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03-ネックレス盗難事件Ⅱ
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メイドであるリリスの話によれば、宝物庫のルビーのネックレスが何者かに盗まれた。
そして駆け付けた警官が「アリバイが唯一不明」という理由で、リリスの同僚であったセレネというメイドを犯人と断じ拘束したのだという。
「……随分乱暴な捜査だね」
セシルは眉を顰める。
「証拠はあったのか?」
ティベリオが部屋の隅で控えていた警官に問えば、彼はビクッと肩を震わせる。
「ア、アリバイがないのが証拠であります!盗難が発生した時、犯人以外は二人以上で行動しておりました!」
「ほう?」
ティベリオの低い声が部屋に響く。
彼もこの現場に来ていたが、直後に発生した立て籠もり事件に多くの警察官達が駆り出されることになった為、仕方なく現場をこの警官に任せそちらに向かった。
その判断は誤りだったようだ。
部下である彼から上がっていた報告は『盗難事件が発生、犯人は逮捕済み』という簡単なものだったが、証拠もないままアリバイ不明というだけで犯人を決めつけていたと知り、呆れを隠せない。
杜撰な対応をした警官にも、忙しさに手が回らず報告を鵜呑みにしてしまった自分にも。
「警察の捜査なんて呼べないほど杜撰だね」
セシルの言葉がグサリと刺さる。
「……返す言葉もない」
ティベリオは頭を抱えた。
部下をしっかり教育できていなかった自分を責めているのだろう。
「まあでも……それだけじゃないね」
セシルはじっと警官を見やり、にやりと口の端を釣り上げた。
「君、ただの警官にしてはかなり高価な時計を付けているね。それいくらしたの?」
「なっ……!」
慌てた警官が腕を隠そうとした瞬間、ティベリオが腕を掴み、確認する。
「確かに。この時計、宝石が埋め込んであり細工も素晴らしい。役職のない警官の給料じゃまず買えないものだ。事件が発生した当日にはつけていなかったと思うが?」
「っ……」
室内に重苦しい沈黙が落ちる。
「黙秘してもいいが、販売元に聞けばすぐに分かるぞ」
「っ……アイリスお嬢様、に頂いた金でっ……買いました。でも俺は悪くない!悪いのは盗みを働いたお嬢様だし、俺の報告をあっさり信じた警部じゃないですか!」
「確かにしっかりと報告内容を確認しなかった俺にも責任はある。だがそれとお前がアイリス嬢から賄賂を得て、罪のないメイドを犯人に仕立てたのは別だ!」
ティベリオの怒声に警官は悲鳴を上げるとガタガタと震えだした。
「俺もお前もしっかりと処分を受けなければならない、覚悟しておけ」
震える警官がへなへなと床に座り込んだ時、慌てた様子で男爵夫人エイミアが駆け込んできた。
「旦那様!見つかりました……ルビーのネックレスが、アイリスの部屋のクローゼットから!」
「っ……!」
男爵が愕然とする一方でセシルは肩をすくめて吐き捨てた。
「こんなの僕が出るまでもないじゃないか」
判明した事件の全容はこうだ。
アイリスは「男爵家を継ぐのは自分。だから今ある宝石もすべて自分のものである」と身勝手な考えから、宝物庫に忍び込んでネックレスを持ち出した。
しかし思いの外大事になってしまい、怖くなった彼女は金で警官を買収することにした。
そしてたまたまアリバイのなかったメイドのセレネに罪を着せたという。
「なんということだ……愛情を注いできた娘が、まさかこんな……」
「愛情の注ぎ方を間違えて――もがっ」
「黙れ」
追い打ちをかけようとしたセシルの口をティベリオが塞いだ。
「男爵、冤罪をかけられたメイドは釈放させていただきます。」
「もちろんです……私からも彼女に謝罪と、慰謝料を支払わせていただきます。娘は……更生施設に送ることにします……きっと私達では甘やかしてしまう」
