ヤンデレ系ショートストーリー

omirei

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第2話 家庭教師メイドの栞さん

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「ご主人様、ここ。間違ってますよぉー♪」
 薄緑色のショートヘアに整った顔立ち、そして丸眼鏡が特徴の美少女が1人。ある少年の勉強机の横に、なぜだか待機していた。
「あ、ホントだ。ありがと」
 少年が返すと、
「いいえ、ご主人様のメイドとして、当然のことですよぉ♪」
 メイド服をヒラヒラと揺らし、優しい笑顔で微笑んだ。
 可愛い・・・。
 
「あっ、ご主人様。私、そろそろ晩御飯の時間しないとですので・・・すみません」
「ああ、いいよ。・・・あのっ、いつもありがとう」
「ふふ♪今日の晩御飯は、ご主人様の好きなものに致しますね」
 ガチャっと扉を閉め、メイドさんはキッチンへと向かった。
「ふぅ、勉強が全然頭に入らない・・・!」
 さっきのメイドさんは家庭教師兼、家事仕事をしてほしいと雇ったらしい。
 らしいというのは、あのメイドさんは僕が雇ったのではなく、勉強をしない僕に親が雇ったのだ。
 ちなみに僕は高校2年生で、あと4ヶ月もすれば3年生。大学受験も視野に入れた方がいい時期だ。
 まあ、特にやりたいこともないので今は『青春』というものがしたいのだが、
 話が逸れたが、あのメイドさんの名前は才谷栞(さいたにしおり)、年齢は19歳、高校卒業後、僕と同じくやりたいことがなく、メイドさんをやっているらしい。
 ちなみに、メイドとして雇われたのは今回が初めてだとか。

 にしても勉強・・・集中できないなぁ。
 教え方は上手いんだけど、僕が問題を解こうとすると、メイドさんの吐息なのかな?それが耳元まで近づいてくるか、後ろから僕の服の匂いを嗅ぐように密着してくるのだ。
 いや、すごく嬉しいし、メイドさんのいい匂いがして良いんだけどさ。
 それ以上にその吐息がマジっぽいって言うか・・・。


「できましたよぉー!」
 ガチャっと扉を開き、行き良いよく部屋に入ってきた。
「あれ?ご主人様?お勉強進んでませんよ?」
「あ、いや・・・これは」
「あっ!もしかして、私の事!考えててお勉強に集中出来なかったとか!ですか?」
 たださっき教えてもらった数式忘れて、問題が解けなくなっていただけだが・・・。
 料理中に聞きに行くのも悪いしな。
「そうと言えば、そう?かな」
 正確には部分的にそうだが、
「えっ、えええええぇぇぇッ…!」
 メイドさんの顔が真っ赤になって、み悶えている。
 仕草の一つ一つが可愛すぎるッ。


「美味しい・・・」
 1階に行き、メイドさんと僕と両親で食事が始まった。
 メニューはハンバーグ、ご飯、サラダ、味噌汁。
 ハンバーグはお店で食べるより美味しい。噛んだ瞬間肉汁が溢れ出し、それでいてちょうど良い歯ごたえに加え、ソースもオリジナルで作られていて、ハンバーグ本体の旨味を引き出している。
 いや本当に美味しい・・・。
「栞ちゃんは本当にお料理が上手ねぇー、これだけ美味しいなら家に嫁いで欲しいくらいだわ!」
 母さんは冗談に笑った。
「奥様。そのように言ってもらえるのは嬉しいのですが・・・その、よろしいのですか?」
「何がかしら?」
 母さんは意味がわからずキョトンとしている。
「私がこの家に嫁いでも、私がご主人様の・・・お、お嫁さんになっても!いいのですか!」
 心なしかメイドさんの瞳がキラキラと輝いて見えるのだが気のせいだろうか。
「え・・ええ、あなたと息子がいいのなら、わたしは一向に構わないのだけど?」
「おお!じゃあ私っ!頑張りますね!」
「?・・・ええ、頑張ってちょうだい・・」
 母さんは頭に『?』を浮かべながら言っていた。
「ご馳走様でした」、僕はそう言って席を立ち、部屋に向かった。


 ベッドに入り、目を瞑った。
 今日は小説や漫画は読まない。明日は月曜日、学校があるからだ。



 ガチャっと音を立て、少年の部屋の扉が開かれた。
「あれ?もう寝てしまっているのですね…」
 メイドさんは少しシュンとして、ベッドで眠る少年を見ながら言った。
「可愛いですね・・・ふふ、覚悟してくださいよ。ご主人様♡」
 少年の頭を優しく撫で、
「私はダメなメイドですね。ご主人様を今にも襲ってしまいたいくらい大好きだなんて・・・♡」
 覆い被さるように、あなたと私の体を密着させ、耳元で囁いた。
「ご主人様。ごめんなさい」
 私の口が、あなたの口を塞いだ。
 頭がボーッとして、幸せな気分になる。
 鼓動が早くなって、ドクドクと脈打つ心臓の音が、あなたに聞こえてしまうと思うくらい大きく聞こえて、もっとあなたのことが愛しくなってしまう。

