15 / 17
会議の始まり
しおりを挟む
なんかモヤモヤした気持ちを抱えたまま、俺たちいや、俺はその喫茶店を後にした。
ま、そのうちわかるであろう。
だいたい考え事は思い出そうとしていると思い出せない、そんなものだ。
「美味しかったですね、そういえばユウト様のケーキはなんだったのですか?」
「あ、ベスも気になる。なんかタルトみたいなのに真っ白かったあれ」
「うん? あぁ、チーズケーキな」
この世界はタルトはあるのにチーズケーキはないんだな。俺からすればタルトの方が面倒くさいと思うんだけど、まぁそれはいいか。
「材料さえあれば作れると思うが……」
「えっ?ほんと……うですか?」
「あぁ、多分な。この会議が終わったら作ってやろう」
することがなく暇を持て余した挙句料理へと走ったことがこんな風に役に立つとは……やれることはやっといた方がいいな。
「「やった~」」
やはり女子は甘いものと可愛いものには目がないようだ。
「さてと、そのためには会議だな。時間はまだあるよな?」
「はい、今から向かえばちょうどいいと思います」
「それじゃ行くか」
そう言って、一歩を踏み出す。
「ユウト様、そちらでは……」
そう、俺が踏み出したのは会議場とは真逆の方向。当然リーゼが止めるのも無理はない。
ちょっと野暮用だ、と小声でリーゼとベスに伝える。
しばらく歩いたところにあった細い裏路地へと入った。
「さてと……コソコソと隠れてないででてこいよ」
それなりの殺気と魔力を放出して威嚇をする。
音もなく2人の奴が出てきた。
そいつらは全身を黒い衣装で包み忍者を想像させた。とは言っても彼らがきているのはコートのようなものだ。どこかの諜報部員だろうか。
「なっ……貴様ら」
瞬時に戦闘態勢に入るリーゼとベスに制止をかける。
でも、そうか彼女すら気づかないほどの熟練者だったようだ。でも、俺からしたらこんなのどってことことない。
「全く隠れるならばもう少ししっかり隠れてもらいたいものだよ、最初に会議場に着いた時……いや、勇者と会った時からだな」
他者から見られるというのが極端に嫌だった俺は他人の目線には、特に自分に向けられた目線に関しては感じ取れないことがなくなっていた。魔法で姿を隠そうと目線だけは消せないのだろう。となればわからないはずもない。どうやら変な特技ばっかりついてしまったものだ。
「ちょうどいい。少し練習相手になってくれ」
こっちにきてから俺は自分の持つ力を把握できていない。
本当に俺は魔王なのか、もう人間ではないのか、そんな疑問を晴らすためにもこいつらはちょうどいい。1つ実験台になってもらうこととしよう。
「ふっ……」
両足に力を込め地面を蹴る。魔力によって強化されている足は地面を蹴ると同時に地面にへこみを作り出し、反対に俺は瞬間的に爆発的な推進力を得た。
「なっ……ぐぅ」
一瞬で10m程の距離を詰め、相手の鳩尾へ拳を突き出しした。速度が上乗せされた拳は難なく相手を一撃でノックアウトさせた。
「なるほどこんなものか、にしてもお前らもう少しやれると思ったが、俺の過大評価だったか……それじゃお疲れ様」
もう1人の奴にも有無を言わせず拳を叩き込んだ。
手応えがなさすぎる、もっといい奴はいなかったのかな、いやあるいは……
「全く疲れさせる、リーゼ、ベス行くぞ」
ま、わかったことは……いやわかっていたことだが、俺は本当にもう人間ではないようだ。
となれば、もう俺のいた世界のことなど忘れよう。
こっちの世界で楽しんでやるだけだ。精々暴れてやるよ。
「あ、そいつら持っていかないと、ほら行くぞお前ら」
なぜかさっきから動かない少女2人に声をかけて会議場へと向かうためきた道を引き返すのだった。
ま、そのうちわかるであろう。
だいたい考え事は思い出そうとしていると思い出せない、そんなものだ。
「美味しかったですね、そういえばユウト様のケーキはなんだったのですか?」
「あ、ベスも気になる。なんかタルトみたいなのに真っ白かったあれ」
「うん? あぁ、チーズケーキな」
この世界はタルトはあるのにチーズケーキはないんだな。俺からすればタルトの方が面倒くさいと思うんだけど、まぁそれはいいか。
「材料さえあれば作れると思うが……」
「えっ?ほんと……うですか?」
「あぁ、多分な。この会議が終わったら作ってやろう」
することがなく暇を持て余した挙句料理へと走ったことがこんな風に役に立つとは……やれることはやっといた方がいいな。
「「やった~」」
やはり女子は甘いものと可愛いものには目がないようだ。
「さてと、そのためには会議だな。時間はまだあるよな?」
「はい、今から向かえばちょうどいいと思います」
「それじゃ行くか」
そう言って、一歩を踏み出す。
「ユウト様、そちらでは……」
そう、俺が踏み出したのは会議場とは真逆の方向。当然リーゼが止めるのも無理はない。
ちょっと野暮用だ、と小声でリーゼとベスに伝える。
しばらく歩いたところにあった細い裏路地へと入った。
「さてと……コソコソと隠れてないででてこいよ」
それなりの殺気と魔力を放出して威嚇をする。
音もなく2人の奴が出てきた。
そいつらは全身を黒い衣装で包み忍者を想像させた。とは言っても彼らがきているのはコートのようなものだ。どこかの諜報部員だろうか。
「なっ……貴様ら」
瞬時に戦闘態勢に入るリーゼとベスに制止をかける。
でも、そうか彼女すら気づかないほどの熟練者だったようだ。でも、俺からしたらこんなのどってことことない。
「全く隠れるならばもう少ししっかり隠れてもらいたいものだよ、最初に会議場に着いた時……いや、勇者と会った時からだな」
他者から見られるというのが極端に嫌だった俺は他人の目線には、特に自分に向けられた目線に関しては感じ取れないことがなくなっていた。魔法で姿を隠そうと目線だけは消せないのだろう。となればわからないはずもない。どうやら変な特技ばっかりついてしまったものだ。
「ちょうどいい。少し練習相手になってくれ」
こっちにきてから俺は自分の持つ力を把握できていない。
本当に俺は魔王なのか、もう人間ではないのか、そんな疑問を晴らすためにもこいつらはちょうどいい。1つ実験台になってもらうこととしよう。
「ふっ……」
両足に力を込め地面を蹴る。魔力によって強化されている足は地面を蹴ると同時に地面にへこみを作り出し、反対に俺は瞬間的に爆発的な推進力を得た。
「なっ……ぐぅ」
一瞬で10m程の距離を詰め、相手の鳩尾へ拳を突き出しした。速度が上乗せされた拳は難なく相手を一撃でノックアウトさせた。
「なるほどこんなものか、にしてもお前らもう少しやれると思ったが、俺の過大評価だったか……それじゃお疲れ様」
もう1人の奴にも有無を言わせず拳を叩き込んだ。
手応えがなさすぎる、もっといい奴はいなかったのかな、いやあるいは……
「全く疲れさせる、リーゼ、ベス行くぞ」
ま、わかったことは……いやわかっていたことだが、俺は本当にもう人間ではないようだ。
となれば、もう俺のいた世界のことなど忘れよう。
こっちの世界で楽しんでやるだけだ。精々暴れてやるよ。
「あ、そいつら持っていかないと、ほら行くぞお前ら」
なぜかさっきから動かない少女2人に声をかけて会議場へと向かうためきた道を引き返すのだった。
0
あなたにおすすめの小説
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる