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プロローグ 婚約破棄?
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「すみませんエマ。私は、もう貴女とやっていくことは出来ないみたいです。」
____はい?
状況を整理しましょう。私はローラ=コールマン。コールマン家の長女です。そして目の前の、白髪で糸目で背が高く、背中からピンクブロンドの髪の女性しがみつかれている男性は私の妹、エマ=コールマンの婚約者のロードン=ホルキンス侯爵ですわ。当然、彼に恍惚とした表情でしがみついているもとい抱きついている女性はエマではありません。
そして、このパーティーはホルキンス侯爵邸で行われており、妹のエマは風邪で寝込んでいる為、パーティーに出席出来ておりません。そのことは既にロードン侯爵もご存知のはずですが......
何故か彼は、この場にいないはずのエマに向かって語り始めました。それも、他でもないわたくしの方を見ながら。
会場が数秒しん、と静まり返ります。しかし、数秒後にはわたくしの方を不思議そうな顔で皆が見始め、ひそひそと囁き合う声が辺りから聞こえてくるようになりました。
わたくしも何か言うべきでしょうか? わたくしは今の空気に耐え切れず、口を開きます。
「それは……どういう......?」
「どういうもこういうもありませんよ。貴女も、いつかこうなると薄々わかっていたはずです。エマ、貴女がそこの成り上がり者と浮気をした上に、ここにいるシャロットをお友達と虐めたことはわかっているんです。素直に、全てを話してくれませんか?」
何が何だかわからない。目の前ではエマの婚約者であるはずの侯爵がシャロットと呼ばれた少女__確か子爵令嬢でしたわね__と顔を火照らせながら見つめ合っておりますし、成り上がり者と言われた青年____こちらは冒険者として名をあげて男爵位についたケニー=ヒューレット男爵といったかしら?__は何が起きたのかわからないといったような表情で、助けを求めるかの様にわたくしの方に弱々しげな視線を向けて来ます。
それに......あのエマがシャロットを虐めた……ですって? そんなこと、あるはずがありませんわ。
あんなに優しいエマが。誰よりも正義感が強く、真面目なエマが。天変地異が起ころうと、明日世界が終わろうと、そんなことがあるはずがないと思ってしまうわたくしは姉バカなのでしょうか。それでもわたくしは____
妹を信じたいのです。
「そんなことをするはずがありませんわ!」
「この期に及んで......まだそんなことを仰るのですか? 全く、このような女性が私の婚約者だったなんて......話していただけますか? シャロット?」
ロードン侯爵がそう言いながら、シャロット嬢の方を見つめる。シャロット嬢も少し怯えたような顔をしながら、ロードン侯爵を見つめ、コクリと頷き、続けました。
「わ、私は、エマ様とその取り巻きの方々に、酷いことを沢山言われたりしたんです......それで、私、怖くなってロードン侯爵に相談して.......それでっ......」
そう言いながらシャロット嬢は目から涙を零し始めました。
____はい?
状況を整理しましょう。私はローラ=コールマン。コールマン家の長女です。そして目の前の、白髪で糸目で背が高く、背中からピンクブロンドの髪の女性しがみつかれている男性は私の妹、エマ=コールマンの婚約者のロードン=ホルキンス侯爵ですわ。当然、彼に恍惚とした表情でしがみついているもとい抱きついている女性はエマではありません。
そして、このパーティーはホルキンス侯爵邸で行われており、妹のエマは風邪で寝込んでいる為、パーティーに出席出来ておりません。そのことは既にロードン侯爵もご存知のはずですが......
何故か彼は、この場にいないはずのエマに向かって語り始めました。それも、他でもないわたくしの方を見ながら。
会場が数秒しん、と静まり返ります。しかし、数秒後にはわたくしの方を不思議そうな顔で皆が見始め、ひそひそと囁き合う声が辺りから聞こえてくるようになりました。
わたくしも何か言うべきでしょうか? わたくしは今の空気に耐え切れず、口を開きます。
「それは……どういう......?」
「どういうもこういうもありませんよ。貴女も、いつかこうなると薄々わかっていたはずです。エマ、貴女がそこの成り上がり者と浮気をした上に、ここにいるシャロットをお友達と虐めたことはわかっているんです。素直に、全てを話してくれませんか?」
何が何だかわからない。目の前ではエマの婚約者であるはずの侯爵がシャロットと呼ばれた少女__確か子爵令嬢でしたわね__と顔を火照らせながら見つめ合っておりますし、成り上がり者と言われた青年____こちらは冒険者として名をあげて男爵位についたケニー=ヒューレット男爵といったかしら?__は何が起きたのかわからないといったような表情で、助けを求めるかの様にわたくしの方に弱々しげな視線を向けて来ます。
それに......あのエマがシャロットを虐めた……ですって? そんなこと、あるはずがありませんわ。
あんなに優しいエマが。誰よりも正義感が強く、真面目なエマが。天変地異が起ころうと、明日世界が終わろうと、そんなことがあるはずがないと思ってしまうわたくしは姉バカなのでしょうか。それでもわたくしは____
妹を信じたいのです。
「そんなことをするはずがありませんわ!」
「この期に及んで......まだそんなことを仰るのですか? 全く、このような女性が私の婚約者だったなんて......話していただけますか? シャロット?」
ロードン侯爵がそう言いながら、シャロット嬢の方を見つめる。シャロット嬢も少し怯えたような顔をしながら、ロードン侯爵を見つめ、コクリと頷き、続けました。
「わ、私は、エマ様とその取り巻きの方々に、酷いことを沢山言われたりしたんです......それで、私、怖くなってロードン侯爵に相談して.......それでっ......」
そう言いながらシャロット嬢は目から涙を零し始めました。
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