『欲しくなってしまう』
 
「ぷはぁ♡」
 離しても、まだあなたの口の暖かさが残っています。
「あなたが私を雇って、好きにさせたんですから・・・責任とってくださいね?ダメなメイドですが、あなたのお嫁さんとして、一生雇ってください。あ、その料金は『愛』でくださいね♡」

 そう耳元で囁きながらギューっと優しく抱きしめた。
「大好き、ですよ♡」



「起きてくださ~い♡朝ですよー」
 ん・・・。
 目を瞑っていてもわかる陽の光と、優しいメイドさんの声が、眠っていた脳を覚醒させた。
「あ、やっと起きましたか!もう、ご主人様は私がいないとダメですね♡」
 目を開けると、とびきりの美少女がどこか嬉しそうな笑顔で、僕のことを見つめていた。
「おはようございます!ご主人様♡朝食の方、作ってあるので、制服に着替えたら来てくださいね♡」
「うん・・・ありがと・・・」
 メイドさんは、上機嫌そうに部屋を出ていった。
 正直まだ眠いが、学校をサボる訳にもいかないので、身を起こす。


「あとネクタイ・・・よし」
 ネクタイを占め、鏡で自分をなんとなく見た。
 寝癖が少々ついているが・・・あと直るか。
 それにしても・・・。
「はあぁぁぁー」
 ベッドに制服のままダイブした。
 学校行きたくないなぁー、別にいじめにあっている訳でもない、友達もそれなりにいる。
 が、月曜日という最悪の日の面倒くささは、例外を除き、誰にでもあるもので・・・。
「めんどくさいなぁ・・・ん?」
 ベッドに顔を埋めていると、ふとメイドさんとよく似た、いい匂いが、ほのかにした。
 嗅ぎ覚え?犬みたいで嫌だな・・・まあ、とにかく覚えのある、っていうかメイドさんの匂い、だよな?
 ・・・これで違かったらだいぶ恥ずかしいが。

「ご主人様ー!冷めちゃうので、早く食べに来てくださーい!」
 そんなことを考えていると、1階からメイドさんの声がした。


 朝の布団の匂いはなんだったのだろうか?
 昼になり、メイドさんが作ってくれた弁当を食べていると、忘れていた朝の事が、頭に浮かんだ。
 ちなみに昼は、いつも屋上で食べている。何故かと言うと、屋上が1番空いている・・・というか今は僕1人だけしかいない・・・、
「・・・先輩!・・・先輩!!」
 1人だと思い込んでいると、耳元から大声で、後輩の高い声が聞こえた。
「わッ!・・・なんだ彩純ちゃんか」
「なんだとはなんですかっ!可愛い可愛い後輩ちゃんですよッ!」
 金色のショートヘアにヘアバンドを身につけるこの少女は彩純(あすみ)、何故か最近懐かれ、ここ数ヶ月一緒にいる1年生の後輩である。
「というか先輩、私の声が聞こえなくなるって、何を考えていたんですか?」
「あー、それはな・・・」
 言えねぇ、家に家庭教師のメイドさんがいて、そのメイドさんの匂いがベッドからしたんだよねぇ、とか・・・引くどころじゃないだろ!軽蔑が軽く思えるくらいだろ。
「あー・・・!もしかして~、私のこと考えていたんですかぁ~?」
 ニヤリと、からかうような笑顔で言っていた。
「いやっ、違うから!」
「じゃあ何を考えてたんですか?」
「んー、それはー・・・」
「私に言えないようなことなんですか?」
「う、うん」
  これは大人しく認めた方がいいな。
「まさか先輩ッ!告白されて、その答えに迷っているとかッ?!」
「違うって!・・・あれ?聞こえてる?」
 彩純ちゃんはまずいです、急がなければとブツブツと呟きながら、座っている僕に近ずき。
「先輩!私と、付き合ってください!」 
「え?・・・あっ、えぇッ!」 
「先輩!驚いてないで答えて下さい!」
「ええ、・・・はい、じゃあ。よろしくお願いします!」


「先輩、キス・・・しませんか?」
 その放課後の帰り道。
 ふと彩純ちゃんが、僕の目を見つめながら言った。
 そんな彼女の瞳は、少し潤んでいて、それでいて透き通っていた。

 断る理由もなく、僕は初めてのキスをした。



 私としたことが、調味料が切れていることに気づかないなんて・・・昨日の夜のことで動揺してしまっているのかしら?
 スーパーからの帰り道、そんなことを考えながら、私とご主人様の愛の巣に帰っていると。
『先輩、キス・・・しませんか?』
 近くで、少女らしきがした。
(これは!この少女漫画みたいな展開は!)
 興味本位で声の方に言って見ると、そこには・・・、

 背伸びをして、これまた少女漫画のような金髪にヘアバンドを付けた可愛らしい少女、その少女がキスしている少年は・・・ッ?!
(ご主人様?!)
 そう、あの可愛らしい少女とキスをしていたのは、最愛のご主人様だったのだ。
(え?・・・ご主人様にか、彼女?いや、確かにご主人様は優しくて、自分に自信がなくて、でも好きな物はちゃんと好きと言えて・・・他の女の子が好きにならない理由は、ないのかな?で、でも!ご主人様のお母様から、結婚して良いと!言われたのに・・・そうです!今日の夜、ご主人様に私の思いを伝えれば!)
 ご主人様との愛の巣に隠しておいた、ある魔法の薬品を思い出した。
 


「ただいま!」
 扉を開き、珍しく言ってみた。
 何故か?そんなの、可愛い可愛い彼女が出来たからに決まっている!
「おかえりなさい!ご主人様♡」
「ああ、うん。ただいま」
 いつもより上機嫌?何かあったのだろうか?



