キミと駆ける、星の蹄跡

こおえい

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第1章:未知なる蹄音、星屑の約束

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ギャラクシー・ターフの広大な敷地に入ると、まずその空気の違いに圧倒された。澄み切ったガラスのドームの向こうには、陽光を浴びて煌めく巨大なVRコースが広がっている。練習用コースを駆けるサイバーホースたちの蹄音は、生身の馬とは違う、澄んだ電子音を響かせ、それが私の胸に高鳴りをもたらした。

「ここが、プリンセス・ホース・アカデミー……」

手にした入学許可証をもう一度見つめる。ごく普通の高校生活を送っていた私が、まさかこんな未来の学園に入学するなんて、夢にも思わなかった。動機は、少しばかり……いや、かなり不純だ。ある日、偶然目にしたサイバーホースレースの映像に、心を奪われたのだ。まるで星屑を纏ったかのように美しいサイバーホースが、VR空間を自由に駆け抜ける姿。あの感動を、私も味わってみたい。

オリエンテーション会場へ向かう途中、ふと視線を感じた。
「――君が、新入りの転入生か」

凍てつくような、しかしどこか透き通った声。振り返ると、そこに立っていたのは、すらりとした長身の少年だった。彼からは、周囲を寄せ付けないような、鋭いオーラが放たれている。その瞳は怜悧で、まるでAIのように感情が読めない。

「あ、はい……」

思わず言葉が詰まる。彼が、アカデミーのトップに君臨する天才ジョッキー、天宮あまみや ユウジだということを、私はすぐに察した。彼は私のパートナーとなるサイバーホース「エトワール」のデータが記録されたタブレットを一瞥すると、何の感情も込めずに告げた。

「あの馬で、このアカデミーでやっていけるのか? 足を引っ張るなよ」

その言葉は、私の中にチクリと小さな棘を残した。けれど、すぐに反骨心が芽生える。見返してやる。私だって、やれるんだ!

意気込みを胸に、私は自分に割り当てられた馬房へと向かった。サイバーホースは、それぞれ専用の格納庫で管理されている。扉が開くと、そこにいたのは……。

「きみが……エトワール?」

そこにいたのは、漆黒のボディに、深緑のたてがみが特徴のサイバーホースだった。しかし、他の生徒たちのパートナーが煌びやかな光を放っているのに対し、エトワールはどこか影を帯びていて、その光は微弱だ。まるで、心を閉ざしているかのように。

私がそっと手を伸ばすと、エトワールは警戒するように僅かに後ずさった。その瞳は、まるで遠い星を見つめているかのように寂しげで、私にはそれが、なぜだかとても悲しく映った。

「大丈夫だよ、エトワール。怖くないよ」

ゆっくりと、もう一度手を伸ばす。すると、エトワールは私の手のひらに、そっと鼻先を擦り付けてきた。ひんやりとした人工的な感触。けれど、その奥に、確かな温もりを感じた気がした。

その瞬間、エトワールの瞳に、微かな光が灯った。まるで、遥か宇宙のどこかにある、小さな星が瞬いたかのように。

――私たち、きっと良いパートナーになれる。

根拠のない自信が、私の胸に静かに芽生えた。これは、私とエトワールの物語の始まり。そして、このアカデミーで出会う、彼らとの、新しい未来への第一歩なのだ。
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