。
あまり領地開拓にも貴族家の当主になる事にも然程興味はありませんからね。
取り敢えずは辺境の方に行って素材集めをしながら魔道具作りの腕を上げて、自分の店でも持とうと思っています」
マジックバッグを作った時の達成感は、大きかった。
魔術だって十分ファンタジーなのだが、ある意味あれのほとんどは現代日本の重機や武器などで再現できる効果が多い。
その点、マジックバッグは文字通り魔法《マジック》としか言いようが無いのだ。
袋の中に大量に物が入り、重さも減るなんて、本当に不思議すぎる。
それを自分で作れるのは、面白いし……本当にファンタジーな世界の一員になった様な達成感があった。
ガンガン試行錯誤を重ねて、より大きく、より高機能なマジックバッグを作れる様に腕を磨きたいし、より良い素材を入手する為に辺境で魔物を倒す腕も上げたい。
自分の店を持つのは……ついでだ。
流石に王族だと言うのに、マジックバッグやその他の不思議な魔道具の研究と作成に生涯を費やしたいと馬鹿正直に言うのはちょっと躊躇われる。
「まあ、お前の人生はお前のものだ。
国がやばい事にでもならない限り、自由に生きていってくれ。
……その前に、ちょっと面白いモノを見せてやろう。ついてこい」
父上が立ち上がって扉に向かった。
◆◆◆◆
父上に着いて行ったら、学院図書館の裏に来た。
裏口らしき扉に父上が手を翳すと、魔力認証で鍵が解錠する音が聞こえた。
おやぁ?
「父上って図書委員か何かだったんですか?」
卒業したら登録解除すべきだと思うが。
と言うか、図書委員だとしても図書館へ入る裏口の鍵を開けられるなんて、良いのだろうか?
「いや、ここは一部の王族だけが登録を許される特別な扉だ」
何やら不穏なことを父上が言った。
「えぇ?
それはもう直ぐ実質平民になる子爵家の三男が知る必要の無い知識だと思うんですが」
危険で不要な知識だと思うんだけど!
「いいから、着いて来い」
そう言うと、父上は扉の中に入って行った。
裏口だと思った扉の内側は下へ降りる階段になっており、それを降りると何やら地下道の様な通路に出た。
石で固めてある様な床だが、灯《ライト》を強めてよく見たら土魔術で固めた岩の様だ。
いや、岩盤を土魔術でくり抜いたのか?
それなりに綺麗で、剣も振るえるだけの広さがあるのだが……これってもしかして過去の王族が秘密裏に作った抜け道なのだろうか?
学院から街へ遊びに行くための抜け道?
いや。
気のせいで無ければ、王宮に方へ向かっている気がするのだが。
そんな事を考えながら10分近く歩いたら、今度は上がる階段に出てきた。
これってもしかして、過去に王族が通学に使った通路?
その方が頭に浮かぶ他の可能性よりは無難だが、それでも王宮へ入る直通ルートなんぞ知りたくなかった。
そんな事を考えながら階段を上がったら、父上がそこにあった扉にノックをしてから魔力を通した。
こちらも魔力認証か。
まあ、王宮に入る裏口のようなモノなのだ。
人間のチェックが入らないなら登録認証は必須だろう。
「入れ」
部屋の中から声が聞こえる。
「久しぶりだな、フェルナン。
随分と老けたね」
父上が部屋の中にいた人物に声を掛けた。
フェルナン?!
恐る恐る父上の後に続いて部屋に入ったら、先ほど卒業式で遠くから眺めた国王の顔があった。
マジか~。
慌てて跪いて頭を下げる。
「公式の場では無いのだ、叔父と甥の間で堅苦しくやらんで良いから頭を上げよ。
卒業おめでとう、デリクバルド」
国王陛下が言った。
「有難うございます。
これからも国のために力を尽くして参ります」
まあ、経済を回す一員としてだけどね。
「座れ。
デリクバルドはこの後辺境伯領の方に行くそうだな?」
ソファを示しながら国王陛下が言った。
振り返ったら、既に父上はすわっていた。
国王陛下が居るところで勝手に座るのって不敬なんじゃ無いの??
それとも兄弟だとOK?
政争して負けた兄としてはダメな気がするのだが、壁際に立っている護衛っぽい人は何も言わなかった。
良いんかねぇ?
