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士官学校編
無礼な彼らと堪え性のない彼ら
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ロペスが討伐の引き継ぎを行うと、補佐の女性の案内で休憩用のテントに案内された。
「そっちが女性用でこっちが男性用だ」
そういう補佐の人に礼を言って、一休みしたら声をかけてくれ、と言ってロペス達はテントに入っていった。
テントの外から声がする。
「見たか? ガキじゃねえか」
「しっ聞こえるぞ」
「かまやしねえよ、お貴族様にゃゴミの区別なんかつかねえんだからな」
わざわざ聞こえるように陰口を叩くなら
まとめて燃やしてやろうか。と言う考えが頭をよぎったが、いい大人なので聞かなかったことにしてあげた。
平民耐性の無いペドロとルディが応戦してしまった。
「見たか? あいつら、どいつもこいつもいい年してなでたら消し飛びそうだったな」
「まったくだ、そのせいでファラスからここまで派遣されたんだからな」
「ひよっこがピーピー鳴いてやがる」
「聞いたかルディ、ひよっこに頼らないと毎年の恒例行事もままならないらしいぞ」
「野郎!」
どちらからともなくテントから飛び出して殴り合いが始まってしまった。
始まってしまったか、と肩を落としつつイレーネがソワソワしているので見てみるとテント出口の隙間から殴り合いをしている様を覗いていた。
骨を折らない程度に痛めつけるのなら4級の飲み薬があれば十分だろうとリュックの中を確認してひとまず安心することにした。
平民相手ならすぐ終わるだろうと思い、いつでも飲ませられるようにリュックを抱えてイレーネと一緒にテントを出た。
ペドロのケンカ相手の男の仲間が会釈をした。
「なんかすみません、おれはダビドといいます、彼がセルヒオで、もう1人がマルクといいます」
「私は、カオルといいます、彼女はイレーネ、
今、セルヒオさんを転がしたのがペドロで、マルクさんのキックを受け止めたのがルディです。
まあ、怪我とかしなきゃなんでもいいんですけどね、あ、いま出てきたのがロペスといいます。」
「すまんね、短気ですぐに誰彼構わずつっかかって行っちまって」
「ペドロ達が無礼を許してくれたからいいものの、運が悪かったらいきなり斬首ですよ」
そう言うとダビドが鼻白んだ。
「貴族様相手にいうのは確かにそうなんだろうが、いきなりそんな事できるわけあるかい」
「それは法律でってことですかね? 力でってことですかね?」
「こんなところにゃ法は届かねえさ」
「じゃあ、ますます許してもらえてよかったですね、なんで5人しか来てないと思います? そういうことですよ」
そう言ってにっこりとしてやった。
ダビドは明らかにむっとした表情をしていたが、50人の代わりに5人しか来なかったという事実に黙り込むしかないようだった。
「遊んでるなら休憩終わって仕事しよー」
と、叫んだ。
ペドロはおう、と答えると出されたセルヒオとマルクの手を強引に取り、楽しかった、と握手をした。
急に握手をされ、毒気を抜かれたセルヒオとマルクはぽかんとその場に佇んでいた。
隊長さんの所へ向かいながら聞いてみる。
「最初の怒りはどこに行ったの」
「なんだか楽しくなってしまってな」
「楽しそうな職場に来れてなによりだね」
隊長さんのテントの前で休憩が終わった、と告げると、入れ、と言われ
中に入る。
「もういいのか?」
「余暇を楽しめない人もいるので、仕事していたいのです」
「そういうことならいいが、では案内しよう」
そう言ってテーブルに広げられた地図を指し示した。
「我々が受け持っているのがこの辺りだ」
盆地と森を指し棒で示した。
「さっきも言ったがバリケードを張って凌いでる所だ、早く対応してもらえるのはありがたい、道案内はミレイアにさせよう」
そういうとテントに案内してくれた補佐の女性が前に出た。
「よろしくおねがいします」
ミレイアさんと握手をして案内してもらう。
ミレイアさんを先頭にしてミレイアさんの急ぎ足のペースで数分、
筋骨隆々な男たちが走り回ってる所にたどり着くと現場の監督官を呼び、
簡単な紹介をしてそのまま私達は実戦投入となった。
「今はあちらも体勢を立て直しているようです。
今のうちにやつらに対して攻撃を仕掛けていただけると良いかと」
こちらから攻めるほどの戦力がないことまで把握されているのか、消耗するとさっさと引いて回復を待ってからまた攻めてくるらしい。
「完全になめられてますね」
「だからこそ貴方がたの攻撃が有効的な一撃になるはずです」
「ん? 奇襲をかけてそれで終わりですか?」
「ハンター達は士気が落ちているので直接戦うのは難しいです」
「私達だけじゃあ全滅させるのは無理かもしれませんよ」
「大丈夫です。毎年この辺ではそうやってアールクドット側に追い返すだけで、中途半端に数を減らされても困るのですよ」
つまり? と聞くと
「目標としてはなるべく多く生かして追い返すこと、
次に全滅させてくれると向こうから追い返されてまた来ることがないのでありがたいです」
「どちらにしても、無茶言いますね」
「士官学校の教官殿に許可を取りに行った際、今年の学生は活きが良いので一騎当千と思っていただいて結構、と言っておりましたので」
……あの男!