「ご主人様ー!晩御飯の準備が出来ましたので、下に来てくだいね♡」
 今日も昨日のようにがチャッ!と勢いよく開け、メイドさんが入ってきた。
「ご主人様~♡早く食べに行きましょ!」
 僕の肩を揺らし、ねぇねぇ、と子供のように耳元で言ってくる。
「わかったわかった食べに行くから!」
「はい!ご主人様のために、精一杯作らせていただきましたので、きっと喜んでくれるかと思います♡」
 メイドさんは、幸せそうな笑顔でそう言った。
 不覚にもメイドさんを可愛いと思ってしまったが、まあ、いつも通りだし、いいか・・・。


「ご主人様♡デザートです!」
「デザート?」
「はい!最近練習していまして、どうぞ!ブリンです♡」
 と言ってメイドさんが机に置いたのは、ホイップやさくらんぼ、フルーツが盛られている。
 これプリンって言うかパフェじゃないか?
 そう思わせるほどの大きさと豪華さ、見た目も凄く美味しそうである。

「ッ!おいしい!」
 ここ最近食べたお菓子やケーキなどを軽々と超えるほどおいしい。

『ご主人様可愛い♡可愛い♡幸せそうに食べるご主人様大好き♡』

 ?・・・上手く聞き取れないが、何かボソボソとどこからか言われている気がする・・・幻聴か?

『ご主人様をいーっぱい愛したら、どんな可愛いお顔になるのですかね♡』

 また、幻聴じゃないとすれば・・・ッ?!な、何かメイドさんの瞳にハートが見えるのは僕だけカナ?!



 何か今日のメイドさんおかしくないか?妙にテンション高めだし、さっきの仕草といい、確実に何かおかしい気が・・・。
 いつもは少し本を読むのだが、メイドさんの事で頭がいっぱいになり、読む気になれない。
 ていうか眠い。2日ぶりの学校で疲れているのか?
 少し早いが、今日は寝ることにしよう。



 ん、・・・ん?
「あれ?起きちゃいましたか?私の愛しのご主人様♡」
 目を開けると、そこには顔を赤らめたメイドさんがいた。
「あ、いえ。もうご主人様ではなく、旦那様♡ですね♡」
 あれ?
 体に力が入らない、それに何だかふわふわして、頭の中メイドさんのことしか考えられなくって・・・?
「効いてきたみたいですね♡」
「なにを?」
 ボーッとする中、少し保てている理性で、語彙のない返事をした。
「気になりますか?それはですね~♡媚薬です♡」
 びやく?

「私今日、見ちゃったんです♡旦那様と小さな女の子がキスしているとこ、旦那様とあの子はどんな関係ですか?」
 あすみ、ちゃん
「恋人」
「そうですか、恋人・・・ですがダメですよ?私というお嫁さんがいるのに、ダメな旦那様ですね~♡これはお仕置が必要じゃないですかね♡」
 そう言ってメイドさんは顔を近づけ、
 ちゅ、と優しくて甘いキス。
「また、しちゃいましたね♡」
「また?」
「あー・・・そうですね、旦那様は寝ていたので、覚えていなくても仕方ありませんね♡実は昨日、旦那様が寝顔を見ていたら、我慢できなくなっちゃって・・・しちゃいました♡まあ、我慢する気なんて、なかったですけど」
 え?きのう?じゃあ・・・あすみちゃんとの、キス、は・・・。
「旦那様のファーストキスは私が奪っちゃいました♡でも、責任を取るのは旦那様ですよ♡だって、私をこんなにも好きにさせて♡我慢なんてできません、したくないですよ♡そして旦那様は今、発情して体も動かせない♡ね?襲わないなんて、無理ですよね♡」
 メイドさんが僕の耳元で囁き、
「可愛い旦那様の喘ぎ声とトロトロなお顔、満足するまで、いえ・・・満足しても、ずーっと・・・♡私に依存しちゃうまで、旦那様から私に可愛くおねだりして、私に犯されるのがだーいすきな変態さんになるまで♡、いじめて犯して染めちゃいますね♡」
 メイドさんの声を聞いているだけで気分が高揚してきて・・・。
「瞳がとろーんとしちゃってますね♡声だけで堕ちちゃいました?」
 少し照れるように笑い、

「じゃあ、始めますね♡愛してますよ♡旦那様♡」
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