まあ、意外と父上と国王陛下って仲が悪く無いみたいだけど。
「はい。
辺境で魔物を倒して素材を集め、魔道具作りの腕を上げていきたいと思っています」
やっぱ王都だと素材の入手が大変すぎるんだよね。
と言うか、なんでも手に入るが、どれも高い。
高いから、失敗したら経済的に行き詰まってしまうので失敗するかもしれない新しい技術へ手を出せない。
腕を上げたかったら、素材の原産地に行って自分で獲って来てガンガン失敗しながら作り続ける方が効率的だ。
ほぼ失敗しない範囲でチミチミと腕を磨いていくなんて、退屈だし時間もかかりすぎる。
「学院で学年トップの魔力がありながら、騎士でも魔術師でもなく魔道具師を目指すか!
面白い!」
国王が笑いながら言った。
「婿入りも爵位を継ぐ予定もない、気楽な身ですので。
自力でどこまで自分が選んだ道を極められるか、挑戦したいと思っております」
マジで三男に生まれて良かったと思っている。
次男でもここまで気楽に実家を捨てられなかっただろう。
「ふむ。
まあ、王族でも一人ぐらい気楽に生きる人間が居ても良かろう。
国の危機があった際には民の為に尽くしてくれると期待しておるぞ?」
国王陛下が言った。
「この体に流れる血は代々の王国の民に育まれたもの。
何かの際には命を賭けてでも最善を尽くしましょう」
まあ、辺境にいたら国家の危機ってレベルじゃなくてもスタンピードや戦争で戦う羽目になる可能性は高そうだが、それはしょうがない。
一応は王族なのだ。
力を持つ者として、弱者を守る為に戦う気はある。
「うむ。
ついでに、そこの扉と出口の扉の魔力認証へ登録しておけ。
王宮が内通者によって占領されたなどと言った事態が万が一にでも起きた場合に、王宮を裏切り者から奪回して貰う可能性に備えた裏口だ。
信じておるぞ」
うわぁ……。
重い信頼だな。
なんかこう、卒業式よりも何よりも、大人になった実感が湧いた。
「その様な事態が起きぬ事を祈っておりますが、もしもの時には馳せ参じます」
ま、そんな緊急事態は起きずに俺が魔物に倒されて死ぬ可能性の方が遥かに高いが。
「王宮には王族の魔力で動く、国を守る為の大規模な魔法陣が幾つか隠されている。
だから戦時中などに内通者によって王都が落とされる前に王宮が占領された様な場合に備えて、外にいる王族が王宮の中央部へ直接入れる様に秘密通路があるんだ」
国王陛下との非公式な拝謁の後、陛下がいた部屋の扉に魔力登録して学院の図書館へ戻りながら父上がこの秘密通路について説明してくれた。
「いやでも、これがあったら内乱起こして国王陛下を暗殺し放題なのでは?」
不満を持つ第二王子とかが居たら危険だろうに。
「国家と国王の命を秤にかけて、国王が信頼できると信じた王族にだけ教えて魔力登録させているんだ。
まあ、我々なんかはフェルナンを暗殺して王座を簒奪しようとしても今更貴族が付いてこないからな。
国への想いと簒奪の危険を鑑みて、大丈夫だと判断したんだろう。
第二王子・第三王子なんかであの通路のことを教わらなかった王族はそれなりに居たらしい」
父上が言った。
なるほどねぇ。
第一王子が『不幸な事故』で亡くなり、それを聞いた国王陛下が『ショックで』寝込んでそのまま死んだなんて話にして第二王子が王座に着く危険性はあるが、我々が王座に着くのはそれこそ亡国の危機でも無ければまずあり得ない。
だから、暗殺を危険視する必要性が大分と下がるんだろう。
まあ、最後は国王陛下の人を見る目に掛かってるんだろうけど。
一国の王に命を賭けて信頼されるってそれなりに身が引き締まる思いだ。
とは言え、その信頼に応じなきゃいけない事態なんてまず起きないとは思うけどね。
学院を卒業し、今日から一人の大人として生きる事になる。
中々重い大人への第一歩だったな!
防具や予備を含めた武器、およびコツコツと買い集めた魔道具作成の道具は色々と教えて貰った老魔道具師から卒業祝いと餞別として貰ったマジックバッグに入っている。
着替えやシーツ・毛布と少量の保存食は自分で何とか作り上げたマジックバッグに入れてある。
卒業間際にギリギリ何とか自力で成功させた袋だが、師匠に貰った物に比べると格段に小さく、重量軽減機能も弱い。それでもないよりはよっぽどマシだし、これでも魔道具師の少ない地方ならばそれなりな値段で売れなくはない。
「お前がもう学院を卒業して独り立ちとはなぁ……。
年月が流れるのは早いねぇ。
最近は歳を感じる様になってきたし、そろそろ俺も領地をアキウスに任せて引退しようかなぁ」
勉強机の前の椅子に座った父上が感慨深げに空になった部屋を見回しながら言った。
「何を言っているんですか。
父上は単に母上と旅行にでも遊びに出たいだけでしょう。
兄上たちがキャルバーグ子爵領の未開発地域へやっと手をつけ始めたところなのに、領地の仕事まで押し付けたら手が回らなくて全部ポシャってしまいますよ」
長兄《アキウス》が卒業した時点で開拓に向けて本格的に人や資材を集め始め、次兄《カルペウス》が卒業したところで魔力を大々的に使った開拓作業を始めたところなのだ。
一応それなりに順調な出だしだと手紙には書いてあるが、先は長い。
父上が引退できるのはそれこそ孫が生まれてからだろう。
「デリクこそ、兄たちを手助けしてあげないんだって?
