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第4話 どっちがいい?

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 明日は休日だ。

 そう、今日は金曜日。長い一週間が終わり休日に突入する。しかし、休日に何をしますか?と聞かれても寝て、掃除をすることしか思い当たらない。てか、それをしているだけで休日が終わってしまう。毎回休日になると何かしたいが、やる前に休日が終わってしまう。そんな感じである。

「何かやることはないかな」
「急にどうした」

 夕食の途中、思わず考えていたことが口から出てしまっていた。多少はお酒も入ってるし疲れているから、思わず出てしまったんだろう。

「いや、いつも休日は同じだからさ、やることないかなって」
「そういうことね。君は休日寝て過ごす派の人ね」
「というより、趣味がないんだよ」

 何か夢中になれることがあれば、ストレス解消になるとは思うのだけれども、そういったまとまった時間がないのである。

「なんだ、休日はがっつり寝てたいんだって感じだと思ってた」
「珍しく予想が外れたね」
「それじゃあ、私の買い物に付き合ってよ」
「えっ」

 急な申し出でなかなか言っていることの理解ができなかったが、数秒かけてやっと理解できた。

「急にどうした」
「だってやることが欲しいんでしょ?じゃあ付き合ってよ」
「わ、わかったよ」

 有無を言わせない圧力を感じたので仕方なく了解した。そういえば、休日にスーパー以外の場所に行くのは久しぶりだな。


「お待たせ、待った?」
「いや。今来たところ」

 彼女はやや遅れてきたが、おおむね時間通りである。というか、集合時間のどのくらい前に来るのが正解なのかわからないので10分くらい前に来たのは内緒である。もしかしたら、早く来ているのはばれているかもしれないが、さすがに彼女も気を利かせて聞いてこないだろう。

「で、何を買いに行くんだ?」
「えっとね、一応服を買いに来たんだけど、まずは見て回ろうかな。気に入るのがあるのかわからないから」
「なるほどね、じゃあ行くか」

 何か買いたいものが決まってるわけではないのか。まあいいか、家で暇しているよりは有意義に一日を過ごせると思うし。

「どっちがいいと思う?」
「えー」

 やっぱりこうなるよな。着いて行くだけなんて都合のいい話はないだろう。大型ショッピングセンターについて数分、最初に入った店は気に入ったのがなかったのかすぐに出たが、次に入った店では数着気になるのがあったらしい。もちろんどっちが似合うなんで聞かれているが、何が正解なのかは全くわかったもんじゃない。

「ちなみにどっちでもいいは怒るよな?」
「そりゃもちろん」

 男性の皆さん、助けてください。こういう時はなんて答えるのが正解なんですか。
 心の中で助けを求めるも誰も答えを教えてくれるわけはないので、腹を括っていっそのこと素直に言うことにする。
 ちなみに彼女が手に持っているのは、二つともロングスカートであるが、白とカーキ色の二つである。

「何を言うのが答えかわからないから、思ったことを言うよ」
「ほう、言ってみなされ」
「カーキ色のやつも似合うと思うけど、白のほうがいつもと違う感じの雰囲気が出ていいと思う。いつもはキリっとした感じがするけど、ふわっとさせてみると清楚な感じもプラスされて美人だと思う」

 彼女はいつも黒系統の服装を着ることが多く、パンツスタイルである。そのためいかにも美人って感じがして、人によっては近寄りがたい雰囲気が出ている気がする。

「ばっ、あんたそんなにはっきり言うんだね!」
「なんで怒ってるんだよ、思ったこと言っただけなんだが」
「そういうところだぞ!」
「何がだよ!」
「もういいわ!」

 彼女はなぜが大きい声を出したためこっちも大きい声を出してしまう。そして、店の奥のほうに歩いていく。

「どこ行くんだよ」
「サイズ確認するの!店の外で待ってて!」

 えー。怒ってるのか気に入ったのかわからない。白を選んだのが間違えだったのだろうか。
 言われた通り店の外で待つことにした。数分後、彼女は紙袋を持って店から出てきた。どっちを選んだのかわからないが、気にしすぎもよくないだろう。
 とりあえず、次はどこに行くのだろうか。

「次はどこに行く?」
「まあ服は買っちゃったから、時間は早いけど昼にしましょ」
「おっけー、ちなみにどこに行くとかは決まってる?」
「そうね、あなたが決めていいよ」
「マジか」

 ここにきて丸投げである。さっきのことが機嫌を損ねてしまったのだろうか。ここは何とかして挽回する必要があるな。

「ごめん、昼の前にトイレ行っていい?」
「わかった」

 よし、時間稼ぎはできた。ここで調べるとするか。
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