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【1】暇な妖精と忙しい少年

2.わたしと妖精について

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「まずは、改めて、私はこの世界の植物全てを司る緑の妖精、この緑の森を管理している偉い妖精よ!」

そう言って緑の妖精は手のひらに大きな種らしきものを出現させて、そこから何もせず発芽させて見せた。

「おお!すごい!」 
「でしょお!!ふふっ」
「・・・こほん、えーっと、まずは私たち妖精について教えてあげるわね。」
「はい!」
「まず妖精とは、この世界の自然そのものを証明する存在なの。」
「はい?」
「分かりやすく例えると、この世界から私が消えると、同時にこの世界の植物という存在が全て消えるわ。」
「な、なるほど・・・」
「逆に言えば、この世界にあなたが誕生したことによって、新しい自然も同時にこの世界に誕生したことになるわ。」
「それが雷と・・・」
「そうね・・・そのカミナリとやらがあなたが証明する自然になるわね」

 雷というよりは電気そのものを・・・って感じかな?それだと、この世界には今まで電気が存在しなかったことになるよね。機械とかはこの世界にはなさそうだ。そもそも人体にも電気が流れてたハズだ。

とりあえず疑問に思ったことをそのまま聞いてみた。

「え?人体にデンキ?そんなもの聞いたことはないわねぇ・・・うーんっと、でも人間や他の動物達は体にっていうのが流れてる。らしいわ。」
「マキ?」
「ええ、魔気。たしかその辺は闇の妖精が2000年くら前に引き継いでいたわね・・・詳しいことは知らないの。」
「そうなんだ・・・・え!?2000年!?闇??」
「私の他にも、ここみたいに妖精たちを管理している妖精が何人かいるのよ。」
「もしかして、火の妖精とか、水の妖精とか??」
「他に、土の妖精、空の妖精、あと闇の妖精がいるわね。まあ、この緑の森ほど大きなところは無いけどね。」

 緑・火・水・空・闇か・・・光はないのかな??ゲームや小説だとありそうだけど・・・

一通り説明が終わったらしい緑の妖精は「他の偉い妖精たちはあまり子供を創らないから・・・」と付け足して、満足そうな笑みを浮かべて、わたしの座り方を真似してちょこんと正座した。

 ちょっと!満足そうにしてるところ悪いけど、まだ色々と説明が足りてないよ!?

「えっと、聞いていいことか分からないんだけど、子供をつくるって・・・その・・」
「あなたが何を想像しているか知らないけど、子供たちは私たち偉い妖精の『こんな自然が欲しい』みたいな願いによってこの世界に生み出されるのよ。くれぐれも人間とかと一緒にしないでよね!」
「そうなんだ・・・」
「あ、でも昔に人間との間に子供をつくった妖精もいたわね。」
「ソウナンダー・・・」

 ・・・あまり考えなようにしよう。

「それで?他に質問はあるかしら?なんでも答えてあげるわよ!」

緑の妖精が顎をくいっとしてわたしに質問を促してくる。

「2000年って言ってたけど緑の妖精はいったい何歳なの?」
「さー、分かんないわ。」
「・・・・・」

ジトーっと緑の妖精の顔を見つめてみる。

「なによ!?しょうがないじゃない!そんなこといちいち覚えてないわよ!!」

 逆ギレされた・・・

「それで?他に質問はあるかしら?分かる範囲なら答えてあげるわよ!」

 言い直した・・・

「わたしもあなたの、緑の妖精の子供なの?」
「そんなわけないじゃない、願いで生まれる妖精は、その願った偉い妖精の証明する自然以上のもの、以外の自然を証明することはないのよ。じゃないと自分で管理出来なくなるからね。あなたのそのカミナリは私が管理できる域を完全に超えているし、願った記憶もないわ。」
「え、じゃあわたしって・・・」
「私は、私の知らない自然現象が起きたから、新しい妖精が誕生すると思って、あそこで待っていたのよ。あそこは特別なところだからね。それ以外のことは知らないわ。」
「こういうことってよくあることなの?」
「ないわね。」
「え?」
「・・・・・さて!、そろそろ下に戻って子供たちに紹介しにいくわよ!!」

緑の妖精はそのままわたしの手を引っ張って下へ飛び降りた。
上に飛んだ時よりも何倍も速い速度で下へ下りていく。
ぶおーーっと、すごい風の音が聞こえるなか、わたしは一番気になっていたことを聞いた。

「ねえ!!あなたのお名前は!!??なんていうの??」
「名前?何度も言ってるじゃない!!よ!!偉い妖精の!!」

 もしかして『偉い妖精』というのは役職名みたいなものなのかな。

 
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