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士官学校編
魔力操作と新しい魔法
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ついに、この時がきた。
魔力を離して自由に動かすことができたのだ。
浮かせる練習を始めて2週間、浮くだけでどうにもならなかったこの『塊』について
今日、突然つながったと感じた。
感じたまま動かすと思った通りに動き、維持に魔力を必要としなかった。
なるほど、これならルイス教官のあれが可能だわ、と納得した。
「火よ」
と力ある言葉を唱えると掌の上で拳大の炎が立ち上った。
おおおお、できた! ついにできた!
頬が勝手に吊り上がっていくのを感じながら務めて冷静に体から離し消して見せる。
ペドロが「カオル! ついにやったな!」と興奮して声をかけてきた。
ペドロはすでにできるのに大げさなやつだな、と思いつつも悪くないと思い右手を上げた。
いぶかしんで右手を上げたペドロにハイタッチした。
「いえーい! やったぜ!」と、講義室にパァーンと鳴り響いた。
「うるさいぞ!」今日も二日酔いのルイス教官が抗議の声を上げた。
班の仲間が口々にやったな、おめでとう、と声をかけてくれるが
彼らはあと1歩だがまだできてないのだ。
この感動を味わってもらうために手伝ってあげなくては!
しかし、急にわかったというものをどう伝えるものか。
そこらへんはペドロと相談してみよう。
すこし離れてペドロと相談してみる。
「ペドロどうだった? 私はつながったって感じがしたんだけど。」
「つながった、か。カオルはそういう感覚だったのだな、おれは鍵が開いた感じだった。」
人によってずいぶん違うらしいし結果だけ伝えても意味がないなぁ。
「結局は使いまくるとそのうちうまくいくよって話にしかならないのか。」
「そうだな、残念だ」
そういって肩をすくめて席へ戻っていった。
しょうがないので席に戻って複数出したり動かしたりしてみる。
1度できると多少難しいこともなんなくできるようになるらしい。
大きな一つを出して10個に分裂させて輪を作り回転させながら燃えろ、と念じる。
回転させながら燃え上がった魔力をそのままルイス教官の前に移動させ
「教官! できましたよ!」
頭の上で炎が回っているにも関わらずルイス教官は無視を決め込んだ。
「煩わしい虫の羽音!」
頭の上で回ってるものに虫の羽音があればきっと寝ていられないに違いないと思い
音を鳴らそうと思ったら登録されてしまった。
ルイス教官の頭の上で火の玉がブーンブーンと音を立てて踊り狂う。
我慢していたルイス教官もついに我慢の限界になり机をたたいて立ち上がった。
「うるっせぇー! 嫌がらせのために魔法登録するな!」
ビシッと私を指さした。
「もうちょっと実用性があればよかったですね」
「やかましいわ!」
「だって、ほらできたんですよ!」そう言ってさっきの倍、
20個の魔力を回して火をつけた。
「わかったわかった、ずいぶん出してるが魔力の枯渇は大丈夫なのか」
うんざりしながら言われた。
「なんか繋がったからか結構平気ですよ、『煩わしい虫の羽音』!」
ブーンブーンと音がなる20個の燃える火の玉を教室中に放つ。
「水!」
調子にのってブンブン言わせてたら頭から水をかけられた。
後ろを振り向くとペドロが犯人だった。
「ひどい!」
「うるさいわ!」
しょんぼり。
「魔力の扱いの課題ができるようになったやつらは次回の模擬戦闘から魔法が解禁されるからどう戦うか考えておけよー、じゃあかいさーん」といってルイス教官は講義室から出て行った。
熱風の魔法で乾かそうと思うが自分が焼けたりしないだろうか。
恐る恐る何もないところに熱風を出してみる。
扱いが上手になったからか思った通りの量と温度の風が出た。
イレーネと話しながら乾くのを待つ。
「うまくやるコツとかないのかなぁ」とイレーネがぼやく。
「ロペスとも話したんだけどね、うまくいったって瞬間の感覚が人によって違うかもってことで
自分の感覚伝えない方がいいかもね、って感じで伝えられないんだよねー」
「そうなんだー、悔しいなぁ」
「でも使いまくってたらこれだ! って瞬間くるから頑張って練習してね。」
そろそろ服も髪も乾いたのでそう言って講義室を出てエリーと合流し自室に戻った。
シャワーを浴び、髪を乾かす。
今までならアフロになっていたであろう熱風もきっと今なら正しくできるはず。
と、濡れたタオルで実験して確信した。
実際使ってみると手櫛から直接温風がでるので櫛やドライヤー使うより楽に乾かすことができた。
食事を運んでもらいエリーについにできるようになったと魔力をうねうねさせると
エリーは困ったような、気持ち悪さを堪えた愛想笑いを浮かべて賛辞を述べた。
魔力を離して自由に動かすことができたのだ。
浮かせる練習を始めて2週間、浮くだけでどうにもならなかったこの『塊』について
今日、突然つながったと感じた。
感じたまま動かすと思った通りに動き、維持に魔力を必要としなかった。
なるほど、これならルイス教官のあれが可能だわ、と納得した。
「火よ」
と力ある言葉を唱えると掌の上で拳大の炎が立ち上った。
おおおお、できた! ついにできた!