薄情だな」
父上が揶揄い半分に聞き返す。
「下手に私が参加して開拓した土地を二分にしたら男爵一人の代わりに貧乏準男爵二人になるか、男爵一人と搾取されたと恨みを抱く魔力持ち一人になりますよ。
あまり領地開拓にも貴族家の当主になる事にも然程興味はありませんからね。
取り敢えずは辺境の方に行って素材集めをしながら魔道具作りの腕を上げて、自分の店でも持とうと思っています」
マジックバッグを作った時の達成感は、大きかった。
魔術だって十分ファンタジーなのだが、ある意味あれのほとんどは現代日本の重機や武器などで再現できる効果が多い。
その点、マジックバッグは文字通り魔法《マジック》としか言いようが無いのだ。
袋の中に大量に物が入り、重さも減るなんて、本当に不思議すぎる。
それを自分で作れるのは、面白いし……本当にファンタジーな世界の一員になった様な達成感があった。
ガンガン試行錯誤を重ねて、より大きく、より高機能なマジックバッグを作れる様に腕を磨きたいし、より良い素材を入手する為に辺境で魔物を倒す腕も上げたい。
自分の店を持つのは……ついでだ。
流石に王族だと言うのに、マジックバッグやその他の不思議な魔道具の研究と作成に生涯を費やしたいと馬鹿正直に言うのはちょっと躊躇われる。
「まあ、お前の人生はお前のものだ。
国がやばい事にでもならない限り、自由に生きていってくれ。
……その前に、ちょっと面白いモノを見せてやろう。ついてこい」
父上が立ち上がって扉に向かった。
◆◆◆◆
父上に着いて行ったら、学院図書館の裏に来た。
裏口らしき扉に父上が手を翳すと、魔力認証で鍵が解錠する音が聞こえた。
おやぁ?
「父上って図書委員か何かだったんですか?」
卒業したら登録解除すべきだと思うが。
と言うか、図書委員だとしても図書館へ入る裏口の鍵を開けられるなんて、良いのだろうか?
「いや、ここは一部の王族だけが登録を許される特別な扉だ」
何やら不穏なことを父上が言った。
「えぇ?
それはもう直ぐ実質平民になる子爵家の三男が知る必要の無い知識だと思うんですが」
危険で不要な知識だと思うんだけど!
「いいから、着いて来い」
そう言うと、父上は扉の中に入って行った。
裏口だと思った扉の内側は下へ降りる階段になっており、それを降りると何やら地下道の様な通路に出た。
石で固めてある様な床だが、灯《ライト》を強めてよく見たら土魔術で固めた岩の様だ。
いや、岩盤を土魔術でくり抜いたのか?
それなりに綺麗で、剣も振るえるだけの広さがあるのだが……これってもしかして過去の王族が秘密裏に作った抜け道なのだろうか?
学院から街へ遊びに行くための抜け道?
いや。
気のせいで無ければ、王宮に方へ向かっている気がするのだが。
そんな事を考えながら10分近く歩いたら、今度は上がる階段に出てきた。
これってもしかして、過去に王族が通学に使った通路?
その方が頭に浮かぶ他の可能性よりは無難だが、それでも王宮へ入る直通ルートなんぞ知りたくなかった。
そんな事を考えながら階段を上がったら、父上がそこにあった扉にノックをしてから魔力を通した。
こちらも魔力認証か。
まあ、王宮に入る裏口のようなモノなのだ。
人間のチェックが入らないなら登録認証は必須だろう。
「入れ」
部屋の中から声が聞こえる。
「久しぶりだな、フェルナン。
随分と老けたね」
父上が部屋の中にいた人物に声を掛けた。
フェルナン?!