「ではあちらの戦力の確認もしたいので、森の中から偵察に行きましょうか」 そう言ってミレイアさんを先頭に森の中の罠を説明してもらいながら進み
茂みの中から戦力を確認する。
豚頭はざっと40、オーガは…20前後のグループが4つ、奥の方で横たわっているグループが1つあった。
豚頭の方はオーガの下部組織なのかひとかたまりになって、森で獲ってきたであろう獲物を貪っている最中でオーガの方は1体のリーダーとグループ統率者のサブリーダーと一般兵が立ち並ぶ。
120体対5人
「オーガは食事取らないのですか」
ミレイアさんに聞くと戦闘状態になると何日か食べなくてもいいらしいです。
と答えた。
「食事中の奇襲は難しいですね」
「カオル、ねえ、AB班とやったときのあれやろうよ」
あれ? あれってなんだっけ
「氷の矢をいっぱい出してたでしょ」
「あー、はいはい、魔法補助魔法使っていっぱい出したあれね」
「あたしとカオルが合唱魔法と魔法補助魔法使って氷の矢出して数を減らすから、3人で残りを処理してもらえれば全部いける気がするんだけど」
「それだとお前らが意識失ったらどうするんだ、戦場で気絶なんてシャレにならないぞ」
ロペスの心配ももっともだ。
「ちゃんと考えてあるわよ! 魔力回復飲み薬を用意したの」
そう言って1本の瓶を置いた。
「それであれば逃げるくらいの時間は稼げるか、それでいこう」
イレーネと手をつないでステロスを使い、透明になって森の中から7歩だけ歩く、と決めてあるき出す。
透明になったまま魔法補助魔法を使う。
「神よ悪魔《エサイム》よ我が声を聴け! 氷の矢!」
無数の、見ただけではもうどのくらいの矢が出現したのかすらわからないほどの量の白く輝く氷の矢がもやもやと冷気を吐き出しながら出現し、豚頭とオーガに動揺が走った。
何もない場所に突然現れた2人のニンゲンの少女に向かってオーガのリーダーが指をさして何か叫んだ。
全身をだるさが襲う、右手に握ったイレーネの手から力が抜けて行った。
慌てて瓶から魔力回復飲み薬を飲むと、そのままイレーネの口に瓶を突っ込んで飲ませるとその場にしゃがませた。
わらわらと寄ってこようとするオーガ達に向かってすべての氷の矢を射掛け、降り注ぐ氷の矢が豚頭とオーガを蹂躙するのを見守る。
魔法補助魔法を掛けた氷の矢は、足に刺されば地面と足を凍らせて動けなくし、体に刺さると刺さった箇所が凍って無理に動かそうとすると凍った箇所が砕けているようだった。
私にとって理想的な戦場と言えた、仲間に危険はなく、血が流れず、匂いを嗅がずに敵だけを叩き潰せるのだ。
それでもたまたま当たらなかった数体が、先に射抜かれた豚頭や仲間の死体を担いで私に迫ってこようとするものも現れる。
「さあ、3人共! やっておしまいなさい!」
「そっちが女性用でこっちが男性用だ」
そういう補佐の人に礼を言って、一休みしたら声をかけてくれ、と言ってロペス達はテントに入っていった。
テントの外から声がする。
「見たか? ガキじゃねえか」
「しっ聞こえるぞ」
「かまやしねえよ、お貴族様にゃゴミの区別なんかつかねえんだからな」
わざわざ聞こえるように陰口を叩くなら
まとめて燃やしてやろうか。と言う考えが頭をよぎったが、いい大人なので聞かなかったことにしてあげた。
平民耐性の無いペドロとルディが応戦してしまった。
「見たか? あいつら、どいつもこいつもいい年してなでたら消し飛びそうだったな」
「まったくだ、そのせいでファラスからここまで派遣されたんだからな」
「ひよっこがピーピー鳴いてやがる」
「聞いたかルディ、ひよっこに頼らないと毎年の恒例行事もままならないらしいぞ」
「野郎!」
どちらからともなくテントから飛び出して殴り合いが始まってしまった。
始まってしまったか、と肩を落としつつイレーネがソワソワしているので見てみるとテント出口の隙間から殴り合いをしている様を覗いていた。