頬が勝手に吊り上がっていくのを感じながら務めて冷静に体から離し消して見せる。
ペドロが「カオル! ついにやったな!」と興奮して声をかけてきた。
ペドロはすでにできるのに大げさなやつだな、と思いつつも悪くないと思い右手を上げた。
いぶかしんで右手を上げたペドロにハイタッチした。
「いえーい! やったぜ!」と、講義室にパァーンと鳴り響いた。
「うるさいぞ!」今日も二日酔いのルイス教官が抗議の声を上げた。
班の仲間が口々にやったな、おめでとう、と声をかけてくれるが
彼らはあと1歩だがまだできてないのだ。
この感動を味わってもらうために手伝ってあげなくては!
しかし、急にわかったというものをどう伝えるものか。
そこらへんはペドロと相談してみよう。
すこし離れてペドロと相談してみる。
「ペドロどうだった? 私はつながったって感じがしたんだけど。」
「つながった、か。カオルはそういう感覚だったのだな、おれは鍵が開いた感じだった。」
人によってずいぶん違うらしいし結果だけ伝えても意味がないなぁ。
「結局は使いまくるとそのうちうまくいくよって話にしかならないのか。」
「そうだな、残念だ」
そういって肩をすくめて席へ戻っていった。
しょうがないので席に戻って複数出したり動かしたりしてみる。
1度できると多少難しいこともなんなくできるようになるらしい。
大きな一つを出して10個に分裂させて輪を作り回転させながら燃えろ、と念じる。
回転させながら燃え上がった魔力をそのままルイス教官の前に移動させ
「教官! できましたよ!」
頭の上で炎が回っているにも関わらずルイス教官は無視を決め込んだ。
「煩わしい虫の羽音!」
頭の上で回ってるものに虫の羽音があればきっと寝ていられないに違いないと思い
音を鳴らそうと思ったら登録されてしまった。
ルイス教官の頭の上で火の玉がブーンブーンと音を立てて踊り狂う。
我慢していたルイス教官もついに我慢の限界になり机をたたいて立ち上がった。
「うるっせぇー! 嫌がらせのために魔法登録するな!」
ビシッと私を指さした。
「もうちょっと実用性があればよかったですね」
「やかましいわ!」
「だって、ほらできたんですよ!」そう言ってさっきの倍、
20個の魔力を回して火をつけた。
「わかったわかった、ずいぶん出してるが魔力の枯渇は大丈夫なのか」
うんざりしながら言われた。
「なんか繋がったからか結構平気ですよ、『煩わしい虫の羽音』!」
ブーンブーンと音がなる20個の燃える火の玉を教室中に放つ。
「水!」
調子にのってブンブン言わせてたら頭から水をかけられた。
後ろを振り向くとペドロが犯人だった。
「ひどい!」
「うるさいわ!」
しょんぼり。
「魔力の扱いの課題ができるようになったやつらは次回の模擬戦闘から魔法が解禁されるからどう戦うか考えておけよー、じゃあかいさーん」といってルイス教官は講義室から出て行った。
熱風の魔法で乾かそうと思うが自分が焼けたりしないだろうか。
恐る恐る何もないところに熱風を出してみる。
扱いが上手になったからか思った通りの量と温度の風が出た。
イレーネと話しながら乾くのを待つ。
「うまくやるコツとかないのかなぁ」とイレーネがぼやく。
「ロペスとも話したんだけどね、うまくいったって瞬間の感覚が人によって違うかもってことで
自分の感覚伝えない方がいいかもね、って感じで伝えられないんだよねー」
「そうなんだー、悔しいなぁ」
「でも使いまくってたらこれだ! って瞬間くるから頑張って練習してね。」
そろそろ服も髪も乾いたのでそう言って講義室を出てエリーと合流し自室に戻った。
シャワーを浴び、髪を乾かす。
今までならアフロになっていたであろう熱風もきっと今なら正しくできるはず。
と、濡れたタオルで実験して確信した。
実際使ってみると手櫛から直接温風がでるので櫛やドライヤー使うより楽に乾かすことができた。
食事を運んでもらいエリーについにできるようになったと魔力をうねうねさせると
エリーは困ったような、気持ち悪さを堪えた愛想笑いを浮かべて賛辞を述べた。
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