58 / 248
第一部 幸せな日々、そして旅立ち
第六章 第九話
しおりを挟む
「昨日も一人いなくなったんだって?」
開口一番そう言いながら、書斎に入ってきたのは、彼が待ちに待っていた存在。
黄金色の髪の美しい少女は村長の前で足を止め、彼の顔を見上げた。
「情報が早いね、雷砂。誰に聞いたんだい?」
村人に、雷砂に会いたいと伝言は頼んだが、事件の話は漏らしていない。もう噂になっているのだろうかとそう尋ねると、
「ガレスに聞いたんだよ。村で偶然会ったんだ。だから、ガレスが掴んでる情報は分かってる。他に情報は?」
そう単刀直入に切り替えしてきた。
相変わらず話が早いーと村長は感心するような呆れるような心持で、幼い少女を見つめた。
これで、彼の愛娘と大してかわらない年だとは到底信じられない。
まあ、見た目だけで言えば確かに幼いのだが、頭の中身がまるで違う。
その思考の道筋は並の大人よりもずっと論理的で鋭い所をついてくる。
まったく、どう育てたらこんな子供が出来上がるんだろうなーそんな事を考えつつ、村長は机の横の棚から、商人達の失踪に関しての資料を取り出した。
「そうだね。私の持っている情報もガレスと似たり寄ったりだが、一つ、今朝村人から苦情が上がっていたよ」
「苦情?」
「そう。彼女の家は村はずれにあり、小川が近くを流れている。だからいつも、次の日に洗う物を、籠に入れて川にさらしておくらしいんだ。その方が良く汚れが落ちるらしくてね」
「ふうん。それで?」
「昨日ももちろんいつものように洗い物を籠ごと川へ浸けておいたらしいんだが、今朝引き上げてみると、薄ら紅く汚れていたらしいんだ。まるで、大量の赤い何かが、上流から流れて、その色を吸ってしまったかのように」
「赤い、何か……か。その家の上流には何がある?」
「すぐ上流に小さな林がある。訴えてきた本人は、誰かがその林の小川に汚れた水を流したに違いないというんだ。林は小さいけど村外れにある為で、人はほとんど来ないし、悪事をしても人目に付くことはほとんどないだろうって事だ」
「もう、人はやったんだろう?」
「もちろん。若い者を数人で調べに行かせた。だが……」
「なにも出なかった……か」
村長は黙って頷く。
雷砂はしばらくじっと考え込んでいた。
話に聞くだけでも、その林は怪しいように思えた。
上流から流れてきて洗い物を台無しにしたものは、ただの汚れた水ではなく、大量の血液かもしれない。
痕跡はなかったというが、ロウを連れて行けば、血液の痕跡を掴めるかもしれないと思った。
その提案をしようと顔を上げた時、
「ああ、そう言えば、同じ林の中だが小川から少し離れた所に、このナイフが落ちていたそうだ」
村長が引っ張り出したナイフを見て、目を見張る。
雷砂はそれと同じナイフに見覚えがあった。それもつい最近だ。
正確には、今朝、セイラに連れられて行った天幕で、ジェドとアジェスが使っていたナイフに酷似していた。
「……そのナイフ、預かってもいいか?持ち主を捜してみるよ。何か見てるかもしれないし」
そう申し出る。あえてジェドやアジェスの名前は出さなかった。彼らが何かをやったとは思っていなかったから。
村長は快諾し、無造作にナイフを差し出してくる。
信用されてるのはいいけど、緊張感が足りないなーそんな風に思う。オレが悪人だったらどうするつもりだろう、と。
だが、それを今言っていても仕方がない。雷砂はナイフを受け取り、持っていた布でくるみこむと胸元にしまった。
「情報が手に入ったら、また来るよ。あと、噂の林も見てみる。ロウを連れて行けば、何かわかるかもしれないし」
「すまないな、雷砂。助かるよ」
村長は素直にそう言った。
正直に言って、村の自警団は手一杯だったし、祭りの関係者も祭りの準備意外にさく余裕はない。
雷砂が手助けしてくれることは本当にありがたかった。大人としては情けなくはあるが。
「それから、祭りが終わるまでは、なるべくこの村にいるようにする。オレのねぐらからだと駆けつけるのが遅れるかもしれないし」
そう申し出ると、
「そうか!それは助かる!良かったら部屋を用意するが」
その代わりとばかりに、村長は嬉々として自宅の部屋の提供を申し出てきた。
その申し出を検討する。
悪くはないが、村長の屋敷は小高い丘に立っており、村の中心からは離れている。
出来ればもう少し村の中心部に拠点をー
そこまで考えて、雷砂は昨日止めてもらったセイラの宿の事を思い出した。
あそこなら、村の中心部だし、色々と動き安いだろう。
それに、あの宿には、旅芸人の一団の他に、商人達の姿もあった。情報を集めるのにもちょうどいい。
「いや、ここだとちょっと遠いから、知り合いの泊まってる宿に潜り込むことにする」
「そうか……まあ、いいだろう。何か困ったことがあれば、いつでも言うんだよ?最大限の便宜は図るようにするから」
雷砂が滞在すれば娘のご機嫌も取れるーなどと考えていたのだろう。
断ると、村長は少し残念そうな顔をしたが、それ以上ごねることなく、雷砂の提案を受け入れた。
それからしばらく、色々情報交換をしながら今後の相談をし、じゃあ、そろそろーと暇乞いを告げ、部屋を出ようとした雷砂の背中に、慌てたような村長の声が飛ぶ。
「雷砂、良かったら帰りにミルの顔を見ていってやってくれないか?」
子煩悩な村長に雷砂は肩越しに微笑みを投げかけ、
「もともとそのつもりだよ。ミルにも、危ない事はもうしない様にちゃんと言っておくから」
そう言って、静かに扉の向こうに消えた。
小さな背中を見送り、その背中の持ち主が少女である事を残念に思う。
もし、雷砂が少年であれば、愛娘と似合いの一対になった事だろう。
ミルを誰かの嫁にやるのは心底嫌だが、それでも雷砂であればその気持ちも少しは和らいだ事だろうと。
父親でもある村長は何とも複雑な吐息を漏らし、再び机に向かうのだった。
開口一番そう言いながら、書斎に入ってきたのは、彼が待ちに待っていた存在。
黄金色の髪の美しい少女は村長の前で足を止め、彼の顔を見上げた。
「情報が早いね、雷砂。誰に聞いたんだい?」
村人に、雷砂に会いたいと伝言は頼んだが、事件の話は漏らしていない。もう噂になっているのだろうかとそう尋ねると、
「ガレスに聞いたんだよ。村で偶然会ったんだ。だから、ガレスが掴んでる情報は分かってる。他に情報は?」
そう単刀直入に切り替えしてきた。
相変わらず話が早いーと村長は感心するような呆れるような心持で、幼い少女を見つめた。
これで、彼の愛娘と大してかわらない年だとは到底信じられない。
まあ、見た目だけで言えば確かに幼いのだが、頭の中身がまるで違う。
その思考の道筋は並の大人よりもずっと論理的で鋭い所をついてくる。
まったく、どう育てたらこんな子供が出来上がるんだろうなーそんな事を考えつつ、村長は机の横の棚から、商人達の失踪に関しての資料を取り出した。
「そうだね。私の持っている情報もガレスと似たり寄ったりだが、一つ、今朝村人から苦情が上がっていたよ」
「苦情?」
「そう。彼女の家は村はずれにあり、小川が近くを流れている。だからいつも、次の日に洗う物を、籠に入れて川にさらしておくらしいんだ。その方が良く汚れが落ちるらしくてね」
「ふうん。それで?」
「昨日ももちろんいつものように洗い物を籠ごと川へ浸けておいたらしいんだが、今朝引き上げてみると、薄ら紅く汚れていたらしいんだ。まるで、大量の赤い何かが、上流から流れて、その色を吸ってしまったかのように」
「赤い、何か……か。その家の上流には何がある?」
「すぐ上流に小さな林がある。訴えてきた本人は、誰かがその林の小川に汚れた水を流したに違いないというんだ。林は小さいけど村外れにある為で、人はほとんど来ないし、悪事をしても人目に付くことはほとんどないだろうって事だ」
「もう、人はやったんだろう?」
「もちろん。若い者を数人で調べに行かせた。だが……」
「なにも出なかった……か」
村長は黙って頷く。
雷砂はしばらくじっと考え込んでいた。
話に聞くだけでも、その林は怪しいように思えた。
上流から流れてきて洗い物を台無しにしたものは、ただの汚れた水ではなく、大量の血液かもしれない。
痕跡はなかったというが、ロウを連れて行けば、血液の痕跡を掴めるかもしれないと思った。
その提案をしようと顔を上げた時、
「ああ、そう言えば、同じ林の中だが小川から少し離れた所に、このナイフが落ちていたそうだ」
村長が引っ張り出したナイフを見て、目を見張る。
雷砂はそれと同じナイフに見覚えがあった。それもつい最近だ。
正確には、今朝、セイラに連れられて行った天幕で、ジェドとアジェスが使っていたナイフに酷似していた。
「……そのナイフ、預かってもいいか?持ち主を捜してみるよ。何か見てるかもしれないし」
そう申し出る。あえてジェドやアジェスの名前は出さなかった。彼らが何かをやったとは思っていなかったから。
村長は快諾し、無造作にナイフを差し出してくる。
信用されてるのはいいけど、緊張感が足りないなーそんな風に思う。オレが悪人だったらどうするつもりだろう、と。
