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6歳の力走。
貧民街の話と報告会。
旅は5日目に入った。3日目、4日目は特に何も問題はなく、大隊商は順調に距離を稼いだ。ナビはその間食事以外の時間は全て眠っていて、回復に全フリしているみたいだ。5日目に入るとルステインの勢力圏に入るので途端に道が綺麗になる。道が綺麗になってしばらくすると貧民街が現れる。
「なんで、こんな遠くに、貧民街があるんだろうね?」
「私も聞いた話ですが、周辺道路は石畳で舗装していますよね」
「してるね」
「その場所に建物が建てられたその日に治安部隊がやってきてその建物を壊し、中の住人を引っ張ってくのだそうです」
「だからこんな遠くなんだね」
「ここの住人は普段は農家を手伝い、手間賃を貯めて王都に逃げる者が大半らしいです」
「ルステインの街、遠い」
「そうです。まともな足で2時間以上かかるでしょう。閣下はここを貧民にとって住みにくい土地にしています。よく考えていると思いますよ」
「それでも、なくならない、んだね」
「農家は安い労働者を雇いたいですからね」
「なるほど」
「でもルステインが好景気になったらここは真っ先に無くなります」
「そうなの?」
「雇用が生まれ、ここの人に仕事を与えることになるでしょう。そうして仕事を与えて追い出し、壊すでしょう。閣下ならば」
「そうなんだね」
貧民街を抜け石畳の舗装路に入る。なるほどここには建物一つない。
「閣下は素晴らしい統治者だと思います。だからこそ清濁あわせもって政治を行なっているのです。為政者とはかくあらねばいけないんです」
「ストーク」
「はい」
「大人になって、望むなら、土地を封じられ、子爵になれる」
「左様ですか!?」
「うん。でも、それが、幸せか僕にはわからない」
「そうですね…こればかりはリョウ様のお考えひとつでしょう。私には計りかねます」
ナビが起きてくる。僕に抱きつく。
「おはよう」
「にゃー」
「なんか食べる?」
「にゃー」
「クッキーで良い?」
「にゃにゃ」
「じゃあ肉?」
「にゃー」
「はい、どうぞ」
ナビは肉を食べる。飛び上がり僕の頭の上にのる。
「重い。ナビ」
「にゃ」
「ちゃんとして」
「にゃー」
僕の横でスフィンクス座りをする。
「もう起きれるの?」
「にゃー」
「良かった」
「にゃ、にゃにゃ」
「飛んじゃだめ」
「言ってることがわかるんですか?」
「んー。なんとなく」
「リョウエストさん、すごいですね。私たちの種族の限られた者は動物と会話できるのですが、その人達みたいです」
「フィグさん、なんとなく、だよ」
「にゃー」
入場門から入って街中に入る。ここに来ると戻ってきたなあと言う気になる。街の中心の時計塔を見てセス大通りに入り馬車はスサン商会の前についた。
お父さん、お母さん、エメイラ、ケリィさんに迎えられる。それぞれハグをして帰還の挨拶をする。ナビが出てきて僕の横でふわふわと飛ぶ。
「それ、翼猫?小さくない?」
「エメイラ、そう」
「森の王者じゃない!?どうしたの?」
「んー。仲間にしたの」
「もしかして従魔としたの?翼猫は人に慣れないわよ」
「ナビ、挨拶」
「にゃー」
「エメイラよ、よろしく」
「にゃにゃ、にゃー」
「あれ、これすっかり慣れてるわね」
「詳しい話は中でするよ。師匠とフィグさんは一緒に」
ロイック兄さんはそう言う。
「「はい」」
「ストーク、お疲れ様」
「はい、向こうで休ませてもらいます。明日また迎えにきます」
「よろしく」
「あの、リョウエスト様」
「なあに?」
青の技のリーダーが僕の所へ来た。
「今回はありがとうございました。明日お伺いしてもよろしいでしょうか?」
「うん、話?」
「はい」
「わかった。待ってる」
「ありがとうございます」
青の技はストークと一緒に工房の方へ向かっていった。
中に入ると家にいるみたいで僕はそちらに向かった。ナビは相変わらず横をふわふわ浮いている。
「なんで飛んでられるの?」
「にゃー」
「わからないのか」
食堂に行くと家族全員とペランス師匠とフィグさんが揃ってた。僕が座ると話が始まった。お母さんにナビは抱かれた。困ると言って鳴いたが許してもらいたい。
まずはロイック兄さんの話だ。ロイック兄さんは王城で土地収用のお願いを出し、それから社交シーズンで注文を受けた所に納品したという。その後披露宴と親善イベントに出て、スレイン商会や他商会を回っていたという。
ストラ兄さんは主に学園の事をしていたらしい。入学金免除の書類や各書類の提出をして、寮の下見をしてからウルリッヒ様の学友達と親交を深めていたらしい。僕がイベント出店してる時はウルリッヒ様と遊んでいたみたいだ。
僕の話は長くなりそうなので先に師匠とフィグさんの話となった。誰もがおめでとうと言った。こんど商会員でお祝いすることになった。
そして僕の話だ。最初の天ぷら屋をはじめ、ミッソリーナ王国の大使夫人に脅された話、王女様のご友人の食事会、披露宴、親善式典の話、ミッソリーナ王国新大使との話、ルディス様とサテラージャの人達との別れの話をした。最後に親善大使を大人になってやる話もした。望めば子爵になれる話も。あとはナビの話もしたよ。
「話が大きすぎるな」
「脅されて大丈夫だったの?」
「大丈夫」
「リョウ君は食事を作りに行くといってなんでそんなに大きな事をやってくるんでしょう」
