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2 出会い
運動会準備
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「運動会まであと1週間だね!」
「俺、全種目で一位なっから!見てろ」
「はいはい!あれ、翔って何出るんだっけ?」
「棒倒しと騎馬戦」
「えー!翔が騎馬戦とかウケる!」
「亮介が勝手に決めたんだよ」
「だってさ、こいつ身長の割に軽いじゃん!」
「確かにー!パンチしたら折れちゃいそう!」
そう言って麗奈は俺の腹にグーパンチをかました。痛くはなかったけど軽く痛がるフリをしてあしらった。
「あ、前歩いてるのって蘭じゃない?」
「渡辺ー!」
2人の声に気付いたのか、渡辺は後ろを振り向いてこちらに手を振る。
「おはよう」
「あ、今ね、運動会の話ししてたんだけど、蘭は何出るの?」
「えっと、借り物競技と、パン食い競争かな」
「ぱ、パン食い?うける!蘭、めっちゃ背小さいじゃん!」
「そ、そんなに小さくない!」
でも身長は俺の肩にも満たないくらいで、ジャンプして届くよね?と確認したくなる身長だ。長いストレートヘヤーが余計に身長の低さを際立たせる。
「翔に変わってもらえよ、ぷぷ」
「ちょ、ちょっと、我慢できてないよ亮介くん!」
俺たちは始めから4人でいたかのような関係になりつつあった。渡辺は確かに明るいやつだった。前に亮介は闇を抱えていそうなんて言っていたが、そんなの微塵も感じなかった。
「あの、亮介くん」
「ん?」
「今日は何時から行きますか?私、引っ越してからまだ1カ月くらいしか経っていないから、土地勘なくて・・・」
「な、なんだっけ?」
「今日は運動会の打ち上げ用のものを買いに行く約束じゃないですか!」
あっちゃー、と亮介が言う。すっかり忘れていたようだ。
「わりぃ、すっかり忘れて・・・」
「忘れて?」
「あっ!まさか、亮介!蘭との約束忘れてバイトいれちゃったんじゃないの?」
「せ、正解です麗奈様」
「ひどいーっ!ひどいです亮介くん・・・」
渡辺は表情がコロコロと変わってとても見ていて面白い。喜怒哀楽がはっきりしている。まるで俺とは正反対だ。
「もう、いいです!1人で行きます!」
「だめだよ!さっき土地勘ないっていってたじゃん!」
「大丈夫だよ!きっと」
「じゃあ麗奈も手伝う!」
「でも麗奈は応援練習のリーダーになってんじゃんか」
「そうだった・・・」
そして自然に目線が俺の方に向く。これはデジャビュではないか?
「・・・・・・俺は別に構わないけど」
「えっ!本当に?じゃあお願いしていい?」
「いいよ」
集合時間は4時に校門前。しかし渡辺は時間になっても来ない。仕方ない、もう少し待つか。
「ごめん!翔くん!ゴミ捨てジャンケンで負けちゃって・・・」
「いいよ、別に」
時計は4時半になろうとしていた。
「えっと買うものは、飲み物が500mlのを人数分で、お菓子が・・・「ちょっとごめん」」
思わず割り込んでしまった。
「それ、本当に1人で行こうとしていた人が買える量じゃないよね?」
「た、確かに!気づかなかったよ!」
どうしよう、とても心配になってきてしまった。渡辺も亮介も麗奈もどこか抜けているようだ。どうして俺の周りには少し抜けている奴ばかり集まるのだろう。
「ねえ、亮介。本当に良かったの?こんなことしちゃって」
「いいんだって!あいつには少し素直になってもらわないとさ!」
俺が友達より優先してバイト入れるとでも思ってたんかね、翔は。あいつ、頭いいくせに色々と抜けてるからなあ。鈍感だしね。俺らがサポートしてやんないと、あいつはきっと幸せ逃しちゃうタイプだから、なんかこう、放っておけないんだよね。
「干渉しすぎだって、2人にその気がなかったら、あんたただの悪者だよ?」
「何言ってんの?お前も気づいてるでしょ?あいつ、いつもと違うじゃん!」