「……それがいいでしょう」
項垂れる男爵を横目にセシルはつまらなさそうにため息をついた。
そして駆け付けた警官が「アリバイが唯一不明」という理由で、リリスの同僚であったセレネというメイドを犯人と断じ拘束したのだという。
「……随分乱暴な捜査だね」
セシルは眉を顰める。
「証拠はあったのか?」
ティベリオが部屋の隅で控えていた警官に問えば、彼はビクッと肩を震わせる。
「ア、アリバイがないのが証拠であります!盗難が発生した時、犯人以外は二人以上で行動しておりました!」
「ほう?」
ティベリオの低い声が部屋に響く。
彼もこの現場に来ていたが、直後に発生した立て籠もり事件に多くの警察官達が駆り出されることになった為、仕方なく現場をこの警官に任せそちらに向かった。
その判断は誤りだったようだ。
部下である彼から上がっていた報告は『盗難事件が発生、犯人は逮捕済み』という簡単なものだったが、証拠もないままアリバイ不明というだけで犯人を決めつけていたと知り、呆れを隠せない。
杜撰な対応をした警官にも、忙しさに手が回らず報告を鵜呑みにしてしまった自分にも。
「警察の捜査なんて呼べないほど杜撰だね」
セシルの言葉がグサリと刺さる。
「……返す言葉もない」
ティベリオは頭を抱えた。
部下をしっかり教育できていなかった自分を責めているのだろう。
「まあでも……それだけじゃないね」
セシルはじっと警官を見やり、にやりと口の端を釣り上げた。
「君、ただの警官にしてはかなり高価な時計を付けているね。それいくらしたの?」
「なっ……!」
慌てた警官が腕を隠そうとした瞬間、ティベリオが腕を掴み、確認する。
「確かに。この時計、宝石が埋め込んであり細工も素晴らしい。役職のない警官の給料じゃまず買えないものだ。事件が発生した当日にはつけていなかったと思うが?」
「っ……」
室内に重苦しい沈黙が落ちる。
「黙秘してもいいが、販売元に聞けばすぐに分かるぞ」
「っ……アイリスお嬢様、に頂いた金でっ……買いました。でも俺は悪くない!悪いのは盗みを働いたお嬢様だし、俺の報告をあっさり信じた警部じゃないですか!」
「確かにしっかりと報告内容を確認しなかった俺にも責任はある。だがそれとお前がアイリス嬢から賄賂を得て、罪のないメイドを犯人に仕立てたのは別だ!」
ティベリオの怒声に警官は悲鳴を上げるとガタガタと震えだした。
「俺もお前もしっかりと処分を受けなければならない、覚悟しておけ」
震える警官がへなへなと床に座り込んだ時、慌てた様子で男爵夫人エイミアが駆け込んできた。
「旦那様!見つかりました……ルビーのネックレスが、アイリスの部屋のクローゼットから!」
「っ……!」
男爵が愕然とする一方でセシルは肩をすくめて吐き捨てた。
「こんなの僕が出るまでもないじゃないか」
判明した事件の全容はこうだ。
アイリスは「男爵家を継ぐのは自分。だから今ある宝石もすべて自分のものである」と身勝手な考えから、宝物庫に忍び込んでネックレスを持ち出した。
しかし思いの外大事になってしまい、怖くなった彼女は金で警官を買収することにした。
そしてたまたまアリバイのなかったメイドのセレネに罪を着せたという。
「なんということだ……愛情を注いできた娘が、まさかこんな……」
「愛情の注ぎ方を間違えて――もがっ」
「黙れ」
追い打ちをかけようとしたセシルの口をティベリオが塞いだ。
「男爵、冤罪をかけられたメイドは釈放させていただきます。」
「もちろんです……私からも彼女に謝罪と、慰謝料を支払わせていただきます。娘は……更生施設に送ることにします……きっと私達では甘やかしてしまう」
「……それがいいでしょう」
項垂れる男爵を横目にセシルはつまらなさそうにため息をついた。
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