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映る街並みの中
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本当に最近ついていないとよく思う。
「望君、どうしたの?」
「いろんなところから誰のとも知らない矢が降り注ぎ、僕の精神を崩壊させました」
「た、確かに見られてたかもしれないけど、そんなダメージ受けるほどのものじゃないでしょ」
「お前には分からない……ってそれじゃなくて千春さんアルバイト希望です」
そう、今回の目的はこれ。街中で刺さる目線を受けることではなく、ここに花凛を連れてくること。危うく本質を見失うところだった。
「了解、じゃ花凛ちゃんはこっちに来てね」
ニコニコと手招きをする千春さん。その表情が何かを企んでるように見えた。
花凛は大丈夫だろうか。
そのあとこれと言った騒動にはならず花凛は無事この喫茶店で働くことになった。
カランカラン
と、扉の鈴が鳴った。
「いらっしゃいませ、2名様ですか」
マニュアル通りの受け答えをし、2人を席へと案内する。そんな2人にはただの客とは思えない雰囲気が漂っていた。
なんかピリピリしているというか、落ち着きがないというか。
「ご注文が決まりましたらお呼びください」
「すいません、小鳥遊さんはいますか」
「……は?」
まさしくは? だ。一体どういう原理で注文ではなく千春さんを頼むんだ。すると間髪入れずに
「はいはい、呼ばれて登場小鳥遊千春でーす。あ、榊原さん、西園寺さん」
と、登場した千春さんだった。
「お久しぶりです」
多分榊原って人がそう受け答える。
「早速で悪いんですか。相談です」
「あ~あ、はいはい。待ってくださいね準備するので」
そう言って、バタバタと準備を始める千春さん。一体何がどうなってるんだろう。
「……コーヒーと紅茶どちらにしますか?」
「コーヒーで、こいつには紅茶を頼む。それはそうと君はここのバイト君?」
「えぇ、ここのバイト君です。佐々木望です」
「そうか、あの千春ちゃんがね……今後ともよろしくね、望君」
多分、俺がくる前からの常連さんなのだろう。
それはさておき相談とはなんなのだろうか。
「お待たせしました。それで相談ってなんですか?」
「えぇ、これについてです」
「お待たせしました。コーヒーと紅茶です」
そう、2人に飲み物を渡し去ろうとした時だ。千春さんに服を引っ張られた。
「望君もここでこの話を聞いて」
「え? いや、千春さ……」
そう言いかけて、その言葉を飲み込むしかなかった。千春さんの目はとても真剣だった。
「わ、わかりました」
「じゃあ、お願いします」
そう、千春さんが告げ、相談が始まった。
「なるほど、そういうことですか」
「どうにかなりませんかね?」
「そうですね、やれなくはないと思うんですけどねぇ。ちょっと厳しいかもしれませんね」
と、そんな話が続いているのだが、いまだに状況がつかめない次第です。
「とりあえず考えておきます」
「よろしくお願いします。毎度毎度申し訳ないです」
「いえいえ、お互い様ですよ」
そう言って、2人は入ってきた時と同じ音を出して去っていった。
「さて、どうする望君」
「……あの2人はなんなんですか?」
多分だけど、話していたのは事件に関すること。それも最近の出来事だ。つい先日、学校から注意があったことに近いと思う。それの相談ということは……
「警察官、なんですか?」
「ご名答、まさしく警官だよ、というか刑事だね」
「……どういうことだ」
もう、そんな言葉しか出てこなかった。
「望君、どうしたの?」
「いろんなところから誰のとも知らない矢が降り注ぎ、僕の精神を崩壊させました」
「た、確かに見られてたかもしれないけど、そんなダメージ受けるほどのものじゃないでしょ」
「お前には分からない……ってそれじゃなくて千春さんアルバイト希望です」
そう、今回の目的はこれ。街中で刺さる目線を受けることではなく、ここに花凛を連れてくること。危うく本質を見失うところだった。
「了解、じゃ花凛ちゃんはこっちに来てね」
ニコニコと手招きをする千春さん。その表情が何かを企んでるように見えた。
花凛は大丈夫だろうか。
そのあとこれと言った騒動にはならず花凛は無事この喫茶店で働くことになった。
カランカラン
と、扉の鈴が鳴った。
「いらっしゃいませ、2名様ですか」
マニュアル通りの受け答えをし、2人を席へと案内する。そんな2人にはただの客とは思えない雰囲気が漂っていた。
なんかピリピリしているというか、落ち着きがないというか。
「ご注文が決まりましたらお呼びください」
「すいません、小鳥遊さんはいますか」
「……は?」
まさしくは? だ。一体どういう原理で注文ではなく千春さんを頼むんだ。すると間髪入れずに
「はいはい、呼ばれて登場小鳥遊千春でーす。あ、榊原さん、西園寺さん」
と、登場した千春さんだった。
「お久しぶりです」
多分榊原って人がそう受け答える。
「早速で悪いんですか。相談です」
「あ~あ、はいはい。待ってくださいね準備するので」
そう言って、バタバタと準備を始める千春さん。一体何がどうなってるんだろう。
「……コーヒーと紅茶どちらにしますか?」
「コーヒーで、こいつには紅茶を頼む。それはそうと君はここのバイト君?」
「えぇ、ここのバイト君です。佐々木望です」
「そうか、あの千春ちゃんがね……今後ともよろしくね、望君」
多分、俺がくる前からの常連さんなのだろう。
それはさておき相談とはなんなのだろうか。
「お待たせしました。それで相談ってなんですか?」
「えぇ、これについてです」
「お待たせしました。コーヒーと紅茶です」
そう、2人に飲み物を渡し去ろうとした時だ。千春さんに服を引っ張られた。
「望君もここでこの話を聞いて」
「え? いや、千春さ……」
そう言いかけて、その言葉を飲み込むしかなかった。千春さんの目はとても真剣だった。
「わ、わかりました」
「じゃあ、お願いします」
そう、千春さんが告げ、相談が始まった。
「なるほど、そういうことですか」
「どうにかなりませんかね?」
「そうですね、やれなくはないと思うんですけどねぇ。ちょっと厳しいかもしれませんね」
と、そんな話が続いているのだが、いまだに状況がつかめない次第です。
「とりあえず考えておきます」
「よろしくお願いします。毎度毎度申し訳ないです」
「いえいえ、お互い様ですよ」
そう言って、2人は入ってきた時と同じ音を出して去っていった。
「さて、どうする望君」
「……あの2人はなんなんですか?」
多分だけど、話していたのは事件に関すること。それも最近の出来事だ。つい先日、学校から注意があったことに近いと思う。それの相談ということは……
「警察官、なんですか?」
「ご名答、まさしく警官だよ、というか刑事だね」
「……どういうことだ」
もう、そんな言葉しか出てこなかった。
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