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ひのま

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加藤 みるく Kato Miruku お兄ちゃんとなら

第1話

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「お兄ちゃん!遅刻だよ?」
「んー、今日は遅れていくわー」
「みるく、お弁当作っちゃったよおー」
「んー、いいよ」
「知らないっ!もう行くからねっ」


 あーあ、また今日もお兄ちゃんとケンカしちゃった。
 私は加藤みるく。みるくの家はお母さんもお父さんもいません。お父さんはお仕事で遠くに、お母さんは病気で死んじゃったの。
 だから、みるくがお兄ちゃんの分もお母さんなの!
 お兄ちゃんは優しくて、みるくの大切な、大好きな人。

「あーもう!お弁当どうしよお」

 あっ、唯ちゃんひとりだ!
 さっきまりあちゃん保健室行っちゃったもんねー。
 そーだ!一緒に食べればいいんじゃん!

「みるくと一緒にお昼食べる?」

 唯ちゃんはみるくのお弁当をいっぱい褒めてくれた。
 お兄ちゃん以外にお弁当食べてくれた人いなかったから、とっても嬉しかった。
 帰ったらお兄ちゃんに自慢してやるんだからね!


 

 よーーっし!学校おーわりっと!
 急いで帰るぞーっ!
 ん?あれ、校門の所にいるのって、

「お兄ちゃん?」
「あ、来た。待ってたよ、みるく」
「え?なんで待ってたの?」
「今日、せっかく弁当作ってくれたのに、冷たく断っちゃったからさ」
「いいよおー!」
「あれ、食べたい」

 えっ?どうしよう!唯ちゃんにあげちゃった!

「ごめん、お兄ちゃん。お友達にあげちゃった」
「え?あ、そっか、そうだよね、みるくもそういう年頃だもんな」
「そういう年頃ってなに?違うよ!みるくは、お兄ちゃんのためにっ、お弁当つく「いいよ、もうわかったから」」
「明日、また作るからっ!ね、お兄ちゃん!」

 お兄ちゃんの歩くスピードがどんどん早くなる。
 みるく、なんか悪いことしちゃったのかな?

「そいつ、どういうやつなの?」
「そいつって、お弁当あげたこのこと?」
「うん」
「唯ちゃんはね、かわいくて、みるくのお弁当とっても褒めてくれたの!
 これを作ってくれて、お兄ちゃんは幸せものだねとか、いいお嫁さんになれるねって、たくさん言ってくれたの」
「みるくは、いつかお嫁に行くんだよな?」

 そう言ってるお兄ちゃんの顔は寂しそうだった。

「行かないよ?みるく、お兄ちゃんのそばにいたいもん」
「それ、本気で言ってるの?」
「本気だよ?」
「じゃあ・・・」

 そして、お兄ちゃんは、みるくにちゅーをした。

「おにい、ちゃん?」
「ほら、みるく、帰るぞー」

 ええっえっ?なに、今の?お兄ちゃん???

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