「まあ、それもリョウの力だから良いわ。あなたはそろそろ別の方向の力もつけないといけないわね」
「別の方向?」
「そう。そろそろルステインの外で修行を始めるわよ」
「なんで、こんな遠くに、貧民街があるんだろうね?」
「私も聞いた話ですが、周辺道路は石畳で舗装していますよね」
「してるね」
「その場所に建物が建てられたその日に治安部隊がやってきてその建物を壊し、中の住人を引っ張ってくのだそうです」
「だからこんな遠くなんだね」
「ここの住人は普段は農家を手伝い、手間賃を貯めて王都に逃げる者が大半らしいです」
「ルステインの街、遠い」
「そうです。まともな足で2時間以上かかるでしょう。閣下はここを貧民にとって住みにくい土地にしています。よく考えていると思いますよ」
「それでも、なくならない、んだね」
「農家は安い労働者を雇いたいですからね」
「なるほど」
「でもルステインが好景気になったらここは真っ先に無くなります」
「そうなの?」
「雇用が生まれ、ここの人に仕事を与えることになるでしょう。そうして仕事を与えて追い出し、壊すでしょう。閣下ならば」
「そうなんだね」
貧民街を抜け石畳の舗装路に入る。なるほどここには建物一つない。
「閣下は素晴らしい統治者だと思います。だからこそ清濁あわせもって政治を行なっているのです。為政者とはかくあらねばいけないんです」
「ストーク」
「はい」
「大人になって、望むなら、土地を封じられ、子爵になれる」
「左様ですか!?」
「うん。でも、それが、幸せか僕にはわからない」
「そうですね…こればかりはリョウ様のお考えひとつでしょう。私には計りかねます」
ナビが起きてくる。僕に抱きつく。
「おはよう」
「にゃー」
「なんか食べる?」
「にゃー」
「クッキーで良い?」
「にゃにゃ」
「じゃあ肉?」
「にゃー」
「はい、どうぞ」
ナビは肉を食べる。飛び上がり僕の頭の上にのる。
「重い。ナビ」
「にゃ」
「ちゃんとして」
「にゃー」
僕の横でスフィンクス座りをする。
「もう起きれるの?」
「にゃー」
「良かった」
「にゃ、にゃにゃ」
「飛んじゃだめ」
「言ってることがわかるんですか?」
「んー。なんとなく」
「リョウエストさん、すごいですね。私たちの種族の限られた者は動物と会話できるのですが、その人達みたいです」
「フィグさん、なんとなく、だよ」
「にゃー」
入場門から入って街中に入る。ここに来ると戻ってきたなあと言う気になる。街の中心の時計塔を見てセス大通りに入り馬車はスサン商会の前についた。
お父さん、お母さん、エメイラ、ケリィさんに迎えられる。それぞれハグをして帰還の挨拶をする。ナビが出てきて僕の横でふわふわと飛ぶ。
「それ、翼猫?小さくない?」
「エメイラ、そう」
「森の王者じゃない!?どうしたの?」
「んー。仲間にしたの」
「もしかして従魔としたの?翼猫は人に慣れないわよ」
「ナビ、挨拶」
「にゃー」
「エメイラよ、よろしく」
「にゃにゃ、にゃー」
「あれ、これすっかり慣れてるわね」
「詳しい話は中でするよ。師匠とフィグさんは一緒に」
ロイック兄さんはそう言う。
「「はい」」
「ストーク、お疲れ様」
「はい、向こうで休ませてもらいます。明日また迎えにきます」
「よろしく」
「あの、リョウエスト様」
「なあに?」
青の技のリーダーが僕の所へ来た。
「今回はありがとうございました。明日お伺いしてもよろしいでしょうか?」
「うん、話?」
「はい」
「わかった。待ってる」
「ありがとうございます」
青の技はストークと一緒に工房の方へ向かっていった。
中に入ると家にいるみたいで僕はそちらに向かった。ナビは相変わらず横をふわふわ浮いている。
「なんで飛んでられるの?」
「にゃー」
「わからないのか」
食堂に行くと家族全員とペランス師匠とフィグさんが揃ってた。僕が座ると話が始まった。お母さんにナビは抱かれた。困ると言って鳴いたが許してもらいたい。
まずはロイック兄さんの話だ。ロイック兄さんは王城で土地収用のお願いを出し、それから社交シーズンで注文を受けた所に納品したという。その後披露宴と親善イベントに出て、スレイン商会や他商会を回っていたという。
ストラ兄さんは主に学園の事をしていたらしい。入学金免除の書類や各書類の提出をして、寮の下見をしてからウルリッヒ様の学友達と親交を深めていたらしい。僕がイベント出店してる時はウルリッヒ様と遊んでいたみたいだ。
僕の話は長くなりそうなので先に師匠とフィグさんの話となった。誰もがおめでとうと言った。こんど商会員でお祝いすることになった。
そして僕の話だ。最初の天ぷら屋をはじめ、ミッソリーナ王国の大使夫人に脅された話、王女様のご友人の食事会、披露宴、親善式典の話、ミッソリーナ王国新大使との話、ルディス様とサテラージャの人達との別れの話をした。最後に親善大使を大人になってやる話もした。望めば子爵になれる話も。あとはナビの話もしたよ。
「話が大きすぎるな」
「脅されて大丈夫だったの?」
「大丈夫」
「リョウ君は食事を作りに行くといってなんでそんなに大きな事をやってくるんでしょう」
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「別の方向?」
「そう。そろそろルステインの外で修行を始めるわよ」
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