「まあね、もう高校生だしさ、そろそろ翔のこと解放してあげたいよね」
「うん。あいつが幸せな姿が見たいよ」
「亮介も、もっと自分の幸せ考えなよ?」
「は?何それ?どうい「麗奈ちゃーん!ここの振りってどうだっけ?」」
「ごめん!お呼び出しかかった!じゃねー!」
「んー、ないねえ!」
「ないな・・・」
買い物リストにあるものを買っていき、順調に買い出しが進んでいく中で俺たちはある壁にぶつかっていた。
「「熱血戦隊アツクルシンジャーのコスプレ」」
こんなの無茶苦茶だ!なぜこれが必要なのだろうか。使う場面なんてあるのだろうか?渡辺に理由を尋ねたが詳しいことは知らないらしい。担任からのリストだからねえ、と濁している。
「たぶんここら辺にこんなマニアックなもの置いている場所はないと思う」
「だよね、やっぱり駅前かな」
「そうだね、駅前の専門店ならあるんじゃない?」
「駅前かあ・・・」
駅前だったら、俺よりも渡辺の方が詳しいはず。確か聖マリアンヌって駅の近くに幼稚園から大学まであるはずだ。
「駅前行くなら日を改める?」
「うーん・・・」
「正直、人数分の飲み物持ちながら駅前まで移動できる自信ないんだけどなあ」
「あっ!そ、そうだよね、ごめん持たせちゃって!」
別にそこまで重いわけじゃない。ただダンボールを持ちながら移動するのはここら辺にとどめてもらいたいだけだ。あまり目立ちたくない心理がどうしても働く。
「じゃあ、この飲み物学校におきにいこう!」
「ん?それって日を改めるってこと?それとも今日行くってこと?」
「あっ・・・えっと、どっちにしろ学校行こうってこと、かな?」
「はは、了解」
本当に変わった子だ。
「俺、全種目で一位なっから!見てろ」
「はいはい!あれ、翔って何出るんだっけ?」
「棒倒しと騎馬戦」
「えー!翔が騎馬戦とかウケる!」
「亮介が勝手に決めたんだよ」
「だってさ、こいつ身長の割に軽いじゃん!」
「確かにー!パンチしたら折れちゃいそう!」
そう言って麗奈は俺の腹にグーパンチをかました。痛くはなかったけど軽く痛がるフリをしてあしらった。
「あ、前歩いてるのって蘭じゃない?」
「渡辺ー!」
2人の声に気付いたのか、渡辺は後ろを振り向いてこちらに手を振る。
「おはよう」
「あ、今ね、運動会の話ししてたんだけど、蘭は何出るの?」
「えっと、借り物競技と、パン食い競争かな」
「ぱ、パン食い?うける!蘭、めっちゃ背小さいじゃん!」
「そ、そんなに小さくない!」
でも身長は俺の肩にも満たないくらいで、ジャンプして届くよね?と確認したくなる身長だ。長いストレートヘヤーが余計に身長の低さを際立たせる。
「翔に変わってもらえよ、ぷぷ」
「ちょ、ちょっと、我慢できてないよ亮介くん!」
俺たちは始めから4人でいたかのような関係になりつつあった。渡辺は確かに明るいやつだった。前に亮介は闇を抱えていそうなんて言っていたが、そんなの微塵も感じなかった。
「あの、亮介くん」
「ん?」
「今日は何時から行きますか?私、引っ越してからまだ1カ月くらいしか経っていないから、土地勘なくて・・・」
「な、なんだっけ?」
「今日は運動会の打ち上げ用のものを買いに行く約束じゃないですか!」
あっちゃー、と亮介が言う。すっかり忘れていたようだ。
「わりぃ、すっかり忘れて・・・」
「忘れて?」
「あっ!まさか、亮介!蘭との約束忘れてバイトいれちゃったんじゃないの?」
「せ、正解です麗奈様」
「ひどいーっ!ひどいです亮介くん・・・」
渡辺は表情がコロコロと変わってとても見ていて面白い。喜怒哀楽がはっきりしている。まるで俺とは正反対だ。
「もう、いいです!1人で行きます!」
「だめだよ!さっき土地勘ないっていってたじゃん!」
「大丈夫だよ!きっと」
「じゃあ麗奈も手伝う!」
「でも麗奈は応援練習のリーダーになってんじゃんか」
「そうだった・・・」
そして自然に目線が俺の方に向く。これはデジャビュではないか?