骨を折らない程度に痛めつけるのなら4級の飲み薬があれば十分だろうとリュックの中を確認してひとまず安心することにした。
平民相手ならすぐ終わるだろうと思い、いつでも飲ませられるようにリュックを抱えてイレーネと一緒にテントを出た。
ペドロのケンカ相手の男の仲間が会釈をした。
「なんかすみません、おれはダビドといいます、彼がセルヒオで、もう1人がマルクといいます」
「私は、カオルといいます、彼女はイレーネ、
今、セルヒオさんを転がしたのがペドロで、マルクさんのキックを受け止めたのがルディです。
まあ、怪我とかしなきゃなんでもいいんですけどね、あ、いま出てきたのがロペスといいます。」
「すまんね、短気ですぐに誰彼構わずつっかかって行っちまって」
「ペドロ達が無礼を許してくれたからいいものの、運が悪かったらいきなり斬首ですよ」
そう言うとダビドが鼻白んだ。
「貴族様相手にいうのは確かにそうなんだろうが、いきなりそんな事できるわけあるかい」
「それは法律でってことですかね? 力でってことですかね?」
「こんなところにゃ法は届かねえさ」
「じゃあ、ますます許してもらえてよかったですね、なんで5人しか来てないと思います? そういうことですよ」
そう言ってにっこりとしてやった。
ダビドは明らかにむっとした表情をしていたが、50人の代わりに5人しか来なかったという事実に黙り込むしかないようだった。
「遊んでるなら休憩終わって仕事しよー」
と、叫んだ。
ペドロはおう、と答えると出されたセルヒオとマルクの手を強引に取り、楽しかった、と握手をした。
急に握手をされ、毒気を抜かれたセルヒオとマルクはぽかんとその場に佇んでいた。
隊長さんの所へ向かいながら聞いてみる。
「最初の怒りはどこに行ったの」
「なんだか楽しくなってしまってな」
「楽しそうな職場に来れてなによりだね」
隊長さんのテントの前で休憩が終わった、と告げると、入れ、と言われ
中に入る。
「もういいのか?」
「余暇を楽しめない人もいるので、仕事していたいのです」
「そういうことならいいが、では案内しよう」
そう言ってテーブルに広げられた地図を指し示した。
「我々が受け持っているのがこの辺りだ」
盆地と森を指し棒で示した。
「さっきも言ったがバリケードを張って凌いでる所だ、早く対応してもらえるのはありがたい、道案内はミレイアにさせよう」
そういうとテントに案内してくれた補佐の女性が前に出た。
「よろしくおねがいします」
ミレイアさんと握手をして案内してもらう。
ミレイアさんを先頭にしてミレイアさんの急ぎ足のペースで数分、
筋骨隆々な男たちが走り回ってる所にたどり着くと現場の監督官を呼び、
簡単な紹介をしてそのまま私達は実戦投入となった。
「今はあちらも体勢を立て直しているようです。
今のうちにやつらに対して攻撃を仕掛けていただけると良いかと」
こちらから攻めるほどの戦力がないことまで把握されているのか、消耗するとさっさと引いて回復を待ってからまた攻めてくるらしい。
「完全になめられてますね」
「だからこそ貴方がたの攻撃が有効的な一撃になるはずです」
「ん? 奇襲をかけてそれで終わりですか?」
「ハンター達は士気が落ちているので直接戦うのは難しいです」
「私達だけじゃあ全滅させるのは無理かもしれませんよ」
「大丈夫です。毎年この辺ではそうやってアールクドット側に追い返すだけで、中途半端に数を減らされても困るのですよ」
つまり? と聞くと
「目標としてはなるべく多く生かして追い返すこと、
次に全滅させてくれると向こうから追い返されてまた来ることがないのでありがたいです」
「どちらにしても、無茶言いますね」
「士官学校の教官殿に許可を取りに行った際、今年の学生は活きが良いので一騎当千と思っていただいて結構、と言っておりましたので」
……あの男!