恐る恐る父上の後に続いて部屋に入ったら、先ほど卒業式で遠くから眺めた国王の顔があった。
マジか~。
慌てて跪いて頭を下げる。
「公式の場では無いのだ、叔父と甥の間で堅苦しくやらんで良いから頭を上げよ。
卒業おめでとう、デリクバルド」
国王陛下が言った。
「有難うございます。
これからも国のために力を尽くして参ります」
まあ、経済を回す一員としてだけどね。
「座れ。
デリクバルドはこの後辺境伯領の方に行くそうだな?」
ソファを示しながら国王陛下が言った。
振り返ったら、既に父上はすわっていた。
国王陛下が居るところで勝手に座るのって不敬なんじゃ無いの??
それとも兄弟だとOK?
政争して負けた兄としてはダメな気がするのだが、壁際に立っている護衛っぽい人は何も言わなかった。
良いんかねぇ?
まあ、意外と父上と国王陛下って仲が悪く無いみたいだけど。
「はい。
辺境で魔物を倒して素材を集め、魔道具作りの腕を上げていきたいと思っています」
やっぱ王都だと素材の入手が大変すぎるんだよね。
と言うか、なんでも手に入るが、どれも高い。
高いから、失敗したら経済的に行き詰まってしまうので失敗するかもしれない新しい技術へ手を出せない。
腕を上げたかったら、素材の原産地に行って自分で獲って来てガンガン失敗しながら作り続ける方が効率的だ。
ほぼ失敗しない範囲でチミチミと腕を磨いていくなんて、退屈だし時間もかかりすぎる。
「学院で学年トップの魔力がありながら、騎士でも魔術師でもなく魔道具師を目指すか!
面白い!」
国王が笑いながら言った。
「婿入りも爵位を継ぐ予定もない、気楽な身ですので。
自力でどこまで自分が選んだ道を極められるか、挑戦したいと思っております」
マジで三男に生まれて良かったと思っている。
次男でもここまで気楽に実家を捨てられなかっただろう。
「ふむ。
まあ、王族でも一人ぐらい気楽に生きる人間が居ても良かろう。
国の危機があった際には民の為に尽くしてくれると期待しておるぞ?」
国王陛下が言った。
「この体に流れる血は代々の王国の民に育まれたもの。
何かの際には命を賭けてでも最善を尽くしましょう」
まあ、辺境にいたら国家の危機ってレベルじゃなくてもスタンピードや戦争で戦う羽目になる可能性は高そうだが、それはしょうがない。
一応は王族なのだ。
力を持つ者として、弱者を守る為に戦う気はある。
「うむ。
ついでに、そこの扉と出口の扉の魔力認証へ登録しておけ。
王宮が内通者によって占領されたなどと言った事態が万が一にでも起きた場合に、王宮を裏切り者から奪回して貰う可能性に備えた裏口だ。
信じておるぞ」
うわぁ……。
重い信頼だな。
なんかこう、卒業式よりも何よりも、大人になった実感が湧いた。
「その様な事態が起きぬ事を祈っておりますが、もしもの時には馳せ参じます」
ま、そんな緊急事態は起きずに俺が魔物に倒されて死ぬ可能性の方が遥かに高いが。
「王宮には王族の魔力で動く、国を守る為の大規模な魔法陣が幾つか隠されている。
だから戦時中などに内通者によって王都が落とされる前に王宮が占領された様な場合に備えて、外にいる王族が王宮の中央部へ直接入れる様に秘密通路があるんだ」
国王陛下との非公式な拝謁の後、陛下がいた部屋の扉に魔力登録して学院の図書館へ戻りながら父上がこの秘密通路について説明してくれた。
「いやでも、これがあったら内乱起こして国王陛下を暗殺し放題なのでは?」
不満を持つ第二王子とかが居たら危険だろうに。
「国家と国王の命を秤にかけて、国王が信頼できると信じた王族にだけ教えて魔力登録させているんだ。
まあ、我々なんかはフェルナンを暗殺して王座を簒奪しようとしても今更貴族が付いてこないからな。
国への想いと簒奪の危険を鑑みて、大丈夫だと判断したんだろう。
第二王子・第三王子なんかであの通路のことを教わらなかった王族はそれなりに居たらしい」
父上が言った。
なるほどねぇ。
第一王子が『不幸な事故』で亡くなり、それを聞いた国王陛下が『ショックで』寝込んでそのまま死んだなんて話にして第二王子が王座に着く危険性はあるが、我々が王座に着くのはそれこそ亡国の危機でも無ければまずあり得ない。
だから、暗殺を危険視する必要性が大分と下がるんだろう。
まあ、最後は国王陛下の人を見る目に掛かってるんだろうけど。
一国の王に命を賭けて信頼されるってそれなりに身が引き締まる思いだ。
とは言え、その信頼に応じなきゃいけない事態なんてまず起きないとは思うけどね。
学院を卒業し、今日から一人の大人として生きる事になる。
中々重い大人への第一歩だったな!
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