「・・・・・・俺は別に構わないけど」
「えっ!本当に?じゃあお願いしていい?」
「いいよ」
集合時間は4時に校門前。しかし渡辺は時間になっても来ない。仕方ない、もう少し待つか。
「ごめん!翔くん!ゴミ捨てジャンケンで負けちゃって・・・」
「いいよ、別に」
時計は4時半になろうとしていた。
「えっと買うものは、飲み物が500mlのを人数分で、お菓子が・・・「ちょっとごめん」」
思わず割り込んでしまった。
「それ、本当に1人で行こうとしていた人が買える量じゃないよね?」
「た、確かに!気づかなかったよ!」
どうしよう、とても心配になってきてしまった。渡辺も亮介も麗奈もどこか抜けているようだ。どうして俺の周りには少し抜けている奴ばかり集まるのだろう。
「ねえ、亮介。本当に良かったの?こんなことしちゃって」
「いいんだって!あいつには少し素直になってもらわないとさ!」
俺が友達より優先してバイト入れるとでも思ってたんかね、翔は。あいつ、頭いいくせに色々と抜けてるからなあ。鈍感だしね。俺らがサポートしてやんないと、あいつはきっと幸せ逃しちゃうタイプだから、なんかこう、放っておけないんだよね。
「干渉しすぎだって、2人にその気がなかったら、あんたただの悪者だよ?」
「何言ってんの?お前も気づいてるでしょ?あいつ、いつもと違うじゃん!」
「まあね、もう高校生だしさ、そろそろ翔のこと解放してあげたいよね」
「うん。あいつが幸せな姿が見たいよ」
「亮介も、もっと自分の幸せ考えなよ?」
「は?何それ?どうい「麗奈ちゃーん!ここの振りってどうだっけ?」」
「ごめん!お呼び出しかかった!じゃねー!」
「んー、ないねえ!」
「ないな・・・」
買い物リストにあるものを買っていき、順調に買い出しが進んでいく中で俺たちはある壁にぶつかっていた。
「「熱血戦隊アツクルシンジャーのコスプレ」」
こんなの無茶苦茶だ!なぜこれが必要なのだろうか。使う場面なんてあるのだろうか?渡辺に理由を尋ねたが詳しいことは知らないらしい。担任からのリストだからねえ、と濁している。
「たぶんここら辺にこんなマニアックなもの置いている場所はないと思う」
「だよね、やっぱり駅前かな」
「そうだね、駅前の専門店ならあるんじゃない?」
「駅前かあ・・・」
駅前だったら、俺よりも渡辺の方が詳しいはず。確か聖マリアンヌって駅の近くに幼稚園から大学まであるはずだ。
「駅前行くなら日を改める?」
「うーん・・・」
「正直、人数分の飲み物持ちながら駅前まで移動できる自信ないんだけどなあ」
「あっ!そ、そうだよね、ごめん持たせちゃって!」
別にそこまで重いわけじゃない。ただダンボールを持ちながら移動するのはここら辺にとどめてもらいたいだけだ。あまり目立ちたくない心理がどうしても働く。
「じゃあ、この飲み物学校におきにいこう!」
「ん?それって日を改めるってこと?それとも今日行くってこと?」
「あっ・・・えっと、どっちにしろ学校行こうってこと、かな?」
「はは、了解」
本当に変わった子だ。
応援ありがとうございます!
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