「ではあちらの戦力の確認もしたいので、森の中から偵察に行きましょうか」 そう言ってミレイアさんを先頭に森の中の罠を説明してもらいながら進み
茂みの中から戦力を確認する。
豚頭はざっと40、オーガは…20前後のグループが4つ、奥の方で横たわっているグループが1つあった。
豚頭の方はオーガの下部組織なのかひとかたまりになって、森で獲ってきたであろう獲物を貪っている最中でオーガの方は1体のリーダーとグループ統率者のサブリーダーと一般兵が立ち並ぶ。
120体対5人
「オーガは食事取らないのですか」
ミレイアさんに聞くと戦闘状態になると何日か食べなくてもいいらしいです。
と答えた。
「食事中の奇襲は難しいですね」
「カオル、ねえ、AB班とやったときのあれやろうよ」
あれ? あれってなんだっけ
「氷の矢をいっぱい出してたでしょ」
「あー、はいはい、魔法補助魔法使っていっぱい出したあれね」
「あたしとカオルが合唱魔法と魔法補助魔法使って氷の矢出して数を減らすから、3人で残りを処理してもらえれば全部いける気がするんだけど」
「それだとお前らが意識失ったらどうするんだ、戦場で気絶なんてシャレにならないぞ」
ロペスの心配ももっともだ。
「ちゃんと考えてあるわよ! 魔力回復飲み薬を用意したの」
そう言って1本の瓶を置いた。
「それであれば逃げるくらいの時間は稼げるか、それでいこう」
イレーネと手をつないでステロスを使い、透明になって森の中から7歩だけ歩く、と決めてあるき出す。
透明になったまま魔法補助魔法を使う。
「神よ悪魔《エサイム》よ我が声を聴け! 氷の矢!」
無数の、見ただけではもうどのくらいの矢が出現したのかすらわからないほどの量の白く輝く氷の矢がもやもやと冷気を吐き出しながら出現し、豚頭とオーガに動揺が走った。
何もない場所に突然現れた2人のニンゲンの少女に向かってオーガのリーダーが指をさして何か叫んだ。
全身をだるさが襲う、右手に握ったイレーネの手から力が抜けて行った。
慌てて瓶から魔力回復飲み薬を飲むと、そのままイレーネの口に瓶を突っ込んで飲ませるとその場にしゃがませた。
わらわらと寄ってこようとするオーガ達に向かってすべての氷の矢を射掛け、降り注ぐ氷の矢が豚頭とオーガを蹂躙するのを見守る。
魔法補助魔法を掛けた氷の矢は、足に刺されば地面と足を凍らせて動けなくし、体に刺さると刺さった箇所が凍って無理に動かそうとすると凍った箇所が砕けているようだった。
私にとって理想的な戦場と言えた、仲間に危険はなく、血が流れず、匂いを嗅がずに敵だけを叩き潰せるのだ。
それでもたまたま当たらなかった数体が、先に射抜かれた豚頭や仲間の死体を担いで私に迫ってこようとするものも現れる。
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