だが、それを今言っていても仕方がない。雷砂はナイフを受け取り、持っていた布でくるみこむと胸元にしまった。
「情報が手に入ったら、また来るよ。あと、噂の林も見てみる。ロウを連れて行けば、何かわかるかもしれないし」
「すまないな、雷砂。助かるよ」
村長は素直にそう言った。
正直に言って、村の自警団は手一杯だったし、祭りの関係者も祭りの準備意外にさく余裕はない。
雷砂が手助けしてくれることは本当にありがたかった。大人としては情けなくはあるが。
「それから、祭りが終わるまでは、なるべくこの村にいるようにする。オレのねぐらからだと駆けつけるのが遅れるかもしれないし」
そう申し出ると、
「そうか!それは助かる!良かったら部屋を用意するが」
その代わりとばかりに、村長は嬉々として自宅の部屋の提供を申し出てきた。
その申し出を検討する。
悪くはないが、村長の屋敷は小高い丘に立っており、村の中心からは離れている。
出来ればもう少し村の中心部に拠点をー
そこまで考えて、雷砂は昨日止めてもらったセイラの宿の事を思い出した。
あそこなら、村の中心部だし、色々と動き安いだろう。
それに、あの宿には、旅芸人の一団の他に、商人達の姿もあった。情報を集めるのにもちょうどいい。
「いや、ここだとちょっと遠いから、知り合いの泊まってる宿に潜り込むことにする」
「そうか……まあ、いいだろう。何か困ったことがあれば、いつでも言うんだよ?最大限の便宜は図るようにするから」
雷砂が滞在すれば娘のご機嫌も取れるーなどと考えていたのだろう。
断ると、村長は少し残念そうな顔をしたが、それ以上ごねることなく、雷砂の提案を受け入れた。
それからしばらく、色々情報交換をしながら今後の相談をし、じゃあ、そろそろーと暇乞いを告げ、部屋を出ようとした雷砂の背中に、慌てたような村長の声が飛ぶ。
「雷砂、良かったら帰りにミルの顔を見ていってやってくれないか?」
子煩悩な村長に雷砂は肩越しに微笑みを投げかけ、
「もともとそのつもりだよ。ミルにも、危ない事はもうしない様にちゃんと言っておくから」
そう言って、静かに扉の向こうに消えた。
小さな背中を見送り、その背中の持ち主が少女である事を残念に思う。
もし、雷砂が少年であれば、愛娘と似合いの一対になった事だろう。
ミルを誰かの嫁にやるのは心底嫌だが、それでも雷砂であればその気持ちも少しは和らいだ事だろうと。
父親でもある村長は何とも複雑な吐息を漏らし、再び机に向かうのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
この世界、イケメンが迫害されてるってマジ!?〜アホの子による無自覚救済物語〜
具なっしー
恋愛
※この表紙は前世基準。本編では美醜逆転してます。AIです
転生先は──美醜逆転、男女比20:1の世界!?
肌は真っ白、顔のパーツは小さければ小さいほど美しい!?
その結果、地球基準の超絶イケメンたちは “醜男(キメオ)” と呼ばれ、迫害されていた。
そんな世界に爆誕したのは、脳みそふわふわアホの子・ミーミ。
前世で「喋らなければ可愛い」と言われ続けた彼女に同情した神様は、
「この子は救済が必要だ…!」と世界一の美少女に転生させてしまった。
「ひきわり納豆顔じゃん!これが美しいの??」
己の欲望のために押せ押せ行動するアホの子が、
結果的にイケメン達を救い、世界を変えていく──!
「すきーー♡結婚してください!私が幸せにしますぅ〜♡♡♡」
でも、気づけば彼らが全方向から迫ってくる逆ハーレム状態に……!
アホの子が無自覚に世界を救う、
価値観バグりまくりご都合主義100%ファンタジーラブコメ!
異世界に転移したらぼっちでした〜観察者ぼっちーの日常〜
キノア9g
ファンタジー
※本作はフィクションです。
「異世界に転移したら、ぼっちでした!?」
20歳の普通の会社員、ぼっちーが目を覚ましたら、そこは見知らぬ異世界の草原。手元には謎のスマホと簡単な日用品だけ。サバイバル知識ゼロでお金もないけど、せっかくの異世界生活、ブログで記録を残していくことに。
一風変わったブログ形式で、異世界の日常や驚き、見知らぬ土地での発見を綴る異世界サバイバル記録です!地道に生き抜くぼっちーの冒険を、どうぞご覧ください。
毎日19時更新予定。
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる