敗残王と亡国姫、冒険者として再起す  ~王女も聖女も皇女も魔女も、巫女も受付嬢も獣人もエルフも、いい女はぜーんぶ俺のもの!~

春風トンブクトゥ

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第二十三話 VS.エルフ騎士団2

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 エルフの騎士はもんどりうって倒れる。だがすぐに顔を拭いながら立ち上がった。

「くそ、野蛮人め。これだからエルフ以外の人類種は嫌いなのだ」

「ミーティア、下がってろ」

 名乗りは長いが、立ち振舞いからして、このアリなんとかは結構やる感じがする。
 騎士が剣を抜いた。俺もブレイブハートを構える。

「──参る」

 大剣で狙いにくい低い姿勢でアリノスが足を運ぶ。
 疾い!

 ブレイブハートを振り下ろすが、向こうのロングソードで巧みに力を逸らされる。
 切られる! 俺がそう思ったとアリノスは思ったろう。
 ブーツで足元の土を巻き上げ、男の目にかける。

「ぐっ」

 アリノスが剣を振るうが、その隙に俺は後ろに下がっていた。

「下賤な技を」

「そう言うな。兵法だよ、へーほー」

 続くアリノスの三段突きを大剣で受ける。円を書くように動きながら男の猛攻をしのぐ。一見すると防戦一方であり窮地にさらされているのは俺の方だが、苦戦の顔が見えるのはエルフの騎士だった。

 今俺が取っている大剣の間合いでは、剣を振るって俺に当てる度に一歩踏み出さないといけないアリノスはやりにくい。つまり……。

「おおお!」 

 気合とともにアリノスはもう一度身を低くして、大剣の間合いの内側に飛び込んできた。

 ゴッ!

 その腹を思い切り蹴り上げる。

「ぐがぁ」

 意識外からの攻撃は、鎧越しとはいえ効いたようだ。
 なんとか倒れるのをこらえるアリノスの首にブレイブハートを振り下ろすと、かろうじてガードした。しかしその体は左に大きくふらつく。

 今度は俺の番だ。
 右、左、足、上段。

「ほらほら、きちんと受け止めないと死んじまうぞ!」

「おのれぇえええ!」

 攻撃をしのいでいたアリノスは剣を鋭く切り下げ、俺の大ぶりの一撃をいなした。

「ジャアッ!」 

 エルフの騎士が地を蹴って斬りかかる。
 だがそれも、見えていた。手元でブレイブハートの刃を反転させると、そのまま切り上げる。

 ドッ!

 右腕の肘の上辺りをバッサリと切り落とす。
 凝った装飾の剣を握ったままの右手が地面にごろりと転がった。

「──う、うがあああ、腕が、俺の腕がぁ」

 はげしく出血するする男を見ながら俺は大剣を肩に担いだ。

「さーてどうするかな」

「ジャン!」

 ミーティアの声が鋭く響く。

「大丈夫だ、分かってる」

 身をそらしてカリーナが放った矢を避ける。

「な!?」 

 大剣の柄でアリノスの頭を殴り昏倒させると、女騎士の方へ歩き出した。

 第二射。ブレイブハートで切り落とす。
 第三射……を撃つ前に俺は彼女の目の前にいた。左手でつがえた矢ごと弓を握りつぶす。

「なんで矢が当たらない、いや、それより離しなさい!」

 大剣を背に戻し、彼女の両手を頭の上にもっていき右手で抑えた。

「さーてと、ちょうど聞きたいことがあったんだ。聖女と世界樹について」

「そ、そんなもの只人が聞いたところで理解できるわけがないでしょ」

 やれやれ、エルフってのは昔から他人種への差別が強くて困る。只人についてはこれでもマシな方で、獣人やハーフリングは家畜より若干マシという程度だ。

「いいから聞け。上司を出血死させたくないだろ」

「……」

「聖女ってのは世界樹に連れて行かれた後何をされるんだ? 昔知り合いのエルフに聞いたときはなんだかはぐらかされてな」

「そ、それは……」

 右手で彼女を押さえつけながら、首を横に向ける。

「おーい、ミーティア。トドメ頼むわ」

「待って。言う、言うから……世界樹に空いているウロを小屋に改築した場所があってそこが聖女様のお部屋になるわ。聖女様は生涯そこで天使様のお力を使って世界樹を癒やしてもらうの。も、もちろんベッドも食事も最高峰のものだし、本も語り部もリクエストにできるだけ応えるから娯楽には事欠かないわ。それに年に一度のお祭のときはカリ・カテルの街を神輿に乗って周ることもできるし」

 つまり、聖女としてエルフの国に連れて行かれたものは一生飼い殺しというわけだ。

「……私、ジャンを選んで良かった」

 ミーティアの素直な感想が聞けた。

「それで、こっちの男の人はどうする? 治癒の力使う?」

「いや、下手に治すとまた負ってくるだろう。止血だけしてロープでふんじばっておけ。腕は……まあエルフなら魔法でなんとかするだろうきっと」

「ん」

 ミーティアが自分の馬に物資を取りに走る。

「わ、私のこともロープで縛る気?」

 両手を押さえつけられている女騎士が俺を見る。ひょっとして自分も四肢の何処かを切り落とされるのかと心配しているのかもしれない。

「……クフフ。いいや、君は、襲ってきたことへのお仕置きだぁ!」

 手袋を取った光子状の左手で胸元から股まで一気に鎧と服を引き裂く。

「きゃあ!」

 カリーナがジタバタと暴れるが、手が使えないため大したことは出来ない。

 ぷるんとした美しい双丘と鍛えられた腹に可愛いへそ、そして髪と同じ赤い陰毛が控えめに生えた陰部まで、丸見えだった。
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